宅建の譲渡所得の特例|3000万円控除と住宅ローン控除の併用

宅建試験で譲渡所得の特例を学ぶとき、まず迷いやすいのが、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除(以下「3,000万円の特別控除」)と、住宅借入金等特別控除(一般には住宅ローン控除と呼ばれます)を併用できるかどうかです。結論から言うと、新しい家を居住の用に供した年とその前後の一定の期間に、3,000万円の特別控除の適用を受けていると、住宅ローン控除は受けられません(租税特別措置法41条21項・22項)。つまり、この2つは、表1で「併用できない」とされる組合せです。

ただし、併用できるかどうかを考える組合せは、これだけではありません。家を譲渡したときの譲渡所得の特例には、3,000万円の特別控除のほかに、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例(以下「軽減税率の特例」)と、特定の居住用財産の買換えの特例(一般には買い替え特例と呼ばれます)があります。そして、この3つの特例と住宅ローン控除をあわせた4つの特例の間には、併用できる組合せと、併用できない組合せが混ざっています。

そこで、このページでは、4つの特例の併用可否を表1のマス目で見渡し、表2でその理由を確かめます。そのうえで、表3で居住用財産を譲渡した場合の3つの特例の要件、表4で住宅ローン控除の要件、表5で土地建物等の譲渡所得の税率と所有期間の判定をそれぞれ整理し、表6で令和9年度に向けて確定しているものと、まだ決まっていないものを分けています。まずは表1から見ていきましょう。

本記事は、2026年9月時点の租税特別措置法と所得税法にもとづき、令和8年度(2026年10月)の本試験の制度に合わせて書いています。

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宅建 税・その他の比較表

税目・分野別の出題数と、税・その他の5つの論点の比較表を、表と数値だけで並べた資料です。

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4つの特例の併用可否

この見出しで押さえておきたい視点は、表1のマス目を「譲渡で利益が出た場合の特例どうし」と「その特例と、新しい家の住宅ローン控除」の関係で読むという1点です。3,000万円の特別控除・軽減税率の特例・買換えの特例は、いずれも家を譲渡して利益が出たときの譲渡所得についての特例です。これに対して、住宅ローン控除は、借入金で新しい家を取得して居住の用に供したときの特例です。

そして、表1の4つの特例について、2つの特例を併用できるかどうかは、それぞれの特例の条文が、ほかのどの特例の適用を受ける場合を除いているかで決まります。表2の理由の欄(「なぜ」)は、組合せごとに、この除き方を書いたものです。したがって、表2を読むときは、組合せを1つずつ覚えるのではなく、「利益が出た場合の特例どうし」と「その特例と住宅ローン控除」のそれぞれで、どちらの条文がどちらの特例を除いているかを確かめると、同じ見方で読み進められます。


「出題」は、昭和63年〜令和7年の本試験の過去問で、年度と問番号を確かめたものだけを載せています。「直近10年」は平成28年〜令和7年の本試験で、その行の論点が選択肢に出た回数です。「問われ方」は、過去問で誤りの選択肢として出た形です。正しい選択肢としてだけ出たものは「(正しい選択肢として出題)」としています。「注意」は、過去問では確かめていませんが、誤解しやすい点です。


表1 4つの特例の併用可否
3,000万円控除 軽減税率 買換え 住宅ローン控除
3,000万円控除 同じ特例 併用できる 併用できない 併用できない
軽減税率 併用できる 同じ特例 併用できない 併用できない
買換え 併用できない 併用できない 同じ特例 併用できない
住宅ローン控除 併用できない 併用できない 併用できない 同じ特例

○=併用できる ×=併用できない。マスの記号を押すと、下の一覧の理由へ移動します。住宅ローン控除との関係は、居住の用に供した年とその前後の年で判定します

表2 4つの特例の併用可否の理由
組合せ 判定 理由 条文
3,000万円控除 × 軽減税率出題:平成15年 問26・平成12年 問26 ほか3件直近10年の出題なし問われ方:「3,000万円の特別控除の適用を受けるときは、軽減税率の特例の適用を受けることができない」とする宅建の数値のページで見る 併用できる 併用できる。3,000万円を控除した後の課税長期譲渡所得金額に、軽減税率を適用するなぜ:軽減税率の特例の条文が除いている特例に、3,000万円の特別控除は入っていない。3,000万円を控除した後の金額に税率をかけるので、計算の段階も違う 租税特別措置法35条1項1号
租税特別措置法31条の3第1項
3,000万円控除 × 買換え出題:平成10年 問27直近10年の出題なし問われ方:「前々年に買換えの特例の適用を受けていても、3,000万円の特別控除を受けられる」とする宅建の数値のページで見る 併用できない 併用できない。その年・前年・前々年に3,000万円の特別控除の適用を受けていると買換えの特例は受けられず、前年・前々年に買換えの特例の適用を受けていると3,000万円の特別控除は受けられないなぜ:両方の条文が、互いを除いている(買換えの特例は税を免除せず、将来に課税を繰り延べる制度) 租税特別措置法36条の2第1項
租税特別措置法35条2項
3,000万円控除 × 住宅ローン控除出題:平成18年 問26・平成9年 問27直近10年の出題なし問われ方:「前年に3,000万円の特別控除の適用を受けていても、住宅ローン控除を受けられる」とする宅建の数値のページで見る 併用できない 併用できない。居住の用に供した年とその前2年・後3年に3,000万円の特別控除の適用を受けていると、住宅ローン控除は受けられないなぜ:譲渡で利益が出た場合の特例と、新しい家の住宅ローン控除は重ねられない(損をした場合の特例とは重ねられる) 租税特別措置法41条21項
租税特別措置法41条22項
軽減税率 × 買換え出題:平成12年 問26・平成8年 問28 ほか1件直近10年の出題なし問われ方:3,000万円の特別控除とは併用できるので、買換えの特例とも併用できると誤認させる 併用できない 併用できない(どちらか一方を選ぶ)。買換えの特例で譲渡があったものとされる部分があっても、軽減税率の特例は受けられないなぜ:両方の条文が、互いを除いている(軽減税率の特例は買換えの特例の適用を受ける譲渡を除き、買換えの特例はその年・前年・前々年に軽減税率の特例の適用を受けている場合を除く) 租税特別措置法36条の2第1項
租税特別措置法31条の3第1項
軽減税率 × 住宅ローン控除出題:令和6年 問23・平成9年 問27直近10年:1回問われ方:「前年に軽減税率の特例の適用を受けていても、住宅ローン控除を受けられる」とする宅建の数値のページで見る 併用できない 併用できない。居住の用に供した年とその前2年・後3年に軽減税率の特例の適用を受けていると、住宅ローン控除は受けられないなぜ:譲渡で利益が出た場合の特例と、新しい家の住宅ローン控除は重ねられない 租税特別措置法41条21項
租税特別措置法41条22項
買換え × 住宅ローン控除直近10年の出題なし宅建の数値のページで見る 併用できない 併用できない。居住の用に供した年とその前2年・後3年に買換えの特例の適用を受けていると、住宅ローン控除は受けられないなぜ:譲渡の特例(課税の繰延べ)と、新しい家の住宅ローン控除は重ねられない 租税特別措置法41条21項
租税特別措置法41条22項
あわせて問われる組合せ(表の4つの特例の外)
譲渡損失の損益通算・繰越控除 × 住宅ローン控除出題:令和6年 問23・平成18年 問26 ほか1件直近10年:1回問われ方:(正しい選択肢として出題)注意:利益が出た場合の特例と同じく併用できない、と誤解しやすい 併用できる 併用できる。居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算・繰越控除の適用を受けていても、住宅ローン控除は受けられるなぜ:損をした場合の特例なので、利益が出た場合の特例(3,000万円の特別控除など)とは扱いが逆になる。住宅ローン控除の条文が除いている特例に、譲渡損失の特例は入っていない 租税特別措置法41条の5第1項
租税特別措置法41条の5第4項
租税特別措置法41条21項
収用等の5,000万円控除 × 軽減税率出題:令和元年 問23・平成24年 問23 ほか2件直近10年:1回問われ方:「収用等の5,000万円の特別控除を受けるときは、居住用財産の軽減税率の特例を受けられない」とする 併用できる 併用できる。収用等の5,000万円の特別控除の適用を受けても、要件を満たせば軽減税率の特例を受けられるなぜ:軽減税率の特例の条文が除いているのは収用等の課税の繰延べ(33条〜33条の3)で、5,000万円の特別控除(33条の4)は入っていない 租税特別措置法33条の4第1項1号
租税特別措置法31条の3第1項
収用等の5,000万円控除 × 3,000万円控除出題:平成4年 問28直近10年の出題なし問われ方:「収用等の5,000万円の特別控除と3,000万円の特別控除の両方を受けられる」とする 併用できない 同じ譲渡について重ねて適用できない(どちらか一方)なぜ:3,000万円の特別控除の条文が、収用等の特例(33条〜33条の4)の適用を受ける譲渡を除いている 租税特別措置法35条2項1号
収用等の5,000万円控除 × 住宅ローン控除出題:平成9年 問27直近10年の出題なし問われ方:(正しい選択肢として出題)注意:3,000万円の特別控除と同じく、住宅ローン控除と併用できないと誤解しやすい 併用できる 併用できる。住宅ローン控除の条文が除いている特例に、収用等の5,000万円の特別控除は入っていない 租税特別措置法41条21項
租税特別措置法41条22項

3,000万円の特別控除と住宅借入金等特別控除

まず、導入で答えた組合せです。住宅ローン控除の条文は、3,000万円の特別控除の適用を受ける場合を除いています。具体的には、新しい家を居住の用に供した年とその前の一定の年については租税特別措置法41条21項が、その後の一定の年については同条22項が定めていて、どちらの期間に3,000万円の特別控除の適用を受けていても、住宅ローン控除は受けられません。

つまり、この組合せは、居住の用に供した年を基準にして、その前後の一定の期間に譲渡の特例の適用が重なっているかどうかで判断します。何年前から何年後までが対象になるかは、表2のこの組合せの行と、表4の「居住用財産の譲渡の特例との重複」の行で確かめられます。

なお、覚えるときは、古い家を譲渡して利益が出たときの特例と、新しい家の借入金についての特例は、近い時期に重ねては受けられない、と考えると整理しやすくなります。

居住用財産の譲渡の特例と住宅借入金等特別控除

次に、残りの2つの譲渡の特例です。住宅ローン控除の条文(租税特別措置法41条21項・22項)が除いている特例には、3,000万円の特別控除だけでなく、軽減税率の特例と買換えの特例も入っています。したがって、軽減税率の特例と住宅ローン控除、買換えの特例と住宅ローン控除も、3,000万円の特別控除と同じ考え方で「併用できない」になります。表1で、住宅ローン控除と3つの譲渡の特例が交わるマスがすべて「×」になっているのは、この2つの項の定めによるものです。つまり、住宅ローン控除の側から見ると、3つの譲渡の特例のどれについても、居住の用に供した年の前後の一定の期間に適用を受けていれば重ねられない、と1つにまとめて把握できます。なお、このうち軽減税率の特例と住宅ローン控除の組合せは、表2のとおり、直近10年にも出題があります。

3,000万円の特別控除と軽減税率の特例

これに対して、譲渡の特例どうしには、併用できる組合せがあります。それが、3,000万円の特別控除と軽減税率の特例です。条文上の理由は、軽減税率の特例の条文(租税特別措置法31条の3第1項)が除いているのが、買換えの特例や収用等の課税の繰延べの適用を受ける譲渡であって、そこに3,000万円の特別控除が入っていないことです。

そして、覚えるときは、2つの特例が働く計算の段階が違うと考えると整理しやすくなります。3,000万円の特別控除は、譲渡益から3,000万円を控除する特例です(租税特別措置法35条1項1号)。一方、軽減税率の特例は、課税長期譲渡所得金額のうち一定の金額以下の部分の税率が下がる特例です(同法31条の3第1項1号・2号)。つまり、所得の金額を出す段階で働く特例と、税率をかける段階で働く特例なので、順に使う形になります。ただし、併用できるかどうかの根拠は、前の段落の条文の除き方であって、計算の段階ではありません。計算の順は、表2のこの組合せの行にあります。

特定の居住用財産の買換えの特例と、ほかの特例

続いて、買換えの特例です。表1では、買換えの特例の行は、ほかの3つの特例と交わるマスがすべて「×」です。このうち譲渡の特例どうしの2つのマスについて、理由は両方の条文が、互いを除いていることです。

具体的には、3,000万円の特別控除との組合せでは、買換えの特例の条文(租税特別措置法36条の2第1項)が3,000万円の特別控除の適用を受けている場合を除き、3,000万円の特別控除の条文(同法35条2項)も買換えの特例の適用を受けている場合を除いています。また、軽減税率の特例との組合せでも、軽減税率の特例の条文(同法31条の3第1項)が買換えの特例の適用を受ける譲渡を除き、買換えの特例の条文(同法36条の2第1項)が軽減税率の特例の適用を受けている場合を除いています。したがって、どちらの特例の側から見ても、併用はできません。どの年の適用が問題になるかは、組合せごとに違うので、表2のそれぞれの行で確かめましょう。

なお、買換えの特例は、税を免除する制度ではなく、課税を将来に繰り延べる制度です(表3の「課税の効果」の行)。

4つの特例の外の組み合わせ

さらに、表2の下の段には、4つの特例の外で、あわせて問われる組合せを載せています。ここで留意したいのは、譲渡で損をした場合の特例は、住宅ローン控除との関係では、利益が出た場合の特例とは扱いが逆になるという点です。居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算・繰越控除(租税特別措置法41条の5第1項・4項)は、住宅ローン控除の条文(同法41条21項)が除いている特例に入っていません。したがって、この特例の適用を受けていても、住宅ローン控除は受けられます。表1では住宅ローン控除のマスに「×」が並びますが、損をした場合の特例とは併用できるので、表2の行で結論を確かめておきましょう。

次に、収用等の5,000万円の特別控除です。この特例は、組み合わせる相手によって結論が分かれるので、まとめて「併用できる」とも「併用できない」とも言えません。軽減税率の特例の条文(租税特別措置法31条の3第1項)が除いているのは収用等の課税の繰延べで、5,000万円の特別控除(同法33条の4第1項1号)は入っていないので、要件を満たせば、軽減税率の特例とは併用できます。これに対して、3,000万円の特別控除の条文(同法35条2項1号)は、5,000万円の特別控除を含む収用等の特例の適用を受ける譲渡を除いているので、同じ譲渡について重ねて適用することはできません。また、住宅ローン控除の条文(同法41条21項・22項)が除いている特例に、5,000万円の特別控除は入っていないので、住宅ローン控除とは併用できます。

このように、4つの特例の外の組合せも、表1のマス目と同じく、どちらの条文がどちらの特例を除いているかで結論が決まります。


居住用財産を譲渡した場合の3つの特例の要件

ここからは、3つの譲渡の特例の要件です。この見出しで意識しておきたいポイントは、所有期間の要件があるかどうかで、3つの特例を分けて読むという1点です。表3は、3つの特例を並べ、所有期間、居住期間、住まなくなった家屋を譲渡する期限、対価、相手方、直近の年の適用の要件と、課税の効果を整理しています。


表3 居住用財産を譲渡した場合の3つの特例の要件
項目 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除 居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例 特定の居住用財産の買換えの特例 条文
所有期間の要件出題:平成24年 問23・平成19年 問26 ほか6件直近10年の出題なし問われ方:軽減税率の特例・買換えの特例の「10年超」を、長期譲渡所得の区分の「5年超」とすり替える/3,000万円の特別控除にも10年超が要る、とする宅建の数値のページで見る 問わない(10年以下でも、短期譲渡所得でも適用できる) 10年を超えること(家屋・敷地とも) 10年を超えること(家屋・敷地とも) 租税特別措置法35条1項1号・2号
租税特別措置法31条の3第1項
租税特別措置法36条の2第1項
居住期間の要件出題:平成6年 問29・平成5年 問28 ほか1件直近10年の出題なし問われ方:「居住期間が11年なら、所有期間に関係なく軽減税率の特例を受けられる」とする宅建の数値のページで見る なし なし(居住期間が長くても、所有期間が10年以下なら受けられない) 10年以上 租税特別措置法36条の2第1項1号
住まなくなった家屋を譲渡する期限出題:平成24年 問23・平成15年 問26 ほか3件直近10年の出題なし問われ方:「2年」「5年」とする/「譲渡する時に住んでいなければ受けられない」とする宅建の数値のページで見る 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで 同じ(3年を経過する日の属する年の12月31日まで) 同じ(3年を経過する日の属する年の12月31日まで) 租税特別措置法35条2項2号
租税特別措置法31条の3第2項2号
租税特別措置法36条の2第1項2号
譲渡に係る対価の額の上限出題:平成5年 問28直近10年の出題なし問われ方:買換資産の取得に係る対価の額も1億円以下とする/「6,000万円」「2億円」とする宅建の数値のページで見る なし なし 1億円以下(譲渡資産の対価。買換資産の取得価額に上限はない) 租税特別措置法36条の2第1項
配偶者・直系血族など特別の関係がある者への譲渡出題:令和元年 問23・平成24年 問23 ほか2件直近10年:1回問われ方:「生計を一にしていない孫なら、3,000万円の特別控除を受けられる」とする宅建の数値のページで見る 適用できない(直系血族は、生計を一にしているかを問わない) 適用できない 適用できない 租税特別措置法35条2項1号
租税特別措置法31条の3第1項
租税特別措置法36条の2第1項
直近の年に特例の適用を受けている場合出題:令和元年 問23・平成10年 問27 ほか1件直近10年:1回問われ方:「前々年にこの特例の適用を受けていても受けられる」とする/特例ごとに判定することを見落とさせる宅建の数値のページで見る 前年又は前々年に、この特例・買換えの特例・譲渡損失の特例などの適用を受けていると、受けられない 前年又は前々年にこの特例の適用を受けていると、受けられない(前年に3,000万円の特別控除を受けていても、軽減税率の特例は受けられる) その年・前年・前々年に、3,000万円の特別控除・軽減税率の特例・譲渡損失の特例の適用を受けていると、受けられない 租税特別措置法35条2項
租税特別措置法31条の3第1項
租税特別措置法36条の2第1項
課税の効果直近10年の出題なし注意:「買換えの特例を受けると譲渡益は非課税になり、将来も課税されない」とする誤り宅建の数値のページで見る 譲渡益から3,000万円を控除する 課税長期譲渡所得金額のうち一定の金額以下の部分の税率が下がる(表5) 課税が繰り延べられる(非課税ではない。買換資産を将来譲渡するときに課税される) 租税特別措置法35条1項1号・2号
租税特別措置法31条の3第1項1号・2号
租税特別措置法36条の2第1項

所有期間は、譲渡した年の1月1日における所有期間で判定します

まず、所有期間です。3,000万円の特別控除は、長期譲渡所得からも短期譲渡所得からも3,000万円を控除できるので、所有期間を問いません(租税特別措置法35条1項1号・2号)。これに対して、軽減税率の特例(同法31条の3第1項)と買換えの特例(同法36条の2第1項)は、いずれも所有期間が10年を超えることを要件としています。したがって、表3の最初の行で、3,000万円の特別控除だけがほかの2つと違うことを確かめておくと、残りの行も読みやすくなります。

次に、所有期間の要件がある2つの特例のうち、さらに要件が加わるのが買換えの特例です。買換えの特例には、居住期間の要件(租税特別措置法36条の2第1項1号)と、譲渡に係る対価の額の上限(同項)があり、3,000万円の特別控除と軽減税率の特例には、どちらもありません。つまり、居住期間と対価の上限は、買換えの特例だけにある要件です。それぞれの年数や金額は、表3の各行で確かめましょう。

そして、相手方の要件は、3つの特例のいずれにもあります。配偶者や直系血族など特別の関係がある者への譲渡には、3つの特例のどれも適用できません(租税特別措置法35条2項1号・31条の3第1項・36条の2第1項)。

ただし、直近の年に特例の適用を受けている場合の要件は、3つの特例で内容が異なります。除かれる年の範囲も、除かれる特例の種類も、それぞれの特例の条文が別々に定めています(租税特別措置法35条2項・31条の3第1項・36条の2第1項)。したがって、この要件は、特例ごとに表3の「直近の年に特例の適用を受けている場合」の行で確かめましょう。

なお、表3の最後の「課税の効果」の行にある、買換えの特例は課税が繰り延べられるという点は、表2で買換えの特例とほかの特例の組合せを見たときに補足した性質と同じものです。


住宅借入金等特別控除の要件

続いて、住宅ローン控除の要件です。宅建試験で住宅ローン控除を学ぶときは、表4の行を「いつから受けられるか」「借入金の条件」「所得」「譲渡の特例との重複」の順に見ていくと、要件を1つの流れで確かめられます。


表4 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の要件
項目 内容 条文
適用を受けられる年分出題:令和6年 問23・平成18年 問26 ほか1件直近10年:1回問われ方:「土地を取得した年分から受けられる」とする 家屋を居住の用に供した年分から(土地だけを先に取得した年分は受けられない) 租税特別措置法41条1項
償還期間出題:令和6年 問23・平成11年 問26直近10年:1回問われ方:「15年以上」「3年」とする宅建の数値のページで見る 10年以上 租税特別措置法41条1項1号
合計所得金額直近10年の出題なし注意:「3,000万円」とする誤り宅建の数値のページで見る 2,000万円以下の年分に限る(超える年分だけ受けられない。翌年以降に基準以下なら、残りの期間は受けられる) 租税特別措置法41条1項
居住用財産の譲渡の特例との重複出題:令和6年 問23・平成18年 問26 ほか1件直近10年:1回問われ方:「前年にこれらの特例の適用を受けていても受けられる」とする宅建の数値のページで見る 居住の用に供した年とその前2年・後3年(計6年間)に、3,000万円の特別控除・軽減税率の特例・買換えの特例の適用を受けていると、受けられない(表1) 租税特別措置法41条21項
租税特別措置法41条22項
控除の性質直近10年の出題なし 税額から直接差し引く税額控除(所得控除ではない) 租税特別措置法41条1項

まず、いつから受けられるかです。住宅ローン控除は、家屋を居住の用に供した年分から受けられます(租税特別措置法41条1項)。つまり、住宅ローン控除の基準になるのは、家屋を居住の用に供した年です。そして、この「居住の用に供した年」は、表1で見た、譲渡の特例と併用できるかどうかを判定するときの基準にもなっています。

次に、借入金の条件です。住宅ローン控除の対象となる借入金は、償還期間が10年以上のものです(租税特別措置法41条1項1号)。

そして、合計所得金額の要件(一般には所得制限と呼ばれます)です。住宅ローン控除は、合計所得金額が2,000万円以下の年分に限って受けられます(租税特別措置法41条1項)。2,000万円を超える年分の扱いは、表4の「合計所得金額」の行で確かめましょう。

さらに、譲渡の特例との重複です。表4の「居住用財産の譲渡の特例との重複」の行は、表1で見た併用可否と同じ定めによるものです(租税特別措置法41条21項・22項)。したがって、この行で迷ったときは、表1のマス目と表2の理由に戻ると確かめられます。

なお、表4のうち、適用を受けられる年分、償還期間、居住用財産の譲渡の特例との重複の3つの行は、直近10年にも出題があります。

また、住宅ローン控除は、所得控除ではなく、税額から直接差し引く税額控除です(表4の「控除の性質」の行)。


土地建物等の譲渡所得の税率と所有期間の判定

次は、表5です。この見出しの要点は、土地建物等の所有期間は、譲渡した年の1月1日で判定するという1点です。表3の注記にある所有期間の判定も、この考え方によるものです。


表5 土地建物等の譲渡所得の税率(分離課税)
項目 短期譲渡所得 長期譲渡所得 居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例 条文
所有期間の判定(土地建物等)出題:昭和63年 問29直近10年の出題なし問われ方:「実際の取得の日から譲渡の日までの所有期間で判定する」とする宅建の数値のページで見る 譲渡した年の1月1日において5年以下 譲渡した年の1月1日において5年を超える 譲渡した年の1月1日において10年を超える居住用財産 租税特別措置法32条1項
租税特別措置法31条1項
租税特別措置法31条2項
租税特別措置法31条の3第1項
(対照)総合課税となる資産(機械など)の長短の判定出題:平成20年 問26直近10年の出題なし問われ方:「機械も譲渡した年の1月1日における所有期間で判定する」とする宅建の数値のページで見る 取得の日以後5年以内の譲渡(実際の取得の日から数える。1月1日基準ではない) 取得の日以後5年を超える譲渡(同じく実際の取得の日から数える) 対象外 所得税法33条3項1号・2号
所得税の税率出題:平成4年 問28・平成元年 問29直近10年の出題なし問われ方:境を「4,000万円」とする 100分の30 100分の15 課税長期譲渡所得金額のうち6,000万円以下の部分は100分の10、6,000万円を超える部分は100分の15 租税特別措置法32条1項
租税特別措置法31条1項
租税特別措置法31条の3第1項1号・2号
課税の方法出題:平成元年 問29直近10年の出題なし 他の所得と分離して課税する(分離課税) 他の所得と分離して課税する(分離課税) 他の所得と分離して課税する(分離課税) 租税特別措置法32条1項
租税特別措置法31条1項
租税特別措置法31条の3第1項

所得税の税率だけを載せています(住民税・復興特別所得税は載せていません)

まず、短期譲渡所得と長期譲渡所得の区分です。土地建物等の譲渡所得は、譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下であれば短期譲渡所得、5年を超えていれば長期譲渡所得になります(租税特別措置法32条1項・31条1項)。つまり、区分を決めるのは、譲渡した年の1月1日の時点での所有期間です。

そして、軽減税率の特例の所有期間の要件も、同じく譲渡した年の1月1日で判定します(租税特別措置法31条の3第1項)。表5の軽減税率の特例の列にある所有期間は、表3の所有期間の行で見た要件と同じものです。

なお、機械など総合課税となる資産の長期・短期の判定は、譲渡した年の1月1日ではなく、実際の取得の日から数えます(所得税法33条3項1号・2号)。

また、区分ごとの所得税の税率と課税の方法は、表5の「所得税の税率」と「課税の方法」の行にあります。

このように、譲渡所得の特例と住宅ローン控除の併用可否は、「利益が出た場合の特例どうし」と「その特例と住宅ローン控除」の関係で読み、どの組合せも、どちらの条文がどちらの特例を除いているかで結論を確かめることができます。選択肢で迷ったときは、まず表1のマス目で結論を確かめ、表2の理由と、表3・表4の要件の行に戻ってみましょう。


令和9年度に向けて確定しているもの/まだ決まっていないもの

最後に、表6です。このページの表1〜表5は、令和8年度(2026年10月)の本試験の制度にもとづいて作成しています。これに対して、令和9年度の税制改正は、2026年12月ごろまで決まりません。


表6 令和9年度に向けて確定しているもの/まだ決まっていないもの
項目 確定している(令和8年度の本試験の制度) まだ決まっていない 条文
表1〜表5の制度 令和8年度(2026年10月)の本試験の制度 令和9年度の税制改正で動くかどうか —

令和9年度の税制改正は、2026年12月ごろまで決まりません。決まったら、この表の内容を見直します

したがって、表1〜表5の内容が令和9年度の税制改正で変わるかどうかは、現時点では確定していません。改正の内容が決まったら、このページの表と本文を見直します。


よくある質問

3,000万円の特別控除と住宅ローン控除は、併用できますか?

併用できません。住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の条文が、新しい家を居住の用に供した年とその前後の一定の期間に、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の適用を受ける場合を除いているためです(租税特別措置法41条21項・22項)。何年前から何年後までが対象になるかは、このページの表2と表4の行で確かめられます。

住宅ローン控除と併用できない特例は、どれですか?

このページの表1の4つの特例の中では、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例、特定の居住用財産の買換えの特例の3つが、住宅ローン控除と併用できません(租税特別措置法41条21項・22項)。一方で、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算・繰越控除(同法41条の5第1項・4項)は、住宅ローン控除の条文(同法41条21項)が除いている特例に入っていないので、住宅ローン控除とは併用できます。収用等の5,000万円の特別控除(同法33条の4第1項1号)も、住宅ローン控除の条文(同法41条21項・22項)が除いている特例に入っていないので、住宅ローン控除とは併用できます。

3,000万円の特別控除と軽減税率の特例は、併用できますか?

併用できます。居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の条文(租税特別措置法31条の3第1項)が除いているのは、特定の居住用財産の買換えの特例や収用等の課税の繰延べの適用を受ける譲渡で、3,000万円の特別控除は入っていないためです。計算の順は、このページの表2のこの組合せの行で確かめられます。

住宅ローン控除の所得制限(合計所得金額の要件)は、いくらですか?

租税特別措置法41条1項の定めでは、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、合計所得金額が2,000万円以下の年分に限って受けられます。このページの表4の「合計所得金額」の行は、この定めによります。2,000万円を超える年分の扱いも、この行で確かめられます。


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