宅建試験で営業保証金を学ぶとき、まず迷いやすいのが、営業保証金を取り戻すときに公告が必要かどうかです。このページは、宅建試験の受験生に向けて、営業保証金(一般には供託金と呼ばれることもあります)と弁済業務保証金を表で整理したもので、開業の手続きの案内ではありません。結論から言うと、営業保証金を取り戻すときは、原則として、6か月を下らない一定の期間を定めた公告が要ります(宅地建物取引業法30条2項)。表1の営業保証金の行で公告が要らないのは、主たる事務所の移転で新しい供託所に供託したとき、保証協会の社員となったとき、取戻しの事由が発生した時から10年を経過したときの3つだけです。
もう1つ区別がつきにくいのが、宅地建物取引業者(以下「業者」)が自ら供託する営業保証金と、保証協会の社員が納付する弁済業務保証金分担金(以下「分担金」)の違いです。保証協会の社員は、営業保証金を供託することを要しません(宅地建物取引業法64条の13)。
そこで、このページでは、表1で取戻しの事由と公告の要否を見渡し、表2で営業保証金と弁済業務保証金の違いを確かめます。そのうえで、表3で有価証券による供託を、表4で保証協会と社員のルールを整理しています。まずは表1から見ていきましょう。
本記事は、2026年9月時点で施行されている宅地建物取引業法・同法施行令・同法施行規則と宅地建物取引業者営業保証金規則にもとづいています。令和9年度(2027年度)試験の法令基準日は2027年4月1日です。
営業保証金の取戻しと公告の要否
この見出しで押さえておきたい視点は、公告を「還付を受ける権利を持つ人に、申し出る機会を与えるもの」と考えて、表1の行を読むことです。営業保証金を取り戻すと、その供託所の営業保証金は、減るか、なくなります。そのため、原則として、先に公告をして、還付を受ける権利を持つ人に期間内に申し出てもらいます。これに対して、新しい供託所の営業保証金や、保証協会の弁済業務保証金があって、その人が還付を受けられなくなるおそれがない場面では、公告が要りません。ただし、これは覚えるための整理です。正誤は、表1の条文の列で判断します。なお、取戻しの事由が発生した時から10年を経過したときも、公告は要りません(宅地建物取引業法30条2項)。
「出題」は、昭和63年〜令和7年の本試験の過去問で、年度と問番号を確かめたものだけを載せています。「直近10年」は平成28年〜令和7年の本試験で、その行の論点が選択肢に出た回数です。「問われ方」は、過去問で誤りの選択肢として出た形です。正しい選択肢としてだけ出たものは「(正しい選択肢として出題)」としています。
| 項目 | 公告 | 公告をする者・取り戻す者 | 条文 |
|---|---|---|---|
| 免許の有効期間が満了したとき | 必要(6か月を下らない一定期間を定めて官報で公告) | 宅地建物取引業者であった者(またはその承継人)が公告して取り戻す | 宅地建物取引業法30条1項 宅地建物取引業法30条2項 宅地建物取引業者営業保証金規則7条1項 |
| 廃業・破産などの届出で免許が効力を失ったとき、死亡・合併で消滅したとき | 必要(6か月を下らない一定期間を定めて官報で公告) | 宅地建物取引業者であった者(またはその承継人)が公告して取り戻す | 宅地建物取引業法30条1項 宅地建物取引業法30条2項 宅地建物取引業法11条1項1号・2号 宅地建物取引業法11条2項 宅地建物取引業者営業保証金規則7条1項 |
| 免許を取り消されたとき | 必要(6か月を下らない一定期間を定めて官報で公告。取消しの理由を問わず取り戻せる) | 宅地建物取引業者であった者が公告して取り戻す | 宅地建物取引業法30条1項 宅地建物取引業法30条2項 宅地建物取引業者営業保証金規則7条1項 |
| 一部の事務所を廃止して、営業保証金が政令で定める額を超えたとき(超過額) | 必要(6か月を下らない一定期間を定めて官報で公告) | 宅地建物取引業者が公告して、超過額を取り戻す | 宅地建物取引業法30条1項 宅地建物取引業法30条2項 宅地建物取引業者営業保証金規則7条2項 |
| 主たる事務所の移転で、移転後の供託所に新たに供託したとき(移転前の供託所の営業保証金) | 不要 | 宅地建物取引業者が取り戻す(金銭だけで供託しているときは、保管替えを請求するので、取戻しの手続きにはならない) | 宅地建物取引業法30条1項 宅地建物取引業法30条2項 宅地建物取引業法29条1項 |
| 保証協会の社員となって、営業保証金を供託しなくてよくなったとき | 不要 | 宅地建物取引業者が取り戻す | 宅地建物取引業法64条の14第1項 宅地建物取引業法64条の13 |
| 取戻しの事由が発生した時から10年を経過したとき | 不要 | 宅地建物取引業者であった者などが取り戻す | 宅地建物取引業法30条2項 |
| 公告をしたあとの届出 | 遅滞なく免許権者に届け出る | 公告をした者 | 宅地建物取引業者営業保証金規則7条3項 |
| 社員が保証協会の社員の地位を失ったとき | 必要(認証を受けるため申し出るべき旨の公告。期間が過ぎるまで分担金は返還されない) | 保証協会が公告する。弁済業務保証金を取り戻し、公告の期間が過ぎた後に、社員であった者に分担金を返還する | 宅地建物取引業法64条の11第1項 宅地建物取引業法64条の11第2項 宅地建物取引業法64条の11第3項 宅地建物取引業法64条の11第4項 |
| 社員が一部の事務所を廃止したとき(超過額) | 不要 | 保証協会が弁済業務保証金を取り戻し、社員に分担金を返還する | 宅地建物取引業法64条の11第1項 宅地建物取引業法64条の11第2項 |
公告は、還付を受ける権利を有する者に対し、期間内に申し出るべき旨を知らせるものです
まず、公告が要る場面です。免許の有効期間が満了したとき、廃業や破産などの届出で免許が効力を失ったとき、死亡や合併で業者が消滅したとき、免許を取り消されたとき、一部の事務所を廃止して営業保証金が政令で定める額を超えたときは、いずれも公告をしてから取り戻します(宅地建物取引業法30条1項・2項)。公告は官報で行い(宅地建物取引業者営業保証金規則7条1項・2項)、公告をしたあとは、遅滞なく免許権者に届け出ます(同条3項)。なお、免許を取り消されたときも、取消しの理由を問わず、公告をすれば取り戻せます。
次に、公告が要らない3つの場面です。1つ目は、主たる事務所を移転し、移転後のもよりの供託所に新たに供託したときに取り戻す、移転前の供託所の営業保証金です(宅地建物取引業法30条1項・2項・29条1項)。移転後の供託所に営業保証金があるので、還付を受ける権利を持つ人が還付を受けられなくなるおそれはありません。2つ目は、保証協会の社員となって、営業保証金の供託を要しなくなったときです(同法64条の14第1項・64条の13)。社員となる前に取引をした人も、保証協会の弁済業務保証金から還付を受けられるので(同法64条の8第1項)、同じくそのおそれはありません。3つ目は、取戻しの事由が発生した時から10年を経過したときです(同法30条2項)。
覚えるときは、表1の営業保証金の行のうち、公告が「不要」の3つを先に押さえ、ほかの取戻しはすべて公告が必要、と整理すると、選択肢で迷いにくくなります。
あわせて、保証協会のルールも確かめておきましょう。社員が保証協会の社員の地位を失ったときは、保証協会が公告をしなければならず(宅地建物取引業法64条の11第4項)、公告で定めた期間が過ぎた後でなければ、社員であった者に分担金を返還しません(同条2項・3項)。これに対して、社員が一部の事務所を廃止したときは、公告は要りません(同条1項・2項)。つまり、一部の事務所の廃止では、営業保証金は公告が必要で、弁済業務保証金は公告が不要と、2つの制度で扱いが逆になります。
営業保証金と弁済業務保証金の違い
ここからは、表2で2つの保証金を比べます。比べるときの軸は、誰が、何を、どこへ納めるかです。営業保証金は、業者が、主たる事務所のもよりの供託所に供託します(宅地建物取引業法25条1項)。これに対して、弁済業務保証金は、保証協会の社員が分担金を保証協会に納付し、保証協会が同じ額の弁済業務保証金を、法務大臣と国土交通大臣が定める供託所に供託します(同法64条の9第1項・64条の7第1項・2項)。
| 項目 | 営業保証金 | 弁済業務保証金(保証協会の社員) | 条文 |
|---|---|---|---|
| 誰が、何を、どこへ | 宅地建物取引業者が、営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託する | 社員が弁済業務保証金分担金を保証協会に納付し、保証協会が同じ額の弁済業務保証金を、法務大臣と国土交通大臣が定める供託所に供託する | 宅地建物取引業法25条1項 宅地建物取引業法64条の9第1項 宅地建物取引業法64条の7第1項 宅地建物取引業法64条の7第2項 |
| 額 | 主たる事務所1,000万円、その他の事務所ごとに500万円 | 分担金は、主たる事務所60万円、その他の事務所ごとに30万円 | 宅地建物取引業法施行令2条の4 宅地建物取引業法施行令7条 |
| 金銭と有価証券 | 金銭のほか有価証券でもよい(併用もできる。不足額や新設の事務所の分の供託も同じ) | 分担金は金銭で納付する(保証協会が供託する弁済業務保証金は有価証券でもよい) | 宅地建物取引業法25条3項 宅地建物取引業法64条の7第3項 |
| 事業を始めるまで(加入するまで) | 免許を受けた後に、主たる事務所のもよりの供託所に供託し、供託書の写しを添付して免許権者に届け出る。届け出た後でなければ事業を開始できない(届出前に開始すると業務停止処分・罰則の対象) | 加入しようとする日までに、分担金を保証協会に納付する | 宅地建物取引業法25条1項 宅地建物取引業法25条4項 宅地建物取引業法25条5項 宅地建物取引業法64条の9第1項1号 宅地建物取引業法65条2項2号 宅地建物取引業法81条1号 |
| 届出・供託の期限 | 免許から3か月以内に供託の届出が無いときは、免許権者は届出をすべき旨を催告しなければならない。催告の到達から1か月以内に届出が無ければ、免許を取り消すことができる | 保証協会は、分担金の納付を受けた日から1週間以内に弁済業務保証金を供託する | 宅地建物取引業法25条6項 宅地建物取引業法25条7項 宅地建物取引業法64条の7第1項 |
| 事務所を新設したとき | その事務所の分を主たる事務所のもよりの供託所に供託し、届け出た後でなければ、その事務所で事業を開始できない(案内所など、事務所に当たらない場所を設けても供託は要らない) | 設置の日から2週間以内に分担金を納付する(納付しないと社員の地位を失う) | 宅地建物取引業法26条1項 宅地建物取引業法26条2項 宅地建物取引業法64条の9第2項 宅地建物取引業法64条の9第3項 |
| 還付を受けられる者 | 宅地建物取引業に関し取引をした者(宅地建物取引業者を除く)が、その取引により生じた債権について(広告代金・工事代金・家賃の収納代行などの債権は対象外) | 同じ(社員となる前に取引をした者も含む) | 宅地建物取引業法27条1項 宅地建物取引業法64条の8第1項 |
| 還付の限度額 | 供託されている営業保証金の額 | 社員でないとしたら供託すべき営業保証金の額に相当する額(納付した分担金の額ではない) | 宅地建物取引業法27条1項 宅地建物取引業法64条の8第1項 |
| 還付を受ける前の認証 | 保証協会の認証の手続はない | 弁済を受けられる額について保証協会の認証を受け、そのあと供託所に還付を請求する(保証協会は認証申出書を受理した順に認証する) | 宅地建物取引業法64条の8第2項 宅地建物取引業法施行規則26条の7第1項 |
| 還付のあとの補充 | 宅地建物取引業者が、免許権者から通知書の送付を受けた日から2週間以内に不足額を供託し、供託から2週間以内に届け出る(供託しないと業務停止処分の対象、情状が特に重いときは免許取消し。罰則の定めはない) | 保証協会が2週間以内に還付額を供託する。社員は、保証協会から通知を受けた日から2週間以内に、還付額に相当する額の還付充当金を保証協会に納付する(納付しないと社員の地位を失う) | 宅地建物取引業法28条1項 宅地建物取引業法28条2項 宅地建物取引業者営業保証金規則5条 宅地建物取引業法65条2項2号 宅地建物取引業法66条1項9号 宅地建物取引業法64条の8第3項 宅地建物取引業法64条の10第1項 宅地建物取引業法64条の10第2項 宅地建物取引業法64条の10第3項 |
| 主たる事務所を移転したとき | 金銭だけで供託しているときは遅滞なく保管替えを請求し、それ以外のときは遅滞なく移転後のもよりの供託所に新たに供託する | (供託しているのは保証協会で、法務大臣と国土交通大臣が定める供託所に供託している) | 宅地建物取引業法29条1項 宅地建物取引業法64条の7第2項 |
保証協会の社員は、営業保証金を供託することを要しません(表4)
まず、額です。営業保証金は、主たる事務所1,000万円、その他の事務所ごとに500万円です(宅地建物取引業法施行令2条の4)。分担金は、主たる事務所60万円、その他の事務所ごとに30万円です(同令7条)。そして、営業保証金は金銭のほか有価証券でも供託できますが、分担金は金銭で納付します(表2の「金銭と有価証券」の行)。
供託・納付の期限
次に、期限です。営業保証金は、免許を受けた後に供託し、供託書の写しを添付して免許権者に届け出た後でなければ、事業を開始できません(宅地建物取引業法25条1項・4項・5項)。免許から3か月以内に届出が無いときは、免許権者は届出をすべき旨を催告しなければならず、催告の到達から1か月以内に届出が無ければ、免許を取り消すことができます(同条6項・7項)。
これに対して、保証協会に加入しようとする者は、加入しようとする日までに分担金を納付します(宅地建物取引業法64条の9第1項1号)。そして、保証協会は、分担金の納付を受けた日から1週間以内に、弁済業務保証金を供託します(同法64条の7第1項)。
また、事務所を新設したときは、営業保証金では、その事務所の分を主たる事務所のもよりの供託所に供託して届け出た後でなければ、その事務所で事業を開始できません(宅地建物取引業法26条1項・2項)。保証協会の社員は、設置の日から2週間以内に分担金を納付し、納付しないと社員の地位を失います(同法64条の9第2項・3項)。
還付と、そのあとの補充
続いて、還付です。還付を受けられるのは、宅地建物取引業者(弁済業務保証金では社員)と宅地建物取引業に関し取引をした相手方(宅地建物取引業者を除く)で、その取引により生じた債権についてだけです(宅地建物取引業法27条1項・64条の8第1項)。弁済業務保証金では、社員となる前に取引をした者も含みます。そして、弁済業務保証金から還付を受けられる額の限度は、納付した分担金の額ではなく、その社員が社員でないとしたら供託すべき営業保証金の額に相当する額です(同法64条の8第1項)。また、弁済業務保証金の還付を受けるには、先に保証協会の認証を受けます(同条2項)。
次に、還付のあとの補充です。営業保証金では、業者が、免許権者から通知書の送付を受けた日から2週間以内に不足額を供託し、供託した日から2週間以内に届け出ます(宅地建物取引業法28条1項・2項、宅地建物取引業者営業保証金規則5条)。弁済業務保証金では、社員が、保証協会から通知を受けた日から2週間以内に、還付額に相当する額の還付充当金を保証協会に納付します(宅地建物取引業法64条の10第1項・2項)。不足額の供託と還付充当金の納付の2週間は、どちらも、還付の日ではなく、通知書の送付や通知を受けた日から起算します。
主たる事務所を移転したとき
さらに、主たる事務所の移転です。営業保証金を金銭だけで供託しているときは、遅滞なく保管替えを請求し、それ以外のときは、遅滞なく移転後のもよりの供託所に新たに供託します(宅地建物取引業法29条1項)。新たに供託したときの移転前の供託所の営業保証金は、表1のとおり、公告をしないで取り戻せます。これに対して、弁済業務保証金は、保証協会が、法務大臣と国土交通大臣が定める供託所に供託しているものです(表2の同じ行)。
有価証券による供託
次は、表3です。有価証券で供託するときの軸は、有価証券は、種類によって、額面金額のまま評価するか、割り引いて評価するかが決まっているという点です。国債証券は額面金額、地方債証券と、政府がその債務について保証契約をした債券は額面金額の100分の90、それ以外の債券(国土交通大臣が指定した社債券など)は額面金額の100分の80で評価します(宅地建物取引業法施行規則15条1項1号・2号・3号)。
| 項目 | 評価額 | 条文 |
|---|---|---|
| 国債証券 | 額面金額 | 宅地建物取引業法施行規則15条1項1号 |
| 地方債証券 | 額面金額の100分の90 | 宅地建物取引業法施行規則15条1項2号 |
| 政府がその債務について保証契約をした債券 | 額面金額の100分の90 | 宅地建物取引業法施行規則15条1項2号 |
| それ以外の債券(国土交通大臣が指定した社債券など) | 額面金額の100分の80 | 宅地建物取引業法施行規則15条1項3号 宅地建物取引業法施行規則15条の2第3号 |
| 株式など、債券以外のもの | 充てることができない(充てられるのは国債証券・地方債証券・国土交通大臣が指定した社債券その他の債券) | 宅地建物取引業法施行規則15条の2第1号・2号・3号 |
| 有価証券の差替え(変換) | 変換のため新たに供託したときは、遅滞なく、供託書正本の写しを添付して免許権者に届け出る | 宅地建物取引業法施行規則15条の4の2 |
営業保証金と、保証協会が供託する弁済業務保証金に有価証券を充てるときの評価です。弁済業務保証金分担金は金銭で納付します
たとえば、額面金額1,000万円の地方債証券は、900万円として評価します。一方、株式のような債券以外のものは、営業保証金に充てることができません(宅地建物取引業法施行規則15条の2第1号・2号・3号)。また、営業保証金の変換のため新たに供託したときは、遅滞なく、供託書正本の写しを添付して免許権者に届け出ます(宅地建物取引業法施行規則15条の4の2)。
保証協会と社員
最後は、表4です。保証協会と社員については、保証協会への加入は任意で、加入できるのは1つの保証協会だけであること、社員の地位を失ったら1週間以内に営業保証金を供託することの2点を押さえておきましょう。
| 項目 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 加入 | 任意。一つの保証協会の社員は、ほかの保証協会の社員になれない | 宅地建物取引業法64条の4第1項 |
| 必ず行う業務 | 苦情の解決・宅地建物取引士などへの研修・弁済業務 | 宅地建物取引業法64条の3第1項 |
| 行うことができる業務 | 一般保証業務と手付金等保管事業(いずれも国土交通大臣の承認を受けて行う)、研修の費用の助成 | 宅地建物取引業法64条の3第2項 宅地建物取引業法64条の17第1項 宅地建物取引業法64条の17の2第1項 |
| 苦情の解決 | 社員は、保証協会から説明や資料の提出を求められたら、正当な理由がなければ拒めない。保証協会は、申出と解決の結果を社員に周知させる | 宅地建物取引業法64条の5第2項 宅地建物取引業法64条の5第3項 宅地建物取引業法64条の5第4項 |
| 社員の加入・地位の喪失の報告 | 保証協会が、直ちに、その社員の免許権者(国土交通大臣又は都道府県知事)に報告する | 宅地建物取引業法64条の4第2項 |
| 社員となる前の取引 | 還付の対象になる。弁済業務の円滑な運営に支障のおそれがあるときは、保証協会は社員に担保の提供を求めることができる | 宅地建物取引業法64条の8第1項 宅地建物取引業法64条の4第3項 |
| 特別弁済業務保証金分担金 | 保証協会から通知を受けた日から1か月以内に納付する(納付しないと社員の地位を失う) | 宅地建物取引業法64条の12第3項 宅地建物取引業法64条の12第4項 宅地建物取引業法64条の12第5項 |
| 社員の地位を失ったとき | 地位を失った日から1週間以内に営業保証金を供託する(そのあとに分担金を納付しても、社員の地位は戻らない) | 宅地建物取引業法64条の15 宅地建物取引業法64条の10第3項 |
| 名称・住所・事務所の所在地の変更 | あらかじめ国土交通大臣に届け出る | 宅地建物取引業法64条の2第3項 |
| 弁済業務保証金準備金 | 弁済業務保証金から生ずる利息・配当金などを繰り入れて積み立てる | 宅地建物取引業法64条の12第1項 宅地建物取引業法64条の12第2項 宅地建物取引業法64条の12第6項 |
| 保証協会の性格 | 一般社団法人で、宅地建物取引業者だけを社員とする | 宅地建物取引業法64条の2第1項1号・2号 |
まず、加入です。保証協会への加入は任意です。ただし、1つの保証協会の社員は、ほかの保証協会の社員になれません(宅地建物取引業法64条の4第1項)。また、保証協会は、新たに社員が加入したときや、社員がその地位を失ったときは、直ちに、その社員の免許権者に報告します(同条2項)。なお、保証協会は、宅地建物取引業者だけを社員とする一般社団法人です(同法64条の2第1項1号・2号)。
次に、保証協会の業務です。苦情の解決、宅地建物取引士などへの研修、弁済業務は、保証協会が必ず行う業務です(宅地建物取引業法64条の3第1項)。これに対して、一般保証業務と手付金等保管事業は、国土交通大臣の承認を受けて行うことができる業務です(同条2項、同法64条の17第1項・64条の17の2第1項)。そして、苦情の解決では、社員は、保証協会から説明や資料の提出を求められたとき、正当な理由がなければ拒めません(同法64条の5第2項・3項)。
そして、社員の地位を失ったときです。社員の地位を失った業者は、地位を失った日から1週間以内に営業保証金を供託しなければなりません(宅地建物取引業法64条の15)。還付充当金などを期間内に納付しないで地位を失ったあとに納付しても、社員の地位が回復するわけではありません(表4の「社員の地位を失ったとき」の行)。
このように、営業保証金と弁済業務保証金は、表1で取戻しと公告の要否を、表2で誰が何をどこへ納めるかを整理しておくと、選択肢がどちらの制度についての文かを判断しやすくなります。迷ったときは、表1と表2の行に戻り、期限の起算点と還付の限度額は、表2のそれぞれの行で確かめましょう。
よくある質問
宅建の営業保証金は、廃業したら戻ってきますか?
取り戻すことができます。ただし、廃業などの届出で免許が効力を失ったときは、還付を受ける権利を有する者に対し、6か月を下らない一定の期間内に申し出るべき旨を官報で公告し、その期間内に申出が無かった場合でなければ、取り戻せません(宅地建物取引業法30条1項・2項、宅地建物取引業者営業保証金規則7条1項)。取戻しの事由が発生した時から10年を経過したときは、公告は要りません(宅地建物取引業法30条2項)。
営業保証金を取り戻すとき、公告が要らないのはどんな場合ですか?
このページの表1の営業保証金の行では、次の3つの場合です。1つ目は、主たる事務所を移転し、移転後のもよりの供託所に新たに供託したときに取り戻す、移転前の供託所の営業保証金です(宅地建物取引業法30条1項・2項・29条1項)。2つ目は、保証協会の社員となって、営業保証金の供託を要しなくなったときです(同法64条の14第1項)。3つ目は、取戻しの事由が発生した時から10年を経過したときです(同法30条2項)。これら以外の、免許の有効期間の満了、廃業、免許の取消し、一部の事務所の廃止などによる取戻しには、公告が要ります。
営業保証金と弁済業務保証金の違いは何ですか?
営業保証金は、宅地建物取引業者が、主たる事務所のもよりの供託所に供託するもので、額は主たる事務所1,000万円、その他の事務所ごとに500万円です(宅地建物取引業法25条1項、同法施行令2条の4)。弁済業務保証金は、保証協会の社員が保証協会に弁済業務保証金分担金(主たる事務所60万円、その他の事務所ごとに30万円)を金銭で納付し、保証協会が同じ額を法務大臣と国土交通大臣が定める供託所に供託するものです(同法64条の9第1項・64条の7第1項・2項、同法施行令7条)。保証協会の社員は、営業保証金を供託することを要しません(同法64条の13)。
保証協会に加入すると、還付はいくらまで受けられますか?
弁済業務保証金から還付を受けられる額の限度は、納付した弁済業務保証金分担金の額ではなく、その社員が社員でないとしたら供託すべき営業保証金の額に相当する額です(宅地建物取引業法64条の8第1項)。還付を受けるには、先に保証協会の認証を受けます(同条2項)。還付を受けられるのは、社員と宅地建物取引業に関し取引をした相手方(宅地建物取引業者を除く)で、その取引により生じた債権についてだけです(同条1項)。
関連するページ
一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の違いは、宅建の媒介契約のページで整理しています。
このページの表にある金額や期間などの数値を、科目や論点をまたいで並べて確かめたいときは、宅建の数値のページで調べることができます。表の行の「宅建の数値のページで見る」からも、関係する数値の行に移れます。
宅建業法のほかの論点は、宅建業法のページから探せます。