国家賠償法1条の要件|外形標準説と2条・民法715条との違い

国や公共団体の活動で損害を受けた人が賠償を求める根拠が、国家賠償法です。中心になるのが1条(公権力の行使に当たる公務員の行為による損害)と2条(道路、河川などの公の営造物の設置又は管理の瑕疵による損害)です。

1条は、民法715条(使用者責任)とよく似た形をしています。どちらも、公務員や被用者が「〜について」加えた損害を、国・公共団体や使用者が賠償する、という構造です。大きく違うのは、免責のただし書と求償の範囲の2か所です。

このページでは、行政書士試験の受験生向けに、1条1項を条文の語で区切って確かめ、1条と2条、1条と民法715条をそれぞれ条文の文言のまま1行ずつ並べます。そのうえで、「職務を行うについて」に関する最高裁判所の判例(いわゆる外形標準説)を確かめます。

本記事は、2026年9月時点の国家賠償法と民法にもとづいています。国家賠償法は昭和22年の制定以来改正されておらず、表で扱う条文は、令和8年度試験の基準日(令和8年4月1日)の時点と同じ内容です。


1条1項を条文の語で区切る

国家賠償法1条1項は、次の1つの文です。

「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」

この文を、国又は公共団体が賠償する責任を負う場合を定めた部分と、その効果の部分に分け、前の部分を語ごとに区切ると次のようになります。

  1. 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が
  2. その職務を行うについて
  3. 故意又は過失によつて
  4. 違法に
  5. 他人に損害を加えたとき

試験では、それぞれの語の意味や当てはめが問われます。区切り方や「要件がいくつあるか」は説明の仕方によって違いますが、条文の語はこの5つの部分から成り立っています。どの語についての肢なのかを先に見分けると、読みやすくなります。

賠償するのは国又は公共団体

1条1項の効果は、「国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる」です。賠償の責任を負う者として条文に書かれているのは、国又は公共団体です。

公務員の選任若しくは監督に当たる者と、公務員の俸給、給与その他の費用を負担する者とが異なるときは、費用を負担する者もまた、その損害を賠償する責任を負います(3条1項)。この場合、損害を賠償した者は、内部関係でその損害を賠償する責任ある者に対して求償権を有します(3条2項)。

求償は「故意又は重大な過失」があったとき

国又は公共団体が賠償したあと、その公務員に対して求償できるのは、公務員に故意又は重大な過失があったときです(1条2項)。1項の賠償責任は「故意又は過失」で生じますが、2項の求償は「故意又は重大な過失」に限られます。重大な過失に当たらない過失(いわゆる軽過失)しかない公務員には、1条2項による求償はできません。

「公務員に過失があったときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する」とする肢は誤りです。1条2項の語は「故意又は重大な過失」です。1項の「故意又は過失」と入れ替えた肢に気をつけましょう。


1条と2条を1行ずつ並べる

表Aは、国家賠償法1条と2条を同じ項目で並べたものです。上の2行が責任の生じる場合、その下が効果・求償と、3条・4条・6条のように1条と2条の両方にかかわる定めです。


表A 国家賠償法1条と2条(令和8年4月1日の時点の条文)
項目 1条(公権力の行使) 2条(公の営造物)
何による損害か 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、…他人に損害を加えたとき(1条1項) 道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたとき(2条1項)
故意・過失 故意又は過失によつて違法に(1条1項) 条文に故意・過失の語は無い。「設置又は管理に瑕疵があつたために」(2条1項)
賠償する者 国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる(1条1項) 国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる(2条1項)
求償 公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する(1条2項) 他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する(2条2項)
費用を負担する者 公務員の選任若しくは監督に当る者と、公務員の俸給、給与その他の費用を負担する者とが異なるときは、費用を負担する者もまた、その損害を賠償する責に任ずる(3条1項) 公の営造物の設置若しくは管理に当る者と、公の営造物の設置若しくは管理の費用を負担する者とが異なるときは、費用を負担する者もまた、その損害を賠償する責に任ずる(3条1項)
賠償した者の求償 損害を賠償した者は、内部関係でその損害を賠償する責任ある者に対して求償権を有する(3条2項) 同じ(3条2項)
民法との関係 前三条の規定によるの外、民法の規定による(4条) 同じ(4条)
外国人が被害者のとき 相互の保証があるときに限り、これを適用する(6条) 同じ(6条)

表Aの「費用を負担する者」の行は、3条1項の1つの文を、1条にかかわる部分と2条にかかわる部分に分けて書き直したものです。

表Aで2つの列の書き方が大きく違うのは、「何による損害か」「故意・過失」「求償」の3行です。1条は公務員の故意又は過失と違法を文言として掲げているのに対し、2条は「設置又は管理に瑕疵があつたために」と書き、条文に故意・過失の語はありません。

求償の相手も違います。1条2項の求償の相手は故意又は重大な過失があった公務員で、2条2項の求償の相手は、他に損害の原因について責に任ずべき者です。

費用負担者の責任(3条)、民法の適用(4条)、外国人が被害者である場合の相互の保証(6条)は、1条と2条のどちらにもかかわります。4条は「前三条の規定によるの外、民法の規定による」と定めているので、国家賠償法に書かれていないことについては民法が適用されます。

5条は、国又は公共団体の損害賠償の責任について「民法以外の他の法律に別段の定があるときは、その定めるところによる」としています。4条(民法)と5条(民法以外の法律)は、国家賠償法とほかの法律の関係を定めた条です。


1条と民法715条(使用者責任)の違い

民法715条1項は、ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う、と定めています。国家賠償法1条1項の「その職務を行うについて」と同じ形の語です。表Cは、2つの条を同じ項目で並べたものです。


表C 国家賠償法1条と民法715条(使用者責任)
項目 国家賠償法1条 民法715条
賠償する者 国又は公共団体(1条1項) ある事業のために他人を使用する者(1項)。使用者に代わって事業を監督する者も同じ(2項)
誰が、何について 公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて(1条1項) 被用者がその事業の執行について(1項)
損害の書き方 故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたとき(1条1項) 第三者に加えた損害を賠償する責任を負う(1項)
ただし書(免責) ただし書は無い。選任・監督に「相当の注意」をしたときの定めは無い 使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない(1項ただし書)
求償 公務員に故意又は重大な過失があつたときは、その公務員に対して求償権を有する(1条2項) 使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない(3項)

違いの1つ目は、免責のただし書です。民法715条1項には、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない、というただし書があります。国家賠償法1条1項には、このようなただし書はありません。

2つ目は、求償の範囲です。民法715条3項は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない、と定めていて、条文の上では、被用者の過失の程度で求償を限っていません。国家賠償法1条2項の求償は、公務員に故意又は重大な過失があったときに限られます。

「国又は公共団体は、公務員の選任及び監督について相当の注意をしたことを証明すれば、国家賠償法1条1項の責任を免れる」とする肢は誤りです。相当の注意による免責は民法715条1項ただし書の定めで、国家賠償法1条には置かれていません。

「外形標準説」という語で調べると、民法715条の「事業の執行について」の説明が多く出てきます。同じ呼び名が民法の使用者責任の説明でも使われているためです。行政書士試験の行政法で問われるのは、次に見る国家賠償法1条の「職務を行うについて」の判断です。


「職務を行うについて」と判例(最高裁昭和31年11月30日判決)

公務員が、職務とは関係のない自分のための目的で、職務のように見える行為をして他人に損害を加えた場合も、1条1項の「その職務を行うについて」に当たるのでしょうか。この点を扱ったのが、最高裁判所第二小法廷昭和31年11月30日判決(民集10巻11号1502頁)です。

事案は、巡査が、もっぱら自己の利をはかる目的で、警察官の職務執行をよそおって被害者に損害を加えたというものです。判決はまず、国家賠償法1条について、次のように解すべきだとしました。公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合にかぎらず、自己の利をはかる意図をもってする場合でも、「客観的に職務執行の外形をそなえる行為」をしてこれによって他人に損害を加えた場合には、国又は公共団体に損害賠償の責任を負わせて「ひろく国民の権益を擁護すること」をその立法の趣旨とする、というものです。そのうえで、この事案は1条にいう職務を行うについて違法に他人に損害を加えた場合に当たると判断しました。

このように、公務員の主観的な意図ではなく、行為の外形で「職務を行うについて」に当たるかを判断する考え方が、一般に外形標準説と呼ばれています。判決文そのものに「外形標準説」という語が用いられているわけではありません。

この判決は、公務員が自己の利をはかる意図をもっていても、客観的に職務執行の外形をそなえる行為であれば、1条1項の「その職務を行うについて」に当たる、と判断したものです。故意又は過失、違法、損害といったほかの語に当たるかどうかは、別に判断されます。どのような行為に職務執行の外形があるといえるかは、事案ごとの判断になります。条文(1条1項)が定めているのは「その職務を行うについて」までです。


本試験での出題

表Bは、平成21年度〜令和7年度の本試験のうち、国家賠償法1条・2条にかかわる肢があった問を並べたものです。「当たる肢」はその問のうち1条・2条にかかわる肢の数で、「問われ方」は過去問の分析で付けた分類です。問題文は載せていません。


表B 本試験での出題(国家賠償法1条・2条。平成21年度〜令和7年度・39問127肢)
年度・問 形式 条文 当たる肢 問題のテーマ 問われ方
平成21年度 問19 択一式 国賠法2条 4肢 公の営造物の意義と営造物責任(自然公物・無過失責任・請求権者) 定義の正誤/判例の結論
平成21年度 問20 択一式 国賠法1条 5肢 規制権限の不行使と国家賠償責任(不作為・違法性判断基準) 判例の結論
平成21年度 問25 択一式 国賠法1条 1肢 国家公務員法(適用範囲・公務員身分・懲戒・人事院) 定義の正誤
平成22年度 問19 択一式 国賠法1条 2肢 国家賠償請求訴訟の性質・取消訴訟との関係・被告 判例の結論/適用範囲
平成22年度 問20 択一式 国賠法2条 5肢 道路の設置管理の瑕疵(供用関連瑕疵・予算抗弁・免責) 判例の結論
平成23年度 問19 択一式 国賠法2条 3肢 国家賠償法2条・3条・6条(営造物・無過失責任・費用負担・相互保証) 定義の正誤/判例の結論
平成23年度 問20 択一式 国賠法1条 4肢 国家賠償法1条の責任主体(指定確認検査機関・警察・施設職員・外形標準) 判例の結論/原則↔例外
平成23年度 問24 択一式 国賠法2条 1肢 公物の成立・消滅・管理責任(公用開始・公用廃止) 判例の結論
平成24年度 問19 択一式 国賠法2条 5肢 営造物の設置管理の瑕疵・供用関連瑕疵(大阪空港訴訟) 判例の結論
平成24年度 問20 択一式 国賠法1条 4肢 国家賠償制度の判例(失火責任法・公権力・違法性・追跡・加害不特定) 判例の結論
平成25年度 問19 択一式 国賠法1条・国賠法2条 3肢 国家賠償法と民法の適用関係(4条・営造物・時効) 適用範囲/制度の混同
平成25年度 問20 択一式 国賠法1条 5肢 国家賠償法1条の違法性判断と公定力(職務行為基準説・判例) 判例の結論
平成26年度 問19 択一式 国賠法1条 3肢 国賠の責任主体・費用負担者・求償・公権力の行使該当性(判例) 判例の結論
平成27年度 問9 択一式 国賠法1条 1肢 国と国家公務員の法律関係(安全配慮義務・消滅時効) 制度の混同
平成27年度 問19 択一式 国賠法1条 5肢 国家賠償法1条の判例(外形標準・追跡・権限不行使・責任主体) 判例の結論/主体すり替え
平成27年度 問20 択一式 国賠法1条・国賠法2条 2肢 河川管理の瑕疵と国賠1条・2条・費用負担・求償 適用範囲
平成27年度 問41 多肢選択式 国賠法1条 1肢 公立図書館と著作者の表現の自由(船橋市西図書館事件) 判例の結論
平成28年度 問20 択一式 国賠法1条 3肢 公立学校教師の監督と国家賠償(責任主体・費用負担・求償・個人責任) 要件・効果の正誤/制度の混同/判例の結論
平成29年度 問20 択一式 国賠法1条 5肢 国家賠償法1条の違法性・立法作用・司法作用に関する判例 判例の結論
平成30年度 問10 択一式 国賠法1条 1肢 行政処分の無効と取消しの異同 判例の結論(国賠)
平成30年度 問20 択一式 国賠法1条 5肢 国家賠償法1条の公権力の行使・違法性に関する判例 判例の結論/適用範囲
平成30年度 問25 択一式 国賠法2条 2肢 道路等をめぐる公物・国家賠償・処分性の判例 判例の結論
令和元年度 問21 択一式 国賠法2条 4肢 国家賠償法2条の営造物の瑕疵・無過失責任・予算抗弁(高知落石事件) 用語の意味/要件・効果の正誤/判例の結論
令和2年度 問20 択一式 国賠法1条 4肢 国家賠償法1条の違法性・外形標準・公務員個人責任 判例の結論/制度の混同
令和2年度 問21 択一式 国賠法1条 5肢 国家賠償法1条の違法性・規制権限不行使・司法作用 判例の結論/適用範囲
令和2年度 問25 択一式 国賠法1条 1肢 情報公開をめぐる最高裁判例(訴訟要件・立証責任・国賠等) 判例の結論
令和2年度 問43 多肢選択式 国賠法1条 1肢 議員懲罰と国家賠償・法律上の争訟 判例の結論(国賠)
令和3年度 問21 択一式 国賠法1条 4肢 規制権限の不行使(不作為)と国家賠償責任に関する判例 判例の結論
令和3年度 問26 択一式 国賠法2条 1肢 公立学校をめぐる裁量・国家賠償・処分性 判例の結論
令和4年度 問20 択一式 国賠法1条 5肢 国家賠償法1条1項の違法性・公権力の行使に関する判例 判例の結論/主体すり替え/適用範囲
令和4年度 問21 択一式 国賠法2条 4肢 国家賠償法2条の供用関連瑕疵(機能的瑕疵)に関する判例 判例の結論/分類・区別/適用範囲
令和4年度 問43 多肢選択式 国賠法1条 1肢 国家補償の谷間(予防接種被害と無過失) 要件・効果の正誤
令和5年度 問20 択一式 国賠法2条 5肢 道路の設置・管理の瑕疵(国家賠償法2条)に関する判例 判例の結論
令和5年度 問21 択一式 国賠法1条 4肢 国家賠償法1条責任の性質(代位責任説・自己責任説・組織的過失) 用語の意味
令和6年度 問20 択一式 国賠法1条・国賠法2条 4肢 国家賠償法1条・2条の違法性・過失・管理者 定義の正誤/判例の結論/適用範囲
令和6年度 問21 択一式 国賠法1条 5肢 国家賠償法1条責任の帰属・公務員個人責任・求償・外形標準 主体すり替え/判例の結論/要件・効果の正誤
令和7年度 問20 択一式 国賠法1条 4肢 国家賠償法1条の成立要件(公権力の行使・職務・過失) 制度の混同/適用範囲/判例の結論
令和7年度 問21 択一式 国賠法1条 3肢 国家賠償の責任主体・求償・費用負担・失火責任法 要件・効果の正誤/主体すり替え/判例の結論
令和7年度 問25 択一式 国賠法1条 2肢 建築確認をめぐる紛争(承継・訴えの利益・国賠) 主体すり替え/要件・効果の正誤

1条だけで見ると、平成21年度〜令和7年度の間に29問90肢、2条は平成21年度〜令和6年度の間に13問39肢です(1つの肢が1条と2条の両方にかかわることがあるので、足しても表Bの肢数にはなりません)。表Bの39問のうち19問は、すべての肢が1条か2条にかかわる問でした。平成21年度〜令和7年度の17年分の試験のうち、15年分にこうした問があります。

上の判例(最高裁昭和31年11月30日判決)は、平成23年度 問20・平成27年度 問19・令和2年度 問20・令和6年度 問21・令和7年度 問20で問われています。表Bの範囲では、記述式では出題されていません。1条・2条は、記述式に出ていない条文のうち択一で問われることの多いものとして、記述式の論点別のページの表にも挙がっています。


よくある質問

国家賠償法1条と2条の違いは?

1条は、公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときの国又は公共団体の責任です。2条は、道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときの責任で、条文に故意・過失の語はありません。求償の相手も、1条は故意又は重大な過失があった公務員、2条は他に損害の原因について責に任ずべき者と、違っています。

国家賠償法1条と民法715条の違いは?

条文の違いは主に2つです。民法715条1項には、使用者が被用者の選任及び事業の監督について相当の注意をしたときなどは責任を負わないというただし書がありますが、国家賠償法1条にはありません。また、民法715条3項は、条文の上では被用者の過失の程度で求償を限っていないのに対し、国家賠償法1条2項の求償は、公務員に故意又は重大な過失があったときに限られます。

国家賠償法3条・4条とは?

3条は、公務員の選任・監督や公の営造物の設置・管理に当たる者と、その費用を負担する者とが異なるときに、費用を負担する者も賠償の責任を負うこと(1項)と、賠償した者が内部関係で責任ある者に求償できること(2項)を定めています。4条は、国又は公共団体の損害賠償の責任について、1条〜3条のほかは民法の規定によると定めています。

外形標準説とは?

公務員が自己の利をはかる意図で行った行為でも、客観的に職務執行の外形をそなえていれば、国家賠償法1条1項の「職務を行うについて」に当たるとする考え方の呼び名です。最高裁判所昭和31年11月30日判決がこの考え方をとりました。判決文に「外形標準説」という語が使われているわけではありません。


まとめ

国家賠償法1条1項は、公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときに、国又は公共団体が賠償する責任を定めています。求償は、公務員に故意又は重大な過失があったときに限られます(1条2項)。

2条は公の営造物の設置又は管理の瑕疵による責任で、条文に故意・過失の語はありません。民法715条とは、免責のただし書が国家賠償法1条にないこと、求償が故意又は重大な過失に限られることの2点が異なります。「職務を行うについて」については、最高裁昭和31年11月30日判決が、自己の利をはかる意図による行為でも、客観的に職務執行の外形をそなえる行為であれば当たるとしています。表A・表Cの各行で、どの語がどの条にあるかを確かめておきましょう。

行政の処分そのものの取消しを求める手段(審査請求と取消訴訟)は、審査請求と取消訴訟の違いのページで並べています。

行政法のほかの論点は、行政法の学習のページに一覧でまとめています。