「宅建の講習」と呼ばれるものには、主に次の3つがあります。名前は似ていますが、それぞれ別の条文が定める別の講習で、受ける人と受ける時期が違います。
- 登録講習:宅建業に従事する人が試験の前に受け、修了すると試験の一部が免除される講習(宅地建物取引業法(以下「宅建業法」)16条3項)
- 登録実務講習:実務経験が2年に満たない合格者が、宅建士の登録を受けるための方法の1つ(宅地建物取引業法施行規則(以下「宅建業法施行規則」)13条の16第1号)
- 法定講習:宅建士証の交付・更新の前に受ける講習(宅建業法22条の2第2項・22条の3第2項)
受ける順に並べると、試験の前(登録講習)、合格後・登録の前(登録実務講習)、登録後・宅建士証の交付や更新の前(法定講習)です。本ページでは、自分がどの講習の対象になるかを確かめられるよう3つを並べ、それぞれの詳しいページをご案内します。
本記事は2026年9月時点で施行されている宅地建物取引業法および同法施行令・施行規則にもとづいています。手数料の額は、都道府県の条例で定められています。
3つの講習の違い(誰が・いつ受けるか)
3つの講習を、誰が受けるか・いつ受けるか・どこが行うかで比べると、表1のとおりです。
| 講習 | 誰が受けるか | いつ(期限) | どこが行うか | 条文 |
|---|---|---|---|---|
| 登録講習(試験の一部免除) | 宅建業に従事する者(試験を受ける前) | 修了試験に合格した日から3年以内に行われる試験で一部が免除される(受講の期限の定めなし) | 国土交通大臣の登録を受けた登録講習機関 | 宅建業法16条3項 宅建業法施行規則10条の14 宅建業法施行規則10条の5第1号〜3号 |
| 登録実務講習 | 実務経験2年未満の合格者 | 受講の期限の定めなし(修了の有効期間を示す都道府県がある) | 国土交通大臣の登録を受けた実施機関 | 宅建業法施行規則13条の16第1号〜3号 宅建業法施行規則13条の21第1号〜4号 宅建業法施行規則13条の20第1項 |
| 法定講習 | 合格から1年を超えて宅建士証の交付を受ける者/宅建士証を更新する者 | 交付(更新)申請前6か月以内 | 登録している知事が指定する講習 | 宅建業法22条の2第2項 宅建業法施行規則14条の17第1号〜3号 宅建業法22条の3第1項〜2項 |
法定講習は、試験に合格した日から1年以内に宅建士証の交付を受ける場合は受けなくてよい講習で、宅建士証の更新のときは受ける必要があります。受講料・日程・受講方法は、講習を行う機関・団体ごとに異なります。
自分がどの講習の対象になるかは、次のように確かめましょう。
- 宅建業の会社で働いていて、これから試験を受ける:登録講習
- 試験に合格し、宅建業の実務経験が2年に満たない:登録実務講習。ただし、講習のほかにも、実務経験2年に代わる道があります(宅建業法施行規則13条の16第2号・3号)
- 登録を受けて、宅建士証の交付を受ける・更新する:法定講習。試験に合格した日から1年以内に交付を受ける場合は受けなくてよいとされていますが、この扱いは交付のときだけで、更新には適用されません(宅建業法22条の2第2項ただし書・22条の3第2項)
登録講習(試験の一部が免除される講習・いわゆる5問免除)
登録講習は、国土交通大臣の登録を受けた登録講習機関が行う講習で、その課程を修了した人は、試験の一部が免除されます(宅建業法16条3項)。
宅建業法施行規則は、登録講習の基準として、宅建業に従事する者に対して行うこと、毎年1回以上行うこと、講義で合計おおむね50時間行うこと(国土交通大臣の定めにより一部を通信の方法で行う場合を除きます)を定めています(宅建業法施行規則10条の5第1号〜3号)。あわせて、登録講習修了試験を行うことも基準の1つです(同条6号)。試験の実施機関(不動産適正取引推進機構)の案内では、受講できるのは従業者証明書を持つ宅建業の従事者で、一般の方は受講できないとしています。
免除されるのは、登録講習修了試験に合格した日から3年以内に行われる試験で、宅建業法施行規則8条1号と5号に掲げる事項です(宅建業法施行規則10条の14)。試験の実施機関の案内では、この免除を「5問」としていて、いわゆる5点免除・5問免除と呼ばれるのはこの扱いです。
不動産適正取引推進機構の同じ案内では、講習の受講中は登録講習の修了者として試験に申し込むことはできず、受講の申込みから修了まで2か月以上かかるとしています。試験の申込みの時期から逆算して、早めに講習の日程を確かめましょう。
登録講習を行う機関は、国土交通省の登録講習の登録講習機関一覧で公開されていて、実施日時や申込方法は各機関に問い合わせるよう案内されています。試験の学習の進め方は、宅建試験の学習ガイドでご案内しています。
登録実務講習(合格後・実務経験が2年に満たないとき)
宅建士の登録を受けるには、宅建業の実務経験が2年以上あることが必要です(宅建業法18条1項・宅建業法施行規則13条の15)。実務経験が2年に満たない合格者が登録を受けるための方法の1つが、国土交通大臣の登録を受けた実施機関が行う登録実務講習の修了です(宅建業法施行規則13条の16第1号)。
講習のほかにも、国・地方公共団体などで宅地建物の取得・処分の業務に通算2年以上従事したことや、国土交通大臣から同等以上の能力があると認められることも、実務経験2年の要件に代わるものとされています(同条2号・3号)。
登録実務講習は、講義と演習でおおむね50時間行い、修了試験があります(宅建業法施行規則13条の21第3号・4号)。時間数は登録講習と同じくおおむね50時間ですが、試験の一部免除のための登録講習とは別の講習です。講習の内容と実施機関は、登録実務講習のページでご案内しています。
法定講習(宅建士証の交付・更新の前に受ける講習)
宅建士証の交付を受けようとする人は、登録をしている都道府県知事が指定する講習で、交付の申請前6か月以内に行われるものを受講しなければなりません(宅建業法22条の2第2項本文)。この講習が、一般に法定講習と呼ばれています。
ただし、試験に合格した日から1年以内に宅建士証の交付を受けようとする人は、この講習を受けなくてよいとされています(宅建業法22条の2第2項ただし書)。この扱いは交付の申請のときだけで、更新には適用されません。宅建業法22条の3第2項は、22条の2第2項の本文だけを準用しているためです。
宅建士証の有効期間は5年で(宅建業法22条の2第3項)、更新のたびに、申請前6か月以内に行われる法定講習を受ける必要があります(宅建業法22条の3第2項)。
法定講習は、一般社団法人・一般財団法人が行う講習で都道府県知事が指定したものか、都道府県知事自身が行う講習です(宅建業法施行規則14条の17)。実施団体・日程・受講料・受講方法は、都道府県ごとに異なります。たとえば東京都宅建協会では、同協会の案内によると、東京都で登録している宅建士を対象に、講義動画を視聴して効果測定を受けるWEB法定講習を行っています。登録をしている都道府県の案内で確かめましょう。
法定講習を受けないと、どうなるか
法定講習は、宅建士証の交付・更新を受けるための要件です。受講しないと更新を受けられず、有効期間(5年)が満了すると、宅建士証は効力を失います(宅建業法22条の2第3項)。効力を失った宅建士証は、速やかに返納します(同条6項)。宅建士は「宅建士証の交付を受けた者」と定められているため(宅建業法2条4号)、新しい宅建士証の交付を受けるまで、宅建士として重要事項の説明などはできないと考えられます。
なお、宅建業法が定める登録の消除の事由には期間の満了がないため、宅建士証が効力を失っても、宅建士の登録そのものは残ると読むことができます。ただし、登録が残っていても、宅建士証が無い間は宅建士の事務はできません。
交付のときの法定講習は宅建士証の交付申請のページ(法定講習)で、更新のときの法定講習と手続きは宅建士証の更新のページ(法定講習)でご案内しています。
よくある質問
宅建の講習は、何年ごとに受ければいいですか?
5年ごとに受けるのは法定講習です。宅建業法22条の2第3項の定めでは、宅建士証の有効期間は5年で、更新のたびに申請前6か月以内の法定講習を受けます(宅建業法22条の3第2項)。登録講習は試験の前、登録実務講習は登録の前に受ける講習です。
宅建の法定講習を受けないと、どうなりますか?
宅建士証の更新を受けられず、有効期間が満了すると宅建士証は効力を失い(宅建業法22条の2第3項)、返納が必要です(同条6項)。新しい宅建士証の交付を受けるまで、宅建士として重要事項の説明などはできません。宅建士の登録そのものは残ると読むことができます。
登録講習と登録実務講習は、違う講習ですか?
違う講習です。宅建業法16条3項の登録講習は、修了すると試験の一部が免除される講習です。登録実務講習は、実務経験が2年に満たない合格者が登録を受けるための講習です(宅建業法施行規則13条の16第1号)。
登録講習(5問免除)は、誰でも受けられますか?
宅建業法施行規則10条の5の基準では、登録講習は宅建業に従事する者に対して行う講習です。試験の実施機関の案内では、従業者証明書を持つ宅建業の従事者が対象で、一般の方は受講できないとされています。
法定講習は、オンラインで受けられますか?
受講方法は実施団体ごとに異なります。たとえば東京都宅建協会は、東京都で登録している宅建士を対象に、WEB法定講習を行っています。登録をしている都道府県の案内で確かめましょう。
まとめ
宅建の3つの講習は、受ける時期と目的が違います。登録講習は宅建業に従事する人が試験の前に受ける講習、登録実務講習は実務経験が2年に満たない合格者が登録のために受ける講習、法定講習は宅建士証の交付・更新の前に受ける講習です。合格の日から1年以内に交付を受ける場合に法定講習を受けなくてよい扱いは、交付のときだけで、更新には適用されません。
次のステップとして、目的に合わせて次のページをご覧ください。
- 登録実務講習の内容と実施機関を確かめる:登録実務講習のページ
- 宅建士証の交付を申請する:宅建士証の交付申請のページ
- 5年ごとの更新と法定講習を確かめる:宅建士証の更新のページ
- 合格後の手続きの全体を確かめる:宅建合格後の流れのページ