行政庁の処分に不服があるとき、その取消しを求める手段は2つあります。行政不服審査法の審査請求と、行政事件訴訟法の取消訴訟です。取消訴訟は、処分の取消しの訴えと裁決の取消しの訴えをまとめた呼び名で(行政事件訴訟法9条1項)、このページでは主に処分の取消しの訴えを審査請求と並べます。
多くの処分は、どちらの対象にもなります(行政不服審査法7条1項には、審査請求の規定が適用されない処分が挙げられています)。2つの手続は、判断する者、判断の範囲、審査請求や訴えの提起ができる期間が違います。審査請求は行政庁が違法又は不当を審理して判断し、取消訴訟は裁判所が違法かどうかを判断します。期間は、審査請求が「知った日の翌日から起算して三月」、取消訴訟が「知つた日から六箇月」と、条文の表現から異なります。
このページでは、行政書士試験の受験生向けに、審査請求と取消訴訟を条文の文言のまま1行ずつ並べ、取消訴訟の出訴期間と審査請求期間の数え方、どちらの手続を先にするか(自由選択主義)、裁決の取消しの訴えで主張できること(原処分主義)を確かめます。
本記事は、2026年9月時点の行政不服審査法(令和8年6月24日施行)と行政事件訴訟法(令和8年5月21日施行)にもとづいています。表で扱う条文は、令和8年度試験の基準日(令和8年4月1日)の時点と同じ内容です。
審査請求と取消訴訟を1行ずつ並べる
表Aは、審査請求と取消訴訟を同じ項目で並べたものです。上から3行が「対象」「審査請求・訴えの先」「判断の範囲」、その次の4行が期間、下の3行が処分の効力と結論です。
| 項目 | 審査請求(行政不服審査法) | 取消訴訟(行政事件訴訟法) |
|---|---|---|
| 対象 | 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(1条2項)。行政庁の処分に不服がある者は、審査請求をすることができる(2条) | 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為の取消しを求める訴訟(3条2項) |
| 審査請求・訴えの先 | 4条各号に定める行政庁。処分庁等に上級行政庁がない場合などは当該処分庁等(4条1号)。法律(条例に基づく処分については、条例)に特別の定めがある場合を除く | 被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所又は処分若しくは裁決をした行政庁の所在地を管轄する裁判所(12条1項) |
| 判断の範囲 | 行政庁の違法又は不当な処分(1条1項) | 裁量処分については、裁量権の範囲をこえ又はその濫用があつた場合に限り、裁判所は、その処分を取り消すことができる(30条) |
| 期間(知った日から) | 処分があったことを知った日の翌日から起算して三月(18条1項) | 処分又は裁決があつたことを知つた日から六箇月(14条1項) |
| 期間(処分の日から) | 処分があった日の翌日から起算して一年(18条2項) | 処分又は裁決の日から一年(14条2項) |
| 期間の例外 | ただし、正当な理由があるときは、この限りでない(18条1項・2項) | 同じただし書がある(14条1項・2項・3項) |
| 前の手続を経たとき | 再調査の請求をしたときは、再調査の請求についての決定があったことを知った日の翌日から起算して一月(18条1項) | 審査請求があつたときは、その審査請求をした者は、裁決があつたことを知つた日から六箇月・裁決の日から一年(14条3項) |
| 処分の効力 | 審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない(25条1項) | 処分の取消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない(25条1項) |
| 理由があるとき | 裁決で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する(46条1項)。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない場合には、当該処分を変更することはできない | 判決で処分を取り消す(処分の取消しの訴え=3条2項)。裁量処分は30条の場合に限る |
| 違法(不当)でも取り消さないとき | 処分が違法又は不当ではあるが、取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁決で審査請求を棄却できる。裁決の主文で違法又は不当であることを宣言する(45条3項) | 処分又は裁決が違法ではあるが、取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、請求を棄却できる。判決の主文で違法であることを宣言する(31条1項) |
表Aのうち、2つの列の違いがはっきり出るのは「判断の範囲」の行です。行政不服審査法1条1項は、制度の対象を行政庁の「違法又は不当な処分」としています。審査請求では、違法とまではいえない処分でも、不当であれば取り消されることがあります。
一方、取消訴訟を判断するのは裁判所です。行政事件訴訟法30条は、裁量処分については、裁量権の範囲をこえ又はその濫用があった場合に限り、裁判所はその処分を取り消すことができる、と定めています。違法かどうかが問われ、裁量の範囲内で当・不当が分かれるだけの処分は、取り消されません。
最後の行も同じ違いの表れです。違法(又は不当)ではあるが取り消すことが公共の福祉に適合しないときに請求を棄却する定めは、審査請求(45条3項)にも取消訴訟(31条1項)にもあります。審査請求(45条3項)は「違法又は不当」、取消訴訟(31条1項)は「違法」と定めています。
「審査請求でも取消訴訟でも、処分が不当であることを理由に取り消すことができる」とする肢は誤りです。不当を理由に取り消せるのは審査請求です(行政不服審査法1条1項)。取消訴訟では、裁量処分は裁量権の範囲をこえ又はその濫用があった場合に限り取り消せます(行政事件訴訟法30条)。
処分の効力の行は、2つとも同じ形です。審査請求をしても、取消訴訟を提起しても、それだけでは処分の効力、処分の執行又は手続の続行は妨げられません(行政不服審査法25条1項、行政事件訴訟法25条1項)。止めるには、それぞれの執行停止の定めによります。
審査請求と取消訴訟の執行停止の違いは、行政不服審査法の執行停止のページで並べています。
取消訴訟の出訴期間と審査請求期間
期間の定めは、行政事件訴訟法14条(出訴期間)と行政不服審査法18条(審査請求期間)です。どちらも「知った日から」の期間と「処分の日から」の期間の2本立てで、どちらにも「正当な理由があるときは、この限りでない」というただし書があります。
- 取消訴訟:処分又は裁決があったことを知った日から6箇月(14条1項)・処分又は裁決の日から1年(同条2項)
- 審査請求:処分があったことを知った日の翌日から起算して3月(18条1項)・処分があった日の翌日から起算して1年(同条2項)
「翌日から起算して」と「知つた日から」
行政不服審査法18条は「翌日から起算して」と書き、行政事件訴訟法14条は「知つた日から」と定めています。では、取消訴訟の出訴期間は、知った日を1日目として数えるのでしょうか。
行政事件訴訟法7条は、この法律に定めがない事項については民事訴訟の例による、と定めています。民事訴訟法95条1項は、期間の計算については民法の期間に関する規定に従う、と定めています。そして民法140条は、日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は算入しない(その期間が午前零時から始まるときを除く)と定めています。
そのため、取消訴訟の出訴期間も、知った日の当日は数えず、翌日から数えることになります。条文の表現は違いますが、どちらも翌日から数え始めるという点では同じです。違いが出るのは、期間の長さ(3月と6箇月)です。
期間の数え方の例
たとえば、ある人が処分があったことを知った日が4月1日だったとします(処分があったことを知ったのは、その日の午前零時ちょうどではないとします)。
- 審査請求:4月2日から起算して3月。民法143条2項により、最後の月においてその起算日に応当する日(7月2日)の前日に満了するので、7月1日まで
- 取消訴訟:初日を算入しないので4月2日から数えて6箇月。同じく応当する日(10月2日)の前日に満了するので、10月1日まで
行政不服審査法には、期間の数え方の通則は置かれていません(審査請求書を郵便などで出した場合に送付に要した日数を算入しない、という特則は18条3項にあります)。民法138条は、法令に特別の定めがある場合などを除き、期間の計算方法は民法の定めに従うとしています。ここでは、末日が日曜日や祝日などの休日に当たる場合の扱いは考えていません。また、どちらの期間も、処分の日から1年を過ぎれば、知った日から数えた期間の中であっても、正当な理由がない限り、審査請求も訴えの提起もできなくなります(14条2項・18条2項)。
審査請求をしたあとの出訴期間
審査請求をすることができる処分について審査請求をしたときは、その審査請求をした者についての取消訴訟の出訴期間は、裁決があったことを知った日から6箇月、又は裁決の日から1年になります(14条3項)。もとの処分を知った日から数えるのではありません。行政庁が誤って審査請求をすることができる旨を教示した場合に審査請求をしたときも、同じです。
審査請求の側にも、前の手続を経た場合の定めがあります。処分について再調査の請求をしたときの審査請求期間は、再調査の請求についての決定があったことを知った日の翌日から起算して1月です(18条1項括弧書)。
「審査請求をすることができる処分について審査請求をした場合でも、取消訴訟の出訴期間は、処分があったことを知った日から6箇月である」とする肢は誤りです。審査請求をした者については、裁決があったことを知った日から6箇月・裁決の日から1年です(行政事件訴訟法14条3項)。
どちらを先にするか(自由選択主義・8条)
処分の取消しの訴えは、その処分について法令の規定により審査請求をすることができる場合でも、直ちに提起することを妨げない、とされています(行政事件訴訟法8条1項本文)。審査請求をするか、取消訴訟を提起するか、両方をするかは、原則として自由に選べます。これを自由選択主義といいます。
例外は、法律に、審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがある場合です(8条1項ただし書)。この場合でも、次のどれかに当たるときは、裁決を経ないで取消しの訴えを提起できます(8条2項)。
- 審査請求があった日から3箇月を経過しても裁決がないとき
- 処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき
- その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき
審査請求と取消訴訟の両方をしている場合については、8条3項があります。処分について審査請求がされているときは、裁判所は、その審査請求に対する裁決があるまで(審査請求があった日から3箇月を経過しても裁決がないときは、その期間を経過するまで)、訴訟手続を中止することができます。
裁決の取消しの訴えと原処分主義(10条2項)
審査請求をして棄却の裁決を受けた人が取消訴訟を提起するときは、訴えの対象となりうるものが2つあります。もとの処分の取消しを求める処分の取消しの訴え(3条2項)と、審査請求に対する裁決の取消しを求める裁決の取消しの訴え(同条3項)です。
この2つを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができません(10条2項)。もとの処分が違法だと主張したいときは、処分の取消しの訴えで主張します。裁決の取消しの訴えで主張できるのは、裁決そのものの違法(一般に「裁決固有の瑕疵」と呼ばれるもの)です。この考え方を原処分主義といいます。
10条2項は「処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には」という場面の定めです。法律に、裁決に対してだけ取消しの訴えを提起できると定めている場合(裁決主義)は、この場面に当たりません。
なお、10条1項は、取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない、と定めています。10条は、1項・2項とも、取消訴訟で主張できる違法を限る定めです。
本試験での出題
表Bは、平成21年度〜令和7年度の本試験のうち、行政不服審査法18条、行政事件訴訟法14条・8条・10条にかかわる肢があった問を並べたものです。「当たる肢」はその問のうちこれらの条にかかわる肢の数で、「問われ方」は過去問の分析で付けた分類です。問題文は載せていません。
| 年度・問 | 形式 | 条文 | 当たる肢 | 問題のテーマ | 問われ方 |
|---|---|---|---|---|---|
| 平成21年度 問15 | 択一式 | 行訴法14条・行訴法8条 | 2肢 | 行政不服審査法改正前の問題点(沿革) | 制度の混同/法系・沿革 |
| 平成22年度 問15 | 択一式 | 行審法18条 | 1肢 | 審査請求の取下げ・裁決・審査請求期間・拘束力 | 数値・期間すり替え |
| 平成23年度 問42 | 多肢選択式 | 行訴法14条 | 1肢 | 課税処分の当然無効と不可争力(最判昭48.4.26) | 判例の結論 |
| 平成24年度 問16 | 択一式 | 行訴法14条・行訴法10条 | 2肢 | 取消訴訟と無効確認訴訟の異同(準用関係) | 制度の混同 |
| 平成25年度 問14 | 択一式 | 行訴法10条 | 1肢 | 行政不服審査法と行政事件訴訟法の比較 | 条文知識 |
| 平成26年度 問14 | 択一式 | 行訴法14条・行訴法8条・行訴法10条 | 4肢 | 審査請求の裁決と取消訴訟の関係(原告適格・原処分主義・審査請求前置・出訴期間) | 条文知識/要件・効果の正誤/数値・期間すり替え |
| 平成26年度 問16 | 択一式 | 行訴法14条 | 1肢 | 不作為の違法確認の訴え(37条)の要件・準用・出訴期間 | 適用範囲 |
| 平成27年度 問44 | 記述式 | 行訴法10条 | 1肢 | 裁決取消訴訟の被告と原処分主義 | 用語の意味 |
| 平成28年度 問17 | 択一式 | 行訴法10条 | 1肢 | 行政事件訴訟における「法律上の利益」(主張制限・原告適格・訴えの利益) | 条文知識 |
| 平成29年度 問9 | 択一式 | 行訴法14条・行訴法8条 | 2肢 | 無効の行政行為の争訟方法(無効等確認訴訟) | 制度の混同/適用範囲 |
| 平成29年度 問17 | 択一式 | 行訴法14条 | 1肢 | 申請拒否処分の取消訴訟(義務付け・執行停止・出訴期間・訴えの利益・拘束力) | 適用範囲 |
| 平成29年度 問18 | 択一式 | 行訴法10条 | 1肢 | 裁決の取消しの訴え(3条3項) | 制度の混同 |
| 平成29年度 問26 | 択一式 | 行審法18条・行訴法14条・行訴法8条 | 2肢 | 審査請求・取消訴訟の教示と行訴の被告適格 | 原則↔例外/制度の混同 |
| 平成30年度 問10 | 択一式 | 行審法18条 | 1肢 | 行政処分の無効と取消しの異同 | 制度の混同 |
| 平成30年度 問14 | 択一式 | 行審法18条 | 1肢 | 不作為についての審査請求(請求人・対象・期間・審理員) | 適用範囲 |
| 平成30年度 問16 | 択一式 | 行審法18条 | 1肢 | 審査請求期間・執行停止取消し・却下・再調査決定の条文語句 | 数値・期間すり替え |
| 平成30年度 問42 | 多肢選択式 | 行訴法10条 | 4肢 | 行訴10条の取消しの理由の制限(主張制限・原処分主義) | 用語の意味/要件・効果の正誤/条文知識 |
| 令和元年度 問19 | 択一式 | 行訴法10条 | 1肢 | 抗告訴訟の審理・判決・義務付け訴訟の諸論点 | 条文知識 |
| 令和2年度 問14 | 択一式 | 行審法18条 | 1肢 | 審査請求の当事者・期間・不作為・参加 | 数値・期間すり替え |
| 令和2年度 問18 | 択一式 | 行訴法14条 | 5肢 | 行訴法の出訴期間(各訴訟類型) | 数値・期間すり替え/条文知識 |
| 令和3年度 問16 | 択一式 | 行審法18条 | 1肢 | 審査請求(期間・方式・不利益変更禁止・裁決理由・執行停止申立て) | 制度の混同 |
| 令和3年度 問18 | 択一式 | 行訴法8条 | 1肢 | 処分取消訴訟の被告適格・管轄・訴訟参加・審査請求前置 | 原則↔例外 |
| 令和4年度 問19 | 択一式 | 行訴法8条 | 1肢 | 処分無効確認訴訟の要件・準用(36条・38条) | 条文知識 |
| 令和5年度 問14 | 択一式 | 行審法18条 | 1肢 | 不作為についての審査請求 | 数値・期間すり替え |
| 令和5年度 問17 | 択一式 | 行訴法14条 | 1肢 | 代執行の戒告等をめぐる抗告訴訟(処分性・違法性の承継・出訴期間・訴えの利益) | 数値・期間すり替え |
| 令和5年度 問18 | 択一式 | 行訴法14条 | 1肢 | 行訴法の準用(出訴期間14条・執行停止25条・第三者効32条) | 条文知識 |
| 令和5年度 問43 | 多肢選択式 | 行訴法14条 | 1肢 | 処分の無効を争う訴訟と無効の要件 | 用語の意味 |
| 令和6年度 問16 | 択一式 | 行審法18条・行訴法14条 | 1肢 | 行審法と行訴法の比較(期間・教示・拘束力・執行停止・差止め) | 条文知識 |
| 令和7年度 問18 | 択一式 | 行訴法14条 | 4肢 | 取消訴訟の出訴期間(14条)と準用 | 条文知識/判例の結論 |
| 令和7年度 問44 | 記述式 | 行訴法10条 | 1肢 | 裁決固有の瑕疵と裁決取消訴訟(原処分主義) | 要件・効果の正誤 |
条ごとに見ると、審査請求期間(18条)は9問9肢、出訴期間(14条)は14問21肢、自由選択主義(8条)は6問6肢、取消しの理由の制限(10条)は9問13肢です(1つの肢が複数の条にかかわることがあるので、足しても表Bの肢数にはなりません)。平成29年度 問26・令和6年度 問16には、18条と14条を1つの肢で並べて問う肢がありました。
択一式だけではありません。原処分主義(10条)は、記述式でも平成27年度 問44・令和7年度 問44で問われています。記述式の問題と論点は、記述式の論点別のページで年度ごとに確かめられます。
よくある質問
審査請求と取消訴訟は同時にできますか?
できます。行政事件訴訟法8条1項本文は、処分について審査請求をすることができる場合でも、処分の取消しの訴えを直ちに提起することを妨げない、と定めています。ただし、審査請求がされているときは、裁判所は、裁決があるまで(審査請求があった日から3箇月を経過しても裁決がないときは、その期間を経過するまで)、訴訟手続を中止することができます(8条3項)。なお、法律に審査請求前置の定めがある場合は、8条2項各号に当たるときを除き、裁決を経てから提起することになります(8条1項ただし書)。
審査請求をしてからでないと取消訴訟を起こせない場合はありますか?
あります。法律に、審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがある場合です(行政事件訴訟法8条1項ただし書)。この場合でも、審査請求があった日から3箇月を経過しても裁決がないときなどは、裁決を経ないで提起できます(8条2項)。
取消訴訟の出訴期間は?
処分又は裁決があったことを知った日から6箇月、又は処分又は裁決の日から1年です(行政事件訴訟法14条1項・2項)。どちらも、正当な理由があるときは、この限りでありません。審査請求をした者については、裁決があったことを知った日から6箇月・裁決の日から1年になります(同条3項)。
審査請求期間は?
処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3月、又は処分があった日の翌日から起算して1年を経過すると、することができません(行政不服審査法18条1項・2項)。どちらも、正当な理由があるときは、この限りでありません。
まとめ
審査請求は行政庁が違法又は不当を審理し、取消訴訟は裁判所が違法かどうかを判断します。期間は、審査請求が知った日の翌日から起算して3月・処分の日の翌日から起算して1年、取消訴訟が知った日から6箇月・処分の日から1年で、取消訴訟も初日は数えません。審査請求をした者の出訴期間は、裁決を基準に数えます。
どちらを先にするかは原則として自由で(8条1項本文)、裁決の取消しの訴えでは処分の違法を主張できません(10条2項)。表Aの各行で、2つの手続の条文の文言の違いを確かめておきましょう。
取消訴訟のほかの抗告訴訟を前提にする仮の救済は、仮の義務付けと仮の差止めのページで扱っています。
処分によって生じた損害の賠償を求める手段は、国家賠償法1条のページで扱っています。
行政法のほかの論点は、行政法の学習のページに一覧でまとめています。