この記事では、35条書面と37条書面で役立つ語呂合わせをまとめてご紹介しています。35条書面は「37条書面では条件が変わる3つ」「災害の4つ」「石綿・耐震・性能評価の3つ」、37条書面は「売買・交換で必ず書く6つ」「貸借で必ず書く4つ」です。お忙しい方は、必要な語呂合わせだけをピックアップしてご活用いただいても差し支えありません。
ただ、本試験で問われ方が変わったときにも惑わされないよう、どの語呂にも「なぜそうなるのか」という理屈を添えています。語呂だけで覚えてしまうと、聞き方を変えられたときに正誤を判断しにくくなるためです。語呂は項目の名前を思い出すための索引で、正誤を決めるのは理屈と表だとお考えください。宅建試験の対策として、その3つを行き来していただけるように並べました。
本記事は2026年9月時点で施行されている宅地建物取引業法および同法施行規則にもとづいています。令和9年度(2027年度)試験の法令基準日は2027年4月1日です。
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35条・37条書面 記載事項の一覧
語呂で思い出した項目は、この一覧表ですぐに確かめられます。印刷して手元に置き、照らし合わせながら読むと、より整理しやすくなります。
まず、迷いの正体を1行で
混同するのは、項目が多いからではありません。2つの書面は目的が違うのに、同じ言葉の事項が両方に出てくるからです。35条書面は契約するかどうかを決めるための情報、37条書面は決まった内容の記録です。
ですから、どちらに書くかで迷われたときは「これは契約する前に知りたいことか、決まってから残すことか」と問い直していただくだけで、たいていは片が付きます。役割の違いそのものは35条書面と37条書面の違いで扱っていますので、ここでは覚え方に進みます。
35条書面の語呂合わせ
37条書面では条件が変わる3つ ── かいそんきん(買い損金)
- かい……契約の解除に関する事項(S10・法35条1項8号)
- そん……損害賠償額の予定または違約金に関する事項(S11・法35条1項9号)
- きん……代金・交換差金・借賃以外に授受される金銭の額と授受の目的(S09・法35条1項7号)
買って損したくないから、契約する前に必ず聞いておく3つ、と覚えていただくとなじみやすいかと思います。この3つは、そういう定めが無くても「ありません」と説明します。なお「きん」は代金や家賃そのものではなく、それ以外に動くお金です。ここは後の論点にそのままつながります。
先に断っておくことが2つあります。①35条書面で「定めが無くても説明する」事項は、この3つだけではありません。登記された権利(S01・法35条1項1号)、法令に基づく制限(S02・同2号)、私道に関する負担(S03・同3号)なども同じ性質です。それでもこの3つを選ぶのは、37条書面にも同じ名前の事項があって、そこでは記載が必要となる条件が正反対になるからです。なお、同じ構造の組はもう1つあります(S15 契約不適合責任の履行に関する措置とT12)。②語呂の並びは号の順ではありません(かい=8号、そん=9号、きん=7号)。あとに出てくる2つの語呂は号順ですので、混同しないようご注意ください。
その条件の切り替わり方を見ておきます。35条書面では定めの有無を問わず説明するのに、37条書面では「定めがあるときだけ」記載します。解除はT08(法37条1項7号)、損害賠償額の予定・違約金はT09(同8号)、代金以外の金銭はT07(同6号)・借賃以外の金銭はT15(法37条2項3号)です。
なぜそうなるのかは、それぞれの書面の役割を考えると自然に納得できます。35条書面は判断材料なので、「特約はありません」という情報にも価値があります。解除の定めが無いと知れば、買う側は「途中でやめられない契約だ」と分かるからです。37条書面は合意した内容の記録なので、合意していないことは書きようがありません。
同じ言葉の事項なのに、記載が必要となる条件が正反対になる。ここが35条でいちばん出題されるひっかけです。たとえば「重要事項説明では、解除に関する定めが無ければ説明を要しない」という肢は誤りになります。書く条件や中身が違う事項は、35条と37条で書く条件・中身が違う事項の比較表にまとめてあります。
災害の4つ ── ぞう・ど・つ・すい
- ぞう……造成宅地防災区域内にあるときはその旨(S16・法35条1項14号、規則16条の4の3第1号)
- ど……土砂災害警戒区域内にあるときはその旨(S17・規則16条の4の3第2号)
- つ……津波災害警戒区域内にあるときはその旨(S18・同3号)
- すい……水害ハザードマップにおける物件の所在地(S19・同3号の2)
ゾウが土手で津波の水をかぶる、と並べます。この順番には利点があって、そのまま規則16条の4の3の号の順(1号・2号・3号・3号の2)になっています。語呂を唱えると号の番号まで出てくる形です。
押さえるのは1点だけです。4つとも、宅地でも建物でも、売買でも貸借でも必要です。理屈も一行で済みます。その場所が危ないかどうかは、買う人にも借りる人にも、土地にも建物にも同じように関係するからです。「貸借だから不要になるはずだ」と考えさせる肢が繰り返し出ますが、貸借でも必要です。
もう一つ、S19の水害ハザードマップは令和2年8月に新設された事項です。新しい事項ほど出題されやすいため、内容まで目を通しておかれると安心です。説明するのはハザードマップにおける物件の所在地です。市町村に照会したうえで、その位置を含むハザードマップが作成されていない(または配布・掲載されていない)ことが確認されたときは、その照会をもって調査義務を果たしたことになり、提示すべきハザードマップが存しない旨を説明します。宅地建物取引業者が自ら浸水を調査する必要はありませんが、照会もせずに「無いから説明不要」とはなりません。
規則16条の4の3の4号・5号・6号 ── せき・たい・せい
- せき……石綿の使用の有無の調査結果(S20・規則16条の4の3第4号)
- たい……耐震診断の内容(S21・同5号)
- せい……住宅性能評価を受けた新築住宅である旨(S22・同6号)
石綿・耐震・性能評価。号の順(4号・5号・6号)に並んでいます。「せい」は性能評価です。35条書面には「設備の整備の状況」「利用に係る制限」など「せい」で始まる事項が他にもありますので、当て先を固定しておかれると混ざりにくくなります。3つとも建物の話なので、宅地には出てきません。更地に石綿も耐震診断も住宅性能評価もありません。
この見出しに号の番号を入れてあるのには理由があります。宅地に出てこない事項は、この3つで全部ではありません。同じ規則16条の4の3の7号(S23 台所・浴室・便所その他の設備の整備の状況)も建物の貸借だけの事項ですし、法35条1項の側にも区分所有建物の敷地の権利・規約の定め等(S06・法35条1項6号、規則16条の2)、既存建物の建物状況調査(S07・同6号の2イ)、設計図書・点検記録等の書類の保存の状況(S08・同ロ)があります。とくにS06は、35条・37条の記載事項の中でいちばん出題が多い事項です。語呂には入りませんが、35条書面の記載事項一覧で必ずご確認ください。
語呂の3つに戻ります。この3つを同じ扱いにしてしまうと、失点につながります。
- 石綿(S20)と耐震診断(S21)は、建物の貸借でも説明が必要です。
- 住宅性能評価(S22)だけが、建物の売買・交換に限られます。建物の貸借では不要です。
ここは丸暗記するより、「その建物で暮らす借主にとって必要な情報かどうか」という視点で見ると自然に理解できます。石綿と耐震診断は、いま目の前にある建物が安全かどうか、健康を損なうおそれがないかという話なので、買う人だけでなく、その建物で暮らす借主にも関係します。一方、住宅性能評価は、新築住宅がどの等級の性能を持つかという評価で、その建物を手に入れる人が価値を判断するための材料です。借りるだけの人には直接関係しないため、建物の貸借では説明しません。
条文上の根拠は規則16条の4の3の柱書です。柱書は契約内容の別ごとに説明すべき号を列挙していて、建物の貸借は「第1号から第5号まで、および第7号から第12号まで」です。4号と5号は範囲に入っていて、6号だけが抜けています。
なお、石綿も耐震診断も、宅地建物取引業者が自ら実施する義務はありません。石綿は調査の結果が記録されているときにその内容を、耐震診断は診断を受けたものであるときにその内容を説明します。「調査を実施しなければならない」という肢は誤りです。
37条書面の語呂合わせ
売買・交換で必ず書く6つ ── とうぶつ・かくだい・ひきとうき
2つずつ3組で区切ります。とうぶつ(当事者・物件)/かくだい(確認・代金)/ひきとうき(引渡し・登記)。
- とう……当事者の氏名(法人は名称)および住所(T01・法37条1項1号)
- ぶつ……物件を特定するために必要な表示(T02・法37条1項2号)
- かく……既存建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者双方が確認した事項(T03・法37条1項2号の2)
- だい……代金・交換差金の額、支払の時期および方法(T04・法37条1項3号)
- ひき……引渡しの時期(T05・法37条1項4号)
- とうき……移転登記の申請の時期(T06・法37条1項5号)
この6つは、法37条1項が「定めがあるときは」という条件を付けずに掲げているものです。並べ替えると意味がはっきりします。誰が、何を、どんな状態のものとして、いくらで、いつ渡して、いつ名義を移すか。契約書として当然に要る骨格そのもので、抜けていては書面の用をなしません。だから条件が付いていません。語呂を忘れても、「契約書に書いていなかったら困ること」を考えれば、6つを思い出せます。
「かく」(T03)だけは条件付きです。既存建物のときの事項なので、宅地の売買・交換では対象外になります。数でいうと宅地では5つです。
そしてこの「かく」は、35条書面のS07と対になる最重要のひっかけです。名前が似ていて、結論が逆になります。35条のS07(法35条1項6号の2イ)は建物状況調査を実施したかどうかと結果の概要で、建物の貸借でも説明します。37条のT03は当事者どうしが確認し合った内容で、貸借では記載しません。「調査」と「確認」で分けて覚えておきましょう。詳しい対比は37条書面の記載事項一覧にあります。
貸借で必ず書く4つ ── とうぶつ・ひきしゃく
- とう……当事者の氏名および住所(T01・法37条2項1号、1項1号)
- ぶつ……物件を特定するために必要な表示(T02・法37条2項1号、1項2号)
- ひき……引渡しの時期(T05・法37条2項1号、1項4号)
- しゃく……借賃の額、支払の時期および方法(T14・法37条2項2号)
2つの語呂を並べると、貸借で何が起きているかがそのまま見えます。
- 売買・交換……とうぶつ・かくだい・ひきとうき
- 貸借……とうぶつ・ひきしゃく
売買・交換から貸借に変わったことで、変化があったのは次の3点だけです。
- 「かく」(T03・既存建物の双方確認)……貸借では記載しません
- 「とうき」(T06・移転登記の申請の時期)……貸借では記載しません
- 「だい」(T04・代金)……なくなるのではなく、「しゃく」(T14・借賃)に置き換わります
「かく」と「とうき」は、どちらも物件を買って所有者になる人に必要な事項で、借りる人には関係がありません(条文上は、法37条2項1号の引用に第2号の2と第5号が入っていないため)。「だい」は、法37条2項2号で借賃の額として定められています。
「記載しなくなるもの」と「名前を変えて記載するもの」は、区別して整理しておきましょう。「貸借では代金のことを書かなくてよい」は誤りです。売買の「代金」という項目が、貸借では「借賃(家賃)」という項目に置き換わっているだけで、借賃の額は必ず書きます。
なぜ「しゃく」(借賃の額)は37条書面だけなのか
35条書面に「借賃の額」の説明事項はありません。だから「しゃく」は37条書面の語呂にだけ入っていて、35条書面の語呂には出てきません。受験生がいちばん混乱しやすいところですので、2つの書面の役割から整理しておきましょう。
- 35条書面……契約するかどうかを決めるための、事前の判断材料です。「かいそんきん」の「きん」で触れたとおり、法35条1項7号が説明を求めているのは借賃以外に授受される金銭(敷金・礼金など)の額と授受の目的で、家賃そのものの額も、授受の時期も入っていません。
- 37条書面……話し合いで決まった契約条件の記録です。借賃の額と支払の時期・方法は、法37条2項2号により必ず記載します。
借賃の額は、聞かされて判断する情報ではなく、当事者が話し合って決める契約の条件そのものです。だからこそ、合意した結果を記録する37条書面に書くことになっています。
見分け方を1つご紹介します。法35条1項7号の金銭の話で「時期」が出てきたら、それは37条書面のほうです。詳しい対比は35条書面の「借賃以外に授受される金銭」にあります。
語呂で思い出した事項を実際の選択肢で判別できるかは、語呂の対象事項を集めた演習問題(28問)で確かめられます。
語呂を5つ覚えるより、1行の理屈のほうが速い
37条書面には、売買・交換では書くのに貸借では書かない事項が5つあります。ここに語呂を当てるつもりで作りかけて、やめました。1行で説明がつくものに語呂を付けると、かえって遅くなるからです。
条文上の根拠は、さきほどと同じ法37条2項1号の引用です。売買・交換で書く事項のうち、2項1号が引用していないものから、借賃に置き換わる「代金」と「代金以外の金銭」を除いた5つが、貸借では記載事項から外れます(法37条1項2号の2・5号・9号・11号・12号)。そのうえで、なぜその5つなのかを一瞬で判断するためのキーワードがこれです。借りる人は、その物件の所有者にならない。
- T06 移転登記の申請の時期(法37条1項5号)……借主に移す名義がありません
- T13 租税その他の公課の負担に関する定め(法37条1項12号)……固定資産税を負担するのは所有者です
- T12 契約不適合責任またはその履行に関して講ずべき措置についての定め(法37条1項11号)……種類や品質が契約の内容に適合しないときの責任で、物を手に入れる側に向いた定めです
- T10 金銭の貸借のあっせんが成立しないときの措置(法37条1項9号)……条文が「代金又は交換差金についての」と限定しています。買うための融資の話です
- T03 既存建物について当事者双方が確認した事項(法37条1項2号の2)……建物の状態を確認し合うのは、その建物を引き取る当事者どうしです
5つ並べて覚えるのではなく、肢を見たときに「これは所有者の話か」と一度問い直す。それだけで判別していただけます。ただしこれは思い出すための補助で、正誤の根拠は引用列挙のほうです。事項ごとの詳しい理由と、貸借で残るほうの事項は37条書面の記載事項一覧にあります。
語呂にも1行の理屈にも入らない2つ
2つだけ、語呂にも1行の理屈にも入らないものを添えておきます。T13(租税その他の公課)は、37条書面だけの事項であり、かつ貸借では記載しません。条件が2段になっているので「37条だけの事項」で止めると取りこぼします。逆にT11(天災その他不可抗力による損害の負担・法37条1項10号)は、37条書面だけの事項ですが貸借でも記載します。法37条2項1号が1項10号を引用しているためです。
35条書面のほうは、別の考え方で整理する
「所有者にならない」で説明できるのは37条書面の話です。35条書面で、貸借では説明しなくてよくなる事項には、2つの型があります。
- 条件が成立しない型……S12 手付金等の保全措置(法35条1項10号)は自ら売主となる売買の話、S14 金銭の貸借のあっせん(同12号)は代金についての話なので、貸借では出番がありません
- 条文が名指しで外している型……S03 私道に関する負担(同3号)は「建物の貸借の契約以外のものであるときは」、S08 書類の保存の状況(同6号の2ロ)は規則が「売買又は交換の契約に係る住宅に関する書類」と書いています
代表的なのはこの4つですが、これで全部ではありません(S22 住宅性能評価も、規則16条の4の3の柱書が建物の貸借から6号を外している型です)。「貸借だから説明しない」とひとまとめにせず、条文がどう外しているかで見ていただくのが確実です。
そのうえで、語呂に入れなかった事項が1つあります。S13です。
- S12 手付金等の保全措置(法35条1項10号)=売買・交換だけ
- S13 支払金・預り金を受領する場合の保全措置(法35条1項11号、規則16条の3)=貸借でも必要
名前が似ていて結論が逆になるため、語呂で並べると必ず混ざってしまいます。ここは音ではなく条文で覚えていただくのが安全です。S13の規則16条の3は、対象に借賃と敷金を名指しで挙げています。名指しされている以上、貸借で説明が要らなくなることはありません。詳しくは35条書面の支払金・預り金の保全措置でご確認いただけます。
逆に、貸借にしか出てこない事項もある
35条書面には、貸借のときだけ加わる事項が7つあります。根拠はすべて規則16条の4の3です。ここも語呂を作っていません。借りて住む人の不安に置き換えると、意味で拾えるからです(並びは号の順ではありません)。
- いつまで住めるか……S24 契約期間および契約の更新に関する事項(規則16条の4の3第8号)/S25 定期借地権・定期建物賃貸借等を設定しようとするときはその旨(同9号)
- どう使えるか……S26 用途その他の利用に係る制限に関する事項(同10号)/S23 台所・浴室・便所その他の設備の整備の状況(同7号。建物の貸借だけ)
- 出るときいくら返るか……S27 敷金その他契約終了時に精算する金銭の精算に関する事項(同11号)
- 困ったら誰に言うか……S28 管理が委託されているときの委託先の氏名・住所(同12号)
- 更地に戻すのは誰か……S29 契約終了時における宅地の上の建物の取壊しに関する事項(同13号。宅地の貸借だけ)
このうちS27だけは、結論を先に覚えてしまわれるのが早道です。「敷金の精算は35条書面。しかも定めの有無を問わない」(規則16条の4の3第11号)。37条書面ではありません。「お金の話だから37条書面」と判断してしまうと、間違いのもとになります。
37条書面の側にあるのはT15 借賃以外の金銭の授受の定め(法37条2項3号)で、こちらはいくら・いつ・何のために授受するかの定めです。終了時の精算は35条、授受の定めは37条と整理しておきましょう。細かい違いは35条書面の敷金等の精算に関する事項にまとめてあります。
語呂合わせが通用しない場面
せっかく覚えた語呂が本試験で効かない、というのはつらいものです。だからこそ、通用する場面としない場面を先にお伝えしておきます。
ここまで語呂を5つご紹介しておいて申し上げにくいのですが、語呂だけで解ける肢は、実はそれほど多くありません。理由ははっきりしています。語呂に入るのは「項目の名前」だけで、「宅地か建物か」「売買か貸借か」までは入りません。そして本試験が聞いてくるのは、たいていその組み合わせのほうです。
例を1つ。「建物の貸借の媒介において、私道に関する負担に関する事項を説明しなければならない」は誤りです。法35条1項3号が建物の貸借の契約を名指しで外しているからです。ところが同じ貸借でも宅地の貸借では説明が必要で、「貸借だから説明しない」とひとまとめに覚えているとここで間違えます。項目名を思い出せたかどうかは、この肢の正誤に一切関係していません。
そこで、使い方はこうご提案します。語呂は索引、理屈は骨、表は辞書。語呂で項目を呼び出し、理屈でなぜそうなるかを確かめ、最後に表で取引区分ごとの要否を確認する。この順に行き来できるようになれば、聞き方を変えられても迷いにくくなります。
表は2本ご用意しています。35条書面の記載事項一覧(30項目)と37条書面の記載事項一覧(15項目)です。どちらも取引区分で絞り込めますので、語呂で思い出した項目をその場でご確認いただけます。
語呂で覚えたことの確認
語呂で呼び出した項目を、取引区分まで含めて判別できるか、問題で確かめてみましょう。
よくある質問
35条書面の語呂合わせの覚え方は?
30項目を1本の語呂で覚えようとすると、先に語呂のほうを忘れてしまいます。群に分けて、群ごとに短い語呂を当てるほうが忘れにくくなります。この記事では3つです。「かいそんきん」(37条書面では条件が変わる3つ=解除・損害賠償額の予定・代金等以外の金銭)、「ぞう・ど・つ・すい」(災害の4つ)、「せき・たい・せい」(規則16条の4の3の4号・5号・6号)。後ろ2つは規則16条の4の3の号の順に並べてあるので、語呂を唱えると号の番号(1号・2号・3号・3号の2/4号・5号・6号)まで一緒に出てきます。「かいそんきん」は号順ではありません。残りの項目には語呂を作っていません。理屈で拾ったほうが速いものと、語呂にすると混ざるものがあるからです。
宅建業法35条と37条の覚え方は?
35条書面は契約するかどうかを決めるための情報、37条書面は決まった内容の記録。この1行を先に置いてから、項目の語呂に入っていただくのがおすすめです。順番が逆になると、語呂は覚えたのに肢が切れない状態になりやすいためです。たとえば契約の解除は、35条書面では定めの有無を問わず説明し(法35条1項8号)、37条書面では定めがあるときだけ記載します(法37条1項7号)。この違いも、さきほどの1行から導けます。判断軸そのものの詳しい解説は35条書面と37条書面の違いにあります。
35条書面と37条書面の区別の覚え方は?
迷った肢に「これは契約する前に知りたいことか、決まってから残すことか」と問い直すのが基本です。そのうえで、直感が効かない3か所だけを個別に覚えます。①借賃の額は37条書面(法37条2項2号)。35条書面に借賃の額の説明事項は無い ②敷金など契約終了時に精算する金銭の精算に関する事項は35条書面(規則16条の4の3第11号) ③天災その他不可抗力による損害の負担(危険負担)は37条書面だけ(法37条1項10号)。3つとも「お金や災害の話だから重要事項説明だろう」という直感とずれますので、語呂に頼らず結論を覚えてしまわれるほうが早道です。
35条書面の記載事項の覚え方は?
語呂を当てる前に、「どの取引でも必要/建物だけ/貸借だけ/貸借では説明しない/割賦販売のときだけ」の5群に割っておくのが先です。この記事の語呂は、そのうちの一部に当てたものにすぎません。「かいそんきん」は37条書面と条件が逆になる3つ、「ぞう・ど・つ・すい」はどの取引でも必要な災害の4つ、「せき・たい・せい」は規則16条の4の3の4号〜6号です。語呂に入っていない項目のほうが多く、とくに区分所有建物(S06・法35条1項6号、規則16条の2)は出題がいちばん多い事項です。群ごとの全項目は35条書面の記載事項一覧でご確認いただけます。
37条書面の記載事項の覚え方は?
15項目は、まず「必ず書くのか、定めがあるときだけか」「売買・交換か貸借か」の2軸で置いてみてください。そのうえで、必ず書く事項だけは語呂で並びごと固定できます。売買・交換は「とうぶつ・かくだい・ひきとうき」(T01当事者・T02物件の表示・T03既存建物の双方確認・T04代金の額・T05引渡しの時期・T06移転登記の申請の時期=法37条1項1号・2号・2号の2・3号・4号・5号。宅地では「かく」=既存建物の双方確認が対象外になって5つ)、貸借は「とうぶつ・ひきしゃく」(T01・T02・T05・T14借賃の額)です。法37条2項1号は1項の1号・2号・4号・7号・8号・10号を引用しており、そのうち必ず書くのが1号・2号・4号にあたるT01・T02・T05。これに借賃の額(法37条2項2号)が加わります。2つを並べると、貸借で何がなくなり、何に置き換わるかがそのまま見えます。定めがあるときだけ記載する事項には語呂を当てていません。貸借で書かない5つ(T03・T06・T10・T12・T13)は「借りる人は所有者にならない」の一行で拾えます。取引区分ごとの要否は37条書面の記載事項一覧でご確認いただけます。
語呂合わせだけで本試験に対応できますか?
できません。語呂に入るのは項目の名前だけで、「宅地か建物か」「売買か貸借か」までは入らないからです。本試験はその組み合わせを聞いてきます。たとえば「建物の貸借で私道に関する負担を説明しなければならない」は誤りですが(法35条1項3号が建物の貸借の契約を外しているため)、宅地の貸借では説明が必要で、項目名を思い出せたかどうかはこの正誤に関係していません。語呂は索引、理屈は骨、表は辞書として、3つを行き来する使い方をおすすめします。
賃料(借賃)はどちらの書面に書きますか?
37条書面です。この記事の語呂でいうと、貸借の「とうぶつ・ひきしゃく」の「しゃく」にあたります(T14・法37条2項2号)。35条書面の語呂に「しゃく」は入っていません。法35条1項7号が説明を求めているのは借賃以外に授受される金銭で、礼金・権利金・敷金といった家賃以外のお金だけだからです。売買・交換の語呂の「だい」(T04・代金)が、貸借では「しゃく」に置き換わると押さえておくと、位置ごと思い出せます。
敷金の精算はどちらの書面ですか?
35条書面です(規則16条の4の3第11号)。貸借のときだけ、定めの有無を問わず説明します。この記事では語呂を作っていない群の1つで、「出るときいくら返るか」という借りる人の不安として覚えていただくほうが確実です。混同しやすいのは、敷金という金銭の授受の定め(額・授受の時期・目的)のほうで、こちらは貸借の37条書面に、定めがあるときに記載します(法37条2項3号)。終了時の精算は35条、授受の定めは37条と分けて覚えておきましょう。
危険負担はどちらの書面ですか?
37条書面です(T11・法37条1項10号)。法35条1項のどの号にもありません。この記事の語呂には入っていません。売買・交換の必要的記載事項6つ(とうぶつ・かくだい・ひきとうき)にも、貸借の4つ(とうぶつ・ひきしゃく)にも含まれない、定めがあるときに記載する事項だからです。押さえる点は3つ。①37条書面だけ ②定めがあるときだけ ③貸借でも記載する(法37条2項1号が1項10号を引用しているため)。「重要事項として説明しなければならない」という肢は誤りです。
まとめ
最後に、この記事の語呂を並べておきます。いずれも35条・37条の一部に当てたもので、これだけで全項目を覆うものではありません。
- かいそんきん……35条書面のうち、37条書面では「定めがあるとき」に変わる3つ(S10・S11・S09)
- ぞう・ど・つ・すい……35条書面の災害の4つ(S16〜S19)。全区分で必要
- せき・たい・せい……規則16条の4の3の4号〜6号(S20・S21・S22)。3つとも宅地には出てこない。性能評価だけ建物の貸借では不要
- とうぶつ・かくだい・ひきとうき……37条書面で売買・交換に必ず書く6つ(T01〜T06。宅地では「かく」が対象外で5つ)
- とうぶつ・ひきしゃく……37条書面で貸借に必ず書く4つ(T01・T02・T05・T14)
そして、あえて語呂を作らなかったところが3か所あります。貸借で書かない5つ(借りる人は所有者にならない)、貸借だけの7項目(借りて住む人の不安の順)、S12とS13(音で並べると必ず混ざる)。語呂は万能ではなく、語呂にしないほうが速いものを見分けること自体が覚え方です。
仕上げは、表で確かめていただくのがおすすめです。35条書面の記載事項一覧と37条書面の記載事項一覧は取引区分で絞り込めます。2つの書面の役割の違いは35条書面と37条書面の違いにまとめてあります。