宅建の区分所有法|集会の決議要件と改正で変わった点

宅建試験の区分所有法で区別がつきにくいのは、集会の決議ごとに違う要件(決議に必要な割合と、割合を数える対象)と、2026年4月1日の改正で変わった点です。このページでは、宅建試験の受験生に向けて、区分所有法の集会の決議要件と集会の手続を、改正の前と後を並べた表で整理しました。あわせて、専有部分・共用部分・敷地利用権の違いと、管理者と管理組合法人の違いも表にしています。

結論からお伝えすると、区分所有法は、2026年4月1日施行の改正(令和7年法律第47号)で、集会の決議の数え方が「区分所有者と議決権の全体」から「集会に出席した区分所有者とその議決権」に変わりました。特別決議には出席の要件が付き、建替え決議は、いまも出席者ではなく全体の5分の4で決します(区分所有法39条1項・17条1項・31条1項・62条1項)。

令和7年までの本試験は、改正前の規定で出題されています。そのため、表1と表2は「いま(2026年4月1日から)」と「改正前(2026年3月31日まで)」の2列にしました。過去問を解くときは、改正前の列で出題時の結論を、いまの列で現行の規定による結論を、行ごとに見比べてみましょう。まずは表1から見ていきます。

本記事は、2026年9月時点で施行されている区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)にもとづいています。令和9年度(2027年度)試験の法令基準日は2027年4月1日です。

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宅建 権利関係の比較表

分野別の出題数と、借地借家法・区分所有法・不動産登記法の3つの論点の比較表を、表と数値だけで並べた資料です。

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集会の決議要件(2026年4月1日の改正の前と後)

表1を読むときの軸は、いまの決議の数え方を3つの段に分けることです。1つ目は、普通決議は、出席した区分所有者とその議決権の各過半数で決する(法律に出席の要件の定めはない)という段です。2つ目は、特別決議は、区分所有者の過半数で議決権の過半数を有する者が出席したうえで、出席した区分所有者とその議決権の各4分の3以上で決するという段です(建物の価格の2分の1を超える滅失の復旧は3分の2以上)。3つ目は、建替え決議などは、出席した者ではなく、区分所有者と議決権の全体の各5分の4以上で決するという段です(区分所有法39条1項・17条1項・61条5項・62条1項・64条の5第1項〜64条の8第1項)。どの段も、議決権を有しない区分所有者(表1の最後の行)を除いて数えます。

ただし、これは覚えるための整理で、3つの段では説明できない行もあります。共用部分の変更のうち、瑕疵の除去やバリアフリー化に必要なものは、出席した者の各3分の2以上です(区分所有法17条5項)。建替え決議も、建物が地震に対する安全性について法務大臣が定める基準に適合しないときなどは、全体の各4分の3以上になります(同法62条2項)。また、特別決議の割合を規約で下げられるのは共用部分の変更だけで、規約の設定・変更・廃止の4分の3は規約で下げられません(同法17条1項・31条1項)。正誤は、表1の条文の列で判断します。


「出題」は、昭和63年〜令和7年の本試験の過去問で、年度と問番号を確かめたものだけを載せています。「直近10年」は平成28年〜令和7年の本試験で、その行の論点が選択肢に出た回数です。「問われ方」は、過去問で誤りの選択肢として出た形です。正しい選択肢としてだけ出たものは「(正しい選択肢として出題)」としています。「条文」の列の区分所有法は、建物の区分所有等に関する法律です。条文の列は、いま(2026年4月1日から)の条・項です。表1・表2の「改正前」の列は、2026年3月31日までの規定です。令和7年までの本試験は改正前の規定で出題されているので、表1・表2の「出題」には、いまの規定では結論が変わる選択肢も含みます(結論は「改正前」の列のとおりです)。


表1 集会の決議要件(いまの規定と改正前)
項目 いま(2026年4月1日から) 改正前(2026年3月31日まで) 条文
普通決議(法律・規約に別段の定めがない事項)出題:令和4年 問13・令和元年 問13 ほか1件直近10年:2回問われ方:集会の議事は、原則として区分所有者と議決権の各4分の3以上の多数で決する、とする 出席した区分所有者(議決権を有しない区分所有者を除く)とその議決権の各過半数で決する。出席の要件は法律に定めがない。書面・代理人・電磁的方法で議決権を行使した者は、出席した者に数える 区分所有者と議決権の各過半数で決する(集会に出席しなかった者も含めた全体の過半数) 区分所有法39条1項
区分所有法39条2項
区分所有法39条3項
普通決議で決める主な事項出題:令和4年 問13・平成22年 問13 ほか1件直近10年:1回問われ方:管理者の選任は、規約でも集会の決議以外の方法にできない、とする 共用部分の管理(形状又は効用の著しい変更を伴わない共用部分の変更を含む)、管理者の選任・解任、建物の価格の2分の1以下の滅失の復旧の決議。いずれも規約で別段の定めができる 同じ(決め方は改正前の普通決議) 区分所有法17条1項
区分所有法18条1項
区分所有法18条2項
区分所有法25条1項
区分所有法61条3項
区分所有法61条4項
共用部分の変更(形状又は効用の著しい変更を伴うもの)出題:令和3年10月 問13・令和2年10月 問13 ほか5件直近10年:2回問われ方:形状又は効用の著しい変更を伴う変更を、各2分の1以上の多数で決せる、とする/区分所有者の定数は規約でも減らせない、とする/区分所有者の定数を規約で2分の1以上の多数まで減らせる、とする(2分の1ちょうどは含まない) 区分所有者(議決権を有しない区分所有者を除く)の過半数で議決権の過半数を有する者が出席し(出席の要件)、出席した区分所有者とその議決権の各4分の3以上の多数で決する。4分の3は、規約で2分の1を超える割合まで下げられる(区分所有者・議決権の両方)。専有部分の使用に特別の影響を及ぼすときは、その専有部分の所有者の承諾が必要 区分所有者と議決権の各4分の3以上(全体)の多数で決する。規約で過半数まで減らせるのは区分所有者の定数だけで、議決権は減らせない。専有部分の使用に特別の影響を及ぼすときは、その専有部分の所有者の承諾が必要 区分所有法17条1項
区分所有法17条2項
共用部分の変更のうち、瑕疵の除去・バリアフリー化に必要なもの直近10年の出題なし 共用部分の変更と同じ出席の要件で、出席した区分所有者とその議決権の各3分の2以上の多数で決する(規約で2分の1を超える割合まで下げられる)。共用部分の設置・保存の瑕疵によって他人の権利などが侵害され、又はそのおそれがあるときの瑕疵の除去と、高齢者・障害者等の移動・施設の利用の負担を軽くするための変更 この特例はない(共用部分の変更と同じ) 区分所有法17条5項
規約の設定・変更・廃止出題:平成30年 問13・平成7年 問14 ほか1件直近10年:1回問われ方:特別の影響を受ける区分所有者の承諾がなくても、規約を変更できる、とする/規約の設定・変更・廃止を区分所有者の過半数で決する、とする 区分所有者(議決権を有しない区分所有者を除く)の過半数で議決権の過半数を有する者が出席し(出席の要件)、出席した区分所有者とその議決権の各4分の3以上の多数で決する(4分の3を規約で下げることはできない)。一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときは、その承諾が必要 区分所有者と議決権の各4分の3以上(全体)の多数で決する。一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときは、その承諾が必要 区分所有法31条1項
管理組合法人の成立と、決議による解散出題:令和4年 問13・平成26年 問13直近10年:1回問われ方:管理組合法人になれるのは、区分所有者が30人以上の団体に限る、とする 規約の設定と同じ(出席の要件と、出席した区分所有者とその議決権の各4分の3以上)。成立には、法人となる旨・名称・事務所を決議で定め、主たる事務所の所在地で登記をすることが必要 区分所有者と議決権の各4分の3以上(全体)。登記で成立するのは同じ 区分所有法47条1項
区分所有法55条1項3号
区分所有法55条2項
共同の利益に反する行為をした(又はするおそれがある)区分所有者・占有者への措置出題:令和7年 問13・平成8年 問14 ほか2件直近10年:1回問われ方:管理組合法人は、区分所有権の競売を請求する訴えを提起できない、とする/管理組合法人は、占有者に専有部分の引渡しを請求する訴えを提起できない、とする/行為の停止などを請求する訴えに各4分の3以上の決議が要る、とする/管理組合法人は、集会の決議だけで占有者の賃貸借契約を解除できる、とする(訴えによる) 他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、行為の停止・結果の除去・予防のための措置を請求できる(訴えによらなくてもよい)。これを訴えで請求するには普通決議が必要。専有部分の使用の禁止、区分所有権と敷地利用権の競売、占有者の契約の解除と専有部分の引渡しを請求する訴えは、区分所有者(議決権を有しない区分所有者を除く)の過半数で議決権の過半数を有する者が出席し(出席の要件)、出席した区分所有者とその議決権の各4分の3以上の多数で決し、あらかじめ弁明する機会を与える。管理者や集会で指定された区分所有者も、集会の決議で訴えを提起できる 請求できる者と措置は同じ。行為の停止などの訴えは普通決議(全体の各過半数)。使用の禁止・競売・引渡しの訴えは、区分所有者と議決権の各4分の3以上(全体)で決し、あらかじめ弁明する機会を与える 区分所有法57条1項
区分所有法57条2項
区分所有法57条3項
区分所有法57条4項
区分所有法58条1項
区分所有法58条2項
区分所有法58条3項
区分所有法59条1項
区分所有法59条2項
区分所有法60条1項
区分所有法60条2項
建物の価格の2分の1以下の滅失の復旧出題:平成26年 問13・平成12年 問13 ほか1件直近10年の出題なし問われ方:建物の価格の3分の1の滅失でも、各区分所有者は単独で復旧できない、とする/2分の1以下の滅失の復旧は集会の決議に限り、規約で別段の定めができない、とする 各区分所有者が、滅失した共用部分と自己の専有部分を復旧できる(共用部分は、復旧の工事に着手するまでに復旧・建替えなどの決議があったときを除く)。集会の普通決議で共用部分の復旧を決めることもできる。規約で別段の定めができる 同じ(決め方は改正前の普通決議) 区分所有法61条1項
区分所有法61条3項
区分所有法61条4項
建物の価格の2分の1を超える滅失の復旧出題:平成9年 問13・平成7年 問14直近10年の出題なし問われ方:(正しい選択肢として出題) 区分所有者(議決権を有しない区分所有者を除く)の過半数で議決権の過半数を有する者が出席し(出席の要件)、出席した区分所有者とその議決権の各3分の2以上の多数で決する(3分の2を規約で下げることはできない。規約で別段の定めができるのは2分の1以下の滅失の復旧だけ)。決議の日から2週間を経過したときは、決議に賛成しなかった区分所有者は、賛成した区分所有者に建物と敷地の権利を時価で買い取るよう請求できる(決議の日から2週間以内に、賛成した区分所有者が全員の合意で買取指定者を指定し、買取指定者がその旨を書面で通知したときは、買取指定者に対してだけ請求できる)。滅失の日から6か月以内に復旧・建替えなどの決議がないときは、各区分所有者が他の区分所有者に買取りを請求できる 区分所有者と議決権の各4分の3以上(全体)の多数で決する(規約で別段の定めはできない)。買取りの請求の仕組みは同じ 区分所有法61条5項
区分所有法61条7項
区分所有法61条8項
区分所有法61条14項
建替え決議出題:平成21年 問13・平成9年 問13 ほか2件直近10年の出題なし問われ方:規約で定めれば、建替え決議を各4分の3以上の多数でできる、とする 区分所有者(議決権を有しない区分所有者を除く)と議決権の各5分の4以上の多数で決する(出席した者ではなく全体で数える。規約で割合を変えることはできない)。建物が、地震・火災に対する安全性や高齢者・障害者等の移動の円滑化について法務大臣が定める基準に適合しないとき、又は外壁などの剝離・落下や配管の劣化について法務大臣が定める基準に該当するときは、法律の特例で各4分の3以上。招集の通知は会日より少なくとも2か月前(規約で伸長できる)に発し、会日より少なくとも1か月前までに説明会を開く 区分所有者と議決権の各5分の4以上(全体)の多数で決する(規約で割合を変えることはできない。基準に当たるときの特例はない)。招集の通知の2か月前と説明会の1か月前は同じ 区分所有法62条1項
区分所有法62条2項
区分所有法62条6項
区分所有法62条8項
建替え決議に賛成しなかった区分所有者出題:平成10年 問13・平成6年 問14直近10年の出題なし問われ方:建替え決議に賛成しなかった区分所有者も、建替えに参加しなければならない、とする/建替えに参加しない区分所有者から、賛成した区分所有者に買取りを請求できる、とする 集会を招集した者が、建替えに参加するかどうかを回答するよう書面で催告する。催告を受けた日から2か月以内に回答しない者は、参加しない旨を回答したものとみなす。その期間の満了の日から2か月以内に、賛成した区分所有者・参加する旨を回答した区分所有者(又は買受指定者)は、参加しない区分所有者に区分所有権と敷地利用権を時価で売り渡すよう請求できる 同じ 区分所有法63条1項
区分所有法63条3項
区分所有法63条4項
区分所有法63条5項
建物更新・建物敷地売却・建物取壊し敷地売却・取壊しの決議直近10年の出題なし 改正で新しく設けられた決議。区分所有者(議決権を有しない区分所有者を除く)と議決権の各5分の4以上(建物敷地売却・建物取壊し敷地売却は、敷地利用権の持分の価格も5分の4以上)の多数で決する。建替え決議と同じ基準に当たるときは各4分の3以上 区分所有法には、これらの決議はなかった 区分所有法64条の5第1項
区分所有法64条の6第1項
区分所有法64条の7第1項
区分所有法64条の8第1項
所在等不明区分所有者の除外直近10年の出題なし 区分所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所が、ほかの区分所有者又は管理者の請求により、その区分所有者(所在等不明区分所有者)以外の区分所有者で決議できる旨の裁判をすることができる。所在等不明区分所有者とされた者は、集会の議決権を有しない この制度はない 区分所有法38条の2第1項
区分所有法38条の2第2項

「議決権を有しない区分所有者」は、裁判所の裁判で所在等不明区分所有者とされた区分所有者です(この表の最後の行)。「出席の要件」の割合は、規約でこれより多くできます。

普通決議

普通決議は、法律や規約に別段の定めがない事項を決める決議です。いまは、出席した区分所有者(議決権を有しない区分所有者を除く)とその議決権の各過半数で決します。書面や代理人、電磁的方法で議決権を行使した区分所有者は、出席した区分所有者に数えます(区分所有法39条1項〜3項)。改正前は、区分所有者と議決権の各過半数で決し、集会に出席しなかった者も含めた全体の過半数が必要でした。この変更は、一般には「定数主義から出席者主義へ」の改正と説明されます。

普通決議で決める主な事項は、共用部分の管理(形状又は効用の著しい変更を伴わない共用部分の変更を含む)、管理者の選任・解任、建物の価格の2分の1以下の滅失の復旧です。いずれも規約で別段の定めができるので、たとえば管理者の選任を、規約で集会の決議以外の方法にすることもできます(区分所有法18条1項・2項・25条1項・61条3項・4項)。

特別決議と出席の要件

形状又は効用の著しい変更を伴う共用部分の変更(一般には重大変更と呼ばれます)は、いまは、区分所有者(議決権を有しない区分所有者を除く)の過半数で議決権の過半数を有する者が出席し、出席した区分所有者とその議決権の各4分の3以上の多数で決します(区分所有法17条1項)。前半の「出席し」までが出席の要件(一般には定足数と呼ばれます)で、規約でこれを上回る割合を定めることはできます。

改正で変わったのは、出席の要件だけではありません。共用部分の変更の「各4分の3以上」という割合は、いまは、区分所有者と議決権の両方について、規約で2分の1を超える割合まで下げることができます。改正前は、全体の各4分の3以上で決し、規約で過半数まで減らせるのは区分所有者の定数だけでした(区分所有法17条1項。表1の改正前の列)。なお、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすときは、その専有部分の所有者の承諾が必要です。この点は改正の前後で変わりません(同条2項)。

規約の設定・変更・廃止と、管理組合法人の成立・決議による解散も、同じ出席の要件のうえで、出席した区分所有者とその議決権の各4分の3以上で決します(区分所有法31条1項・47条1項・55条2項)。ただし、規約の設定などの4分の3は、規約で下げることができません。規約の設定などが一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときは、その区分所有者の承諾が必要です(同法31条1項)。管理組合法人は、決議で法人となる旨・名称・事務所を定め、主たる事務所の所在地で登記をすることで成立します(同法47条1項)。

表1の「共同の利益に反する行為をした(又はするおそれがある)区分所有者・占有者への措置」の行は、請求と訴えを分けて読むと整理しやすくなります。区分所有者や占有者が共同の利益に反する行為をした場合、又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、行為の停止・結果の除去・予防のための措置を請求できます。この請求は訴えによらなくてもよく、訴えで請求するときに普通決議が必要です(区分所有法57条1項〜4項)。これに対して、専有部分の使用の禁止、区分所有権と敷地利用権の競売、占有者の契約の解除と専有部分の引渡しを請求する訴えは、特別決議(出席の要件と出席者の各4分の3以上)で決し、あらかじめ弁明する機会を与えなければなりません(同法58条1項〜3項・59条1項・2項・60条1項・2項)。

滅失の復旧と建替え決議

建物の価格の2分の1以下の滅失なら、各区分所有者が、滅失した共用部分と自己の専有部分を復旧できます(共用部分は、復旧の工事に着手するまでに復旧や建替えなどの決議があったときを除く)。集会の普通決議で共用部分の復旧を決めることもでき、どちらも規約で別段の定めができます(区分所有法61条1項・3項・4項)。

建物の価格の2分の1を超える滅失の復旧は、改正で割合が変わりました。いまは、出席の要件のうえで、出席した区分所有者とその議決権の各3分の2以上で決します。改正前は、全体の各4分の3以上でした。どちらの規定でも、この割合を規約で下げることはできません(区分所有法61条4項・5項)。決議の日から2週間を経過したときは、決議に賛成しなかった区分所有者が、賛成した区分所有者に建物と敷地の権利を時価で買い取るよう請求できます。決議の日から2週間以内に、賛成した区分所有者が全員の合意で買取指定者を指定し、買取指定者がその旨を書面で通知したときは、買取指定者に対してだけ請求できます(同条7項・8項)。

一方、建替え決議は、出席した者ではなく、区分所有者(議決権を有しない区分所有者を除く)と議決権の全体の各5分の4以上で決し、規約で割合を変えることもできません(区分所有法62条1項)。改正で加わったのは、建物が、地震・火災に対する安全性や高齢者・障害者等の移動の円滑化について法務大臣が定める基準に適合しないとき、又は外壁などの剝離・落下や配管の劣化について法務大臣が定める基準に該当するときは、法律の特例として全体の各4分の3以上で決することができるという定めです(同条2項)。建替え決議を会議の目的とする集会を招集する者は、会日より少なくとも2か月前に招集の通知を発し、会日より少なくとも1か月前までに説明会を開きます(同条6項・8項)。

建替え決議に賛成しなかった区分所有者には、集会を招集した者が、建替えに参加するかどうかを回答するよう書面で催告します。催告を受けた日から2か月以内に回答しない者は、参加しない旨を回答したものとみなされます。その後の請求は、参加する側からの「売渡し」の請求で、賛成した区分所有者などが、参加しない区分所有者に区分所有権と敷地利用権を時価で売り渡すよう請求します(区分所有法63条1項・3項〜5項)。

なお、改正で、建物更新・建物敷地売却・建物取壊し敷地売却・取壊しの決議が新しく設けられました。建替え決議と同じく全体の各5分の4以上(建物敷地売却・建物取壊し敷地売却は、敷地利用権の持分の価格の5分の4以上も必要)で決する決議で、建替え決議と同じ基準に当たるときは各4分の3以上で決します(区分所有法64条の5第1項・64条の6第1項・64条の7第1項・64条の8第1項。4分の3は、各条の3項が準用する62条2項)。令和7年までの本試験では、表1のこの行はまだ出題されていません。

所在等不明区分所有者の除外

表1・表2の多くの値にある「議決権を有しない区分所有者を除く」は、改正で設けられた所在等不明区分所有者の制度によるものです。区分所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、ほかの区分所有者又は管理者の請求により、その区分所有者以外の区分所有者で集会の決議ができる旨の裁判をすることができます。この裁判で所在等不明区分所有者とされた者は、集会の議決権を有しません(区分所有法38条の2第1項・2項)。そのため、全体で数える建替え決議でも、この者は、区分所有者の数からも議決権の数からも除かれます(同法62条1項)。


集会の手続と規約

表2は、区分所有者の団体の行のあとに、集会を「招集する→通知する→通知した事項を決議する→議事録を作る」の順に並べ、占有者の行をはさんで、規約(保管と閲覧を含む)の行と国内管理人の行を置いています。「改正前」の列が「同じ」だけの行は中身が変わっていない行で、「同じ」に括弧の説明が付いた行と、「同じ」でない行は、改正で変わった点がある行です。


表2 集会の手続と規約(いまの規定と改正前)
項目 いま(2026年4月1日から) 改正前(2026年3月31日まで) 条文
区分所有者の団体出題:平成11年 問15直近10年の出題なし問われ方:区分所有者の団体に加わるかどうかは、各区分所有者の意思による、とする 区分所有者は、全員で、建物・敷地・附属施設の管理を行うための団体を構成し、集会を開き、規約を定め、管理者を置くことができる(区分所有者であれば構成員となり、加わるかどうかを選べない) 同じ 区分所有法3条
集会を招集する者と回数出題:令和4年 問13・平成29年 問13 ほか3件直近10年:2回問われ方:管理者は、少なくとも毎年2回集会を招集しなければならない、とする 管理者が招集し、少なくとも毎年1回招集しなければならない。管理者がないときは、区分所有者(議決権を有しない区分所有者を除く)の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有する者が招集できる(この定数は規約で減らせる) 同じ(議決権を有しない区分所有者を除く定めはなかった) 区分所有法34条1項
区分所有法34条2項
区分所有法34条5項
区分所有者による招集の請求出題:平成29年 問13・平成10年 問13直近10年:1回問われ方:集会の招集を請求できる定数(5分の1)は、規約で減らせない、とする 区分所有者(議決権を有しない区分所有者を除く)の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有する者は、会議の目的たる事項を示して、管理者に集会の招集を請求できる(この定数は規約で減らせる)。請求の日から2週間以内に、4週間以内の日を会日とする招集の通知が発せられなかったときは、請求した区分所有者が招集できる 同じ(議決権を有しない区分所有者を除く定めはなかった) 区分所有法34条3項
区分所有法34条4項
招集の通知の期間と中身出題:平成27年 問13・平成21年 問13 ほか1件直近10年の出題なし問われ方:招集の通知は、会日より少なくとも2週間前に発する、とする 会日より少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項と議案の要領を示して、各区分所有者(議決権を有しない区分所有者を除く)に発する。この期間は規約で伸長できる(短くすることはできない)。建替え決議などは2か月前(表1) 会日より少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項を示して発する。この期間は規約で伸縮できた(短くすることもできた)。議案の要領は、共用部分の変更・規約の設定などの決議事項のときに示した 区分所有法35条1項
招集の通知のあて先と掲示出題:令和6年 問13・平成29年 問13 ほか2件直近10年:2回問われ方:(正しい選択肢として出題) 専有部分が数人の共有に属するときは、議決権を行使すべき者(その者がないときは共有者の1人)にすれば足りる。区分所有者が通知を受けるべき場所を管理者に通知したときはその場所に、通知しなかったときは専有部分が所在する場所にあてて発すれば足り、通常それが到達すべき時に到達したものとみなす。建物内に住所を有する区分所有者などへの通知は、規約に特別の定めがあれば、建物内の見やすい場所に掲示してでき、掲示をした時に到達したものとみなす 同じ 区分所有法35条2項
区分所有法35条3項
区分所有法35条4項
招集の手続の省略出題:令和5年 問13・平成29年 問13 ほか2件直近10年:2回問われ方:区分所有者(と議決権)の4分の3以上の同意で、招集の手続を省略できる、とする 区分所有者(議決権を有しない区分所有者を除く)全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで集会を開ける 区分所有者全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで開ける 区分所有法36条
決議できる事項出題:令和5年 問13・平成18年 問16直近10年:1回問われ方:(正しい選択肢として出題) あらかじめ通知した事項についてだけ決議できる。ただし、法律で集会の決議に特別の定数が定められている事項を除き、規約で別段の定めができる。招集の手続を省略した集会には、この制限はない 同じ 区分所有法37条1項
区分所有法37条2項
区分所有法37条3項
議決権とその行使出題:令和元年 問13・平成22年 問13 ほか2件直近10年:1回問われ方:議決権は集会に出席して行使し、書面・代理人では行使できない、とする/専有部分の共有者は、それぞれ議決権を行使できる、とする/規約で定めれば、議決権を行使すべき者を2人まで定められる、とする 議決権は、規約に別段の定めがない限り、共用部分の持分の割合(専有部分の床面積の割合)による。専有部分が数人の共有に属するときは、共有者が持分の価格の過半数で、議決権を行使すべき者1人を定める。議決権は書面・代理人で行使でき、規約又は集会の決議で電磁的方法でも行使できる 議決権の割合と、書面・代理人・電磁的方法による行使は同じ。共有者は議決権を行使すべき者1人を定める(持分の価格の過半数で定める旨の規定はなかった) 区分所有法38条
区分所有法39条2項
区分所有法39条3項
区分所有法40条
書面・電磁的方法による決議出題:令和3年10月 問13・平成23年 問13 ほか1件直近10年:1回問われ方:(正しい選択肢として出題) 区分所有者(議決権を有しない区分所有者を除く)全員の承諾があるときは、集会を開かずに書面又は電磁的方法で決議できる。区分所有者(議決権を有しない区分所有者を除く)全員の書面又は電磁的方法による合意があったときは、決議があったものとみなす。いずれも集会の決議と同一の効力がある 区分所有者全員の承諾があるときにできる(ほかは同じ) 区分所有法45条1項
区分所有法45条2項
区分所有法45条3項
議長と議事録出題:令和7年 問13・令和元年 問13 ほか3件直近10年:2回問われ方:書面の議事録には、集会に出席した区分所有者の全員が署名する、とする/書面の議事録には、議長と出席した区分所有者の1人が署名すればよい、とする 議長は、規約に別段の定めがある場合と別段の決議をした場合を除き、管理者又は集会を招集した区分所有者の1人。議事録は議長が書面又は電磁的記録で作成し、議事の経過の要領とその結果を記載する。書面のときは、議長と集会に出席した区分所有者の2人が署名する(押印は要らない)。電磁的記録のときは、同じ者が署名に代わる措置を執る 同じ(押印が要らなくなったのは2021年9月1日から。それまでは署名押印) 区分所有法41条
区分所有法42条1項
区分所有法42条2項
区分所有法42条3項
区分所有法42条4項
占有者(区分所有者以外の専有部分の占有者)出題:令和3年12月 問13・令和元年 問13 ほか7件直近10年:3回問われ方:区分所有法は、占有者の権利義務を定めていない、とする/占有者は、利害関係があれば集会で議決権を行使できる、とする 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有するときは、集会に出席して意見を述べられる(議決権は有しない)。その場合、招集する者は、招集の通知を発した後遅滞なく、集会の日時・場所・会議の目的たる事項・議案の要領を建物内の見やすい場所に掲示する。占有者は、建物・敷地・附属施設の使用方法について、区分所有者が規約・集会の決議にもとづいて負う義務と同一の義務を負う 同じ(掲示に議案の要領は含まなかった) 区分所有法44条1項
区分所有法44条2項
区分所有法46条2項
規約で定められること出題:平成17年 問14・平成6年 問14直近10年の出題なし問われ方:(正しい選択肢として出題) 建物・敷地・附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項を定められる(敷地・附属施設が区分所有者の共有に属しないときも含む。区分所有者以外の者の権利を害することはできない)。区分所有者間の利害の衡平が図られるように定め、書面又は電磁的記録で作成する 同じ 区分所有法30条1項
区分所有法30条3項
区分所有法30条4項
区分所有法30条5項
公正証書による規約の設定出題:令和3年12月 問13・平成21年 問13 ほか3件直近10年:1回問われ方:規約は集会の決議でしか設定できず、最初に専有部分の全部を所有する分譲業者は設定できない、とする/公正証書による規約で、共用部分の持分の割合を定められる、とする/譲り受けて専有部分の全部を所有することになった者も、公正証書で規約を設定できる、とする/構造上の共用部分を、公正証書による規約で定められる、とする 最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、規約共用部分・規約敷地・専有部分と敷地利用権の分離処分を認める定め・各専有部分の敷地利用権の割合の定めの規約を設定できる(これら以外の事項は設定できない) 同じ 区分所有法32条
一部共用部分の規約出題:令和5年 問13・平成23年 問13 ほか1件直近10年:1回問われ方:一部共用部分の事項を区分所有者全員の規約で定めるには、共用すべき区分所有者全員の承諾が要る、とする/一部共用部分の事項は、区分所有者全員の規約に定められない、とする 一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものは、区分所有者全員の規約に定めがある場合を除き、これを共用すべき区分所有者の規約で定められる。これを区分所有者全員の規約で設定・変更・廃止するときは、共用すべき区分所有者(議決権を有しない区分所有者を除く)の4分の1を超える者又はその議決権の4分の1を超える議決権を有する者が反対したときはできない 同じ(議決権を有しない区分所有者を除く定めはなかった) 区分所有法30条2項
区分所有法31条2項
規約・議事録の保管と閲覧出題:令和2年12月 問13・平成30年 問13 ほか5件直近10年:2回問われ方:議事録の保管場所は掲示しなくてよい、とする/規約の保管場所は、各区分所有者に通知したうえで掲示する、とする/管理者がないときの規約の保管者を、理事会の決議で定められる、とする 規約と議事録は、管理者が保管する(管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で、規約又は集会の決議で定める者)。利害関係人の請求があったときは、正当な理由がある場合を除き閲覧を拒めない。保管場所は建物内の見やすい場所に掲示する(各区分所有者への通知は要らない)。保管・閲覧・議事録の作成の義務に違反した管理者などは20万円以下の過料に処される 同じ(過料の条は71条) 区分所有法33条1項
区分所有法33条2項
区分所有法33条4項
区分所有法42条5項
区分所有法91条1号
区分所有法91条2号
区分所有法91条3号
規約・集会の決議の効力出題:令和6年 問13・令和2年12月 問13 ほか2件直近10年:2回問われ方:規約・集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しては効力を生じない、とする 区分所有者の特定承継人に対しても効力を生ずる 同じ 区分所有法46条1項
国内に住所がない区分所有者(国内管理人)直近10年の出題なし 国内に住所又は居所を有しない区分所有者は、国内に住所又は居所を有する者のうちから国内管理人を選任でき、国内管理人は、保存行為・集会の招集の通知の受領・議決権の行使などをする権限を有する この制度はない 区分所有法6条の2第1項
区分所有法6条の2第2項

「同じ」は、改正の前後で規定の中身が同じものです。議決権を有しない区分所有者は、表1の最後の行にあります。

まず、招集です。集会は管理者が招集し、管理者は少なくとも毎年1回、集会を招集しなければなりません(区分所有法34条1項・2項)。区分所有者(議決権を有しない区分所有者を除く)の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有する者は、会議の目的たる事項を示して、管理者に集会の招集を請求できます。この定数は規約で減らせます(同条3項)。請求の日から2週間以内に、その日から4週間以内の日を会日とする招集の通知が発せられなかったときは、請求した区分所有者が集会を招集できます(同条4項)。管理者がないときも、同じ定数の区分所有者が招集できます(同条5項)。

次に、招集の通知です。招集の通知は、会日より少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項と議案の要領を示して、各区分所有者(議決権を有しない区分所有者を除く)に発します。いまは、この期間を規約で伸長できるだけで、短くすることはできません(区分所有法35条1項)。改正前は、規約で伸縮でき(短くすることもでき)、議案の要領を示すのも、共用部分の変更や規約の設定などを決議するときだけでした。改正前の説明のまま「規約で伸縮できる」と書いている解説もあるので、表2の「招集の通知の期間と中身」の行で、いまの値を確かめておきましょう。区分所有者(議決権を有しない区分所有者を除く)全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで集会を開けます(同法36条)。

そして、決議です。集会では、あらかじめ通知した事項についてだけ決議できます。この制限は、法律で特別の定数が定められている事項を除き、規約で別段の定めができます。また、招集の手続を省略した集会には、この制限がありません(区分所有法37条1項〜3項)。議決権は、規約に別段の定めがない限り、共用部分の持分の割合によります(同法38条)。専有部分が数人の共有に属するときは、共有者が持分の価格の過半数で、議決権を行使すべき者1人を定めます(同法40条)。この「持分の価格の過半数で」は、改正で加わった定めです。また、区分所有者(議決権を有しない区分所有者を除く)全員の承諾があるときは、集会を開かずに、書面又は電磁的方法で決議できます(同法45条1項)。

表2で押さえておきたいのは、占有者の行です。区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者(賃借人など)は、会議の目的たる事項につき利害関係を有するときは、集会に出席して意見を述べることができますが、議決権はありません(区分所有法44条1項・38条)。この場合、集会を招集する者は、招集の通知を発した後遅滞なく、集会の日時・場所・会議の目的たる事項・議案の要領を、建物内の見やすい場所に掲示します(同条2項)。一方で、建物・敷地・附属施設の使用方法については、占有者(区分所有者以外の専有部分の占有者)も、区分所有者が規約や集会の決議にもとづいて負う義務と同一の義務を負います(同法46条2項)。

議事録は、議長が書面又は電磁的記録で作成し、書面のときは、議長と、集会に出席した区分所有者2人が署名します(区分所有法42条1項〜3項)。押印は、2026年4月1日の改正とは別の2021年9月1日の改正で不要になったので、表2の改正前の列も署名だけで、括弧の中にそれまでの経緯を書いています。

最後に、規約の行です。最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、規約共用部分・規約敷地・専有部分と敷地利用権の分離処分を認める定め・各専有部分の敷地利用権の割合の4つの事項に限って、規約を設定できます(区分所有法32条)。規約と議事録は管理者が保管し、利害関係人の請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて閲覧を拒めません。保管場所は建物内の見やすい場所に掲示し、各区分所有者に通知する必要はありません(同法33条1項・2項・4項・42条5項)。保管・閲覧・議事録の作成の義務に違反した管理者などは20万円以下の過料に処されますが(同法91条1号〜3号。改正前は71条)、保管場所の掲示は、この過料の対象に挙げられていません。規約と集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しても効力を生じます(同法46条1項)。

このほか、改正で、国内に住所又は居所を有しない区分所有者が、国内に住所又は居所を有する者のうちから国内管理人を選任できる制度も設けられました(区分所有法6条の2第1項・2項)。表2の最後の行で、国内管理人の権限(保存行為・集会の招集の通知の受領・議決権の行使など)を確かめられます。


専有部分・共用部分・敷地利用権の違い

表3を読むときの軸は、専有部分を処分すれば共用部分の持分はそれに従い、敷地利用権も原則として専有部分と分離して処分できないという点です。ただし、共用部分の持分は、法律に別段の定めがある場合を除き専有部分と分離して処分できないのに対し、敷地利用権は、数人で有する所有権などであるとき(専有部分の全部を1人で所有し、敷地利用権を単独で有するときも同じ)に分離処分が禁じられ、規約で別段の定めをすれば分離して処分できます(区分所有法15条・22条1項・3項)。


表3 専有部分・共用部分・敷地利用権の違い
項目 専有部分 共用部分 敷地利用権 条文
どんな部分・権利か出題:平成11年 問15直近10年の出題なし問われ方:(正しい選択肢として出題) 構造上区分され、独立して住居・店舗・事務所・倉庫などの用途に供することができる建物の部分で、区分所有権の目的となるもの(規約で共用部分とされたものを除く) 専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物、規約で共用部分とされた附属の建物。数個の専有部分に通ずる廊下・階段室など、構造上共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならない 専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利(所有権・借地権など) 区分所有法1条
区分所有法2条1項
区分所有法2条3項
区分所有法2条4項
区分所有法2条6項
区分所有法4条1項
規約で定められること出題:令和3年12月 問13・平成17年 問14直近10年:1回問われ方:構造上の共用部分を、規約で専有部分にできる、とする/構造上の共用部分を、公正証書による規約で定められる、とする 専有部分となることができる建物の部分と附属の建物は、規約で共用部分にできる(規約共用部分)。その旨の登記をしなければ第三者に対抗できない 構造上の共用部分を、規約で専有部分にすることはできない。規約で、共用部分の所有者を管理者や特定の区分所有者と定められる(区分所有者以外の者は管理者に限る) 建物が所在する土地と一体として管理・使用する庭・通路などの土地は、規約で建物の敷地にできる(規約敷地) 区分所有法4条1項
区分所有法4条2項
区分所有法11条2項
区分所有法27条1項
区分所有法5条1項
所有と持分出題:令和7年 問13・令和6年 問13 ほか9件直近10年:6回問われ方:共用部分の持分の床面積を、壁その他の区画の中心線で測る、とする/共用部分の持分の割合は規約で変えられない、とする/共用部分は、全員の共有の登記をしなければ第三者に対抗できない、とする/共用部分の持分は共有者の数で等分する、とする 区分所有者が区分所有権を有する(数人で共有することもある) 区分所有者全員の共有(一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有)。規約で別段の定めができる。各共有者の持分は、専有部分の床面積(壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積)の割合で、規約で別段の定めができる。共用部分には民法177条(登記がなければ第三者に対抗できない)を適用しない 敷地利用権が数人で有する所有権などのとき、区分所有者が数個の専有部分を所有するときの各専有部分の敷地利用権の割合は、専有部分の床面積の割合(規約で別段の割合を定められる) 区分所有法11条1項
区分所有法11条2項
区分所有法11条3項
区分所有法14条1項
区分所有法14条3項
区分所有法14条4項
区分所有法22条2項
処分出題:令和3年10月 問13・平成22年 問13 ほか3件直近10年:1回問われ方:専有部分と敷地利用権を分離して処分できないことは、規約でも変えられない、とする/規約に定めがなければ、専有部分と敷地利用権を分離して処分できる、とする 専有部分を処分すると、共用部分の持分はそれに従う。敷地利用権とは原則として分離して処分できない(敷地利用権の列) 共有者の持分は、その有する専有部分の処分に従い、法律に別段の定めがある場合を除き、専有部分と分離して処分できない 数人で有する所有権などのとき(専有部分の全部を所有する者が単独で有するときも同じ)は、専有部分と分離して処分できない(規約で別段の定めができる)。これに違反する処分の無効は、善意の相手方に主張できない(分離して処分できない旨の登記をした後の処分を除く) 区分所有法15条1項
区分所有法15条2項
区分所有法22条1項
区分所有法22条3項
区分所有法23条
管理と費用出題:令和5年 問13・令和2年10月 問13 ほか4件直近10年:2回問われ方:共用部分の保存行為に集会の決議(各過半数)が要る、とする/共用部分の保存行為は、規約の定めにかかわらず単独でできる、とする/共用部分の管理の費用は共有者で等分する、とする 各区分所有者が管理する。区分所有者は、専有部分・共用部分を保存・改良するため必要な範囲で、他の区分所有者の専有部分や自己の所有に属しない共用部分を使用し、又は自ら保存することを請求できる(損害を与えたときは償金を支払う)。占有者はこの請求はできない 保存行為は各共有者が単独でできる。管理は普通決議、形状又は効用の著しい変更は特別決議(表1)。管理と保存行為は規約で別段の定めができる。各共有者は、規約に別段の定めがない限り持分に応じて負担し、利益を収取する 建物の敷地・附属施設が区分所有者の共有に属するときは、共用部分の変更・管理・負担の規定を準用する 区分所有法6条2項
区分所有法6条3項
区分所有法18条1項
区分所有法18条2項
区分所有法19条
区分所有法21条

共用部分の変更・管理を決める集会の決議要件は、表1にあります。

まず、3つの意味です。専有部分は、構造上区分され、独立して住居・店舗・事務所・倉庫などの用途に供することができる建物の部分で、区分所有権の目的となるものです。共用部分は、専有部分以外の建物の部分などで、数個の専有部分に通ずる廊下や階段室のように構造上共用に供されるべき部分は、区分所有権の目的となりません(区分所有法1条・2条3項・4項・4条1項)。敷地利用権は、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利です(同法2条6項)。専有部分となることができる部分や附属の建物は、規約で共用部分にでき(規約共用部分)、その旨の登記をしなければ第三者に対抗できません(同法4条2項)。これに対して、構造上の共用部分は区分所有権の目的とならないので、規約で専有部分にすることはできません(同法4条1項)。

次に、持分です。共用部分は区分所有者全員の共有で、各共有者の持分は、専有部分の床面積の割合によります。この床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積で、持分の割合は規約で別段の定めができます(区分所有法11条1項・14条1項・3項・4項)。表3の中で直近10年の出題が最も多いのは、この「所有と持分」の行です。共用部分には、登記がなければ第三者に対抗できないとする民法177条は適用されません(区分所有法11条3項)。

そして、管理です。共用部分の保存行為は、各共有者が単独でできます。共用部分の管理は普通決議、重大変更は特別決議で(表1)、管理と保存行為は規約で別段の定めができます。共用部分の負担と利益は、規約に別段の定めがない限り、持分に応じます(区分所有法18条1項・2項・19条)。また、区分所有者は、専有部分や共用部分を保存・改良するため必要な範囲で、他の区分所有者の専有部分などを使用し、又は自ら保存することを請求できますが、占有者はこの請求はできません(同法6条2項・3項)。

区分建物の表題登記や、敷地権である旨の登記といった登記の手続は、不動産登記法の論点です。区分建物の登記は、宅建の不動産登記法のページの表6で整理しています。


管理者と管理組合法人の違い

表4を読むときの軸は、管理者は区分所有者の団体が置くかどうかを選べる者で、管理組合法人は団体そのものが特別決議と登記で法人になったものという点です。管理者は区分所有者でなくてもよく、任期も法律に定めがありません。管理組合法人は理事と監事を置かなければならず、理事・監事の任期は2年です(区分所有法3条・25条1項・47条1項・49条1項・6項・50条1項・4項)。


表4 管理者と管理組合法人の違い
項目 管理者 管理組合法人 条文
置くか・どうやって置くか出題:令和3年12月 問13・令和2年12月 問13 ほか4件直近10年:2回問われ方:管理者の選任は、規約でも集会の決議以外の方法にできない、とする/管理組合法人になれるのは、区分所有者が30人以上の団体に限る、とする 置くかどうかは任意。規約に別段の定めがない限り、集会の決議(普通決議)で選任・解任する。不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者が裁判所に解任を請求できる 区分所有者の団体が、集会の決議(表1)で法人となる旨・名称・事務所を定め、主たる事務所の所在地で登記をして成立する(区分所有者の人数の要件はない)。理事と監事を置かなければならない 区分所有法25条1項
区分所有法25条2項
区分所有法47条1項
区分所有法49条1項
区分所有法50条1項
誰がなれるか・任期出題:平成28年 問13・平成27年 問13 ほか1件直近10年:1回問われ方:管理者の任期は2年以内としなければならない、とする/管理者は区分所有者でなければならない、とする 区分所有者でなくてもよい。任期は法律に定めがない 理事・監事の任期は2年(規約で3年以内の別段の期間を定められる)。監事は、理事又は管理組合法人の使用人と兼ねられない 区分所有法25条1項
区分所有法49条6項
区分所有法50条2項
区分所有法50条4項
権限と代理出題:令和3年12月 問13・平成24年 問13直近10年:1回問われ方:(正しい選択肢として出題) 共用部分などを保存し、集会の決議を実行し、規約で定めた行為をする。その職務に関し区分所有者を代理する(損害保険契約の保険金・損害賠償金などの請求と受領を含む)。代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗できない その事務に関し区分所有者を代理する(保険金などの請求と受領を含む)。理事が法人を代表し、理事が数人のときは各自代表する(規約・集会の決議で別段の定めができる)。理事が数人のときは、規約に別段の定めがない限り事務は理事の過半数で決する。保存行為は理事が決められる 区分所有法26条1項
区分所有法26条2項
区分所有法26条3項
区分所有法47条6項
区分所有法47条7項
区分所有法49条2項
区分所有法49条3項
区分所有法49条4項
区分所有法49条5項
区分所有法52条2項
訴訟出題:令和4年 問13・平成13年 問15 ほか1件直近10年:1回問われ方:管理者が原告又は被告となるのは、集会の決議による場合に限られる、とする/管理者は、規約・集会の決議があっても原告又は被告になれない、とする/規約により原告又は被告となった管理者は、区分所有者に通知しなくてよい、とする 規約又は集会の決議により、その職務に関し、区分所有者のために原告又は被告となれる。規約により原告又は被告となったときは、遅滞なく区分所有者にその旨を通知する 規約又は集会の決議により、その事務に関し、区分所有者のために原告又は被告となれる。規約により原告又は被告となったときは、遅滞なく区分所有者にその旨を通知する 区分所有法26条4項
区分所有法26条5項1号
区分所有法47条8項
区分所有法47条9項1号
集会の招集と事務の報告出題:令和6年 問13・平成28年 問13 ほか1件直近10年:2回問われ方:管理者は、毎年2回その事務に関する報告をする、とする 少なくとも毎年1回集会を招集し、集会で毎年1回一定の時期にその事務に関する報告をする 理事が、少なくとも毎年1回集会を招集し、毎年1回一定の時期に事務に関する報告をする 区分所有法34条2項
区分所有法43条
区分所有法47条12項
共用部分の所有(管理所有)出題:令和7年 問13・令和2年12月 問13 ほか1件直近10年:3回問われ方:(正しい選択肢として出題) 規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有できる。所有しても、形状又は効用の著しい変更を伴う共用部分の変更はできない 管理者の規定が適用されないので、管理所有の定めはない 区分所有法27条1項
区分所有法27条2項
区分所有法20条2項
区分所有法47条11項
区分所有者の責任出題:平成24年 問13・平成4年 問16直近10年の出題なし問われ方:管理者の行為についての区分所有者の責任の割合は、規約にかかわらず共用部分の持分の割合による、とする 管理者が職務の範囲内で第三者との間にした行為について、区分所有者は共用部分の持分と同じ割合で責任を負う(規約で管理の経費の負担の割合を定めていれば、その割合)。第三者の債権は、区分所有者の特定承継人に対しても行える 法人の財産で債務を完済できないとき・法人の財産への強制執行が効を奏しなかったときは、区分所有者が同じ割合で弁済の責任を負う(法人に資力があり執行が容易であることを証明したときを除く)。特定承継人も同じ責任を負う 区分所有法29条1項
区分所有法29条2項
区分所有法53条1項
区分所有法53条2項
区分所有法53条3項
区分所有法54条

管理組合法人には、管理者の規定(25条〜29条)が適用されません。

管理者は、規約に別段の定めがない限り、集会の普通決議で選任・解任します。不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者が、管理者の解任を裁判所に請求できます(区分所有法25条1項・2項)。管理組合法人には、区分所有者の人数の要件がありません(2003年6月1日の改正の前は、区分所有者が30人以上の団体に限られていました)。理事・監事の任期の2年は、規約で3年以内の別段の期間を定められ、監事は理事や管理組合法人の使用人と兼ねられません(同法49条6項・50条2項・4項)。

権限の面では、どちらも、その職務(事務)に関し区分所有者を代理し、規約又は集会の決議により、区分所有者のために原告又は被告となれます。規約により原告又は被告となったときは、遅滞なく区分所有者にその旨を通知します(区分所有法26条2項・4項・5項・47条6項・8項・9項)。代理権に加えた制限は、どちらも善意の第三者に対抗できません(同法26条3項・47条7項)。

権限の面で大きな違いが出るのは、共用部分の所有です。管理者は、規約に特別の定めがあるときは共用部分を所有でき(管理所有)、その場合も、形状又は効用の著しい変更を伴う共用部分の変更はできません(区分所有法27条1項・2項・20条2項)。管理組合法人には管理者の規定が適用されないので、管理所有の定めはありません(同法47条11項)。

最後に、区分所有者の責任です。管理者が職務の範囲内で第三者との間にした行為については、区分所有者が共用部分の持分と同じ割合(規約で管理の経費の負担の割合を定めていれば、その割合)で責任を負います(区分所有法29条1項)。管理組合法人では、法人の財産で債務を完済できないときなどに、区分所有者が同じ割合で弁済の責任を負います(同法53条1項・2項)。どちらの場合も、区分所有者の特定承継人が同じ責任を負います(同法29条2項・54条)。

区分所有法の選択肢で迷ったときは、まず集会の決議の話か、集会の手続や規約の話かを決め、表1か表2の行で、いまの規定と改正前の規定を照らし合わせましょう。専有部分・共用部分の話なら表3、管理者と管理組合法人の話なら表4の行で確かめられます。


よくある質問

2026年4月1日の改正で、区分所有法の集会の決議は何が変わりましたか?

集会の決議の数え方が、区分所有者と議決権の全体から、集会に出席した区分所有者(議決権を有しない区分所有者を除く)とその議決権に変わりました(区分所有法39条1項)。共用部分の重大変更や規約の設定などの特別決議には、区分所有者(議決権を有しない区分所有者を除く)の過半数で議決権の過半数を有する者の出席という要件が付き、出席した区分所有者とその議決権の各4分の3以上で決します(同法17条1項・31条1項)。ただし、建替え決議は、いまも出席した者ではなく全体の各5分の4以上で決します(同法62条1項)。改正の前と後の違いは、このページの表1で行ごとに確かめられます。

集会の招集の通知の期間は、規約で短くできますか?

いまは短くできません。区分所有法35条1項は、招集の通知を会日より少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項と議案の要領を示して発するとし、この期間は規約で伸長できるとしています。2026年3月31日までは、規約で伸縮できる(短くすることもできる)と定められていました。建替え決議を会議の目的とする集会の招集の通知は、会日より少なくとも2か月前です(同法62条6項)。

建替え決議も、出席した区分所有者の多数で決められるようになりましたか?

いいえ。建替え決議は、いまも、区分所有者(議決権を有しない区分所有者を除く)と議決権の全体の各5分の4以上の多数で決し、規約で割合を変えることもできません(区分所有法62条1項)。ただし、建物が地震に対する安全性について法務大臣が定める基準に適合しないときなどは、全体の各4分の3以上の多数で決します(同条2項)。

区分所有者から専有部分を借りている人は、集会で議決権を行使できますか?

いいえ、行使できません。区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有するときに、集会に出席して意見を述べることができるだけで、議決権は区分所有者が持つものです(区分所有法44条1項・38条)。一方、建物・敷地・附属施設の使用方法については、区分所有者が規約や集会の決議にもとづいて負う義務と同一の義務を負います(同法46条2項)。


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