宅建業の免許を受けた後も、期限のある手続きが続きます。期限の基準となる「いつから数えるか(起算点)」は、手続きごとに異なります。たとえば、営業保証金の供託の届出は事業を始める前まで、変更の届出は変更の日から30日以内、案内所等の届出は業務を開始する日の10日前まで、免許の更新は有効期間が満了する日の90日前から30日前までと定められています。
このページでは、これらの手続きと期限を表で一覧にし、手続きごとの注意点と、詳しく解説しているページを案内します。以下、宅地建物取引業法を「法」、同法施行令を「令」、同法施行規則を「規則」と呼びます。
手続きと期限の一覧
免許を受けた直後の手続きから、事業を続ける間の届出、5年ごとの更新、事業をやめるときの届出までを、表1にまとめました。
| 手続き | いつまでに | どこへ | 条文 |
|---|---|---|---|
| 営業保証金の供託の届出 | 届出の日数の定めなし。届出前は事業を開始できない(違反は罰則)。免許証は、大臣免許では届出と引き換えに交付する扱い(解釈・運用の考え方)。知事免許は都道府県の運用による | 免許権者(大臣または知事) | 法25条4項〜5項 法25条6項〜7項 |
| 保証協会への加入(弁済業務保証金分担金の納付) | 加入しようとする日までに分担金を納付 | 宅建業保証協会(全国宅地建物取引業保証協会/不動産保証協会)の地方本部 | 法64条の9第1項〜3項 法64条の13 |
| 変更の届出(商号・役員・政令で定める使用人・事務所・専任の宅建士) | 変更から30日以内 | 免許権者 | 法9条1項 |
| 専任の宅建士が不足したときの補充 | 不足した時から2週間以内に要件に適合させる措置(その後、変更の日から30日以内に変更届) | (社内の措置)→免許権者へ変更届 | 法31条の3第3項 法9条1項 |
| 案内所等の届出(法50条2項) | 業務を開始する日の10日前まで | 免許権者と、案内所等の所在地の都道府県知事の両方 | 法50条2項 規則19条3項 |
| 宅建業免許の更新 | 有効期間満了の日の90日前から30日前まで | 免許権者(大臣は地方整備局長等/知事) | 規則3条 法3条3項 |
| 免許換え | 法定の申請期限なし。免許換えが必要な状態になる前に新しい免許を受ける(受けないまま判明すると免許取消し) | 免許換えの後の免許権者(大臣免許は本店所在地の地方整備局長等。都道府県知事を経由しない) | 法7条1項1号〜3号 法66条1項5号 |
| 免許証の再交付 | 遅滞なく | 免許権者 | 規則4条の3第1項〜3項 |
| 廃業等の届出 | 事由が生じた日(死亡は相続人がその事実を知った日)から30日以内 | 免許権者 | 法11条1項1号〜5号 規則4条の4第2項 |
期限は、それぞれの起算点(変更の日・業務を開始する日・有効期間の満了の日など)から数えます。営業保証金の供託の届出は、法に日数の定めはありませんが、免許の日から3か月以内に届出がないときは催告があり、催告が到達した日から1か月以内に届出がないときは、免許を取り消されることがあります(法25条6項・7項)。営業保証金の供託と保証協会への加入は、どちらか一方を選びます。添付書類や窓口の扱いは、都道府県によって異なります。
「いつまでに」の列は、起算点とあわせて読むことが大切です。免許証を亡失・汚損したときなどの再交付の申請は、遅滞なく行います(規則4条の3第1項)。窓口の「免許権者」は、大臣免許なら本店の所在地を管轄する地方整備局長等(規則32条1項)、知事免許なら免許をした都道府県知事です。
また、法が期限を定めていない手続きでも、都道府県の手引きが独自の期日を案内していることがあります。申請先の都道府県の手引きで、期日と添付書類を確認しておくことをおすすめします。
営業保証金の供託の届出
営業保証金を供託したときは、供託書の写しを添えて、その旨を免許権者に届け出ます(法25条4項)。この届出をした後でなければ、事業を開始できません(法25条5項)。届出の前に事業を開始した場合は、6か月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科されます(法81条1号)。
法は、この届出の日数を定めていません。ただし、免許を受けた日から3か月以内に届出がないときは、免許権者が届出をするよう催告し、催告が到達した日から1か月以内に届出がないときは、免許を取り消すことができるとされています(法25条6項・7項)。また、都道府県の手引きが、免許の日から一定の期間内に手続きをするよう案内していることがあります。たとえば沖縄県の手引き(令和7年4月発行)では、免許の日から3か月以内に供託または保証協会への加入をするよう案内しています。
免許証の交付の扱いは、免許権者によって異なります。解釈・運用の考え方では、大臣免許の免許証は、営業保証金を供託した旨の届出があったときに交付する扱いとされています。知事免許で免許証をいつ交付するかは、都道府県の運用によります。
保証協会に加入して社員になった場合は、営業保証金を供託する必要はありません(法64条の13)。事務所を新設したときや、保証協会の社員の地位を失ったときなど、事業を始めた後にも営業保証金・保証協会の手続きがあります。営業保証金を供託している宅建業者と、保証協会の社員とで手続きが分かれるため、表2に分けてまとめました。
| 手続き | 誰が | いつまでに | 法定の費用 | 条文 |
|---|---|---|---|---|
| 事務所を新設したときの営業保証金の追加供託と届出 | 宅建業者(協会の社員でない) | 期限の定めなし。届出後でなければ新しい事務所で事業を開始できない | 事務所ごとに500万円 | 法26条1項〜2項 |
| 事務所を新設したときの分担金の追加納付 | 保証協会の社員 | 新設の日から2週間以内(納付しないと社員の地位を失う) | 事務所ごとに30万円 | 法64条の9第1項〜3項 |
| 還付による営業保証金の不足額の供託と届出 | 宅建業者 | 省令で定める日から2週間以内に供託、供託から2週間以内に届出 | 不足額 | 法28条1項〜2項 |
| 保証協会の社員の地位を失ったときの営業保証金の供託 | 宅建業者 | 地位を失った日から1週間以内 | 主たる事務所1,000万円+その他の事務所ごとに500万円 | 法64条の15 |
| 主たる事務所の移転に伴う営業保証金の保管替え等 | 宅建業者(供託所が変わる場合) | 遅滞なく | 保管替えの費用を予納 | 法29条1項 |
営業保証金の額や保証協会の仕組みは、営業保証金と保証協会のページで解説しています。
5年ごとの免許の更新
宅建業免許の有効期間は5年です(法3条2項)。有効期間が満了した後も引き続き宅建業を営むには、免許の更新を受ける必要があります(法3条3項)。更新の申請は、有効期間が満了する日の90日前から30日前までに行います(規則3条)。
有効期間が満了する日までに更新の申請をしていれば、満了までにその申請への処分がされなかった場合でも、処分がされるまでは従前の免許が効力を持ちます(法3条4項)。一方で、更新の申請をしないまま有効期間が満了すると、免許は効力を失います(法3条2項・規則6条1項1号)。知事免許の更新の手数料は、都道府県の条例で定められています。
申請期間・必要書類・手数料・間に合わないときの扱いは、宅建業免許の更新のページで解説しています。
なお、宅建士が5年ごとに受ける宅建士証の更新(法定講習を受けて、新しい宅建士証の交付を受ける手続き)は、宅建業免許の更新とは別の手続きです。宅建士証の手続きは、宅建士証の更新のページにまとめています。
変更の届出と、専任の宅建士の補充
商号または名称、役員(法人の場合)、政令で定める使用人、事務所の名称と所在地、事務所ごとに置く専任の宅建士の氏名が変わったときは、変更の日から30日以内に、免許権者に届け出ます(法9条・4条1項1号〜5号)。届出をしなかったときや、虚偽の届出をしたときは、50万円以下の罰金が科されることがあります(法83条1項1号)。免許証の記載事項が変わるときは、免許証の書換え交付の申請もあわせて行います(規則4条の2第1項)。
退職などで専任の宅建士が不足したときは、まず2週間以内に、新しい専任の宅建士を置くなどの措置をとらなければなりません(法31条の3第3項)。そのうえで、専任の宅建士の氏名の変更として、30日以内に変更の届出をします(法9条)。この二段の期限は、専任の宅建士が不足したときの説明で詳しく解説しています。
宅建業者の変更の届出(法9条)と、宅建士本人の「変更の登録」(法20条)は、別の手続きです。宅建士の住所や勤務先の宅建業者が変わったときは、宅建士本人が、登録をしている都道府県知事に変更の登録を申請します。宅建士本人の手続きは、宅建士登録のページ(登録した後の届出)にまとめています。住所・氏名・勤務先などの事項ごとの手続きは、宅建士の変更の登録のページで解説しています。
兼業している事業の種類は、免許申請書の記載事項ですが(法4条1項6号)、法9条の変更の届出の対象(4条1項1号〜5号)には入っていません。ただし、都道府県が別の書類の提出を求めていることがあるので、兼業を開始・廃止するときは、申請先の手引きを確認しておくと安心です。本店の移転で都道府県をまたぐときなどは、変更の届出ではなく免許換えの手続きが必要です(下の「免許換え」)。
届出書の様式と添付書類は、宅建業の変更届のページで解説しています。
案内所等の届出
分譲の案内所など、事務所以外で契約を締結したり申込みを受けたりする場所(規則15条の5の2の場所)で業務を行うときは、業務を開始する日の10日前までに、免許権者と、その場所の所在地を管轄する都道府県知事の両方に届け出ます(法50条2項・規則19条3項)。届出をしないと、50万円以下の罰金が科されることがあります(法83条1項1号)。
解釈・運用の考え方では、届け出る「業務を行う期間」は原則として最長1年とされ、それを超えて続けるときは改めて届け出る扱いです(この扱いは大臣免許について示されたもので、知事免許の扱いは都道府県の案内で確認できます)。また、こうした案内所等には、専任の宅建士を1人以上置く必要があります(規則15条の5の3)。人数の決まりは、専任の宅建士の数の説明をご覧ください。
免許換え
事務所の設置の状況が変わり、現在の免許権者(大臣または知事)のままでは事務所の配置に合わなくなったときは、新たに免許を受け直します。これを免許換えといい、次の3つの場合に必要です(法7条1項1号〜3号)。
- 大臣免許の業者が、1つの都道府県にだけ事務所を置くことになったとき
- 知事免許の業者が、その都道府県の事務所を廃止して、他の1つの都道府県に事務所を置くことになったとき
- 知事免許の業者が、2以上の都道府県に事務所を置くことになったとき
法には、免許換えの申請の期限の定めはありません。ただし、免許換えが必要なのに新しい免許を受けていないことが判明すると、免許は取り消されます(法66条1項5号)。免許換えが必要な状態になる前、つまり他の都道府県で事務所を開設・移転する前や、他の都道府県にある事務所を廃止する前に、新しい免許を受けておく必要があります。なお、免許換えの申請をした後、従前の免許の有効期間が満了する日までに処分がないときは、満了した後も、処分があるまでは従前の免許が効力を持ちます(法7条2項が準用する3条4項)。これは有効期間の満了の場面の定めで、申請をしていれば免許換えが必要な状態で営業してよい、という定めではありません。
大臣免許の申請は、2024年5月25日から、都道府県知事を経由せずに、本店の所在地を管轄する地方整備局長等へ行います。
申請の段取りは、宅建業の免許換えのページで解説しています。
廃業等の届出
宅建業者が死亡したとき、法人が合併で消滅したとき、破産手続開始の決定があったとき、法人が解散したとき、宅建業を廃止したときは、その日(死亡の場合は、相続人が死亡を知った日)から30日以内に、法で定められた届出義務者(相続人・合併で消滅した法人の代表役員であった者・破産管財人・清算人など)が免許権者に届け出ます(法11条1項1号〜5号)。
破産・解散・廃止の届出があったときは、免許は効力を失います(法11条2項)。届出のときは、免許証を返納します(規則4条の4第2項)。営業保証金を取り戻すときは、原則として6か月以上の期間を定めて公告する手続きがあります(法30条2項)。
届出と営業保証金の取戻しの流れは、宅建業の廃業届と営業保証金の取戻しのページで解説しています。
賃貸住宅管理業の登録の更新
賃貸住宅管理業の登録も受けている業者は、宅建業法とは別の法律(賃貸住宅管理業法)にもとづく更新の手続きがあります。登録の有効期間は5年で、更新の申請は有効期間が満了する日の90日前から30日前までに行います(賃貸住宅管理業法3条2項〜4項・賃貸住宅管理業法施行規則4条)。宅建業免許の更新と時期がずれることがあるので、両方の有効期間の満了日を把握し、それぞれの期限内に更新の申請をする必要があります。登録と更新の手続きは、賃貸住宅管理業の登録のページで解説しています。
よくある質問
宅建業の変更の届出は、いつまでですか?
法9条の定めでは、商号・役員・政令で定める使用人・事務所・専任の宅建士の変更の日から30日以内です。専任の宅建士が不足したときは、まず2週間以内に補充などの措置をとる必要があります(法31条の3第3項)。
営業保証金の供託の届出は、いつまでですか?
法は届出の日数を定めていませんが、届出の前は事業を開始できません(法25条5項)。免許の日から3か月以内に届出がないときは催告があり、催告が到達した日から1か月以内に届出がないときは、免許を取り消されることがあります(法25条6項・7項)。都道府県の手引きが期日を案内していることもあります。
案内所の届出は、いつまでに、どこへ出しますか?
規則19条3項の定めでは、業務を開始する日の10日前までです。届出先は、免許権者と、案内所の所在地を管轄する都道府県知事の両方です(法50条2項)。
宅建業をやめるときの届出は、いつまでですか?
法11条1項の定めでは、廃業・解散・破産などの日から30日以内に、法で定められた届出義務者が免許権者に届け出ます。届出の際は、免許証を返納します(規則4条の4第2項)。
関連するページ
宅建業免許の全体像は宅建業免許とは、5年ごとの更新は宅建業免許の更新のページで解説しています。変更の届出は宅建業の変更届のページをご覧ください。免許換えは宅建業の免許換えのページをご覧ください。