行政書士の記述式 過去問|論点別に年度と択一の実績を並べる

記述式の問題文そのものは、一般財団法人 行政書士試験研究センターが年度ごとに無料で公表しています。ですから、このページは問題文を並べません。

代わりに並べるのは2つです。ひとつは、その問題が「どの条文の、どの論点だったか」。もうひとつは、「その条文が、択一でいつ問われていたか」です。平成21年度〜令和7年度の51問を、1問1行で並べます。

年度別に問題と解答を並べたページは、すでにいくつもあります。市販の記述式問題集も、調べた範囲では論点順に並んでいました。足りていないのは、記述式1問と択一の出題実績を突き合わせた列です。

択一の実績は、平成21年度〜令和7年度の本試験を条文キーで突き合わせた結果です。記述式は平成18年度から出題されていますが、このページが扱うのは平成21年度以降の17年分です。

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行政書士 記述式の数字と一覧

このページの論点×年度の一覧を含め、記述式の表と数値を1つの資料にまとめたものです。一覧は横向きのページに入れています。

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この表の見方

表Aには9つの列があります。うち3つは、ほかでは見かけない列です。

年度・問
本試験の年度と問番号です。記述式は問44から問46までの3問です。
科目・分野
行政法か民法か、そしてその中のどの分野か。分野の分け方は択一の学習範囲に合わせています。
論点キー
その問が何を問うているのかに付けた名前です。問題文の事案ではなく、答案に書く中身のほうを指しています。
根拠条文
問題文に条文が示されているものは、その条文です。示されていないものは、設問の指示と答案の中身から特定しています。
設問の指示
設問の最後の一文、つまり「何を書きなさい」と指示している部分を、問題文から抜いたものです。
指示の型
その指示を8つに分類したものです。被告、相手方、訴訟類型・手段、請求の根拠と内容、名称、要件、効果・結論、理由。1つの設問が2つ以上の型をまたぐことがあります。
択一での出題実績
その条文が、その年より前に択一で何問・何肢問われていたか、そしてその年です。このページの中心になる列です。
繰り返し・現行法との関係
同じ条文や系統が出た他の年度と、改正でいまの条文と変わっているかどうかです。

解答例は、この版では載せていません。記述式の模範解答は公表されておらず、世に出ているものはすべて予備校や個人の作成物だからです。載せるときは、条文と判例から自分で書き起こします。記述式の配点と、何が公表されていて何が公表されていないのかは、記述式の全体像のページで扱っています。

設問の型ごとに、どこから書き始めるかを整理したものは、記述式の書き方のページにあります。表Aで気になる問を見つけたら、そちらと行き来してみてください。


論点×年度の一覧

行政法(問44)が17行、民法(問45・問46)が34行、あわせて51行です。年度の古い順に、同じ年度の中は問の番号順に並べています。


表A 記述式の論点×年度の一覧
年度・問 科目 分野 論点キー 根拠条文 設問の指示 指示の型 択一での出題実績 現行法との関係
平成21年 問44 行政法 行訴 取消判決の拘束力 行政事件訴訟法33条 行政事件訴訟法によれば、外務大臣は、判決のどのような効力により、どのような対応を義務づけられるか 効果・結論 前歴なし(行政事件訴訟法33条)
平成21年 問45 民法 債権総論 求償権を主たる債務とする連帯保証(信用保証協会の代位弁済) 民法 Xは、Yに対して、どのような権利について、どのような契約に基づき、どのような請求をすることができるか 請求の根拠と内容 前歴なし(民法459条・民法446条)
平成21年 問46 民法 物権 177条の「第三者」の意義 民法177条 〔 〕に適切な文章を40字程度で記述して解答を完成させなさい(XはYに対して建物の明渡しを求めることができるか) 効果・結論 前歴なし(民法177条)
平成22年 問44 行政法 行訴 事情判決 行政事件訴訟法31条 裁判所による判決は、どのような内容の主文となり、また、このような判決は何と呼ばれるか 効果・結論+名称 前歴なし(行政事件訴訟法31条)
平成22年 問45 民法 債権総論 弁済による代位と付記登記(改正前) Cは、Dを相手にして、どのような権利の確保のために、どのような手続きを経た上で、どのような権利を行使することができるか 請求の根拠と内容 問題文に条文が示されていない(択一との突合の対象外) ⚠️改正の影響あり(旧501条1号の付記登記の要件が削除。現501条3項1号は第三取得者の代位を定めるもの)
平成22年 問46 民法 債権総論 不法行為債権を受働債権とする相殺の禁止 民法509条 〔 〕に適切な文章を記述(損害賠償額を差し引いて50万円のみ払えばよいか) 効果・結論 前歴なし(民法509条) ⚠️改正の影響あり(509条の範囲)
平成23年 問44 行政法 総論 即時強制 その行為形式は、どのような名称で呼ばれ、どのような内容のものと説明されているか 名称 前歴なし(消防法29条)
平成23年 問45 民法 担保物権 抵当権の消滅(代価弁済・抵当権消滅請求) 抵当権が消滅する場合を二つ 要件 前歴なし(民法379条・民法378条)
平成23年 問46 民法 総則 権限外の行為の表見代理/使用者責任 民法110条/民法715条 Xは、どのような根拠に基づき、いかなる請求をすればよいか。考えられる請求内容を二つ 請求の根拠と内容 前歴なし(民法110条・民法715条)
平成24年 問44 行政法 行訴 形式的当事者訴訟 行政事件訴訟法4条 このような訴訟を行政法学において何と呼ぶか 名称 行政事件訴訟法4条:択一4問・5肢(2009・2010・2011)/収用法133条:前歴なし
平成24年 問45 民法 債権総論 催告の抗弁・検索の抗弁 民法453条 Cは、Aの請求に対し、どのようなことを証明すれば弁済を拒むことができるか 要件 前歴なし(民法453条)
平成24年 問46 民法 親族相続 遺留分減殺請求 どのような請求によって、何について遺言を失効させるか 請求の根拠と内容 前歴なし(民法1046条・民法1042条) ⚠️改正の影響あり(遺留分侵害額請求へ)
平成25年 問44 行政法 行訴 狭義の訴えの利益の消滅と却下判決 最高裁判所の判例によると、この場合、①建築確認の法的効果がどのようなものであるため、②工事完了がBの訴えの訴訟要件にどのような影響を与え、③どのような判決が下されることになるか 効果・結論 行政事件訴訟法9条:択一2問・6肢(2010・2012)/建築基準法6条:前歴なし
平成25年 問45 民法 総則 無権代理人の責任 民法117条 BはAに対して、どのような要件の下で、どのような請求をすることができるか 要件+請求の根拠と内容 前歴なし(民法117条)
平成25年 問46 民法 物権 即時取得と盗品・遺失物の回復 民法193条/民法194条 Aは、Dに対し指輪の返還を請求することができるか否かについて、必要な、または関係する要件に言及して 効果・結論+要件 前歴なし(民法193条・民法194条)
平成26年 問44 行政法 自治 公の施設と指定管理者 地方自治法244条/地方自治法96条 同法によれば、その運営に当たるBのような団体は、何と呼ばれるか 名称 地方自治法244条の2:択一2問・7肢(2010・2011)/地方自治法244条・地方自治法96条:前歴なし
平成26年 問45 民法 債権総論 詐害行為取消権 民法424条 Aのほかの債権者Xは、自己の債権を保全するために、どのような権利に基づき、誰を相手として、どのような対応をとればよいか 請求の根拠と内容+相手方 民法424条:択一1問・1肢(2013)/民法424条の7・民法424条の6:前歴なし ⚠️改正の影響あり(旧424条は「法律行為」の取消し。現424条は「行為」とし、424条の6以下に返還・価額償還の定めが新設)
平成26年 問46 民法 契約 他人の権利の売買と善意売主の解除権(改正前) Yが悪意のときは、どのようなことをし、Yが善意のときは、それに加えてどのようなことをすればよいか 要件 民法562条:択一2問・2肢(2011・2012) ⚠️改正の影響あり(旧562条=善意売主の解除権は削除。現562条は買主の追完請求権)
平成27年 問44 行政法 行訴 裁決取消訴訟の被告と原処分主義 行政事件訴訟法10条2項/行政事件訴訟法11条 裁決取消訴訟の被告はどこか。また、こうした裁決取消訴訟においては、どのような主張が許され、こうした原則を何と呼ぶか 被告+名称 行政事件訴訟法10条:択一3問・4肢(2012・2013・2014)/行政事件訴訟法11条:択一2問・6肢(2009・2012)
平成27年 問45 民法 物権 他主占有から自主占有への転換 民法185条 他主占有が自主占有に変わるもうひとつの場合はどのような場合か 要件 前歴なし(民法185条)
平成27年 問46 民法 親族相続 嫡出否認の訴え 民法772条/774条/775条/777条 Cが自分の子でないことを確認するため、Aは誰を相手として、いつまでに、どのような手続をとるべきか 相手方+訴訟類型・手段 民法772条:択一1問・1肢(2010)/民法775条:択一1問・1肢(2010)/民法777条:択一1問・1肢(2010)/民法774条:前歴なし ⚠️改正の影響あり(令和4年改正。現774条で母・前夫にも否認権。775条・777条で相手方と出訴期間が号ごとに定められた)
平成28年 問44 行政法 総論 条例に基づく過料と行政上の秩序罰 地方自治法14条/地方自治法255条 行政法学において、このような過料による制裁を何と呼んでいるか 名称 地方自治法14条:択一7問・14肢(2009・2010・2013・2014・2015)/地方自治法149条:択一2問・2肢(2013・2014)/地方自治法255条・地方自治法255条の3:前歴なし
平成28年 問45 民法 契約 抵当権付き不動産の売買と担保責任(改正前) 民法567条 Aは、Bに対し、Cの抵当権に関し、どのようになったときに、どのような主張をすることができるかについて、民法の規定に照らし 要件+請求の根拠と内容 民法567条:択一1問・1肢(2012) ⚠️改正の影響あり(旧567条=抵当権等がある場合の担保責任は削除。現567条は危険の移転)
平成28年 問46 民法 親族相続 財産分与の3要素 民法768条 財産分与の3つの要素の内容について 効果・結論 民法768条:択一1問・1肢(2013)
平成29年 問44 行政法 判例 法律上の争訟(行政権の主体としての訴え) 最高裁判所の判例によれば、こうした訴訟は、どのような立場でA市が提起したものであるとされ、また、どのような理由で、どのような判決がなされるべきこととなるか 理由+効果・結論 前歴なし(裁判所法3条)
平成29年 問45 民法 債権総論 譲渡禁止特約と悪意・重過失(改正前) 民法466条 Bは、Cの請求に応じなければならないか 効果・結論 前歴なし(民法466条) ⚠️改正の影響あり(旧466条2項。現466条2項は譲渡の効力を妨げないと定める。令和3年問45と対で見る)
平成29年 問46 民法 法定債権 不法行為の損害賠償請求権の期間制限 民法724条 不法行為による損害賠償請求権は、被害者またはその法定代理人が、いつの時点から何年間行使しないときに消滅するかについて、民法が規定する2つの場合を 要件 民法724条:択一1問・1肢(2012) ⚠️改正の影響あり(724条の2の追加)
平成30年 問44 行政法 行訴 申請型義務付け訴訟と被告 行政事件訴訟法11条/37条の3/行政手続法7条 農地転用許可を得るため、Xは、いかなる被告に対し、どのような訴訟を提起すべきか 被告+訴訟類型・手段 行政事件訴訟法11条:択一3問・7肢(2009・2012・2017)/行政事件訴訟法37条の3:択一4問・5肢(2012・2013・2014・2017)/行政手続法7条:択一4問・4肢(2012・2013・2015・2016)/行政事件訴訟法3条:択一10問・14肢(2009・2010・2011・2013・2014・2017)
平成30年 問45 民法 総則 無権代理の相手方の催告 民法114条 Aは、誰に対し、1か月以上の期間を定めてどのような催告をし、その期間内にどのような結果を得る必要があるか 相手方+訴訟類型・手段 民法20条:択一1問・1肢(2009)/民法114条:前歴なし
平成30年 問46 民法 契約 書面によらない贈与の解除 民法549条/550条 甲の引渡しを求めているBに対し、Aは、民法の規定に従い、どのような理由で、どのような法的主張をすべきか 理由+請求の根拠と内容 民法550条:択一1問・2肢(2015)/民法549条:前歴なし
令和元年 問44 行政法 行手 処分等の求め 行政手続法36条の3 これに対して、Yは、どのような対応をとるべきこととされているか 効果・結論 行政手続法36条の3:択一2問・3肢(2015・2016)
令和元年 問45 民法 物権 共有物の変更と管理 民法251条/民法252条 建替えと修繕等のそれぞれの場合について、共有者5名の間でどのようなことが必要か 要件 民法252条:択一2問・2肢(2014・2016)/民法251条:前歴なし ⚠️令和3年改正(251条・252条)の影響あり
令和元年 問46 民法 契約 第三者のためにする契約 民法537条 このようなA・B間の契約を何といい、Cの代金支払請求権が発生するためには誰が誰に対してどのようなことをする必要があるか 名称+要件 前歴なし(民法537条)
令和2年 問44 行政法 行訴 無効等確認の訴え(出訴期間経過後)と被告 Xは、誰を被告として、どのような行為を対象とする、どのような訴訟(抗告訴訟に限る)を提起すべきか 被告+訴訟類型・手段 行政事件訴訟法38条:択一6問・12肢(2009・2012・2014・2015・2017)/行政事件訴訟法3条:択一10問・14肢(2009・2010・2011・2013・2014・2017)/行政事件訴訟法36条:択一5問・7肢(2012・2015・2016・2017)
令和2年 問45 民法 総則 第三者による詐欺 民法96条2項 Cに騙されたことを知ったAは、本件契約に係る意思表示を取り消すことができるか 効果・結論 民法96条:択一3問・6肢(2010・2014・2019)
令和2年 問46 民法 物権 背信的悪意者 民法177条 Bは、Dに対して甲不動産の取得を主張することができるか 効果・結論 民法177条:択一6問・12肢(2010・2013・2014・2018・2019)
令和3年 問44 行政法 行手 行政指導の中止等の求め 行政手続法2条/行政手続法36条の2 それを前提に同法に基づき、誰に対して、どのような手段をとることができるか 相手方+訴訟類型・手段 行政手続法2条:択一18問・35肢(2009・2010・2011・2012・2014・2015・2016・2018・2019・2020)/行政手続法36条の2:択一5問・5肢(2015・2016・2017・2018・2019)
令和3年 問45 民法 債権総論 譲渡制限特約と履行拒絶(改正後) 民法466条 Bが本件代金債権に係る債務の履行を拒むことができるのは、どのような場合か 要件 前歴なし(民法466条)
令和3年 問46 民法 法定債権 土地工作物責任 民法717条 誰がCに対して損害賠償責任を負うことになるか。必要に応じて場合分けをしながら 効果・結論 民法717条:択一5問・6肢(2009・2012・2013・2016・2019)
令和4年 問44 行政法 行訴 非申請型義務付け訴訟(重大な損害)と被告 行政事件訴訟法3条/37条の2 ①誰を被告として、②どのような影響を生ずるおそれがあるものと主張し、③どのような訴訟を起こすことが適切か 被告+要件+訴訟類型・手段 行政事件訴訟法3条:択一10問・14肢(2009・2010・2011・2013・2014・2017)/行政事件訴訟法37条の2:択一5問・9肢(2013・2019・2020・2021)/行政事件訴訟法38条:択一7問・13肢(2009・2012・2014・2015・2017・2020)/行政事件訴訟法11条:択一5問・12肢(2009・2012・2017・2019・2021)
令和4年 問45 民法 総則 日常家事代理権と無権代理・信義則 民法761条 Aは、Cの履行請求を拒みたいと考えているが、認められるか(その許否につき理由を付して) 効果・結論+理由 民法113条:択一1問・1肢(2014)/民法761条・民法1条:前歴なし
令和4年 問46 民法 債権総論 債権者代位権の転用(妨害排除請求権) 民法423条 Aは、Cに対し、どのような請求をすることができるか 請求の根拠と内容 民法423条:択一2問・5肢(2016・2021)
令和5年 問44 行政法 行訴 仮の差止め(出席停止の懲罰) 地方自治法134条/行政事件訴訟法11条/37条の4 誰に対してどのような手段をとることが有効適切か(仮の救済手段も含む) 相手方+訴訟類型・手段 行政事件訴訟法11条:択一5問・12肢(2009・2012・2017・2019・2021)/行政事件訴訟法37条の4:択一3問・3肢(2010・2018・2020)/行政事件訴訟法37条の5:択一9問・15肢(2009・2011・2012・2013・2014・2017・2020)/地方自治法134条:前歴なし
令和5年 問45 民法 担保物権 抵当権の物上代位(火災保険金) 民法304条 Aがこの保険金に対して優先弁済権を行使するためには、民法の規定および判例に照らし、どのような法的手段によって何をしなければならないか 訴訟類型・手段+要件 民法304条:択一2問・7肢(2014・2018)/民法372条:択一2問・5肢(2014・2018)
令和5年 問46 民法 契約 請負の契約不適合責任 Aが、Bに対し、権利行使ができる根拠を示した上で、修補請求以外の3つの権利行使の方法について 請求の根拠と内容 民法559条:択一2問・2肢(2011・2015)/民法562条:択一4問・4肢(2011・2012・2015・2021)/民法563条:択一2問・3肢(2012・2021)/民法415条:択一3問・5肢(2016・2021・2022)/民法541条:択一4問・5肢(2009・2011・2015・2022)
令和6年 問44 行政法 行訴 競願関係と取消訴訟の対象・被告 行政事件訴訟法11条 Xは誰を被告として、どのような処分に対する取消訴訟を提起できるか 被告+訴訟類型・手段 行政事件訴訟法11条:択一5問・12肢(2009・2012・2017・2019・2021)
令和6年 問45 民法 担保物権 動産売買の先取特権と物上代位 民法304条/民法311条/民法333条 Aは、甲についていかなる権利に基づき、どのような形で売買代金を確保することができるか 請求の根拠と内容 民法304条:択一2問・7肢(2014・2018)/民法333条:択一3問・3肢(2013・2020・2023)/民法311条・民法321条・民法303条:前歴なし
令和6年 問46 民法 債権総論 債権者代位権の転用(登記請求権) 民法423条 このような場合、Aは、何のために、誰の誰に対するいかなる権利を、どのように行使できるか 請求の根拠と内容 民法423条:択一2問・5肢(2016・2021)/民法423条の7:前歴なし
令和7年 問44 行政法 行訴 裁決固有の瑕疵と原処分主義・被告 建築基準法82条/行政事件訴訟法10条2項/11条 主張しようとする瑕疵がどのようなものであり、そのため、Xは、誰を被告としてどのような抗告訴訟を提起すべきか 被告+訴訟類型・手段 行政事件訴訟法10条:択一7問・11肢(2012・2013・2014・2016・2017・2018・2019)/行政事件訴訟法11条:択一5問・12肢(2009・2012・2017・2019・2021)/行政事件訴訟法3条:択一14問・20肢(2009・2010・2011・2013・2014・2017・2022・2023・2024)/建築基準法82条:前歴なし
令和7年 問45 民法 総則 日常家事代理権と110条の趣旨の類推 民法110条/民法761条 判例は、Cにおいて、どのような場合に上記の類推適用を認めているかについて 要件 民法110条:択一2問・2肢(2012・2024)/民法761条:前歴なし
令和7年 問46 民法 法定債権 事務管理(継続義務・費用償還) 民法697条/民法700条/民法702条1項 どのような法的根拠に基づき消火活動を継続しなければならないか。また、その費用をどのような法的性質のものとしてBに償還請求できるか 効果・結論+請求の根拠と内容 民法697条:択一2問・2肢(2011・2019)/民法702条:択一3問・6肢(2010・2011・2019)/民法700条:前歴なし

縦に読むと、記述式が「条文の要件と効果を、そのまま言葉にできるか」を繰り返し確かめてきたことが見えてきます。事案が複雑な年でも、書くべき中身は条文の言葉に戻ります。表Aの論点キーと根拠条文の列を先に見てから問題文を読むと、事案の枝葉に引っ張られにくくなります。

あわせて見ておきたいのが「指示の型」の列です。型は、答案の書き出しをそのまま決めます。「誰を被告として」と聞かれていれば主体から、「どのような場合に」と聞かれていれば要件から、「どのような理由で」と聞かれていれば理由から書き出すことになります。

そして、同じ条文でも、型が変われば書く順番が変わります。表Aを論点キーで並べ替えて、同じ条文の行を見比べてみてください。条文の知識は共通でも、答案の形は別物になっていることが分かります。過去問を解いたのに本番で手が止まるのは、条文を忘れたからではなく、この形の違いに慣れていないためであることが多いのです。


行政法の17問は、どの法律から出たか

表Aの行政法17行を法律ごとに数えると、行政事件訴訟法が11問で、残りが地方自治法・行政手続法・行政法総論・判例に分かれます。行政法の記述式は、ほぼ行政事件訴訟法の話だと考えて差し支えありません。

そのうえで、17年間で一度も出ていない法律が2つあります。国家賠償法・行政不服審査法です。択一では、国家賠償法1条だけで29問90肢が問われているにもかかわらず、記述式にはまだ来ていません。この落差を条文ごとに並べたのが、下の表Cです。

法律別の内訳と、民法34問の分野別の内訳は、表の形で記述式の全体像のページにまとめています。


同じ条文が、切り口を変えて戻ってくる

表Bは、51問を条文と系統で並べ直して、2回以上問われたものをまとめたものです。


表B 同じ条文・系統・設問の型が戻ってくる
条文・系統 種類 回数 出た年度 間隔
「被告」を書かせた年 設問の型 6 平成27年 問44・平成30年 問44・令和2年 問44・令和4年 問44・令和6年 問44・令和7年 問44 最短1年/2年連続あり
無権代理・表見代理 系統 5 平成23年 問46・平成25年 問45・平成30年 問45・令和4年 問45・令和7年 問45 最短2年
義務付け・差止め 系統 3 平成30年 問44・令和4年 問44・令和5年 問44 最短1年/2年連続あり
行政事件訴訟法11条 条文 5 平成27年 問44・平成30年 問44・令和5年 問44・令和6年 問44・令和7年 問44 最短1年/3年連続あり
民法110条 条文 2 平成23年 問46・令和7年 問45 最短14年
民法177条 条文 2 平成21年 問46・令和2年 問46 最短11年
民法304条 条文 2 令和5年 問45・令和6年 問45 最短1年/2年連続あり
民法423条 条文 2 令和4年 問46・令和6年 問46 最短2年
民法466条 条文 2 平成29年 問45・令和3年 問45 最短4年
民法761条 条文 2 令和4年 問45・令和7年 問45 最短3年
行政事件訴訟法10条 条文 2 平成27年 問44・令和7年 問44 最短10年

「被告」を書かせた年が6回、無権代理・表見代理の系統が5回、行政事件訴訟法11条が5回。間隔は最短で1年です。前の年に出たから今年は出ない、という読み方は、この表からは出てきません。

ここで、表Bの「種類」の列を見ておきましょう。戻ってくる形は1つではなく、3つあります。

  • 条文……同じ条番号で戻ってくるもの。行政事件訴訟法11条や民法177条がこれにあたります。
  • 系統……条番号は違っても、同じ制度の中で戻ってくるもの。無権代理・表見代理の5回は、民法110条・113条・114条・117条・761条にまたがっています。義務付け・差止めの3回も、行政事件訴訟法3条・11条・37条の2・37条の3・37条の4に散っています。
  • 設問の型……条文ではなく、設問の言葉で戻ってくるもの。「被告」がこれです。

どの形で戻ってきているかで、備え方が変わります。条文で戻ってくるものは、その条文の要件と効果を書けるようにしておく。系統で戻ってくるものは、制度全体をひとまとまりで見ておく。設問の型で戻ってくるものは、書き出しの形を用意しておく。表Bの3行目までが系統と設問の型で、4行目から下が条文である理由も、ここにあります。

これは「過去問はやりすぎて答えを覚えてしまった」という悩みへの答えにもなります。覚えてしまっているのは、その年の正誤の答えです。再度出題されるのは条文の要件・効果等のほうで、問われ方は毎回変わります。たとえば民法466条は、改正前の規律で平成29年度に、改正後の規律で令和3年度に問われました。同じ条文でありながら、書く中身は入れ替わっています。

表Bの「被告」の行は、設問が「被告」という語を使った年だけを数えています。令和5年度は「誰に対してどのような手段をとることが有効適切か」という問い方で、被告の語は使われていません。似た内容でも設問の言葉が違えば、書き出しも変わります。設問の指示は、表Aの列で1問ずつ確かめられます。


記述式の論点には、択一の前歴がある

表Aの「択一での出題実績」の列を、論点の単位で数え直すと、3つのことが分かりました。数えたのは、記述式の各問を答案に書く要素ごとの論点に分けたもので、令和元年以降の46件です(1問に論点が2つ以上あることがあるため、問の数とは一致しません)。

  • 記述式の論点は、その年より前に、同じ条文で択一に出ているものが72パーセント(46件中33件)。
  • その択一の出題は、直前の1年から3年に集まっています(82パーセント。間隔の中央値は2年)。
  • 記述式に選ばれる条文は、択一で繰り返し問われている条文に寄っています。択一で5肢以上問われた条文の割合は、記述式の根拠条文では54パーセント、択一の全条文では14パーセントでした。

たとえば令和3年度の問44(行政指導の中止等の求め・行政手続法36条の2)は、記述式に来る前に、同じ条文が平成27年度から令和元年度まで5年続けて択一で問われていました(平成27年度は多肢選択式。直前の令和2年度には出ていません)。表Aのこの行の「択一での出題実績」の欄で、行政手続法36条の2のところに、その年が並んでいます。

「その年より前」だけを数えている理由

表Aの「択一での出題実績」は、その問が出た年より前の択一だけを数えています。記述式に出たあとに同じ条文が択一で問われた分は入れていません。見たいのが「記述式に来る前に、択一で問われていたか」だからです。

この数え方には、1つ注意点があります。「前歴なし」は、その条文が択一で問われていないという意味ではありません。その年までに問われていなかった、という意味です。たとえば平成21年度の問46(民法177条)は前歴なしですが、これはこの条文が択一に出ないからではなく、それより前の択一が手元にないからです。

そのため、表Aの前半の行ほど「前歴なし」が多くなります。上の3つの数字を令和元年以降に限っているのは、このためです。記述式の最初の年から10年たった年を起点にすると、どの問についても、その前に10年ぶんの択一の履歴があることになります。表Aの前半の「前歴なし」を数えに入れると、割合が実際より低く出ます。

この数字の読み方には、3つの注意点があります。

1つ目に、これは相関であって、因果ではありません。択一に出たから記述式に出た、という関係を示すものではありません。

2つ目に、次に何が出るかを保証するものではありません。72パーセントということは、残りは前歴なしで出ているということです。

3つ目に、条文キーで突き合わせた結果です。条文ではなく判例だけで問われた年は、この集計では拾えていません。

「記述式は過去に択一で出た分野からしか出ない」という言い方を見かけることがありますが、実測は72パーセントです。「しか出ない」と言い切れる数字ではありません。言えるのは、記述式の根拠条文には、択一で繰り返し問われている条文が多く含まれている、というところまでです。


択一で頻出なのに、記述式にまだ出ていない条文

前の節を裏返すと、こうなります。択一で繰り返し問われているのに、記述式ではまだ問われていない条文はどれか。表Cは、その45件です。

優先度は、択一での出題肢数と直近の出題年から機械的に付けたものです。Aが9件、Bが12件、Cが24件あります。


表C 択一で頻出なのに、記述式にまだ出ていない条文
条文 科目 択一・多肢選択の出題問数 択一・多肢選択の出題肢数 出題年の範囲 択一での代表的な切り口 優先度の目安
国家賠償法1条 国家賠償・損失補償 29 90 2009〜2025 「職務を行うについて」(外形標準説) A
国家賠償法2条 国家賠償・損失補償 13 39 2009〜2024 国賠1条責任と2条責任の併存(競合) A
地方自治法242条の2 地方自治法 16 35 2009〜2024 財務会計行為時点での住民資格の要否 A
行政事件訴訟法25条 行政事件訴訟法 12 22 2009〜2022 執行停止の要件(重大な損害) C
行政事件訴訟法14条 行政事件訴訟法 14 21 2009〜2025 出訴期間規定の準用の有無(無効確認・形式的当事者訴訟) A
行政手続法13条 行政手続法 14 19 2009〜2025 申請拒否処分と意見陳述手続(不要) A
行政手続法39条 行政手続法 13 19 2009〜2024 意見公募の対象(行政指導指針を含む) A
地方自治法2条 地方自治法 8 18 2009〜2024 自治事務の定義(法定受託事務以外) A
行政手続法3条 行政手続法 15 17 2010〜2024 地方公共団体の行政指導と適用除外 A
行政手続法5条 行政手続法 9 16 2011〜2025 審査基準と処分基準の区別 A
行政手続法6条 行政手続法 11 16 2010〜2023 標準処理期間超過時の通知(規定なし) B
国家賠償法3条 国家賠償・損失補償 9 14 2009〜2025 指定確認検査機関の建築確認と賠償責任主体 B
行政手続法12条 行政手続法 12 14 2011〜2025 処分基準の設定・公表(努力義務) B
国家賠償法4条 国家賠償・損失補償 5 13 2012〜2025 公務員の失火への失火責任法適用排除の可否 B
民法192条 民法 8 12 2010〜2025 占有改定と現実の引渡しによる即時取得 B
行政手続法8条 行政手続法 11 12 2011〜2025 申請拒否処分の理由提示 B
行政不服審査法5条 行政不服審査法 5 11 2016〜2025 再調査の請求の要件(法律の定めが必要) B
行政不服審査法82条 行政不服審査法 4 11 2014〜2025 利害関係人からの請求に対する教示義務 B
行政手続法14条 行政手続法 7 11 2011〜2025 不利益処分の理由提示(同時提示の原則) B
地方自治法242条 地方自治法 9 11 2009〜2024 住民監査請求の要件(連署の要否・一人で可) B
行政不服審査法25条 行政不服審査法 6 11 2015〜2024 執行停止と内閣総理大臣の異議(行審法との比較) B
民法605条の2 民法 6 11 2009〜2022 賃貸人たる地位の移転と敷金返還債務の承継 C
民法94条 民法 4 11 2010〜2022 94条2項の第三者(仮装債権の譲受人) C
地方自治法75条 地方自治法 6 10 2009〜2023 事務監査請求の請求権者(選挙権を有する者) B
民法162条 民法 5 10 2011〜2022 取得時効の自主占有と他主占有事情(所有の意思の否定) C
行政手続法1条 行政手続法 6 10 2009〜2022 行政契約と行政手続法(適用対象外) C
行政不服審査法18条 行政不服審査法 9 9 2010〜2024 出訴期間・審査請求期間のただし書き(正当な理由)の有無 C
行政事件訴訟法5条 行政事件訴訟法 7 9 2009〜2024 不服申立適格(自己の法律上の利益/民衆訴訟との区別) C
行政不服審査法49条 行政不服審査法 5 9 2012〜2023 不作為認容裁決(上級行政庁の審査庁の処分命令) C
民法295条 民法 4 9 2013〜2021 不法占有中に支出した有益費と留置権(295条2項類推) C
地方自治法15条 地方自治法 7 8 2009〜2024 過料を定めうる法形式(条例・規則の双方) C
地方自治法18条 地方自治法 6 8 2009〜2023 事務監査請求の請求権者(選挙権を有する者) C
地方自治法74条 地方自治法 7 8 2013〜2023 条例制定改廃請求の対象(法定受託事務も対象) C
行政不服審査法31条 行政不服審査法 8 8 2011〜2023 口頭意見陳述の機会・補佐人の出頭 C
行政手続法10条 行政手続法 8 8 2013〜2023 公聴会の開催(申請に対する処分・努力義務) C
行政不服審査法61条 行政不服審査法 4 8 2016〜2021 再調査の請求における執行停止(25条準用で可) C
行政手続法43条 行政手続法 5 8 2010〜2021 結果の公示(提出意見がない場合も公示) C
民法708条 民法 3 7 2010〜2025 不法原因給付と不動産(引渡し済み・登記未了) C
地方自治法176条 地方自治法 5 7 2012〜2025 一般的拒否権による再議(法令違反を要しない) C
行政不服審査法12条 行政不服審査法 6 7 2010〜2025 代理人の権限(取下げは特別委任) C
行政不服審査法3条 行政不服審査法 5 7 2018〜2025 不作為の審査請求人(申請者に限る) C
行政手続法35条 行政手続法 7 7 2016〜2025 行政指導の趣旨・内容・責任者の明示義務 C
行政不服審査法7条 行政不服審査法 5 7 2012〜2024 固有の資格における処分の適用除外 C
地方自治法234条 地方自治法 3 7 2017〜2022 地方公共団体の契約締結手続(入札等) C
民法709条 民法 5 7 2009〜2021 失火責任法は民法709条の特則 C

この表の「択一」には、多肢選択式(問41〜43)での出題も含めています。多肢選択式は、空欄1つを1肢として数えています。

この表は予想ではありません。ヤマを当てるためのものでもありません。示しているのは「択一の出題実績から見て、記述式でまだ問われていない頻出条文はこれである」という事実だけです。ここに挙がっていない条文から出ることも、ここに挙がった条文が来年も出ないことも、どちらもあり得ます。

使い方としては、択一の学習で何度も見ている条文のうち、答案の言葉で書き出せないものを探すのが実際的です。表Cの条文を上から見て、要件と効果を40字程度で言えるかどうかを試してみてください。言えないものが見つかったら、そこが択一と記述式の間に空いている穴です。

表Cに挙がった条文のうち、このサイトで解説しているものは、次のページから確かめられます。

行政手続法3条は、行政手続法の適用除外のページで号まで紹介しています。

行政手続法13条は、聴聞と弁明の機会の付与のページで扱っています。

行政手続法39条は、意見公募手続のページで扱っています。

行政事件訴訟法25条と行政不服審査法25条は、執行停止のページで並べています。

国家賠償法1条と2条は、国家賠償のページで扱っています。

地方自治法242条の2は、住民訴訟のページで扱っています。

民法192条は、即時取得のページで扱っています。

行政手続法5条と12条は、審査基準と処分基準の違いのページで扱っています。

行政事件訴訟法14条は、審査請求と取消訴訟のページで扱っています。


いまの条文のままでは解けない問

表Aを使うときに、先に知っておきたいことがあります。民法34問のうち10問は、出題当時の条文が改正されているということです。表C-2に、何がどう変わったのかを並べました。


表C-2 いまの条文のままでは解けない問
年度・問 論点キー 何が変わったか
平成22年 問45 弁済による代位と付記登記(改正前) ⚠️改正の影響あり(旧501条1号の付記登記の要件が削除。現501条3項1号は第三取得者の代位を定めるもの)
平成22年 問46 不法行為債権を受働債権とする相殺の禁止 ⚠️改正の影響あり(509条の範囲)
平成24年 問46 遺留分減殺請求 ⚠️改正の影響あり(遺留分侵害額請求へ)
平成26年 問45 詐害行為取消権 ⚠️改正の影響あり(旧424条は「法律行為」の取消し。現424条は「行為」とし、424条の6以下に返還・価額償還の定めが新設)
平成26年 問46 他人の権利の売買と善意売主の解除権(改正前) ⚠️改正の影響あり(旧562条=善意売主の解除権は削除。現562条は買主の追完請求権)
平成27年 問46 嫡出否認の訴え ⚠️改正の影響あり(令和4年改正。現774条で母・前夫にも否認権。775条・777条で相手方と出訴期間が号ごとに定められた)
平成28年 問45 抵当権付き不動産の売買と担保責任(改正前) ⚠️改正の影響あり(旧567条=抵当権等がある場合の担保責任は削除。現567条は危険の移転)
平成29年 問45 譲渡禁止特約と悪意・重過失(改正前) ⚠️改正の影響あり(旧466条2項。現466条2項は譲渡の効力を妨げないと定める。令和3年問45と対で見る)
平成29年 問46 不法行為の損害賠償請求権の期間制限 ⚠️改正の影響あり(724条の2の追加)
令和元年 問45 共有物の変更と管理 ⚠️令和3年改正(251条・252条)の影響あり

条文の番号がそのままで中身が入れ替わったものが、いちばん厄介です。他人の権利の売買における善意の売主の解除権は旧562条にありましたが、いまの562条は買主の追完請求権です。抵当権等がある場合の売主の担保責任を定めていた旧567条も削除され、いまの567条は危険の移転を定めています。条番号だけを頼りに現行法を引くと、まったく違う条文に行き当たります。

「記述式の過去問は全部やりましょう」という助言は広く見かけますが、この10問については、そのまま解いても現行法の練習にはなりません。解かずに飛ばすか、改正で何が変わったのかを確かめる材料として使うかを先に決めておきましょう。

後者として使うなら、いちばん効くのが民法466条です。平成29年度は改正前の規律、令和3年度は改正後の規律で、同じ譲渡制限特約が問われました。改正前は「反対の意思表示は善意の第三者に対抗することができない」という形でしたが、いまは譲渡制限の意思表示があっても債権の譲渡そのものは効力を妨げられず、悪意または重大な過失のある譲受人に対して債務者が履行を拒むことができる、という形になっています(民法466条2項・3項)。2年ぶんの問題を並べて読むと、改正で何がどちら側に移ったのかが、そのまま見えます。


この表の使いみち

表Aは、上から順に解くためのものではありません。次の3つの入口から使ってみてください。

  1. 年度から入る。解いた年度の行を見て、その問がどの条文のどの論点だったかを確かめます。答え合わせのあと、論点キーの言葉で言い直せるかを試すと、記憶への残り方が変わります。
  2. 論点から入る。択一で間違えた条文を表Aで探します。記述式に出ていれば、その年の設問の指示を読んで、いま書けるかどうかを確かめます。
  3. 択一の実績から入る。表Cの条文を上から見て、要件と効果を答案の言葉で書き出せるかを試します。書けないものが、択一と記述式の間に空いている穴です。

どの入口から入っても、確かめるのは同じことです。その条文の要件と効果を、40字程度の言葉にできるか。答案を自分で確かめる基準の作り方は、記述式の練習のページにまとめています。


よくある質問

行政書士試験の記述式の論点は、択一に出た条文から選ばれているのですか?

令和元年以降の46件を数えると、記述式の論点の72パーセントは、その年より前に同じ条文で択一に問われていました。残りは、それまでの択一に前歴のない条文から出ています。したがって「択一に出た分野からしか出ない」と言い切れる数字ではなく、これは相関であって因果を示すものでもありません。このページの表Aでは、1問ごとに、その条文が択一でいつ問われていたかを列にしています。

行政書士試験の記述式にまだ出ていない条文には、どのようなものがありますか?

このページの表Cは、択一で繰り返し問われているのに、平成21年度〜令和7年度の記述式では一度も問われていない条文を45件並べたものです。差がいちばん大きいのは国家賠償法1条で、択一では29問90肢が問われています。ただしこれは予想ではなく、過去の出題実績を数えた結果です。ここに挙がっていない条文から出ることも、挙がった条文が次も問われないこともあります。

行政書士試験の記述式の過去問で、いまの条文のままでは解けない問はどれですか?

このページの表C-2では、民法34問のうち10問が、出題当時の条文から改正されたものとして挙がっています。条番号はそのままで中身が入れ替わったものもあり、番号だけを頼りに現行法を引くと、まったく違う条文に行き当たります。そのまま解いても現行法の練習にはなりにくいため、改正で何がどう変わったのかを確かめる材料として使うほうが実際的です。

行政書士試験の記述対策におすすめな問題集は?

特定の問題集をおすすめすることはしていません。ただ、調べた範囲では、市販の記述式問題集はいずれも論点順に並んでいました。したがって、問題集を選ぶときに「論点別に並んでいるかどうか」は差になりにくい点です。選ぶ観点としては、収録している年度の範囲と、民法の改正に対応しているかどうかのほうが実際的です。このページの表C-2にあるとおり、民法34問のうち10問は出題当時の条文が改正されています。


まとめ

記述式の問題文は、公式が無料で公表しています。このページが足したのは、論点キーと択一での出題実績の2つの列です。表Aを縦に読むと、記述式が条文の要件と効果を繰り返し確かめてきたことが見えてきます。

数えて分かったことは3つです。記述式の論点の72パーセントには、その年より前の択一に前歴がある。同じ条文が最短1年の間隔で戻ってくる。そして、択一で29問90肢も問われている国家賠償法1条が、記述式にはまだ来ていない。

いずれも過去を数えた事実であって、次に何が出るかを示すものではありません。使いみちは予想ではなく、自分が択一で何度も見ている条文のうち、答案の言葉で書き出せないものを見つけることです。

記述式の配点と合格基準の全体像は、記述式の全体像のページにあります。

設問の型ごとの書き出し方は、記述式の書き方のページで確かめられます。

答案を自分で確かめる手順は、記述式の練習のページにまとめています。