宅建試験の権利関係は、民法を中心に、借地借家法・区分所有法・不動産登記法から出題されます。民法だけでも、契約や所有権、担保、相続まで範囲が広いので、どこから手を付け、どこまで学ぶかの優先順位に迷う方も多いのではないでしょうか。
権利関係は、平成21年の本試験から、問1〜問14の14問で出題されています。このページは、宅建試験の受験生に向けて、権利関係の問が、民法の分野と、借地借家法・区分所有法・不動産登記法の3つの法律に、どう分かれてきたかを、過去問を数えた表で整理したものです。
まず表1で、権利関係の分野別の出題数を見渡します。次に、借地借家法・区分所有法・不動産登記法について、このサイトの各ページで表を読むための軸をご紹介し、民法の分野については、民法のページをご案内します。最後に、表1から優先順位を考えるときの読み方をお伝えします。
権利関係の分野別の出題数
表1は、民法の問を「総則」「物権」「債権」「親族・相続」の分野と、分野をまたぐ問に分け、そのあとに借地借家法・区分所有法・不動産登記法を並べて、行ごとに、数える範囲、出題された問の数、そのうち直近10年の数を示したものです。
| 分野 | 数える範囲 | 出題された問の数 | うち直近10年 |
|---|---|---|---|
| 民法(総則) | |||
| 制限行為能力者 | 平成21年〜令和7年 | 8 | 5 |
| 意思表示・無効と取消し | 平成21年〜令和7年 | 10 | 6 |
| 代理 | 平成21年〜令和7年 | 11 | 6 |
| 時効 | 平成21年〜令和7年 | 10 | 6 |
| 条件・期間・不在者など | 平成21年〜令和7年 | 5 | 4 |
| 民法(物権) | |||
| 物権変動と対抗要件 | 平成21年〜令和7年 | 9 | 7 |
| 所有権・共有・占有 | 平成21年〜令和7年 | 13 | 9 |
| 地上権・地役権 | 平成21年〜令和7年 | 3 | 3 |
| 抵当権と根抵当権(ほかの担保物権を含む) | 平成21年〜令和7年 | 19 | 8 |
| 民法(債権) | |||
| 保証・連帯債務 | 平成21年〜令和7年 | 8 | 6 |
| 債権譲渡・弁済・相殺など | 平成21年〜令和7年 | 12 | 8 |
| 債務不履行・解除 | 平成21年〜令和7年 | 10 | 4 |
| 売買・贈与 | 平成21年〜令和7年 | 12 | 10 |
| 賃貸借・使用貸借 | 平成21年〜令和7年 | 16 | 10 |
| 請負・委任・事務管理 | 平成21年〜令和7年 | 9 | 6 |
| 不法行為 | 平成21年〜令和7年 | 8 | 4 |
| 民法(親族・相続) | |||
| 相続・親族 | 平成21年〜令和7年 | 21 | 15 |
| 民法(分野をまたぐ問) | |||
| 民法の条文の有無を問う問(いくつかの分野にまたがる) | 平成21年〜令和7年 | 7 | 3 |
| 借地借家法・区分所有法・不動産登記法 | |||
| 借地借家法 | 平成21年〜令和7年 | 37 | 24 |
| 区分所有法 | 平成21年〜令和7年 | 19 | 12 |
| 不動産登記法 | 平成21年〜令和7年 | 19 | 12 |
出題された問の数で数えています。1問は1つの分野の行だけで数えているので、各行を合計すると権利関係の問の数になります(民法の問は、過去問の分類で、その問の分野として最初に挙げたものの行で数えています。民法と借地借家法のように2つの法律を問う問は、過去問の分類で主とした法律の行で数えています)。法改正の前の問も数えています。数える範囲は、権利関係が問1〜問14になった平成21年からです。直近10年は平成28年〜令和7年の本試験です(令和2年・3年は、10月と12月の試験をそれぞれ1回として数えています)。
表1の数え方は、表の下の注記のとおりです。1つの問を1つの行だけで数えているので、たとえば賃貸借と保証を組み合わせた問のように、2つ以上の分野にまたがる問も、どれか1つの行にだけ入っています。「民法の条文の有無を問う問」の行は、いくつかの分野にまたがって、民法の条文に規定があるかどうかを尋ねる問として分類したものです。
なお、表1の数は、「数える範囲」の列の期間の本試験で出題された問を数えたものです。これからの本試験で、どの分野が出題されるか、どれだけ出題されるかを示すものではありません。
借地借家法・区分所有法・不動産登記法のページと、表を読むための軸
表1の最後の3つの行にある借地借家法・区分所有法・不動産登記法は、民法ではありませんが、宅建試験では民法と同じ権利関係の問として出題されます。このサイトでは、この3つの法律について、比較表を中心にしたページを用意しています。ここでは、それぞれのページで何を扱っているかと、表を読むときに意識しておきたい軸をお伝えします。どの軸も覚えるための整理で、選択肢の正誤は、各ページの表の条文の列で判断します。表の値や条文の詳細は、各ページで解説しています。
まず、宅建の借地借家法のページです。借地と借家に分けて、普通・定期・一時使用の違い、定期借地権の3つの類型、借地権の対抗力、建物の賃貸借の更新と終了、民法の賃貸借との違いを表で整理しています。借地借家法のページの表1(借地権の種類)を読むときの軸にしているのは、普通借地権が借地権者を守る「更新」「建物の再築による存続期間の延長」「建物買取請求」の3つが、ほかの借地権でどう扱われるかです。同じページの表4(建物の賃貸借の種類)では、期間を定め、契約の更新がない旨を定めた建物の賃貸借(定期建物賃貸借)が、期間の満了で確実に終わるために踏む3つの手続を中心にしています。3つの手続の中身と、手続が欠けたときの扱いも、その表4にまとめています。
次に、宅建の区分所有法のページです。2026年4月1日施行の改正の前と後を並べて、集会の決議要件と集会の手続を整理し、専有部分・共用部分・敷地利用権の違い、管理者と管理組合法人の違いも扱っています。区分所有法のページの表1(集会の決議要件)を読むときの軸にしているのは、いまの決議の数え方を3つの段に分けることです。1つ目は、普通決議は、出席した区分所有者とその議決権の各過半数で決する(法律に出席の要件の定めはない)という段です。2つ目は、特別決議は、区分所有者の過半数で議決権の過半数を有する者が出席したうえで、出席した区分所有者とその議決権の各4分の3以上で決するという段です。3つ目は、建替え決議などは、出席した者ではなく、区分所有者と議決権の全体の各5分の4以上で決するという段です。どの段も、議決権を有しない区分所有者を除いて数えます。ただし、建物の価格の2分の1を超える滅失の復旧(3分の2以上)や、建物が地震に対する安全性について法務大臣が定める基準に適合しないときなどの、建替え決議の特例(全体の各4分の3以上)のように、3つの段だけでは説明できない行もあります。それぞれの要件は、区分所有法のページの表1に行ごとに掲載しています。
そして、宅建の不動産登記法のページです。表示に関する登記と権利に関する登記の違いを軸に、申請の義務と期間、共同申請と単独申請、仮登記、分筆・合筆、区分建物の登記、申請の手続を表で整理しています。表示に関する登記と権利に関する登記を読み分けるときの軸にしているのは、表示に関する登記は「不動産そのもの」の登記なので、申請の義務があり、登記官が職権でもできるのに対し、権利に関する登記は「権利者どうし」の登記なので、原則として申請の義務はなく、法令に別段の定めがある場合を除き、当事者の申請又は官庁・公署の嘱託がなければ、登記をすることができないという対比です。ただし、表示に関する登記でも、分筆・合筆の登記のように申請の義務の定めがないものがあり、権利に関する登記にも、相続による所有権の移転の登記のように申請の義務があるものがあります。どの登記に申請の義務があるかは、不動産登記法のページの表2と表5で整理しています。
民法の分野と民法のページ
表1の民法の行について、このページでは、それぞれの分野の中身は解説しません。宅建試験と行政書士試験で重なる民法の論点は、宅建・行政書士の民法のページで一覧にしています。ページを公開している論点は、そこから論点ごとのページに進むことができます。
そのうち、表1の「抵当権と根抵当権(ほかの担保物権を含む)」の行に当たる論点は、宅建の抵当権と根抵当権のページで、2つの担保物権の違いと、論点ごとの出題年度を表で整理しています。なお、表1のこの行には、抵当権と根抵当権のほか、留置権などの担保物権の問も含めて数えています。
また、表1の民法の行の分け方は、過去問を数えるために、民法の編と分野でまとめたものです。民法のページの論点の一覧とは、分け方が同じではありません。
権利関係の優先順位:表1から学ぶ順番を考える
権利関係の優先順位は、表1の数だけで決まるものではありません。ここでは、どこから学ぶかを自分で考えるための材料として、表1を読む手順をご紹介します。
まず、借地借家法・区分所有法・不動産登記法の3つの行の「出題された問の数」を、「数える範囲」の期間の本試験の回の数と比べてみましょう(令和2年・3年は、10月と12月の試験をそれぞれ1回として数えます)。区分所有法と不動産登記法の行は、数える範囲の本試験の回の数と同じで、借地借家法の行は、回の数のほぼ2倍(2倍より1少ない数)です。表1は期間全体の合計なので、回ごとの出題までは分かりませんが、数える範囲の期間全体で、この3つの法律から、回の数に応じた数の問が出題されてきたことは分かります。この3つの法律は、それぞれのページの表で行ごとの出題を見ながら、どこまで学ぶかを考えてみましょう。
次に、民法の行を見ます。民法の問は、表1では総則・物権・債権・親族・相続の分野と、分野をまたぐ問の行に分かれています。行ごとに「出題された問の数」と「うち直近10年」の列を見比べると、数える範囲の期間を通じて出題されてきた分野か、最近の本試験でも出題されている分野かが分かります。直近10年の期間は、表1の下の注記に書いています。
最後に、表1で論点ページのある分野は、そのページの表で、論点の中のどの項目が出題されてきたかを見てみましょう。1つの論点の中でも、繰り返し出題されている項目と、そうでない項目があります。論点ページの表の出題年度の期間は、それぞれのページに書いてある期間で、表1の数える範囲と同じとは限りません。
このように、権利関係は、表1で3つの法律と民法の分野ごとの出題数を見渡し、論点ページのある分野は、そのページの軸を押さえておくと、どこから学び、どこに時間をかけるかを考えやすくなります。
よくある質問
宅建の権利関係は、どの順番で勉強すればよいですか?
このページでは、学ぶ順番を1つに決めるのではなく、表1を材料に順番を考える読み方をご紹介しています。表1では、「数える範囲」の期間に出題された権利関係の問を、それぞれ1つの行だけで数え、民法の分野と、借地借家法・区分所有法・不動産登記法ごとに、出題された問の数と、そのうち直近10年の数を並べています。3つの法律の行を本試験の回の数と比べ、民法の行で「出題された問の数」と「うち直近10年」を見比べると、どこから学ぶかを考える手がかりになります。表1の数は、これからの本試験で何が出題されるかを示すものではありません。
宅建の権利関係は、捨ててもいいですか?
このページの表1は、権利関係の問が、民法の分野と借地借家法・区分所有法・不動産登記法にどう分かれてきたかを、「数える範囲」の期間の本試験で数えたもので、権利関係やその中の分野を捨ててよいかどうかを決めるものではありません。どこに時間をかけるかを考えるときは、表1の「出題された問の数」と「うち直近10年」の列に加えて、論点ページのある分野は、そのページの表の出題年度もあわせて見てみましょう。
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