宅建士証は、宅建士の登録を受けた後、登録をしている都道府県知事に交付を申請して受け取ります(宅地建物取引業法(以下「宅建業法」)22条の2第1項)。交付を受けるには、申請前6か月以内に行われる法定講習を受けるのが原則ですが、試験に合格した日から1年以内に交付を受ける場合は、法定講習を受ける必要はありません(宅建業法22条の2第2項)。
ただし、この1年以内の扱いは交付の申請のときだけで、5年ごとの宅建士証の更新には使えません(宅建業法22条の3第2項)。本ページでは、交付申請の手続き、法定講習の要否、写真の要件、有効期間、宅建士証の提示と返納をご案内します。
本記事は2026年9月時点で施行されている宅地建物取引業法および同法施行令・施行規則にもとづいています。手数料の額は、都道府県の条例で定められています。
交付申請
交付申請と法定講習の手続きを、表1にまとめました。
| 手続き | 誰が | いつまでに | どこへ | 費用 | 条文 |
|---|---|---|---|---|---|
| 宅建士証の交付申請 | 登録を受けている者 | 期限の定めなし。試験に合格した日から1年以内に交付を受けようとする場合は法定講習は不要(更新には使えない) | 登録している都道府県知事 | 交付手数料:標準4,500円(条例)+法定講習の受講料(合格1年超の場合) | 宅建業法22条の2第1項 宅建業法22条の2第2項 宅建業法施行規則14条の10第1項 |
| 法定講習の受講 | 合格から1年を超えて宅建士証の交付を受ける者/宅建士証を更新する者 | 交付(更新)申請前6か月以内 | 登録している知事が指定する講習 | 受講料は実施団体ごと | 宅建業法22条の2第2項 宅建業法施行規則14条の17第1号〜3号 宅建業法22条の3第1項〜2項 |
手数料は標準額で、実際の額は都道府県の条例で定められます。法定講習の受講料は、実施団体ごとに異なります。
申請先は、登録をしている都道府県知事です。宅建士証交付申請書(宅地建物取引業法施行規則(以下「宅建業法施行規則」)別記様式第七号の二の二)に、宅建士証用の写真を添えて提出します(宅建業法施行規則14条の10第1項・4項)。交付手数料の実際の額は、申請先の都道府県の案内で確かめましょう。
国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」では、希望する人には宅建士証に旧姓を併記するのが適当と整理されています。
交付を申請する期限の定めはありません。ただし、合格の日から1年を超えると、次の見出しの法定講習が必要になります。
法定講習と、合格から1年以内の免除(交付のときだけ・更新は対象外)
宅建士証の交付を受けようとする人は、登録をしている都道府県知事が指定する講習で、交付の申請前6か月以内に行われるもの(一般には法定講習と呼ばれます)を受講しなければなりません(宅建業法22条の2第2項本文)。
ただし、試験に合格した日から1年以内に宅建士証の交付を受けようとする人は、この講習を受けなくてよいとされています(宅建業法22条の2第2項ただし書)。
この1年以内の扱いは、交付の申請のときだけです。宅建士証の有効期間の更新については、宅建業法22条の3第2項が22条の2第2項の本文だけを準用しているため、更新のときは、合格からの期間にかかわらず法定講習を受ける必要があります。
法定講習は、一般社団法人・一般財団法人が行う講習で都道府県知事が指定したものか、都道府県知事自身が行う講習です(宅建業法施行規則14条の17)。実施団体・日程・受講料は都道府県ごとに異なるため、登録をしている都道府県の案内で確かめましょう。合格の日から1年に近い時期に申請する場合も、講習の要否を申請先の案内で確かめておきましょう。登録講習・登録実務講習との違いは、宅建の3つの講習のページでご案内しています。
写真
宅建士証用の写真の要件は、宅建業法施行規則14条の10第1項で次のように定められています。
- 撮影の時期
- 交付の申請前6月以内
- 写り方
- 無帽、正面、上三分身、無背景
- 大きさ
- 縦3cm×横2.4cm
- 裏面
- 裏面に氏名と撮影年月日を記入
写り方と大きさは、登録の申請書に貼る写真と同じ要件です(宅建業法施行規則14条の3第2項)。撮影の時期は、宅建士証用では交付の申請前6か月以内です。登録のときに撮った写真を使う場合は、撮影から6か月を過ぎていないか確かめましょう。また、宅建士証用の写真は申請書に添えて提出し、裏面に氏名と撮影年月日を記入します。登録の申請書類は、宅建士登録のページ(必要書類)でご案内しています。
有効期間は5年
宅建士証の有効期間は5年です(宅建業法22条の2第3項)。宅建士証には、氏名・生年月日・住所・登録番号・登録年月日・交付年月日・有効期間の満了日が記載されます(宅建業法施行規則14条の11第1項)。
有効期間は、申請により更新できます。更新も、申請前6か月以内に行われる法定講習を受けたうえで、新しい宅建士証の交付を申請し、現在の宅建士証と引き換えに受け取る形で行います(宅建業法22条の3第1項・2項・宅建業法施行規則14条の16)。更新の手続きは、宅建士証の更新のページで詳しくご案内しています。
有効期間が切れた宅建士証は効力を失い、交付を受けた都道府県知事に速やかに返納しなければなりません(宅建業法22条の2第6項)。一方で、宅建業法が定める登録の消除の事由(宅建業法22条・68条の2)には期間の満了がないため、宅建士証の有効期間が切れても、登録そのものは残ると読むことができます。ただし、宅建士証が無い間は、宅建士の事務はできません。
なお、宅建業の免許にも5年の有効期間がありますが(宅建業法3条2項)、宅建士証の有効期間とは別のものです。
宅建士証の提示と返納
宅建士は、取引の関係者から請求があったときは、宅建士証を提示しなければなりません(宅建業法22条の4)。また、重要事項の説明をするときは、請求がなくても、説明の相手方に宅建士証を提示しなければなりません(宅建業法35条4項)。重要事項の説明のときの提示に違反すると、10万円以下の過料の対象になります(宅建業法86条)。
国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」では、提示のときに、住所欄に容易に剥がせるシールを貼ってよいと整理されています。
登録が消除されたときや、宅建士証が効力を失ったときは、速やかに、交付を受けた都道府県知事に宅建士証を返納しなければなりません(宅建業法22条の2第6項)。これに違反した場合も、10万円以下の過料の対象です(宅建業法86条)。
よくある質問
宅建士証の交付に、法定講習は必要ですか?
宅建業法22条の2第2項の定めでは、交付の申請前6か月以内の法定講習が必要です。ただし、試験に合格した日から1年以内に交付を受けようとする場合は必要ありません。この扱いは交付の申請のときだけで、更新には使えません。
合格から1年以内なら、更新のときも法定講習は不要ですか?
必要です。宅建業法22条の3第2項は、更新について22条の2第2項の本文だけを準用していて、合格から1年以内の扱い(ただし書)は更新には使えません。
宅建士証の写真の大きさは?
宅建業法施行規則14条の10第1項の定めでは、大きさは縦3cm×横2.4cmです。交付の申請前6か月以内に撮影した、無帽、正面、上三分身、無背景のもので、裏面に氏名と撮影年月日を記入します。
宅建士証の有効期間は、何年ですか?
5年です(宅建業法22条の2第3項)。有効期間を更新するときは、申請前6か月以内の法定講習を受ける必要があります(宅建業法22条の3第2項)。
まとめ
宅建士証は、登録をしている都道府県知事に交付を申請します。試験に合格した日から1年以内に交付を受けようとする場合は法定講習を受ける必要はありませんが、この扱いは更新には使えません。有効期間は5年で、切れた宅建士証は返納が必要です。
次のステップとして、登録の手続きを確かめる場合は宅建士登録のページを、手続き全体の流れを確かめたい場合は宅建合格後の流れのページをご覧ください。5年ごとの更新は、宅建士証の更新のページでご案内しています。
専任の宅建士として働くことや、宅建業の開業を考えている方は、事業者側の要件も確かめておきましょう。事務所に置く人数や常勤性は専任の宅建士の要件、開業に必要な免許と手続きの全体像は宅建業免許とはのページで解説しています。