宅建試験で農地法を学ぶとき、まず区別がつきにくいのが、3条・4条・5条の許可の違いです。このページは、宅建試験の受験生に向けて、農地法の許可と、許可が要らない場合を表で整理したものです。結論から言うと、3条は農地又は採草放牧地を、そのまま売買・賃貸借などをするときの許可で、許可権者は農業委員会です。4条は農地を農地以外のものにする(転用する)ときの許可、5条は転用するために売買・賃貸借などをするときの許可で、どちらも許可権者は都道府県知事等です(農地法3条1項・4条1項・5条1項)。「都道府県知事等」は、都道府県知事と、農林水産大臣が指定する市町村(指定市町村)の区域内では、その指定市町村の長のことです。
もう1つ押さえておきたいのが、許可が要らない場合です。市街化区域内の農地は、あらかじめ農業委員会に届け出れば、転用にも、転用のための売買などにも、4条・5条の許可は要りません(農地法4条1項7号・5条1項6号)。ただし、この届出の特例は4条・5条だけで、3条にはありません。
そこで、このページでは、表1で3条・4条・5条の違いを見渡し、表2で3条の許可が要るかを権利の取得方法別に、表3で4条・5条の許可が要るかを転用の場面別に整理します。最後に表4で、農地かどうかの判断と、農地の賃貸借のルールを確かめます。まずは表1から見ていきましょう。
本記事は、2026年9月時点で施行されている農地法・農地法施行令・農地法施行規則にもとづいています。令和9年度(2027年度)試験の法令基準日は2027年4月1日です。
農地法3条・4条・5条の違い
3条・4条・5条を見分けるときは、「農地を使う人が変わるか」「農地が農地でなくなるか」という2つの問いを立ててみましょう。使う人が変わるだけなら3条、農地でなくなるだけなら4条、両方にあてはまるなら5条です。ただし、これは覚えるための整理です。使う人が変わっても、相続のように3条の許可が要らない取得もあります(表2)。正誤は、表1の条文の列で判断します。
「出題」は、昭和63年〜令和7年の本試験の過去問で、年度と問番号を確かめたものだけを載せています。「直近10年」は平成28年〜令和7年の本試験で、その行の論点が選択肢に出た回数です。「問われ方」は、過去問で誤りの選択肢として出た形です。正しい選択肢としてだけ出たものは「(正しい選択肢として出題)」としています。「注意」は、過去問では確かめていませんが、誤解しやすい点です。
| 項目 | 3条(権利移動) | 4条(転用) | 5条(転用目的の権利移動) | 条文 |
|---|---|---|---|---|
| 何をするときの許可か | 農地又は採草放牧地を、そのまま売買・賃貸借などをする(所有権の移転、賃借権などの設定・移転) | 農地を農地以外のものにする(転用) | 農地を農地以外のものにするため、又は採草放牧地を採草放牧地以外のもの(農地を除く)にするため、売買・賃貸借などをする | 農地法3条1項 農地法4条1項 農地法5条1項 |
| ほかの条の許可との関係 | 5条の許可が要る権利移動には、3条の許可は要らない | 5条の許可を受けた農地を、その許可の目的に使うときは、4条の許可は要らない | 5条の許可だけで足りる(3条・4条の許可を重ねて受けない。取得する者が農家かどうかも関係しない) | 農地法3条1項 農地法4条1項1号 農地法5条1項 |
| 対象になる土地 | 農地と採草放牧地(採草放牧地を農地にするための取得も3条) | 農地だけ(採草放牧地の転用は4条の対象ではない) | 農地と採草放牧地 | 農地法3条1項 農地法4条1項 農地法5条1項 |
| 許可をする者 | 農業委員会 | 都道府県知事等 | 都道府県知事等 | 農地法3条1項 農地法4条1項 農地法5条1項 |
| 4ヘクタールを超えるとき | 農業委員会(面積で許可をする者は変わらない) | 都道府県知事等(許可をする前に、あらかじめ農林水産大臣に協議する) | 都道府県知事等(許可をする前に、あらかじめ農林水産大臣に協議する) | 農地法3条1項 農地法4条1項 農地法5条1項 農地法附則2項1号・3号 |
| 市街化区域内の農地 | 特例はない(市街化区域内でも許可が必要) | あらかじめ(転用の前に)農業委員会に届け出れば、面積を問わず許可は要らない | あらかじめ(転用の前に)農業委員会に届け出れば、面積を問わず許可は要らない | 農地法3条1項 農地法4条1項7号 農地法5条1項6号 |
| 国・都道府県等が取得・転用するとき | 国又は都道府県が権利を取得するときは、許可は要らない | 道路・農業用用排水施設など省令で定める施設のためなら許可は要らない。それ以外(学校・病院など)は、都道府県知事等との協議が成立すれば許可があったものとみなす。指定市町村でない市町村は、ほかの者と同じく許可が要る | 道路・農業用用排水施設など省令で定める施設のためなら許可は要らない。それ以外(学校・病院など)は、都道府県知事等との協議が成立すれば許可があったものとみなす。指定市町村でない市町村は、ほかの者と同じく許可が要る | 農地法3条1項5号 農地法4条1項2号 農地法4条8項 農地法5条1項1号 農地法5条4項 |
| 許可を受けずに行った行為 | 効力を生じない(所有権は移転しない) | 工事の停止・原状回復などの命令の対象になる | 効力を生じない。工事の停止・原状回復などの命令の対象にもなる | 農地法3条6項 農地法5条3項 農地法51条1項 |
| 違反した者の罰則 | 3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金 | 3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金 | 3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金 | 農地法64条1号 |
| 法人に科される罰金(両罰規定) | 300万円以下の罰金 | 1億円以下の罰金 | 1億円以下の罰金 | 農地法67条1号 農地法67条2号 |
「都道府県知事等」は、都道府県知事(農林水産大臣が指定する市町村の区域内では、その指定市町村の長)です。
まず、ほかの条の許可との関係です。5条の許可が要る権利移動には、3条の許可は要りません(農地法3条1項)。また、5条の許可を受けた農地を、その許可の目的に使うときは、4条の許可も要りません(同法4条1項1号)。つまり、転用のために買うときは5条の許可だけで足り、取得する者が農家かどうかも関係しません。2つの問いの両方にあてはまるときは、3条と4条を重ねるのではなく、5条の許可1つにまとまると整理しておきましょう。
次に、対象になる土地です。3条と5条は農地と採草放牧地が対象ですが、4条は農地だけが対象です(農地法3条1項・4条1項・5条1項)。そのため、採草放牧地を自分で農地以外のものにしても、4条の許可の対象にはなりません。一方、採草放牧地を転用するために売買などをするときは、5条の対象です。なお、採草放牧地を農地にするための取得は、転用ではないので3条の対象です(表1の「対象になる土地」の行)。
許可権者と、4ヘクタールを超えるとき
許可権者は、3条が農業委員会、4条・5条が都道府県知事等です(表1の「許可をする者」の行)。そして、4ヘクタールを超える農地の転用や、転用のための権利移動も、許可権者は都道府県知事等です。ただし、許可の前に、あらかじめ農林水産大臣に協議します(農地法附則2項1号・3号)。3条は、面積によって許可権者が変わることはありません。
インターネット上の古い解説には、「4ヘクタールを超える転用は農林水産大臣の許可」とするものも残っています。これは平成28年3月31日までの規定で、平成28年4月1日から、いまの形(都道府県知事等の許可と、農林水産大臣への協議)に改められました(平成27年法律第50号)。4ヘクタールを超えると農林水産大臣の許可、とする選択肢は、いまの試験では誤りです。
市街化区域内の農地は、届出で足りる(4条・5条だけ)
市街化区域内の農地を転用するとき、又は転用のために売買などをするときは、あらかじめ(転用の前に)農業委員会に届け出れば、面積を問わず、4条・5条の許可は要りません(農地法4条1項7号・5条1項6号)。届出先は農業委員会で、市町村長や都道府県知事ではありません。また、届出は転用の後ではなく、前にします。
これに対して、3条には、この特例がありません。市街化区域内の農地でも、耕作の目的で売買などをするときは、3条の許可が要ります(表1の「市街化区域内の農地」の行)。また、市街化調整区域の農地には、この届出の特例がありません。
国・都道府県等が取得・転用するとき
国又は都道府県が権利を取得するときは、3条の許可は要りません(農地法3条1項5号)。4条・5条では、国又は都道府県等が、道路・農業用用排水施設など省令で定める施設のために転用するときは、許可が要りません(同法4条1項2号・5条1項1号)。それ以外(学校・病院など)のときは、都道府県知事等との協議が成立すれば、許可があったものとみなされます(同法4条8項・5条4項)。ここでいう「都道府県等」は、都道府県と指定市町村です。指定市町村でない市町村は、ほかの者と同じく許可が要ります(表1の「国・都道府県等が取得・転用するとき」の行)。
許可を受けないとき(効力と罰則)
3条・5条の許可を受けずに行った売買などは、効力を生じません(農地法3条6項・5条3項)。つまり、所有権は移転しません。また、許可を受けずに行った4条・5条の転用は、工事の停止や原状回復などの命令の対象になります(同法51条1項)。
罰則は、3条・4条・5条のどれに違反した者も、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金です(農地法64条1号)。刑名は、令和7年6月1日から、「懲役」が「拘禁刑」に変わりました(令和4年法律第68号)。一方、法人に科される罰金(両罰規定)は、3条の違反では300万円以下ですが、4条・5条の違反では1億円以下です(同法67条1号・2号)。法人の罰金だけは、条によって額が違うと押さえておきましょう。
3条の許可が要らない場合・要る場合
ここからは、表2で、3条の許可が要るかを、権利の取得方法別に確かめます。読むときの軸は、3条の許可は、売買・贈与・賃貸借のように、当事者の契約で農地を使う権利を動かすときに要るという点です。ただし、これは覚えるための整理で、この軸で説明できない行もあります。正誤は、表2の条文の列で判断しましょう。
| 項目 | 3条の許可 | あわせて必要なこと | 条文 |
|---|---|---|---|
| 相続 | 要らない | 遅滞なく、農業委員会に届け出る | 農地法3条の3 |
| 遺産の分割・包括遺贈・相続人に対する特定遺贈 | 要らない | 遅滞なく、農業委員会に届け出る | 農地法3条1項12号 農地法3条1項16号 農地法施行規則15条5号 農地法3条の3 |
| 財産の分与の裁判・調停 | 要らない | 遅滞なく、農業委員会に届け出る | 農地法3条1項12号 農地法3条の3 |
| 民事調停法による農事調停 | 要らない | — | 農地法3条1項10号 |
| 土地収用法などによる収用・使用 | 要らない | — | 農地法3条1項11号 |
| 抵当権の設定 | 要らない(抵当権は、3条が定める使用・収益の権利ではない) | — | 農地法3条1項 |
| 相続人以外の者に対する特定遺贈 | 要る | — | 農地法3条1項 農地法施行規則15条5号 |
| 贈与(親から子への贈与も同じ) | 要る | — | 農地法3条1項 |
| 当事者の協議による財産の分与 | 要る | — | 農地法3条1項 農地法3条1項12号 |
| 競売(抵当権の実行を含む)による取得 | 要る(転用の目的なら5条の許可) | — | 農地法3条1項 農地法5条1項 |
| 3条の許可を停止条件とする売買と、それを原因とする所有権移転の仮登記 | 要らない(仮登記の段階では、権利はまだ移転していない) | 届出も要らない | 農地法3条1項 農地法3条の3 |
| 農地所有適格法人でない法人(株式会社など)の借入れ | 受けられる(適正に利用していないときは解除する旨の条件を書面の契約で付けるなどの要件を満たすとき。この特例は、使用貸借による権利・賃借権の設定に限られる) | — | 農地法3条2項2号 農地法3条3項 |
| 社会福祉法人などの所有権の取得 | 受けられる(学校法人・医療法人・社会福祉法人など営利を目的としない法人が、業務の運営に必要な施設に使うと認められるときは、農地所有適格法人でなくてもよい) | — | 農地法3条2項 農地法施行令2条1項1号 農地法施行令2条2項5号 農地法施行規則16条1項 |
「あわせて必要なこと」の届出は、農地の存する市町村の農業委員会への届出です(農地法3条の3)。
まず、軸で整理できる行です。相続は、当事者の契約で権利が動くのではないので、3条の許可は要りません。土地収用法などによる収用・使用も、契約によらないので許可は要りません(農地法3条1項11号)。そして、抵当権は、3条が定める使用・収益を目的とする権利ではないので、抵当権の設定にも許可は要りません(同法3条1項)。これに対して、贈与は契約なので、親から子への贈与でも許可が要ります(同項)。協議による財産の分与も、当事者の合意で権利を動かすので、許可が要ります。
次に、軸では説明できず、条文の結論として押さえる行です。遺産の分割と、財産の分与の裁判・調停による取得は、許可が要りません(農地法3条1項12号)。民事調停法による農事調停も、許可が要りません(同項10号)。遺贈は、包括遺贈と相続人に対する特定遺贈に限って許可が要らず(同項16号、農地法施行規則15条5号)、相続人以外の者に対する特定遺贈には、許可が要ります。また、競売は当事者どうしの契約による取得ではありませんが、競売(抵当権の実行を含む)による取得には許可が要ります(転用の目的なら5条の許可。農地法3条1項・5条1項)。
そして、許可が要らない取得のうち、相続、遺産の分割・包括遺贈・相続人に対する特定遺贈、財産の分与の裁判・調停で権利を取得したときは、遅滞なく、農業委員会に届け出ます(農地法3条の3)。許可は要らなくても、届出は要ると区別しておきましょう。一方、3条の許可を停止条件とする売買と、それを原因とする所有権移転の仮登記は、その段階では権利がまだ移転していないので、許可も届出も要りません(表2の「3条の許可を停止条件とする売買と、それを原因とする所有権移転の仮登記」の行)。
最後に、許可の基準の2行です。農地所有適格法人でない株式会社なども、適正に利用していないときは使用貸借・賃貸借を解除する旨の条件を書面の契約で付けるなどの要件を満たせば、耕作の目的で農地を借り入れる3条の許可を受けられます。ただし、この特例は、使用貸借による権利と賃借権の設定に限られます(農地法3条2項2号・3条3項)。また、学校法人・医療法人・社会福祉法人など営利を目的としない法人は、業務の運営に必要な施設に使うと認められるときは、農地所有適格法人でなくても、所有権の取得について許可を受けられます(同法3条2項、農地法施行令2条1項1号・2条2項5号、農地法施行規則16条1項)。
4条・5条の許可が要らない場合・要る場合
続いて、表3で、4条・5条の許可が要るかを、転用の場面別に確かめます。この表で意識しておきたいのは、一時的でも、元に戻す約束があっても、農地を農地以外のものにすれば許可が要るということです。資材置場・臨時駐車場・砂利の採取のような一時的な転用にも、4条・5条の許可が要ります(農地法4条1項・5条1項)。
| 項目 | 4条(転用) | 5条(転用目的の権利移動) | 条文 |
|---|---|---|---|
| 自己の農業用施設(2アール未満) | 要らない(耕作の事業を行う者が、自己の農地(2アール未満のもの)を自己の農作物の育成・養畜の事業のための農業用施設にするとき) | 面積による例外はない(許可が要る) | 農地法4条1項8号 農地法施行規則29条1号 農地法5条1項 |
| 土地収用法などで収用・使用した農地 | 要らない(収用・使用した目的に使うとき) | 要らない(収用・使用されるとき)。収用できる事業のために任意に買うときは要る | 農地法4条1項6号 農地法5条1項5号 |
| 土地区画整理事業で道路・公園などを作る | 要らない | — | 農地法4条1項8号 農地法施行規則29条6号 |
| 山林・原野を開墾して農地にする | 要らない(農地を農地以外のものにするのではない) | — | 農地法4条1項 |
| 一時的な転用(資材置場・臨時駐車場・砂利の採取など) | 要る | 要る | 農地法4条1項 農地法5条1項 |
| 相続で取得した農地を、自己の住宅用地にする | 要る(取得のときに許可が要らなかったことは関係しない) | — | 農地法4条1項 |
| 自己の住宅(分家住宅を含む)・賃貸住宅を建てる(市街化区域外) | 要る | — | 農地法4条1項 |
| 4条の許可を受けた農地を、工事の着手前に同じ目的で第三者に売る | — | 改めて要る | 農地法5条1項 |
| 仮設工作物の設置など一時的な利用のための所有権の取得 | — | 受けることができない | 農地法5条2項6号 |
| 申請した農地の全てを申請の用途に使うことが確実と認められないとき(住宅用地の造成だけを目的とするものなど) | 原則として受けることができない | 原則として受けることができない | 農地法4条6項3号 農地法施行規則47条5号 農地法5条2項3号 農地法施行規則57条5号 |
| 許可の申請 | 転用する者が、農業委員会を経由して都道府県知事等に申請書を出す | 当事者が連署した申請書を、農業委員会を経由して出す(民事調停法による調停・確定判決などのときは連署しなくてよい) | 農地法4条2項 農地法5条3項 農地法施行規則57条の4第1項 農地法施行規則10条1項2号 |
| 原状回復などの命令を受ける者 | 違反した者とその一般承継人、許可の条件に違反している者、違反の土地の工事を請け負った者とその下請人、不正に許可を受けた者 | 同じ | 農地法51条1項1号・2号・3号・4号 |
市街化区域内の届出の特例と、国・都道府県等の扱いは表1にあります。
まず、面積による例外です。耕作の事業を行う者が、自己の農地を、自己の農作物の育成・養畜の事業のための農業用施設にするときは、その農地が2アール未満なら、4条の許可は要りません(農地法4条1項8号、農地法施行規則29条1号)。「2アール未満なら許可は要らない」と言われるのは、この場面のことです。面積の例外は、この4条の場面だけで、5条には面積による例外はありません。また、2アール以上の農業用施設にするときは、4条の許可が要ります。
次に、許可が要らないそのほかの場面です。土地収用法などで収用・使用した農地を、その目的に使うときは4条の許可が要らず、収用・使用されるときは5条の許可も要りません(農地法4条1項6号・5条1項5号)。ただし、収用できる事業のために任意に買うときは、5条の許可が要ります。土地区画整理事業で道路・公園などを作るときも、4条の許可は要りません(同法4条1項8号、農地法施行規則29条6号)。そして、山林・原野を開墾して農地にするときは、農地を農地以外のものにするのではないので、4条の許可は要りません(同法4条1項)。
これに対して、許可が要る場面です。市街化区域外では、相続で取得した農地を自己の住宅用地にするときも、相続による取得に3条の許可が要らなかったこととは別に、4条の許可が要ります(農地法4条1項)。自己の農地に自己の住宅(分家住宅を含む)や賃貸住宅を建てるときも同じです。また、4条の許可を受けた農地を、工事に着手する前に同じ目的で第三者に売るときは、改めて5条の許可が要ります(農地法5条1項)。
そこで、「農地を宅地にするには、どんな手続が要るか」という疑問は、区域で分けて考えます。市街化区域内なら、あらかじめ農業委員会に届け出れば足ります。市街化区域外なら、自分の農地を宅地にするときは4条の許可、宅地にするために買う・借りるときは5条の許可を、都道府県知事等から受けます。
さらに、表3には、許可を受けることができない場面の行もあります。仮設工作物の設置など一時的な利用のために所有権を取得するときは、5条の許可を受けることができません(農地法5条2項6号)。また、申請した農地の全てを申請の用途に使うことが確実と認められないとき(住宅用地の造成だけを目的とするものなど)は、原則として、4条・5条の許可を受けることができません(同法4条6項3号・5条2項3号、農地法施行規則47条5号・57条5号)。
最後に、手続と処分の2行です。5条の許可は、当事者が連署した申請書を、農業委員会を経由して都道府県知事等に提出します(民事調停法による調停や確定判決などのときは、連署しなくてよい。農地法4条2項・5条3項、農地法施行規則57条の4第1項・10条1項2号)。そして、原状回復などの命令は、違反した者とその一般承継人だけでなく、違反の土地の工事を請け負った者とその下請人なども受けます(農地法51条1項1号・2号・3号・4号)。
農地かどうかの判断と、農地の賃貸借
表4は、農地かどうかの判断と、農地の賃貸借のルールです。押さえておきたいのは、農地かどうかは現況で判断すること、農地の賃貸借は引渡しで第三者に対抗でき、終わらせるには、一定の場合を除き、都道府県知事の許可が要ることの2点です。
| 項目 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 農地かどうか | 耕作の目的に供される土地かどうか(現況)で判断する。登記簿の地目によらない | 農地法2条1項 |
| 休耕・遊休化している土地 | 耕作の目的に供される土地であれば農地(いま耕作していないだけでは、農地でなくならない) | 農地法2条1項 |
| 土地の面積 | 登記簿の地積による(登記簿の地積が著しく事実と違うとき・地積がないときは、実測にもとづき農業委員会が認定する) | 農地法56条 |
| 賃貸借の対抗力 | 登記がなくても、農地の引渡しがあれば、その後に物権を取得した第三者に対抗できる(賃貸借に限る。使用貸借は含まない) | 農地法16条 |
| 更新をしない旨の通知の時期(法定更新) | 期間満了の1年前から6か月前まで(一時賃貸をしたことが明らかなときは6か月前から1か月前まで)。この間に通知しないと、従前と同一の条件で更新したものとみなす | 農地法17条 |
| 解除・解約の申入れ・合意解約・更新をしない旨の通知 | 都道府県知事の許可が要る(民事調停法による農事調停による合意解約、引渡しの期限前6か月以内に成立した書面による合意解約など、一定の場合を除く)。許可を受けずに行った行為は効力を生じない | 農地法18条1項 農地法18条1項2号 農地法18条5項 農地法59条の2 |
| 更新をしない旨の通知に許可が要らない賃貸借 | 10年以上の期間の定めがある賃貸借(解約をする権利を留保しているものなどを除く)と、水田裏作を目的とする賃貸借 | 農地法18条1項3号 |
まず、農地かどうかは、耕作の目的に供される土地かどうか(現況)で判断し、登記簿の地目によりません(農地法2条1項)。登記簿の地目が山林・原野・宅地でも、耕作の目的に供されていれば農地です。また、いま耕作していない休耕地・遊休農地でも、耕作の目的に供される土地であれば、農地でなくなるわけではありません。
次に、賃貸借です。農地の賃貸借は、登記がなくても、農地の引渡しがあれば、その後にその農地について物権を取得した第三者に対抗できます(農地法16条)。ただし、これは賃貸借に限られ、使用貸借は含まれません。そして、賃貸借の解除、解約の申入れ、合意解約、更新をしない旨の通知には、一定の場合を除き、都道府県知事の許可が要り、許可を受けずに行った解除などは効力を生じません(同法18条1項・5項)。所有者からの一方的な解約の申入れにも、許可が要ります。なお、指定都市の区域内では、この18条の許可は指定都市がします(同法59条の2)。更新をしない旨の通知の時期と、許可が要らない賃貸借は、表4のそれぞれの行で確かめましょう。
このように、農地法は、表1で3条・4条・5条を2つの問いで見分け、市街化区域の届出の特例が4条・5条だけにあることを押さえておくと、選択肢がどの条についての文かを判断しやすくなります。迷ったときは、取得方法なら表2、転用の場面なら表3の行に戻って、許可が要るかを確かめましょう。
よくある質問
宅建の農地法の覚え方は?
このページの表1の3つの条を、「農地を使う人が変わるか」「農地が農地でなくなるか」の2つの問いで見分ける方法があります。使う人が変わるだけなら3条で、許可権者は農業委員会です。農地でなくなるだけなら4条、両方にあてはまるなら5条で、4条・5条とも許可権者は都道府県知事等(都道府県知事と、指定市町村の区域内ではその長)です。5条の許可を受けるときは、3条・4条の許可を重ねて受けません(農地法3条1項・4条1項1号・5条1項)。これは覚えるための整理で、市街化区域内の届出の特例(4条・5条だけ)などの例外は、表1〜表3の行で確かめます。
農地法3条の許可は、どんなときに要りますか?
農地又は採草放牧地について、所有権を移転し、又は賃借権など使用・収益を目的とする権利を設定・移転するときです(農地法3条1項)。売買・贈与・当事者の協議による財産の分与・相続人以外の者に対する特定遺贈・競売による取得には許可が要り、相続・遺産の分割・抵当権の設定には許可が要りません。市街化区域内の農地でも、3条の許可は要ります。転用の目的で売買などをするときは、3条ではなく5条の許可です。
農地を宅地にするには、どんな手続が要りますか?
市街化区域内の農地なら、あらかじめ農業委員会に届け出れば、4条・5条の許可は要りません(農地法4条1項7号・5条1項6号)。市街化区域外では、自分の農地を宅地にするときは4条の許可、宅地にするために買う・借りるときは5条の許可を、都道府県知事等(都道府県知事と、指定市町村の区域内ではその長)から受けます(同法4条1項・5条1項)。市街化区域外では、相続で取得した農地を自己の住宅用地にするときも、4条の許可が要ります。
4ヘクタールを超える農地の転用は、誰が許可しますか?
都道府県知事等(都道府県知事と、指定市町村の区域内ではその長)です。ただし、許可をする前に、あらかじめ農林水産大臣に協議します(農地法4条1項・5条1項、附則2項1号・3号)。この形になったのは、平成28年4月1日からです(平成27年法律第50号)。
関連するページ
土地の取引の届出と、農地法の許可を受ける取引との関係は、宅建の国土利用計画法のページで整理しています。
このページの表にある面積や期間などの数値を、科目や論点をまたいで並べて確かめたいときは、宅建の数値のページで調べることができます。表の行の「宅建の数値のページで見る」からも、関係する数値の行に移れます。
法令上の制限のほかの論点は、宅建の法令上の制限のページから探せます。