聴聞と弁明の機会の付与の違い|行政手続法の不利益処分

行政庁が不利益処分をしようとするときは、その前に、処分の名あて人となるべき者の意見を聴く手続をとらなければなりません。行政手続法はこの手続を「意見陳述のための手続」と呼び、聴聞と弁明の機会の付与の2つを用意しています(13条1項)。

どちらの手続になるかは、予定される処分の種類によって条文が振り分けています(イからハに当たらない処分でも、行政庁が相当と認めれば聴聞によることができます)。そして2つの手続は、手続の手厚さが大きく違います。聴聞には主宰者・参加人・文書等の閲覧・調書と報告書といった仕組みがあり、弁明の機会の付与は書面の提出が原則で、聴聞の規定のうち準用しているのはごく一部です。

このページでは、行政書士試験の受験生向けに、13条1項の振り分けを確かめたうえで、2つの手続を条文の文言のまま1行ずつ並べます。処分を受ける側の実務(通知書への対応など)は扱っていません。

本記事は、令和8年度試験の法令の基準日(令和8年4月1日)の時点の行政手続法(令和6年9月26日施行)にもとづいています。その後、所在が判明しないときの通知(15条3項など)が改正され、令和8年5月21日から施行されています。改正後の条文は、表Aの下の注で並べています。


どちらの手続になるか(13条1項)

13条1項は、不利益処分の種類ごとに、とるべき意見陳述のための手続を次のように定めています。

  • 聴聞(1号):イ 許認可等を取り消す不利益処分をしようとするとき/ロ イのほか、名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不利益処分をしようとするとき/ハ 名あて人が法人である場合の役員の解任、名あて人の業務に従事する者の解任、名あて人の会員である者の除名を命ずる不利益処分をしようとするとき/ニ イからハまでに掲げる場合以外の場合であって行政庁が相当と認めるとき
  • 弁明の機会の付与(2号):前号イからニまでのいずれにも該当しないとき

イからハまでは、許認可等や資格・地位そのものを失わせる処分や、人を解任・除名させる処分です。処分の結果が重いものほど、より手厚い手続が定められている聴聞に振り分けられていると読むことができます。そしてニがあるので、イからハに当たらない処分でも、行政庁が相当と認めれば聴聞によることができます。弁明の機会の付与になるのは、イからニまでのどれにも当たらない場合です。

たとえば、ある営業について許可を受けている人に対し、行政庁がその許可を取り消そうとするときは、許認可等を取り消す不利益処分なので1号イに当たり、聴聞です。同じ人に一定の期間の営業の停止を命じようとするときは、許可そのものを失わせる処分ではないので、ロやハにも当たらなければ、原則として2号の弁明の機会の付与になります。このとき行政庁が相当と認めれば、ニにより聴聞とすることもできます。

個別の法律が、13条1項の区分と違う手続を定めていることがあります。処分などに関する手続について他の法律に特別の定めがある場合は、その定めによるからです(1条2項)。試験で個別の法律の定めが問われていない限りは、13条1項の区分で判断します。

意見陳述のための手続をとらなくてよい場合(13条2項)

13条2項の各号のどれかに当たるときは、13条1項は適用されず、聴聞も弁明の機会の付与も要りません。

  • 1号:公益上、緊急に不利益処分をする必要があるため、意見陳述のための手続を執ることができないとき
  • 2号:法令上必要とされる資格がなかったこと又は失われるに至ったことが判明した場合に必ずすることとされている不利益処分で、その事実が裁判所の判決書又は決定書などの客観的な資料により直接証明されたものをしようとするとき
  • 3号:施設若しくは設備の設置、維持若しくは管理又は物の製造、販売その他の取扱いについて遵守すべき事項が法令において技術的な基準をもって明確にされている場合に、専らその基準が充足されていないことを理由として基準に従うべきことを命ずる不利益処分で、不充足の事実が計測、実験その他客観的な認定方法によって確認されたものをしようとするとき
  • 4号:納付すべき金銭の額を確定し、一定の額の金銭の納付を命じ、又は金銭の給付決定の取消しその他の金銭の給付を制限する不利益処分をしようとするとき
  • 5号:当該不利益処分の性質上、それによって課される義務の内容が著しく軽微なものであるため、あらかじめ意見を聴くことを要しないものとして政令で定める処分をしようとするとき

また、13条の手続がそもそも問題にならない処分があります。申請により求められた許認可等を拒否する処分は、2条4号ロにより不利益処分から除かれているので、申請を拒否するときに聴聞や弁明の機会の付与は要りません。申請の拒否については、理由の提示(8条)の問題になります。

行政手続法の規定そのものが適用されない処分(3条・4条の適用除外)については、行政手続法の適用除外のページで号まで並べています。


聴聞と弁明の機会の付与を1行ずつ並べる

表Aは、聴聞(15条〜28条)と弁明の機会の付与(29条〜31条)を同じ項目で並べたものです。弁明の機会の付与の列に「準用されていない」「定めは無い」とある行は、聴聞にだけある仕組みです。


表A 聴聞と弁明の機会の付与(行政手続法。令和8年4月1日の時点の条文)
項目 聴聞(15条〜28条) 弁明の機会の付与(29条〜31条)
使う場面 13条1項1号イ〜ニのどれかに当たるとき。許認可等を取り消す不利益処分(イ)、名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不利益処分(ロ)、役員等の解任・会員の除名を命ずる不利益処分(ハ)、そのほか行政庁が相当と認めるとき(ニ) 前号イからニまでのいずれにも該当しないとき(13条1項2号)
通知の時期と方式 聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、書面により通知する(15条1項) 弁明書の提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その日時)までに相当な期間をおいて、書面により通知する(30条)
通知に書くこと 予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項/不利益処分の原因となる事実/聴聞の期日及び場所/聴聞に関する事務を所掌する組織の名称及び所在地(15条1項1号〜4号) 予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項/不利益処分の原因となる事実/弁明書の提出先及び提出期限(口頭のときは、その旨と出頭すべき日時及び場所)(30条1号〜3号)
教示 通知の書面で、聴聞の期日に出頭して意見を述べ、証拠書類等を提出し、又は出頭に代えて陳述書及び証拠書類等を提出することができること、資料の閲覧を求めることができることを教示する(15条2項) 準用されていない(31条が準用するのは15条3項と16条)
所在が判明しないとき(基準日の版) 名あて人となるべき者の所在が判明しない場合は、書面をいつでもその者に交付する旨などを当該行政庁の事務所の掲示場に掲示することによって通知できる。掲示を始めた日から二週間を経過したときに、通知が到達したものとみなす(15条3項) 31条で準用(「第一項」は「第三十条」と、「同項第三号及び第四号」は「同条第三号」と読み替える)
代理人 当事者は、代理人を選任することができる(16条1項)。代理人は、各自、当事者のために、聴聞に関する一切の行為をすることができる(同条2項) 31条で準用
参加人 主宰者は、必要があると認めるときは、利害関係を有するものと認められる者に対し、聴聞に関する手続に参加することを求め、又は参加することを許可することができる(17条1項) 準用されていない(31条に17条は挙がっていない)
文書等の閲覧 当事者等は、聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間、不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる。行政庁は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときでなければ、拒むことができない(18条1項) 準用されていない(31条に18条は挙がっていない)
主宰者 行政庁が指名する職員その他政令で定める者が主宰する(19条1項)。当事者・参加人、その配偶者、四親等内の親族又は同居の親族などは主宰することができない(同条2項) 主宰者の定めは無い
方式 聴聞の期日に出頭して、意見を述べ、証拠書類等を提出し、主宰者の許可を得て行政庁の職員に対し質問を発することができる(20条2項)。出頭に代えて、陳述書及び証拠書類等を提出することもできる(21条1項) 行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明書を提出してする(29条1項)。証拠書類等を提出することができる(同条2項)
審理の公開 行政庁が公開することを相当と認めるときを除き、公開しない(20条6項) 定めは無い
調書と報告書 主宰者は、審理の経過を記載した調書と、当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した報告書を作成し、行政庁に提出する。当事者又は参加人は、調書と報告書の閲覧を求めることができる(24条) 定めは無い
処分の決定 行政庁は、調書の内容及び報告書に記載された主宰者の意見を十分に参酌して、不利益処分の決定をする(26条) 定めは無い
審査請求の制限 この節の規定に基づく処分又はその不作為については、審査請求をすることができない(27条) 弁明の機会の付与の節(29条〜31条)に同じ定めは無い

表Aのうち、2つの手続で同じ形になっているのは、通知を書面ですること、所在が判明しないときの通知の方法、代理人の3つです。通知の中身は似ていますが、聴聞は「聴聞の期日及び場所」、弁明の機会の付与は「弁明書の提出先及び提出期限」を書くところが違います。それ以外の行、つまり教示・参加人・文書等の閲覧・主宰者・審理の公開・調書と報告書・処分の決定・審査請求の制限は、聴聞にしか定めがありません。

弁明の機会の付与に準用されるのは15条3項と16条だけ

弁明の機会の付与の節は29条〜31条の3つの条しかなく、聴聞の規定を準用しているのは31条です。31条が準用しているのは、15条3項(所在が判明しないときの通知の方法)と16条(代理人)だけです。

準用されていない規定の中で、特に取り違えやすいのが次の3つです。

  • 15条2項の教示:聴聞の通知では、出頭して意見を述べることができることや資料の閲覧を求めることができることを教示しますが、弁明の機会の付与の通知(30条)にこの定めはありません
  • 17条の参加人:主宰者が利害関係人に参加を求め、又は許可する仕組みは、聴聞だけです
  • 18条の文書等の閲覧:当事者等が、聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間、不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができるのは、聴聞だけです

「弁明の機会の付与の通知を受けた者は、処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる」とする肢は誤りです。資料の閲覧を求める権利は18条にあり、31条は18条を準用していません。

方式も違います。聴聞は、期日に出頭して意見を述べ、主宰者の許可を得て行政庁の職員に質問を発することができる、口頭の審理です(20条2項)。弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明書を提出してするものとされています(29条1項)。弁明の機会の付与は書面が原則で、口頭は例外です。

所在が判明しないときの通知は、令和8年5月21日から「公示の方法」に

表Aの「所在が判明しないとき」の行は、令和8年度試験の基準日(令和8年4月1日)の時点の15条3項です。この時点の条文は、書面をいつでもその者に交付する旨を当該行政庁の事務所の掲示場に掲示することによって通知を行うことができ、掲示を始めた日から二週間を経過したときに通知が到達したものとみなす、という定めでした。

令和8年5月21日施行の改正(令和5年法律第63号)で、15条3項は「公示の方法によって行うことができる」という定めに変わり、公示の方法の中身が新しい4項に置かれました。4項は、公示事項を総務省令で定める方法により不特定多数の者が閲覧することができる状態に置くとともに、掲示場に掲示するか、事務所に設置した電子計算機の映像面に表示したものの閲覧をすることができる状態に置く措置をとることとし、その措置を開始した日から二週間を経過したときに通知が到達したものとみなしています。これに合わせて、16条1項の引用は「同条第四項後段」に、22条3項と31条の準用は「第十五条第三項及び第四項」に改められ、15条の「名あて人」は「名宛人」と表記されるようになりました。

二週間を経過したときに到達したものとみなす点と、弁明の機会の付与にも準用される点は、改正の前後で変わりません。変わったのは二週間の起算点で、「掲示を始めた日」から「当該措置を開始した日」になっています。


聴聞の手続の流れ

聴聞は、主宰者が進める審理の手続です。条文の順に追うと、次のようになります。

  • 主宰:聴聞は、行政庁が指名する職員その他政令で定める者が主宰します(19条1項)。当事者や参加人、その配偶者、四親等内の親族又は同居の親族、代理人や補佐人、これらであった者、参加人以外の関係人などは、主宰することができません(同条2項)
  • 期日の冒頭:主宰者は、最初の聴聞の期日の冒頭で、行政庁の職員に、予定される不利益処分の内容と根拠となる法令の条項、原因となる事実を説明させなければなりません(20条1項)
  • 審理:当事者又は参加人は、意見を述べ、証拠書類等を提出し、主宰者の許可を得て行政庁の職員に質問を発することができます(20条2項)。主宰者の許可を得て補佐人とともに出頭することもできます(同条3項)。当事者又は参加人の一部が出頭しないときでも、審理を行うことができます(同条5項)
  • 公開:審理は、行政庁が公開することを相当と認めるときを除き、公開しません(20条6項)
  • 続行と終結:なお続行の必要があれば新たな期日を定め(22条1項)、当事者が正当な理由なく出頭せず陳述書なども出さないときなどは、改めて機会を与えることなく終結することができます(23条1項)
  • 調書と報告書:主宰者は審理の経過を記載した調書を作り、終結後速やかに、当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した報告書を作って、調書とともに行政庁に提出します(24条1項・3項)。当事者又は参加人は、調書と報告書の閲覧を求めることができます(同条4項)
  • 再開:行政庁は、終結後に生じた事情にかんがみ必要があると認めるときは、報告書を返戻して聴聞の再開を命ずることができます(25条)
  • 決定:行政庁は、調書の内容と報告書に記載された主宰者の意見を十分に参酌して、不利益処分の決定をします(26条)

主宰者の報告書に「拘束される」「従わなければならない」とする肢は誤りです。26条が求めているのは、調書の内容と報告書に記載された主宰者の意見を「十分に参酌」することです。

最後に、27条は、「この節の規定に基づく処分又はその不作為」については、審査請求をすることができないと定めています。対象は聴聞の節(第3章第2節)の規定に基づいてされる処分、たとえば18条の文書等の閲覧の求めを拒むことなどで、聴聞を経てされる不利益処分そのものを審査請求の対象から外す定めではありません。弁明の機会の付与の節には、同じ定めは置かれていません。


本試験での出題

表Bは、平成21年度〜令和7年度の本試験のうち、13条と15条〜31条にかかわる肢があった問を並べたものです。「当たる肢」はその問のうちこれらの条にかかわる肢の数で、「問われ方」は過去問の分析で付けた分類です。問題文は載せていません。


表B 本試験での出題(行政手続法13条・15条〜31条。平成21年度〜令和7年度・20問53肢)
年度・問 形式 条文 当たる肢 問題のテーマ 問われ方
平成21年度 問11 択一式 行手法13条・行手法17条・行手法27条・行手法29条 3肢 不利益処分(聴聞・弁明の方式と該当性) 原則↔例外/用語の意味/主体すり替え
平成23年度 問8 択一式 行手法13条 1肢 行政の実効性確保の手段 制度の混同
平成23年度 問11 択一式 行手法15条・行手法29条 2肢 行政手続法の規定内容(理由の提示・通知・方式) 原則↔例外
平成24年度 問11 択一式 行手法13条 1肢 法律に基づく地方公共団体の処分と行政手続法 制度の混同
平成25年度 問11 択一式 行手法13条・行手法15条・行手法16条・行手法21条・行手法27条 5肢 不利益処分の手続(聴聞・弁明の選択と聴聞手続) 制度の混同/原則↔例外/条文知識
平成26年度 問11 択一式 行手法13条・行手法19条 3肢 不利益処分の手続(処分基準・理由・意見陳述・聴聞) 適用範囲/条文知識/主体すり替え
平成26年度 問13 択一式 行手法13条・行手法15条 1肢 地方公共団体への適用除外を中心とした総合 主体すり替え
平成26年度 問25 択一式 行手法13条 3肢 事業改善命令・解任命令をめぐる行政手続と訴訟 適用範囲/制度の混同
平成28年度 問11 択一式 行手法13条・行手法18条 2肢 行政手続法上の各種請求・求めの規定の有無 条文知識/制度の混同
平成29年度 問13 択一式 行手法24条・行手法25条・行手法26条 5肢 聴聞手続における調書・報告書 条文知識
平成30年度 問11 択一式 行手法13条 1肢 申請に対する処分と不利益処分の比較 制度の混同
令和元年度 問12 択一式 行手法18条・行手法19条・行手法23条 3肢 聴聞手続(主宰者・標準処理期間・終結・公聴会・閲覧) 定義の正誤/条文知識
令和2年度 問12 択一式 行手法13条・行手法16条・行手法17条・行手法18条・行手法29条・行手法31条 5肢 聴聞と弁明の機会の付与の比較 条文知識/制度の混同/主体すり替え
令和4年度 問12 択一式 行手法13条・行手法19条・行手法27条・行手法29条 4肢 不利益処分の手続(意見陳述・弁明・審査請求・主宰者) 定義の正誤/条文知識
令和5年度 問12 択一式 行手法18条・行手法20条・行手法21条・行手法23条・行手法24条 5肢 聴聞手続(閲覧・陳述・証拠提出・不出頭終結) 条文知識/任意↔義務
令和6年度 問11 択一式 行手法13条 1肢 免許取消しへの行政手続法の適用(適用除外・不利益処分) 原則↔例外
令和6年度 問15 択一式 行手法13条 1肢 行審法の適用対象・適用除外 制度の混同
令和7年度 問11 択一式 行手法16条・行手法17条・行手法18条・行手法24条・行手法25条・行手法26条・行手法31条 5肢 弁明の機会の付与に対する聴聞規定の準用範囲 条文知識/制度の混同
令和7年度 問12 択一式 行手法30条 1肢 個人情報保護委員会の勧告・命令に対する行政手続法の適用 制度の混同
令和7年度 問13 択一式 行手法13条 1肢 申請に対する処分(理由提示・情報提供・審査基準・補正) 制度の混同

13条(どちらの手続か・手続が要らない場合)は平成21年度〜令和7年度の間に14問19肢、聴聞の節(15条〜28条)は12問31肢、弁明の機会の付与の節(29条〜31条)は6問11肢です(1つの肢が複数の条にかかわることがあるので、内訳を足しても表Bの肢数にはなりません)。平成25年度 問11・平成29年度 問13・令和2年度 問12・令和5年度 問12・令和7年度 問11は、すべての肢がこれらの条にかかわる問でした。

表Bの範囲では、記述式では出題されていません。13条は、記述式に出ていない条文のうち択一で問われることの多いものとして、記述式の論点別のページの表にも挙がっています。


よくある質問

弁明の機会の付与とは?

行政手続法が定める意見陳述のための手続の1つで、13条1項1号イからニまでのいずれにも該当しない不利益処分をしようとするときにとる手続です(13条1項2号)。行政庁は、弁明書の提出期限までに相当な期間をおいて、予定される不利益処分の内容と根拠となる法令の条項、原因となる事実、弁明書の提出先と提出期限を書面で通知し(30条)、弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明書を提出して行います(29条1項)。

弁明は口頭でもできますか?

行政庁が口頭ですることを認めたときは、口頭でできます(行政手続法29条1項)。その場合、通知の書面には、弁明書の提出先と提出期限に代えて、口頭による弁明の機会の付与を行う旨と、出頭すべき日時及び場所が書かれます(30条3号)。行政庁が認めない限り、弁明は弁明書の提出によります。

聴聞は公開されますか?

原則として公開されません。聴聞の期日における審理は、行政庁が公開することを相当と認めるときを除き、公開しないと定められています(行政手続法20条6項)。公開するかどうかを決めるのは主宰者ではなく行政庁です。

聴聞と弁明の機会の付与は、どんな処分で使い分けますか?

許認可等を取り消す処分、名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する処分、役員等の解任や会員の除名を命ずる処分は聴聞で、それ以外は弁明の機会の付与です(行政手続法13条1項)。13条2項各号に当たるときは、どちらの手続も要りません。たとえば営業の許可の取消しは聴聞、一定の期間の営業の停止は、ほかの号に当たらなければ弁明の機会の付与です。ただし、行政庁が相当と認めるときは、弁明の機会の付与に当たる処分でも聴聞によることができます(同項1号ニ)。


まとめ

聴聞か弁明の機会の付与かは、13条1項が処分の種類で振り分けています。許認可等の取消し、資格・地位の直接のはく奪、解任・除名の命令は聴聞で、それ以外は弁明の機会の付与です。行政庁が相当と認めれば聴聞にすることもでき、13条2項各号に当たるときはどちらの手続も要りません。

2つの手続の違いは、弁明の機会の付与に準用されるのが15条3項と16条だけ、というところから整理できます。教示・参加人・文書等の閲覧・主宰者・調書と報告書・審査請求の制限は聴聞にしかない、という組み合わせを表Aの行で確かめておきましょう。

不利益処分をするかどうかの基準である処分基準については、審査基準と処分基準の違いのページで扱っています。

行政法のほかの論点は、行政法の学習のページに一覧でまとめています。