宅建業免許

宅建業免許の新規申請|申請先・必要書類・審査期間と免許証の交付まで

法令基準日
執筆
宅建試験講師(宅建の問題集・学習アプリの作者)

宅建業を営むには、宅建業免許を受ける必要があります。事務所が1つの都道府県の中だけにあるときは都道府県知事の免許、2以上の都道府県に事務所があるときは国土交通大臣の免許が必要で、どちらに申請するかは、事務所をどの都道府県に置くかで決まります(宅地建物取引業法(以下「法」)3条1項)。申請は、免許申請書に、法4条2項と同法施行規則(以下「規則」)1条の2第1項が定める書類を添えて行います(法4条1項・2項)。

免許を受けても、営業保証金を供託して届け出るか、保証協会に加入するまでは、事業を始めることはできません(法25条5項・64条の13)。宅建業の免許は「登録」と呼ばれることもありますが、宅建業法では「免許」と定められていて、試験ではなく、申請に対する審査を経て与えられます。宅建試験に合格した人が受ける宅建士の登録は、宅建業免許とは別の手続きです。合格後の手続きは、宅建合格後の流れのページで解説しています。

このページでは、申請先、必要書類、法人で申請するときの注意点、申請書の様式、手数料、審査期間、電子申請、免許を受けた後の供託と免許証の交付までを、条文と都道府県の運用に分けて整理します。

このページの目次
  1. 申請先(大臣免許と知事免許)
  2. 必要書類
  3. 申請書の様式と記入
  4. 手数料と登録免許税
  5. 審査期間
  6. 電子申請(オンライン)
  7. 免許の後:供託・免許証の交付・営業開始

申請先(大臣免許と知事免許)

申請先は、事務所をどこに置くかで決まります(法3条1項)。事務所が1つの都道府県の中だけにあるときは、その都道府県知事に申請します。2以上の都道府県に事務所があるときは国土交通大臣の免許で、申請書は、本店の所在地を管轄する地方整備局長等に出します(規則32条1項)。

知事免許の申請を受け付ける課や窓口、予約や郵送の扱いは、都道府県によって異なります。たとえば沖縄県の手引き(令和7年4月発行)では、来庁して申請するときは事前に予約(アポイント)を取ることとし、郵送による申請は原則として受け付けないとしています。申請の前に、申請先の案内で受付の方法を確かめておくと安心です。

ここでいう「事務所」は、本店や支店などです(宅地建物取引業法施行令(以下「令」)1条の2第1号・2号)。解釈・運用の考え方では、宅建業を営まない支店は事務所に当たらないと整理されています。一方で、本店の扱いについて、沖縄県の手引きでは、本店で宅建業を行わず支店だけで宅建業を営む場合も、本店は宅建業の事務所として扱うとしています。事務所の数え方は宅建業の事務所の要件(事務所とは)、大臣免許と知事免許の違いは宅建業免許とは(大臣免許と知事免許)のページで解説しています。

免許申請書には、商号又は名称、法人の役員(個人の場合は本人)と政令で定める使用人の氏名、事務所の名称と所在地、事務所ごとに置く専任の宅建士の氏名、兼業(ほかの事業)を行っているときはその事業の種類を書きます(法4条1項1号〜6号)。解釈・運用の考え方では、役員などの氏名に旧姓を併記できるとされています。

大臣免許の申請は、都道府県知事を経由しない

古い解説では、大臣免許の申請書は都道府県知事を経由して出す、と書かれていることがあります。2024年5月25日からは、都道府県知事を経由せず、地方整備局長等に直接提出します(令和3年法律第44号による改正)。現行の法78条の3第1項は、国土交通大臣が免許をしたときなどに、その情報を都道府県知事に提供する規定です。

必要書類

新規の申請では、免許申請書に、法律と施行規則が定める書類を添えます(法4条2項・規則1条の2第1項)。法令が定める書類を、表1にまとめました。

表1 新規の申請に添える書類
区分 書類 条文
法律 法律で定める添付書類(宅地建物取引業経歴書・欠格事由に当たらないことの誓約書・役員や政令で定める使用人の略歴・専任の宅建士の要件を備えていることを証する書面・法人の直前1年の事業年度の貸借対照表と損益計算書(個人は資産の状況を示す書面)・国土交通省令で定める書面) 法4条2項1号〜8号
施行規則 国土交通省令で定める添付書類(破産者で復権を得ない者に当たらない旨の市町村長の証明書/相談役・顧問と5%以上の株主などを記載した書面/事務所を使用する権原に関する書面/事務所付近の地図と写真/相談役・顧問の略歴/専任の宅建士の略歴/役員などの連絡先を記載した書面/従事者の名簿/納税の証明書/法人の登記事項証明書 など) 規則1条の2第1項1号〜12号
追加の書類 国土交通大臣と都道府県知事は、必要と認める書類を追加で提出させることができる 規則1条の2第3項

法律と施行規則が定める書類は、大臣免許と知事免許で同じです。都道府県が追加で求める書類や提出部数は、都道府県によって異なります。

書類の中身は、免許の要件と結びついています。誓約書は、免許の基準(欠格事由)に当たらないことを誓う書面です(法4条2項2号)。基準の一覧は宅建業免許の要件(欠格事由)で解説しています。事務所ごとに置く専任の宅建士については専任の宅建士の要件、事務所の写真と使用する権原の書面については宅建業の事務所の要件(写真)のページをご覧ください。

法令が定める書類に加えて、国土交通大臣と都道府県知事は、必要と認める書類を追加で提出させることができます(規則1条の2第3項)。何を追加で求めるかは、申請先によって異なります。たとえば沖縄県の手引き(令和7年4月発行)では、代表者・役員・政令で定める使用人について、登記されていないことの証明書を求めています。解釈・運用の考え方でも、大臣免許について、成年被後見人・被保佐人に当たらない旨の登記事項証明書などを、必要と認める書類として挙げています。法令が定める書類と申請先が追加で求める書類は、申請先の手引きの一覧で確かめておくと安心です。

解釈・運用の考え方では、大臣免許の申請に添える官公署の証明書は、申請日前3か月以内に発行されたものとされています。知事免許でも同じ扱いを案内している都道府県があり、沖縄県の手引きも3か月以内としています。証明書を取る時期を申請の予定日から逆算しておくと、取り直しを防げます。

提出する部数は、大臣免許は正本1通とその写し1通です(規則2条1項)。知事免許の部数は都道府県知事が定め(同条2項)、沖縄県の手引きでは正本・副本の2部としています。

法人で申請するとき・個人から法人に切り替えるとき

法人で申請するときは、役員の略歴を記載した書類、法人の直前1年の事業年度の貸借対照表と損益計算書、法人の登記事項証明書などを添えます(法4条2項3号・6号・規則1条の2第1項11号)。誓約書は、法人の役員についても基準に当たらないことを誓う内容になります(法4条2項2号・5条1項12号)。個人で申請するときは、本人の略歴を記載した書類と、資産の状況を示す書面を添えます(法4条2項4号・7号)。

法令が定めているのは法人の登記事項証明書の添付までで、登記の目的に何を書くかは条文にありません。ただ、申請先の案内では、登記の目的に宅建業を営む旨が入っていることを求めている例があります。たとえば神奈川県の案内では「商業登記簿の目的欄に宅地建物取引業を営む旨の登記がされていることが必要」としていて、沖縄県の手引きでも、法人の新規の申請は商業登記が完了した後に行うこととし、目的欄に宅建業を営む旨の文言を入れるよう求めています。会社を設立する前や、登記の目的を変える前に、申請先の案内で確かめておきましょう。

免許は、申請した個人・法人それぞれに対して与えられるものです(法3条1項・4条1項)。そのため、個人で免許を受けている業者が会社を作って宅建業を営むとき(いわゆる法人成り)は、法人として新たに免許を受けることになると読めます。沖縄県の手引きでも、個人の免許は相続の対象にならず、法人の免許も譲渡できないと説明しています。個人の免許で営んでいた宅建業をやめるときは、廃業の届出をします(法11条1項5号)。届出の期限は、宅建業免許を受けた後の手続き(廃業等の届出)で解説しています。

申請書の様式と記入

免許申請書の様式は、規則の別記様式第一号です(規則1条)。宅地建物取引業経歴書・誓約書・略歴書など、添付書類の多くも、別記様式第二号で様式が定められています(規則1条の2第4項)。

記入例は、申請先の都道府県の手引きで案内されています。たとえば沖縄県の手引き(令和7年4月発行)では、申請書類を県のホームページから入手できるとし、記入が不要なページも含めて全ページをそろえて出すよう求めています。各書類の記入例と説明は、手引きの20ページ以降に載っています。

申請書の控えも大切です。沖縄県の手引きでは、申請書の副本(業者の控え)は、のちに変更届などを出すときの参考になるので保存するよう呼びかけています。控えを手元に残しておくと、変更の届出や更新のときに、申請書に書いた内容を確かめやすくなります。

手数料と登録免許税

新規の申請にかかる費用は、大臣免許と知事免許で種類が異なります。知事免許は、都道府県の条例で定める申請手数料です(標準の額は、地方公共団体の手数料の標準に関する政令が定めています)。大臣免許の新規の申請には、手数料ではなく、登録免許税法の定めによる登録免許税がかかります(法3条6項・登録免許税法別表第一)。

それぞれの額は、宅建業の開業費用(費用の一覧)の表1にまとめています。納め方は申請先によって異なり、たとえば沖縄県の手引きでは、新規の申請の手数料を県の証紙で納めるとしています。5年ごとの更新の費用は、宅建業免許の更新(手数料)で解説しています。

審査期間

宅建業法には、審査にかかる日数の定めはありません。解釈・運用の考え方では、大臣免許の申請について、標準処理期間を、地方整備局長等に申請が届いた日の翌日から90日としています。補正や資料の提出を待つ期間は、この90日に含まれません。

知事免許の審査期間は、都道府県によって異なります。たとえば神奈川県の案内では、「免許申請をしてから免許になるまでの期間は開庁日で数えて約30日」(書類の不備がない場合)としています。これは神奈川県の例で、ほかの都道府県の期間は、それぞれの案内で確かめる必要があります。

審査が終わって免許を受けた後も、営業保証金の供託(または保証協会への加入)と届出を済ませるまでは、営業を始められません(下の「免許の後:供託・免許証の交付・営業開始」)。事務所の賃貸借契約、人の採用、開業日の告知をする前に、申請先の案内で期間を確かめ、開業日から逆算して申請の時期を決めておきましょう。

電子申請(オンライン)

国土交通省の案内によると、大臣免許の免許申請(新規・更新)は、2024年5月25日から、国土交通省の「国土交通省手続業務一貫処理システム(eMLIT)」で受け付けています。

知事免許の手続きについては、同じ案内で「順次運用開始を予定」とされていて、電子申請を受け付けているかどうかは申請先の都道府県によって異なります。たとえば神奈川県の案内では、電子申請の場合は eMLIT で提出するとしています。電子で申請したときの手数料の額は、書面と異なることがあります。

国土交通省の案内は、「宅地建物取引業の免許申請等のオンライン化について」で確認できます。宅建試験に合格した人が受ける宅建士の登録の電子申請は、宅建業免許とは別の受付です。宅建士登録のページ(オンライン申請)をご覧ください。

免許の後:供託・免許証の交付・営業開始

国土交通大臣または都道府県知事は、免許をしたときは、免許証を交付します(法6条)。ただし、宅建業の事業を始められるのは、営業保証金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託し、その旨を免許権者に届け出た後です(法25条1項・4項・5項)。保証協会の社員になれば、営業保証金を供託する必要はありません(法64条の13)。どちらを選ぶかは、営業保証金と保証協会のページで比べています。

免許証を受け取る時期は、申請先の扱いによります。解釈・運用の考え方では、大臣免許の新規の申請について、営業保証金を供託した旨の届出(または保証協会からの弁済業務保証金の供託の報告)があったときに、免許証を交付する扱いです。知事免許の扱いは都道府県によって異なり、たとえば沖縄県の手引き(令和7年4月発行)では、免許の通知書を受けた後に、供託または保証協会への加入をして届け出ると免許証が交付され、それから営業を始める流れです。

法は、供託の届出をいつまでにするかの日数を定めていません。ただし、免許を受けた日から3か月以内に届出がないときは催告があり、催告が到達した日から1か月以内に届出がないときは、免許を取り消されることがあります(法25条6項・7項)。手引きで期日を案内している都道府県もあり、沖縄県の手引きでは、免許の日から3か月以内に供託または保証協会への加入の手続きをするよう求めています。

また、免許を受けてから1年以内に事業を始めないときは、免許は取り消されます(法66条1項6号)。免許から開業までの手続きの流れは宅建業免許とは(免許から開業までの流れ)の表2に、供託の届出は宅建業免許を受けた後の手続き(営業保証金の供託の届出)にまとめています。

よくある質問

宅建業の免許申請は、どのような手順で進めますか?

申請先(国土交通大臣または都道府県知事)を確かめ、免許申請書と添付書類をそろえて申請します(法3条1項・4条)。審査を経て免許を受けた後、営業保証金を供託して届け出るか、保証協会に加入してから事業を始めます(法25条5項・64条の13)。免許証を受け取る時期は、申請先の扱いによります。

宅建業を営むには、どの免許が必要ですか?

法3条1項の定めでは、事務所が1つの都道府県の中だけにあるときは都道府県知事の免許、2以上の都道府県に事務所があるときは国土交通大臣の免許です。

宅建業の免許申請書とは、どのような書類ですか?

規則1条が定める別記様式第一号の免許申請書です。法4条2項と規則1条の2第1項の書類を添えて申請します。記入例は、申請先の都道府県の手引きで案内されています。

宅建業免許の審査には、どのくらいの期間がかかりますか?

法に日数の定めはありません。解釈・運用の考え方では、大臣免許の標準処理期間を90日としています。知事免許の審査期間は都道府県によって異なり、申請先の案内で確かめられます。

宅建業免許の申請手数料はいくらですか?

知事免許は都道府県の条例で定める申請手数料で、額は申請先の都道府県の案内で確かめられます。大臣免許の新規の申請は、手数料ではなく、登録免許税法の定めによる登録免許税です。

宅建に合格した後は、どのような手続きがありますか?

宅建士の登録と宅建士証の交付は、宅建業免許とは別の、宅建士本人の手続きです(法18条1項・22条の2第1項)。宅建業免許は、宅建業を営む会社や個人が受けるものです。

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