行政手続法の適用除外|覚え方と3条・4条の一覧表

行政手続法の適用除外は、1か所にまとまっているわけではありません。「適用しない」という定めは1条2項・3条1項・3条2項・3条3項・4条の5か所に置かれていて、何を手がかりに振り分けるのかが、それぞれ違います。

過去問で迷うときの多くは、条文を覚えていないからではなく、いま自分がどこの話をしているのかが決まらないまま当てはめているためです。地方公共団体が出てくれば3条3項、国の機関どうしなら4条、と先に置き場所が決まれば、あとは号を確かめるだけになります。

このページでは、まず表Aで5か所の全体像を示し、そのうえで3条1項を号ごとに、3条3項を行為の種類ごとに、4条を項・号ごとに見ていきます。最後に、よく混同される行政不服審査法7条と並べて確かめます。

本記事は、令和8年度試験の法令の基準日(令和8年4月1日)の時点の行政手続法(令和6年9月26日施行)および行政不服審査法(令和7年6月1日施行)にもとづいています。その後、行政手続法4条4項2号が改正され(令和8年7月24日施行)、同号の「皇統譜について定める命令等」は「皇統譜その他天皇及び皇族の身分関係に関する事項について定める命令等」になっています。表で扱うほかの条文は、改正の前後で同じ内容です。

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行政手続法・行政不服審査法の適用除外

このページの表を1つの資料にまとめたものです。表と数値だけで、解説は入れていません。

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適用除外はどこに置かれているか

表Aは、行政手続法のどの条が、何を、どのような手がかりで外しているのかを並べたものです。いちばん右の列は、平成21年度〜令和7年度の本試験の択一で、その条・項がどれだけ問われてきたかを示しています。


表A 適用除外はどこに置かれているか(1条2項・3条・4条)
条 対象となる行為 外れる規定 判断のよりどころ 号の数 択一の出題
1条2項 処分・行政指導・届出に関する手続と、命令等を定める手続 この法律に規定する事項のうち、他の法律に特別の定めがある事項(その法律の定めによる) 他の「法律」に特別の定めがあるかどうか。政令・省令に別の定めを置いても、行政手続法の適用を免れることはできない 1問1肢
3条1項 号に掲げられた類型に当たる処分・行政指導 第2章(申請に対する処分)から第4章の2(処分等の求め)までの規定 その処分・行政指導が、号に掲げられた類型のどれかに当たるかどうか 16 4問4肢
3条2項 号に掲げられた類型に当たる命令等を定める行為(法律の施行期日について定める政令、恩赦に関する命令など) 第6章(意見公募手続等)の規定 その命令等を定める行為が、号に掲げられた類型のどれかに当たるかどうか 6 0問
3条3項 地方公共団体の機関がする処分・行政指導、地方公共団体の機関に対する届出、地方公共団体の機関が命令等を定める行為 第2章(申請に対する処分)から第6章(意見公募手続等)までの規定 行為の種類。処分と届出については、その根拠となる規定が条例・規則に置かれているかどうか 12問13肢
4条1項 国の機関・地方公共団体・その機関に対する処分および行政指導と、これらの機関・団体がする届出 この法律の規定(全部) その処分の名あて人となる立場、またはその届出をする立場が、固有の資格かどうか 0問
4条2項 法律により直接に設立された法人などに対する処分で、その法人の監督に関する法律の特別の規定に基づいてされるもの 第2章(申請に対する処分)・第3章(不利益処分)の規定 その法人が2項1号・2号に当たるかどうかと、監督に関する法律の特別の規定に基づく処分かどうか 0問
4条3項 試験・検査・検定・登録その他の行政上の事務を行う者として指定を受けた者に対し、その事務に関して監督上される処分 第2章(申請に対する処分)・第3章(不利益処分)の規定 指定を受けた者やその職員が、その事務に従事することに関し公務に従事する職員とみなされるかどうか 0問
4条4項 国・地方公共団体の組織、公務員の礼式・服制・研修、予算・決算・会計などについて定める命令等を定める行為 第6章(意見公募手続等)の規定 その命令等を定める行為が、号に掲げられた類型のどれかに当たるかどうか 7 0問

表Aで最初に確かめておきたいのは、「外れる規定」の列が1つにそろっていないことです。3条1項が外すのは第2章から第4章の2までで、3条2項と4条4項が外すのは第6章、3条3項が外すのは第2章から第6章まで、4条1項が外すのはこの法律の規定そのものです。適用除外という同じ言葉でも、外れる範囲が条ごとに違います。

1条2項は、他の「法律」に特別の定めがあるとき

行政手続法は、処分・行政指導・届出に関する手続と、命令等を定める手続について共通する事項を定めた一般法です。そのため、個別の分野を規律する法律がその分野の事情に応じた別の手続を定めているときは、その法律の定めによります(行政手続法1条2項)。

ここで見落としやすいのが、1条2項が挙げているのが他の「法律」だという点です。

政令や省令に行政手続法と異なる定めを置くことによって、行政手続法の適用を免れることはできません。1条2項が特別の定めの置き場所として挙げているのは法律であって、政令・省令ではないためです。

また、優先するのは特別の定めが置かれた事項についてだけです。個別の法律に手続の定めがあるからといって行政手続法の適用が全面的に排除されるわけではなく、定めのない事項については行政手続法が適用されます。


3条1項の各号

3条1項は、性質上その手続になじまない処分と行政指導を、号に分けて掲げています。表Bは、その全部を号の番号順に並べ、それぞれの号を条文が何で区切っているのかを「誰がする処分・行政指導か」の列に書き出したものです。


表B 行政手続法3条1項 号ごとの対象と、誰がする処分か
号 掲げられている処分・行政指導 誰がする処分・行政指導か 行政指導も含むか 択一の出題 出た年度・問
1号 国会の両院若しくは一院又は議会の議決によってされる処分 国会の両院・一院、議会(議決による) 含まない 0問
2号 裁判所若しくは裁判官の裁判により、又は裁判の執行としてされる処分 裁判所・裁判官(裁判の執行としてされるものを含む) 含まない 0問
3号 国会の両院若しくは一院若しくは議会の議決を経て、又はこれらの同意若しくは承認を得た上でされるべきものとされている処分 主体では区切っていない(議決・同意・承認を経ることで区切る) 含まない 0問
4号 検査官会議で決すべきものとされている処分と、会計検査の際にされる行政指導 検査官会議(処分)/会計検査をする者(行政指導) 含む(会計検査の際にされるもの) 0問
5号 刑事事件に関する法令に基づいてされる処分・行政指導 検察官、検察事務官または司法警察職員 含む 1問1肢 令和6年 問11
6号 国税・地方税の犯則事件、金融商品取引の犯則事件に関する法令に基づいてされる処分・行政指導 国税庁長官・国税局長・税務署長とその職員、税関長・税関職員、徴税吏員/証券取引等監視委員会とその職員、財務局長・財務支局長 含む 0問
7号 学校・講習所・訓練所・研修所で、教育・講習・訓練・研修の目的を達成するために、学生・生徒・児童・幼児やその保護者、講習生・訓練生・研修生に対してされる処分・行政指導 主体では区切っていない(施設と目的、相手方で区切る) 含む 0問
8号 刑務所・少年刑務所・拘置所・留置施設・海上保安留置施設・少年院・少年鑑別所で、収容の目的を達成するためにされる処分・行政指導 主体では区切っていない(施設と目的で区切る) 含む 0問
9号 公務員または公務員であった者に対し、その職務または身分に関してされる処分・行政指導 主体では区切っていない(相手方が公務員であることと、職務・身分に関することで区切る) 含む 2問2肢 平成22年 問25・平成25年 問26
10号 外国人の出入国、難民の認定、補完的保護対象者の認定、帰化に関する処分・行政指導 主体では区切っていない(事項で区切る) 含む 0問
11号 専ら人の学識技能に関する試験または検定の結果についての処分 主体では区切っていない(事項で区切る) 含まない 0問
12号 相反する利害を有する者の間の利害の調整を目的として法令の規定に基づいてされる裁定その他の処分(その双方を名宛人とするものに限る)・行政指導 主体では区切っていない(目的と、双方を名宛人とすることで区切る) 含む 0問
13号 公衆衛生・環境保全・防疫・保安その他の公益にかかわる事象が発生し、または発生する可能性のある現場でされる処分・行政指導 警察官・海上保安官、またはこれらの公益を確保するために行使すべき権限を法律上直接に与えられたその他の職員 含む 0問
14号 報告または物件の提出を命ずる処分その他、職務の遂行上必要な情報の収集を直接の目的としてされる処分・行政指導 主体では区切っていない(情報の収集という目的で区切る) 含む 0問
15号 審査請求、再調査の請求その他の不服申立てに対する行政庁の裁決・決定その他の処分 行政庁(不服申立てに対する裁決・決定をする立場) 含まない 0問
16号 15号の処分の手続、または聴聞・弁明の機会の付与その他の意見陳述のための手続において、法令に基づいてされる処分・行政指導 主体では区切っていない(どの手続の中でされるかで区切る) 含む 0問

表Bを縦に読むと、条文の区切り方が同じではないことが見えてきます。7つの号は誰がするかで区切られ、残る9つの号はどのような場面でされるかで区切られています。号の主体が書かれているかどうかは、当てはめのときに直接影響します。

主体が書かれている号の代表が5号です。ここで除外されるのは、刑事事件に関する法令に基づいて検察官、検察事務官または司法警察職員がする処分および行政指導です(行政手続法3条1項5号)。誰がした処分かが、この号に当たるかどうかの決め手になります。

もう1つ、覚えている人が少ないのが9号です。公務員または公務員であった者に対し、その職務または身分に関してされる処分および行政指導も、掲げられています(行政手続法3条1項9号)。ここでいう公務員は、国家公務員法2条1項に規定する国家公務員と、地方公務員法3条1項に規定する地方公務員をいいます(同号)。

なお、表Bの「行政指導も含むか」の列を見ると、処分だけを掲げる号が5、行政指導もあわせて掲げる号が11あります。号を挙げるときは、処分の話なのか行政指導の話なのかもあわせて確かめておきましょう。

3条1項で外れるのは、どの規定か

ここが、要約された説明ではもっとも抜けやすい点です。3条1項が適用しないとしているのは、次章から第四章の二までの規定です(行政手続法3条1項柱書)。条文の目次にあてはめると、次のようになります。

  • 第2章 申請に対する処分(5条〜11条)
  • 第3章 不利益処分(12条〜31条)
  • 第4章 行政指導(32条〜36条の2)
  • 第4章の2 処分等の求め(36条の3)

第5章の届出(37条)と第6章の意見公募手続等(38条〜45条)は、3条1項の柱書に入っていません。したがって、3条1項の号に当たるからといって、届出と意見公募手続に関する規定まで外れるわけではありません。

「行政手続法が適用されない」と一息に言ってしまうと、この範囲の違いが見えなくなります。3条1項の話をするときは、申請に対する処分・不利益処分・行政指導・処分等の求めに関する規定が外れる、というところまで書けるようにしておくと確実です。

「契機」と「根拠」は違う

5号でもっとも問われるのは、刑罰を受けたことを理由にされた行政庁の処分の扱いです。

たとえば、役員が刑事裁判で有罪の判決を受けて確定したことを受けて、知事が業者の免許を取り消したとします。この取消しは、刑事事件に関する法令に基づく処分を契機とするものではありますが、刑事事件に関する法令に基づいて検察官等がした処分ではありません。免許を取り消したのは知事であって、捜査や公訴の提起に携わる職員ではないからです。

したがって、「刑事事件に関する法令に基づく処分を契機とするから行政手続法は適用されない」とする肢は誤りです。この免許の取消しには、行政手続法の規定が適用されます。5号が手がかりにしているのは、同じ事件から生じた出来事かどうかではなく、誰がした処分かです。


3条3項 地方公共団体の機関がする4つの行為

地方公共団体が出てきたときに見るのが3条3項です。ここは4つの行為を並べて掲げていますが、全部が同じ扱いではありません。表Cの「かっこ書き」の列が、そのまま答えになっています。


表C 行政手続法3条3項 地方公共団体の機関がする4つの行為
行為の種類 適用除外になる範囲 かっこ書き なぜ書き分けられているのか 択一の出題 出た年度・問
処分 地方公共団体の機関がする処分のうち、その根拠となる規定が条例または規則に置かれているもの あり 法律が根拠を置いた処分については、その手続も全国で共通していることが求められる。地方公共団体自身の定めに委ねられているのは、根拠が条例・規則に置かれているものに限られる 5問5肢 平成24年 問11・平成26年 問13・平成27年 問13・令和5年 問26・令和6年 問11
行政指導 地方公共団体の機関がする行政指導(根拠となる規定がどこに置かれていても除外される) なし 行政指導は相手方の任意の協力によって実現されるもので、法律の根拠がないままされることも少なくない。どのような場面でどのように協力を求めるかは地域の実情と結びついているため、地方公共団体自身の定めに委ねられている 6問6肢 平成22年 問13・平成26年 問13・平成30年 問12・令和元年 問11・令和3年 問13・令和6年 問12
届出 地方公共団体の機関に対する届出のうち、通知の根拠となる規定が条例または規則に置かれているもの あり 届出をすべき義務が法律によって課されている以上、その義務が果たされたといえるかどうかの判断も、全国で共通していることが求められる 0問
命令等を定める行為 地方公共団体の機関が命令等を定める行為(根拠となる規定が法律に置かれていても除外される) なし 命令等を定める行為は、その地方公共団体が自らの判断のよりどころを形づくる行為であり、どのような手順で定めるかも地方自治に委ねるのが適当と考えられている 2問2肢 平成22年 問11・平成27年 問11

3条3項がかっこ書きで根拠の置き場所を限っているのは、処分と届出の2つだけです。

  • 処分は「その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る」(行政手続法3条3項)。したがって、知事が法律に基づいてする不利益処分には、行政手続法の不利益処分に関する規定が適用されます。
  • 届出も「前条第七号の通知の根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る」(同項)。法律に根拠となる規定が置かれている届出であれば、提出先が地方公共団体の機関であっても、届出に関する規定が適用されます。
  • 行政指導と命令等を定める行為には、このかっこ書きがありません。したがって、根拠となる規定が法律に置かれていても、地方公共団体の機関がするものである限り除外されます。

行政指導と命令等を定める行為にかっこ書きが置かれていないことには、理由があります。行政指導は相手方の任意の協力によって実現されるもので、法律の根拠がないままされることも少なくありません。どのような場面でどのように協力を求めるかは地域の実情と結びついているため、地方公共団体自身の定めに委ねられています。命令等を定める行為は、その地方公共団体が自らの判断のよりどころを形づくる行為ですから、どのような手順で定めるかも地方自治に委ねるのが適当と考えられています。

この振り分けは、申請に対する処分の場面にも不利益処分の場面にも、同じように及びます。地方公共団体の機関がする処分であるというだけで一律に除外されるという読み方も、法律に基づく処分であればすべて除外されないという読み方も、条文の読み方としては正しくありません。確かめるのは、その1つの行為について行為の種類は何か、そして処分と届出であれば根拠となる規定がどこに置かれているかです。

事務の区分では決まらない

法定受託事務か自治事務かは、その事務について国がどこまで関与することができるかを定めるために設けられた区別であって、手続をどの法令で規律するかを決めるための区別ではありません。法定受託事務にかかる処分であっても、根拠となる規定が条例に置かれていれば行政手続法の適用はありません。自治事務にかかる処分であっても、根拠となる規定が法律に置かれていれば行政手続法の適用があります。

3条3項が手がかりとしているのは、あくまで根拠となる規定がどの法令に置かれているかです。事務の区分だけを確かめて結論を出そうとすると、当てはめの筋が1本ずれたまま進むことになります。

除外された先はどうなるか

3条3項によって行政手続法の適用が除かれても、手続が要らなくなるわけではありません。行政手続法46条は、3条3項によって適用しないこととされた処分・行政指導・届出・命令等を定める行為に関する手続について、この法律の規定の趣旨にのっとり、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない、と地方公共団体に求めています。

この規定を受けて、多くの地方公共団体が行政手続条例を定めており、条例に根拠を置く処分の手続は、その行政手続条例によることになります。もっとも、行政手続法46条が定めているのは努力義務であって、条例の制定を義務づけるものではありません。適用が除外されていることは、手続の定めをどこに置くかが委ねられていることを意味します。


4条の「固有の資格」

4条は、行政の担い手どうしが向き合う場面についての定めです。表Dは、4条を項・号ごとに分け、それぞれ何を手がかりに振り分けているのかを並べたものです。


表D 行政手続法4条 国の機関等と「固有の資格」
項・号 対象となる処分・届出・命令等 判断のよりどころ 外れる規定 根拠条文 択一の出題
1項(処分・行政指導) 国の機関または地方公共団体もしくはその機関に対する処分(これらの機関・団体がその固有の資格において名あて人となるものに限る)および行政指導 その処分の名あて人となる立場が、固有の資格かどうか この法律の規定(全部) 行政手続法4条1項 0問
1項(届出) 国の機関または地方公共団体もしくはその機関がする届出(これらの機関・団体がその固有の資格においてすべきこととされているものに限る) その届出をする立場が、固有の資格かどうか。根拠となる規定がどこに置かれているかでは決まらない この法律の規定(全部) 行政手続法4条1項 0問
2項1号 法律により直接に設立された法人、または特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人に対する処分で、その法人の監督に関する法律の特別の規定に基づいてされるもの その法人が、法律により直接に設立されたか、特別の法律により特別の設立行為をもって設立されたか 第2章(申請に対する処分)・第3章(不利益処分)の規定。解散を命じ、設立に関する認可を取り消し、または役員・業務に従事する者の解任を命ずる処分は、この除外から外れる 行政手続法4条2項1号 0問
2項2号 特別の法律により設立され、その設立に関し行政庁の認可を要する法人のうち、その行う業務が国または地方公共団体の行政運営と密接な関連を有するものとして政令で定める法人に対する処分で、その法人の監督に関する法律の特別の規定に基づいてされるもの その法人が、政令で定める法人に当たるか 第2章(申請に対する処分)・第3章(不利益処分)の規定。解散を命じ、設立に関する認可を取り消し、または役員・業務に従事する者の解任を命ずる処分は、この除外から外れる 行政手続法4条2項2号 0問
3項 行政庁が法律の規定に基づく試験・検査・検定・登録その他の行政上の事務の全部または一部を行わせる者として指定した場合に、その指定を受けた者に対し、当該法律に基づいて当該事務に関し監督上される処分 指定を受けた者(法人ならその役員)や職員その他の者が、当該事務に従事することに関し公務に従事する職員とみなされるかどうか 第2章(申請に対する処分)・第3章(不利益処分)の規定。指定を取り消す処分、役員の解任を命ずる処分、当該事務に従事する者の解任を命ずる処分は、この除外から外れる 行政手続法4条3項 0問
4項 国・地方公共団体の組織、皇室典範26条の皇統譜、公務員の礼式・服制・研修・表彰、予算・決算・会計、会計検査、国と地方公共団体の関係、2項各号の法人の組織・運営について定める命令等を定める行為 その命令等を定める行為が、号に掲げられた類型のどれかに当たるかどうか 第6章(意見公募手続等)の規定 行政手続法4条4項 0問

4条1項の要は固有の資格です。国の機関または地方公共団体(その機関を含みます)に対する処分でも、これらがその固有の資格において当該処分の名あて人となるものに限って除外されます(行政手続法4条1項)。届出も同じで、これらの機関・団体がその固有の資格においてすべきこととされているものに限られます(同項)。

固有の資格とは、一般の私人が立つことのできない立場、すなわち行政の担い手としての立場をいうものと解されています。行政手続法が定める手続は、行政の活動によって権利利益を害されるおそれのある私人を保護するためのものですから、行政主体どうしが担い手として向き合う場面にまで及ぼす必要がない、という考え方です。

逆にいえば、国や地方公共団体であっても、私人と同じ立場に立つときは除外されません。地方公共団体が庁舎を建てるために建築の確認を受ける場合、その立場は一般の建築主と変わりませんから、固有の資格において名あて人となる処分にはあたりません。

届出についての除外は、行政手続法の中に2か所あります。1つは3条3項で、根拠となる規定がどこに置かれているかによる振り分けです。もう1つが4条1項で、固有の資格においてすべき届出かどうかによる振り分けです。条文も、判断のよりどころも異なる別個の定めですから、どちらの話をしているのかを取り違えないようにしましょう。

4条は1項だけではありません。2項は法律により直接に設立された法人などに対する監督上の処分を、3項は試験・検査・検定・登録その他の行政上の事務を行う者として指定を受けた者に対する監督上の処分を、それぞれ一定の範囲で除外しています。いずれも外れるのは第2章と第3章の規定にとどまります。2項では、その法人の解散を命じ、設立に関する認可を取り消し、または役員・業務に従事する者の解任を命ずる処分が、この除外から外れます(行政手続法4条2項)。3項では、指定を取り消す処分、役員の解任を命ずる処分、その事務に従事する者の解任を命ずる処分が、この除外から外れます(同条3項)。4項は、国・地方公共団体の組織や公務員の礼式・服制・研修、予算・決算・会計などについて定める命令等を定める行為について、第6章の規定を適用しないとしています(同条4項1号〜7号)。


行政不服審査法7条と並べて確かめる

適用除外という言葉は、行政不服審査法にも出てきます。どちらも「7条」「3条」と条の番号が近く、掲げられている類型もよく似ています。混同しやすいため、注意が必要です。表Eは、同じ見方で両方を並べたものです。


表E 行政手続法3条・4条と、行政不服審査法7条
項目 行政手続法 行政不服審査法
適用除外を定める条 3条(処分・行政指導・命令等を定める行為)と4条(国の機関等) 7条
号に分けて掲げられた類型の数 3条1項=16号 3条2項=6号 4条4項=7号 7条1項=12号
外れるのは何か 章ごとに外れる(3条1項は第2章から第4章の2まで、3条2項と4条4項は第6章、3条3項は第2章から第6章まで、4条1項はこの法律の規定) 7条1項は2条・3条の規定(その処分・不作為について審査請求ができなくなる)、7条2項はこの法律の規定
地方公共団体 3条3項が、行為の種類と根拠の置き場所で振り分ける 地方公共団体の機関がすることを理由とする除外は、7条に置かれていない
固有の資格 4条1項(名あて人となる処分・行政指導と、する届出) 7条2項(相手方となる処分と、その不作為)
刑事事件 3条1項5号(検察官・検察事務官・司法警察職員がする処分および行政指導) 7条1項6号(同じ者がする処分。行政指導は掲げられていない)
試験・検定の結果 3条1項11号(専ら人の学識技能に関する試験または検定の結果についての処分) 7条1項11号(同じ文言)
外国人の出入国・帰化 3条1項10号(難民の認定、補完的保護対象者の認定を含む) 7条1項10号(外国人の出入国または帰化に関する処分)
行政指導 3条1項・3条3項とも、処分と並べて行政指導を掲げている 7条1項が掲げているのは処分とその不作為で、行政指導は掲げられていない

まず、外れるものが違います。行政不服審査法7条1項が適用しないとしているのは、2条および3条の規定です。2条は処分についての審査請求を、3条は不作為についての審査請求を定めていますから、7条1項の号に当たる処分とその不作為については、審査請求をすることができなくなります。これが、行政不服審査法でいう適用除外の意味です。

次に、地方公共団体の扱いが違います。行政手続法には3条3項という振り分けがありますが、行政不服審査法7条には、地方公共団体の機関がすることを理由とする除外が置かれていません。条例や規則に根拠を置く処分であっても、7条1項の号に当たらない限り、審査請求の道は閉ざされていません。行政不服審査法は、国民が広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めることを目的として置かれた法律です(行政不服審査法1条1項)。

一方、共通しているところもあります。固有の資格による除外は、行政手続法4条1項と行政不服審査法7条2項の両方にあります。専ら人の学識技能に関する試験または検定の結果についての処分は、行政手続法3条1項11号と行政不服審査法7条1項11号の、同じ番号の号に掲げられています。刑事事件については、行政手続法3条1項5号が処分と行政指導を掲げるのに対し、行政不服審査法7条1項6号が掲げているのは処分だけです。行政不服審査法7条1項が掲げているのは処分とその不作為であって、行政指導は掲げられていません。


覚え方 ― 2つの問いで表の1行に当てはめる

適用除外は、掲げられた類型を丸ごと覚えようとすると量に押されてしまいます。表Aから表Dまでは、2つの問いで必ずどれか1行に該当するように並べてあります。

  1. 誰の話か。国か、地方公共団体か、国の機関どうし・行政主体どうしか。国の機関どうしなら4条、地方公共団体が出てきたら3条3項、それ以外は3条1項・3条2項を見ます。
  2. 何の話か。処分か、行政指導か、届出か、命令等を定める行為か。3条3項では、この4つで扱いが分かれます。

この2つが決まれば、あとは根拠となる規定がどこに置かれているか(3条3項の処分・届出)、固有の資格において名あて人となるか(4条1項)、号に掲げられた類型に当たるか(3条1項・3条2項・4条4項)を確かめるだけになります。先に置き場所を決めてから号を確かめるという順番が、このページの表の並びそのものです。

なお、平成21年度〜令和7年度の本試験の択一では、行政手続法3条について15問17肢が確認できます。行政手続法3条は、記述式ではまだ出題されていません。記述式で何が問われてきたかは、記述式の論点別のページで年度ごとに確かめられます。


よくある質問

行政手続法が適用されない行政指導は?

行政手続法3条1項では、号に掲げられた類型に当たる行政指導について、第2章から第4章の2までの規定が適用されません。具体的には、会計検査の際にされる行政指導(同項4号)、刑事事件に関する法令に基づいて検察官・検察事務官・司法警察職員がする行政指導(同項5号)、学校や刑務所などでその目的を達成するためにされる行政指導(同項7号・8号)などです。これとは別に、行政手続法3条3項は、地方公共団体の機関がする行政指導について、根拠となる規定がどこに置かれていても適用しないとしています。

行政不服審査法の適用除外とはどういう意味ですか?

行政不服審査法7条1項は、号に掲げられた処分およびその不作為について、同法2条および3条の規定を適用しないとしています。2条は処分についての審査請求を、3条は不作為についての審査請求を定めた規定ですから、掲げられた処分については審査請求をすることができない、という意味になります。また、同条2項は、国の機関や地方公共団体などがその固有の資格において相手方となる処分とその不作為について、同法の規定を適用しないとしています。

行政不服審査法の適用除外の覚え方は?

行政不服審査法7条1項の号は、行政手続法3条1項の号と重なるものが多いため、行政手続法の側を先に押さえて、違うところだけを覚えると負担が軽くなります。このページの表Eで挙げた範囲では、違いは3つです。行政不服審査法7条には地方公共団体の機関がすることを理由とする除外が置かれていないこと、7条1項が掲げているのは処分とその不作為であって行政指導は掲げられていないこと、そして外れるのが同法2条・3条の規定であって審査請求ができなくなるという形になっていることです。

意見公募手続の適用除外とは?

意見公募手続は行政手続法第6章に置かれており、この章の規定を適用しないとしているのは、行政手続法3条2項・3条3項・4条4項です。3条2項は、法律の施行期日について定める政令や恩赦に関する命令など、号に掲げられた類型に当たる命令等を定める行為を外しています。3条3項は、地方公共団体の機関が命令等を定める行為を、根拠となる規定が法律に置かれている場合であっても外しています。4条4項は、国・地方公共団体の組織や公務員の礼式・服制・研修、予算・決算・会計などについて定める命令等を定める行為を外しています。


まとめ

行政手続法の適用除外は、5か所に分かれて置かれていて、判断のよりどころがそれぞれ違います。表Aで「いまどこの話か」を決め、3条1項なら表Bで号を開き、地方公共団体なら表Cで行為の種類とかっこ書きを確かめ、国の機関どうしなら表Dで固有の資格を確かめる、という順番で読むと、どの問い方で来ても同じ道をたどれます。

そして、適用除外にあたるかどうかを確かめたあとに残るのが、では何が外れるのかという問いです。3条1項なら第2章から第4章の2まで、3条3項なら第2章から第6章まで、4条1項ならこの法律の規定、というところまで戻れるようにしておきましょう。

審査基準・処分基準の定め方と、3条2項6号・3条3項との関係は、審査基準と処分基準の違いのページで扱っています。

意見公募手続そのものの手順は、意見公募手続のページで確かめられます。

行政法のほかの論点は、行政法の学習のページに一覧でまとめています。