宅建業免許

専任の宅建士とは|5人に1人の数え方・常勤性・不足したときの補充

法令基準日
執筆
宅建試験講師(宅建の問題集・学習アプリの作者)

宅建業者は、事務所ごとに、業務に従事する者の5分の1以上の割合で、成年者である専任の宅地建物取引士(一般には「専任の宅建士」と呼ばれます)を置かなければなりません(宅地建物取引業法(以下「法」)31条の3第1項・宅地建物取引業法施行規則(以下「規則」)15条の5の3)。

「専任」とは、国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」では、その事務所に常勤し、宅建業の業務に専ら従事することと整理されています。退職などで専任の宅建士が不足したときは、2週間以内に要件を満たすための措置をとり(法31条の3第3項)、その後、変更の日から30日以内に、専任の宅建士の変更の届出をします(法9条)。

このページでは、専任の宅建士と宅建士の違い、人数の数え方、常勤・専従の考え方、掛け持ち(兼務)の扱い、不足したときの手続き、専任の宅建士になるまでの流れを、条文とあわせて整理します。

このページの目次
  1. 専任の宅建士と宅建士の違い
  2. 5人に1人の数え方
  3. 常勤性と専従性(アルバイト・在宅勤務)
  4. 掛け持ち・副業
  5. 専任の宅建士が不足したとき
  6. 名義貸しは禁止
  7. 専任の宅建士になるには

専任の宅建士と宅建士の違い

宅建士(宅地建物取引士)は、宅建試験に合格し、登録を受け、宅建士証の交付を受けた人です(法2条4号・18条1項・22条の2第1項)。専任の宅建士は、宅建士のうち、事務所に常勤・専従で置かれる人です。事務所に何人置くかという要件の中で使われる言葉です。

重要事項の説明は、宅建業者が宅建士にさせるもので(法35条1項)、説明のときの宅建士証の提示と35条書面への記名は、宅建士が行います(同条4項・5項)。37条書面への記名も、宅建業者が宅建士にさせます(法37条3項)。いずれも宅建士であればよく、専任の宅建士である必要はありません。

宅建業法には、専任の宅建士だけに限った事務の定めはありません。専任の宅建士かどうかが問われるのは、事務所に何人置いているかという場面です。

5人に1人の数え方

必要な人数は、規則15条の5の3が定めるとおり、業務に従事する者の5分の1以上です。一般には「5人に1人」と言われますが、これはこの割合の言い換えです。業務に従事する者の数ごとの必要な人数を、表1にまとめました。

表1 業務に従事する者の数と、必要な専任の宅建士の数
業務に従事する者の数 必要な専任の宅建士の数(事務所ごと)
1人〜5人 1人
6人〜10人 2人
11人〜15人 3人
16人〜20人 4人

規則15条の5の3は、業務に従事する者の数に対する専任の宅建士の数の割合が5分の1以上となる数と定めています。表の人数は、その割合を満たす最小の数です。業務に従事する者の範囲は、表の後で説明しています。

解釈・運用の考え方では、業務に従事する者には、代表者、役員(非常勤の役員を除きます)、すべての従業員が含まれ、受付・秘書・運転手なども含まれると整理されています(取引に直接的な関係が乏しい業務に臨時的に従事する人は除きます)。宅建業以外の事業も営む会社では、代表者、宅建業を担当する役員、宅建業の業務に従事する人が含まれ、宅建業を主として営む会社では、全体を統括する一般管理部門の職員も含まれるとされています。

また、事務所以外でも、契約を締結したり申込みを受けたりする案内所などには、1人以上の専任の宅建士が必要です(規則15条の5の2・15条の5の3)。

専任の宅建士は成年者でなければなりませんが、宅建業者が個人の場合の本人や、法人の役員が宅建士であるときは、その人が主として業務に従事する事務所の専任の宅建士とみなされ、未成年であっても認められます(法31条の3第2項)。この規定でいう「役員」は業務を執行する社員・取締役・執行役・これらに準ずる者に限られ、欠格事由でいう「役員」よりも範囲が狭く、相談役・顧問は含まれません。

常勤性と専従性(アルバイト・在宅勤務)

解釈・運用の考え方では、「専任」とは、その事務所に常勤して(通常の勤務時間を勤務すること。ITの活用などにより適切な業務ができる体制を確保したうえで、事務所以外で勤務する場合を含みます)、専ら宅建業の業務に従事することと整理されています。

アルバイトやパートの人を専任の宅建士にできるかは、常勤と専従の要件を満たしているかどうかで判断されます。雇用形態の名称で一律に決まるものではなく、常勤性をどの書類で確認するかも都道府県によって異なります。事務所以外で勤務する場合の確認方法も、都道府県の審査によります。

採用する前に、申請先の都道府県に確認することをおすすめします。

掛け持ち・副業

解釈・運用の考え方では、次のように整理されています。

  • 他の事務所の専任の宅建士を兼ねることはできません。
  • 事務所が建築士事務所・建設業の営業所などを兼ね、その法令で専任が必要な業務に就くときや、個人の宅建業者が同じ場所で土地家屋調査士・行政書士などの業務もあわせて行うときは、他の業種の業務量などから専任と認められる場合を除き、専任の宅建士とは認められません。
  • 賃貸住宅管理業の業務管理者との兼務は、認められるとされています。

このうち賃貸住宅管理業の業務管理者との兼務は、解釈・運用の考え方で兼務が認められているとしても、専任性は免許権者が確認します。兼務を始める前にも、申請先の都道府県に確認しておくと安心です。業務管理者の要件は、賃貸住宅管理業の登録のページで解説しています。

専任の宅建士が不足したとき

退職や異動で専任の宅建士が不足したときの手続きを、表2にまとめました。

表2 専任の宅建士が不足したとき
手続き いつまでに どこへ 書類 条文
専任の宅建士が不足したときの補充 不足した時から2週間以内に要件に適合させる措置(その後、変更の日から30日以内に変更届) (社内の措置)→免許権者へ変更届 変更届出書(別記様式第三号の四) 法31条の3第3項
法82条2号
変更の届出(商号・役員・政令で定める使用人・事務所・専任の宅建士) 変更から30日以内 免許権者 変更届出書(別記様式第三号の四)+規則5条の2第2項の添付書類。免許証の記載事項の変更は書換え交付申請(別記様式第三号の二)もあわせて 法9条1項

手続きは2段階です。まず、不足した時から2週間以内に、新しい専任の宅建士を置くなど、要件に適合させる措置をとらなければなりません(法31条の3第3項)。要件を満たさない事務所を新しく開くことも禁止されています(同項)。次に、専任の宅建士の氏名の変更として、変更の日から30日以内に免許権者へ変更の届出をします(法9条・4条1項5号)。

2週間以内の措置をとらないと、100万円以下の罰金の対象になり、法人にも罰金が科されます(法82条2号・84条2号)。退職の予定が分かった時点で、後任を探し始めることをおすすめします。

専任の宅建士の変更届

宅建業者が出す変更の届出は、商号・役員・政令で定める使用人・事務所・専任の宅建士の氏名が変わったときに、変更の日から30日以内に行います(法9条)。届出書の様式と添付書類は、宅建業の変更届のページで解説しています。

これとは別に、宅建士本人も、勤務先の宅建業者が変わったときなどは、自分の登録について、遅滞なく変更の登録を申請します(法20条)。宅建業者の届出と宅建士本人の申請は、別の手続きです。宅建士本人の手続きは、宅建士登録のページ(登録した後の届出)でまとめています。住所・氏名・勤務先が変わったときの手続きは、宅建士の変更の登録のページで解説しています。

名義貸しは禁止

名前だけを貸して、実際には事務所に常勤・専従していない専任の宅建士は、認められません。宅建士側が、実際には勤務していない事務所の専任の宅建士として表示することを宅建業者に許す行為や、他人に自分の名義の使用を許す行為は、都道府県知事による指示や事務禁止の処分の対象になります(法68条1項1号・2号・2項)。宅建業者側も、実態がなければ専任の宅建士を置く要件(法31条の3第1項)を満たしていないことになり、2週間以内に補わなければ罰則の対象になります(法31条の3第3項・82条2号)。免許の更新のときには、免許の基準(欠格事由)にも当たります(法5条1項15号)。

専任の宅建士になるには

専任の宅建士になるには、まず宅建士になる必要があります。宅建試験に合格した後、都道府県知事の登録を受け(法18条1項)、宅建士証の交付を受けると宅建士になります(法22条の2第1項・2条4号)。登録には2年以上の実務経験が必要ですが(法18条1項・規則13条の15)、2年に満たない場合も、登録実務講習の修了など、それに代わる道があります(規則13条の16第1号〜3号)。

試験に合格した日から1年以内に宅建士証の交付を受けようとする場合は、法定講習を受ける必要はありません(法22条の2第2項)。ただし、この扱いは交付のときだけに適用され、5年ごとの宅建士証の更新には適用されません(法22条の3第2項)。

自分が専任の宅建士になろうとする人は、宅建に合格してから専任の宅建士になるまでの手続きを順に確かめておくことをおすすめします。登録実務講習は登録実務講習、登録の申請は宅建士登録、宅建士証は宅建士証の交付申請のページで解説しています。

従業員に宅建士の資格を取ってもらう宅建業者は、試験の合格だけでなく、登録と宅建士証の交付までが必要なこと、登録の申請先は試験を行った都道府県知事であることを、あらかじめ本人に伝えておくとよいでしょう。採用や配置の後の手続きがスムーズになります。

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よくある質問

専任宅建士と宅建士の違いは、何ですか?

宅建士は、登録を受けて宅建士証の交付を受けた人の資格です(法2条4号)。専任の宅建士は、事務所ごとに常勤・専従で置く宅建士のことで、置く人数は法31条の3第1項と規則15条の5の3で定められています。

専任の宅建士しかできないことは、何ですか?

重要事項の説明や、35条書面・37条書面への記名は、宅建士であればよく、専任である必要はありません(法35条1項・5項・37条3項)。宅建業法には、専任の宅建士だけに限った事務の定めはありません。

宅建士5人に1人の計算方法は?

規則15条の5の3の定めでは、業務に従事する者の数に対する専任の宅建士の数の割合が5分の1以上です。解釈・運用の考え方では、業務に従事する者に受付・秘書・運転手なども含むと整理されています。

専任の宅建士になる条件は?

宅建士であること、成年者であること(ただし、宅建業者本人や法人の役員が宅建士である場合は、未成年者でも専任の宅建士とみなされます。法31条の3第2項)、事務所に常勤して専ら宅建業の業務に従事することです(解釈・運用の考え方)。常勤性の確認方法は都道府県によって異なります。

専任の宅建士が不足した場合、どうすればいいですか?

法31条の3第3項の定めでは、2週間以内に要件に適合させる措置をとる必要があります。その後、専任の宅建士の変更として、30日以内に変更の届出をします(法9条)。

関連するページ

免許を受けるための要件の全体は宅建業免許の要件、宅建業免許の全体像は宅建業免許とはのページで解説しています。事務所の要件(自宅・レンタルオフィスの扱い、事務所に掲げるものなど)は、宅建業の事務所の要件のページをご覧ください。

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