宅建試験に合格した後、宅建士として重要事項の説明などの仕事をするには、宅建士の登録と宅建士証の交付という2つの段階の手続きが必要です(宅地建物取引業法(以下「宅建業法」)2条4号・18条1項・22条の2第1項)。本ページでは、合格から宅建士証の交付までの流れと、登録しない場合の扱い、手続きの費用をご案内します。
なお、登録は義務ではなく、合格者が「受けることができる」手続きです(宅建業法18条1項)。ただし、登録と宅建士証の交付の両方を受けなければ、宅建士の事務はできません。
本記事は2026年9月時点で施行されている宅地建物取引業法および同法施行令・施行規則にもとづいています。手数料の額は、都道府県の条例で定められています。
合格から宅建士証の交付までの流れ
合格から宅建士証の交付までの手続きを、表1にまとめました。
| 手続き | 誰が | いつまでに | どこへ | 条文 |
|---|---|---|---|---|
| 登録実務講習の受講・修了 | 実務経験2年未満の合格者 | 受講の期限の定めなし(修了の有効期間を示す都道府県がある) | 国土交通大臣の登録を受けた実施機関 | 宅建業法施行規則13条の16第1号〜3号 宅建業法施行規則13条の21第1号〜4号 |
| 宅建士の登録申請 | 合格者で実務経験2年以上または登録実務講習修了等 | 期限の定めなし(合格の効力に期限を定める規定は見当たらない) | 試験を行った都道府県知事 | 宅建業法18条1項 宅建業法施行規則14条 宅建業法施行規則14条の3第1項〜3項 |
| 宅建士証の交付申請 | 登録を受けている者 | 期限の定めなし。試験に合格した日から1年以内に交付を受けようとする場合は法定講習は不要(更新には使えない) | 登録している都道府県知事 | 宅建業法22条の2第1項 宅建業法22条の2第2項 |
| 法定講習の受講 | 合格から1年を超えて宅建士証の交付を受ける者/宅建士証を更新する者 | 交付(更新)申請前6か月以内 | 登録している知事が指定する講習 | 宅建業法22条の2第2項 宅建業法施行規則14条の17第1号〜3号 |
登録実務講習は、宅建業の実務経験が2年に満たない人が受ける講習です。法定講習は、試験に合格した日から1年以内に宅建士証の交付を受けようとする場合は受けなくてよい講習で、宅建士証の更新のときは受ける必要があります。
手続きは、次の順に進みます。
- 登録の要件を確かめる:登録を受けるには、宅建業の実務経験が2年以上あることが必要です(宅建業法18条1項・宅地建物取引業法施行規則(以下「宅建業法施行規則」)13条の15)。2年に満たない場合も、登録実務講習の修了など、それに代わる3つの道があります(宅建業法施行規則13条の16第1号〜3号)。3つの道は、登録実務講習のページでご案内します。
- 登録を申請する:登録は、現在住んでいる都道府県ではなく、試験を行った都道府県知事に申請します(宅建業法18条1項)。必要書類と費用は、宅建士登録のページでまとめています。
- 宅建士証の交付を申請する:登録をしている都道府県知事に申請します(宅建業法22条の2第1項)。法定講習の要否と写真の要件は、宅建士証の交付申請のページで確かめましょう。
国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」では、実務経験として認められるのは、宅建業者として、または宅建業者の下で勤務して行った業務のうち、顧客への説明や物件の調査など、具体的な取引に関する業務と整理されています。受付・秘書・総務・人事・経理・財務など、顧客と直接接しない部門の業務や、単なる補助事務の期間は含まれません。
法定講習が要らないのは、試験に合格した日から1年以内に宅建士証の交付を受けようとするときだけです(宅建業法22条の2第2項ただし書)。5年ごとの宅建士証の更新では、この扱いは使えず、法定講習を受ける必要があります(宅建業法22条の3第2項)。
登録しないとどうなるか
登録を受けなければ、宅建士証の交付を受けられず、重要事項の説明や、35条書面・37条書面への記名といった宅建士の事務はできません(宅建業法2条4号・22条の2第1項・35条1項・5項・37条3項)。
一方で、宅建業法には、試験合格の効力に期限を定める規定はなく、登録申請の期限も定められていません。仕事で必要になったときに、後から登録を申請することもできます。
ただし、後回しにすると増える手間もあります。試験に合格した日から1年を超えて宅建士証の交付を受けようとする場合は、交付の申請前6か月以内に行われる法定講習を受ける必要があります(宅建業法22条の2第2項)。また、登録実務講習を修了して登録する場合、修了の有効期間を示している都道府県もあります(東京都の案内では「修了年月日から10年間有効」)。
登録だけを受け、宅建士証の交付は受けないという選択もできます。その場合に注意したい点は、宅建士登録のページ(登録だけして宅建士証を受けない場合)でご案内します。
合格後の手続きの費用
合格後の手続きにかかる費用を、表2にまとめました。
| 手続き | 費用 | 条文 |
|---|---|---|
| 登録実務講習の受講・修了 | 受講料は機関ごと | — |
| 宅建士の登録申請 | 登録手数料:標準37,000円(条例) | 地方公共団体の手数料の標準に関する政令(本則の表) |
| 宅建士証の交付申請 | 交付手数料:標準4,500円(条例)+法定講習の受講料(合格1年超の場合) | 地方公共団体の手数料の標準に関する政令(本則の表) |
| 法定講習の受講 | 受講料は実施団体ごと | 宅建業法施行規則14条の17第1号〜3号 |
登録と宅建士証の交付の手数料は、地方公共団体の手数料の標準に関する政令が定める標準額です。実際の額は、都道府県の条例で定められます。講習の受講料は、実施機関・実施団体ごとに異なります。
登録の手数料と宅建士証の交付手数料の実際の額は、申請先の都道府県の案内で確かめましょう。
登録実務講習と法定講習の受講料は、実施機関・実施団体ごとに異なります。法定講習を受けるかどうかも人によって分かれるため、合計の額は一律には示せません。なお、試験に合格した日から1年以内に宅建士証の交付を受けようとする場合は、法定講習を受ける必要がないので、その受講料はかかりません(宅建業法22条の2第2項)。
独立して開業するには
宅建士の資格と、宅建業(不動産業)を営むための免許は、別のものです。宅建業を営むには、会社や個人事業主として宅建業の免許を受ける必要があり(宅建業法3条1項)、事務所ごとに、業務に従事する者の5分の1以上の割合で、成年者である専任の宅建士を置くことが求められます(宅建業法31条の3第1項・宅建業法施行規則15条の5の3)。
また、免許を受けた後も、営業保証金を供託して届け出た後でなければ、事業を始めることはできません(宅建業法25条5項)。保証協会に加入する場合は、営業保証金の供託に代えて、加入しようとする日までに弁済業務保証金分担金を納めます(宅建業法64条の9第1項・64条の13)。開業に必要な手続きの全体像は、宅建業免許とは(宅建業の開業に必要な免許の全体像)のページで解説しています。供託と保証協会のどちらを選ぶかと、その手順は、営業保証金と保証協会のページで解説しています。
よくある質問
宅建試験に合格した後の流れは、どうなっていますか?
宅建業法の定めでは、宅建士の登録(18条1項)を受けた後、宅建士証の交付(22条の2第1項)を申請する2段階です。登録には2年以上の実務経験が必要で、2年に満たない場合は、登録実務講習の修了など、宅建業法施行規則13条の16が定める3つの道があります。
宅建士の登録をしないと、どうなりますか?
宅建士証の交付を受けられないため、重要事項の説明など宅建士の事務はできません(宅建業法2条4号・22条の2第1項)。なお、宅建業法には、試験の合格の効力に期限を定める規定は見当たりません。
合格してから、いつまでに宅建士証の交付を申請すればよいですか?
宅建業法に、交付を申請する期限の定めはありません。ただし、宅建業法22条の2第2項の定めでは、試験に合格した日から1年以内に交付を受けようとする場合を除き、申請前6か月以内に法定講習を受ける必要があります。この1年以内の扱いは交付のときだけで、宅建士証の更新には使えません(同法22条の3第2項)。
合格後の手続きの費用は、いくらですか?
地方公共団体の手数料の標準に関する政令で定める標準額は、登録が37,000円、宅建士証の交付が4,500円で、実際の額は都道府県の条例で定められます。登録実務講習と法定講習の受講料は、実施機関・実施団体ごとに異なります。
まとめ
宅建試験に合格した後は、宅建士の登録と宅建士証の交付の2段階の手続きがあります。どちらも申請の期限の定めはありませんが、合格の日から1年を超えると、宅建士証の交付の前に法定講習を受ける必要があります。手数料の額は、都道府県の条例で定められます。
次のステップとして、目的に合わせて次のページをご覧ください。
- 登録の要件(実務経験2年に代わる道)を確かめる:登録実務講習のページ
- 登録の申請書類をそろえる:宅建士登録のページ
- 宅建士証の交付を申請する:宅建士証の交付申請のページ
- 5年ごとの更新の手続きを確かめる:宅建士証の更新のページ
- 名前の似た3つの講習の違いを確かめる:宅建の3つの講習のページ
- 登録した後に住所・氏名・勤務先が変わったときの手続きを確かめる:宅建士の変更の登録のページ
専任の宅建士として働くことや、宅建業の開業を考えている方は、事業者側の要件も確かめておきましょう。事務所に置く人数や常勤性は専任の宅建士の要件、開業に必要な免許と手続きの全体像は宅建業免許とはのページで解説しています。