業態別の許可・届出

ガールズバーに風営法の許可は必要か|接待に当たるかで変わること

警察庁の解釈運用基準(令和8年7月1日の通達)には、「ガールズバー」という言葉が1か所だけ出てきます(風営法の条文にはこの言葉はありません)。その1か所は「遊興」についての整理の中にあり、接待に当たるかどうかを述べたものではありません。ガールズバーの開業で必要な手続きを考えるときは、この「遊興」についての整理と、カウンター越しの接客が「接待」に当たるかという問題を、分けて整理する必要があります。

この記事の要点

  1. 解釈運用基準に「ガールズバー」の語が出てくるのは第10中2(3)③で、「客に遊興をさせる」に当たらない例の1つとして挙げられています。接待に当たるかどうかは、これとは別に判断され、遊興に当たるかどうかも、営業の実態で判断されます。
  2. カウンター越しの接客が接待に当たるかどうかは、カウンターがあるかどうかではなく、カウンターの内側で何をしているかで分かれます(解釈運用基準 第2中4(1))。
  3. 接待をせずに深夜(午前0時から午前6時まで)に酒類提供飲食店営業を営むなら届出(法33条1項)、接待をするなら許可(法3条1項)が必要です。

この記事では、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律を「法」、同法施行令を「令」、同法施行規則を「規則」と略します。

このページの目次
  1. ガールズバーを3つの問いに当てはめると
  2. カウンター越しの接客は、接待に当たるか
  3. 解釈運用基準に「ガールズバー」が出てくる1か所
  4. 接待をせずに深夜に営業する場合
  5. 接待をする場合は、深夜の営業ができなくなる
  6. 働く人との関係で、届出の店にも適用される規制
  7. 「ガールズバー 風営法違反」で調べている人へ
  8. ガールズバーでよくある勘違い
  9. よくある質問
  10. この記事の根拠

ガールズバーを3つの問いに当てはめると

風営法の区分は、接待をするか、深夜に酒類を提供するか、深夜にも客に遊興をさせるかの3つの問いで分かれます。4つの区分の並びは業態別に必要な許可・届出の表で確認できます。ガールズバーと呼ばれる形態の店で、それぞれの問いについて確認するポイントは次のとおりです。

  • 接待をするか:カウンターの内側での接客が、特定の客の話し相手を続ける形になっていないか(このページの「カウンター越しの接客は、接待に当たるか」)
  • 深夜に酒類を提供するか:午前0時以降も酒類提供飲食店営業として営むか(このページの「接待をせずに深夜に営業する場合」)
  • 深夜にも客に遊興をさせるか:ショータイムやゲーム大会など、店の側が客を遊び興じさせる催しがあるか(このページの「解釈運用基準に『ガールズバー』が出てくる1か所」)

カウンター越しの接客は、接待に当たるか

カウンターのある店に関わるのは、解釈運用基準の第2中4(1)(談笑・お酌等)です(第2中4の全体は「接待」の定義と判断基準)。この項は、接待に当たらない行為の1つに、次の行為を挙げています。

カウンター内で単に客の注文に応じて酒類等を提供するだけの行為

(解釈運用基準 第2中4(1)から抜粋)

この記述で接待に当たらないとされているのは「単に客の注文に応じて酒類等を提供するだけ」という行為の内容で、カウンターの内側にいることだけで判断されるわけではありません。カウンターの内側にいても、特定の客の前に留まって話し相手を続けていれば、同じ項が接待に当たるものとして挙げている形に近づきます。

自分の店の接客について、事前に確認しておく項目は次の3点です。

  • 同じ客の前に、どれくらいの時間、続けて留まっているか
  • 相手が特定の客か、カウンターに並ぶ客全体か
  • 注文を受けて飲み物を出す以外に、何をしているか(話し相手を続ける、その客と一緒にゲームをする、など)

この3点は、第2中4(1)が接待に当たるものと当たらないものを書き分けている点を、カウンターのある店に当てはめて確かめるために、このページで整理したものです。解釈運用基準そのものが全国共通の最低限の取扱いを示したもので、所轄の警察署がより厳しく判断することがあります。また、従業員がカウンターの外に出て客席に着く時間があれば、その時間の接客も含めて判断されます。とくに、客の少ない時間帯に同じ客の前に留まる時間が長くならないかは、注意が必要な点です。

接待に当たるかどうかは、サービスの実態を総合して判断されます。判断に迷う場合は、具体的な接客方法を示して、事前に確認してください。

解釈運用基準に「ガールズバー」が出てくる1か所

解釈運用基準の第10は、特定遊興飲食店営業の定義についての節で、そのうち第10中2(3)が「客に遊興をさせる」ことに当たらない行為の例を挙げています。

これに対して、例えば、次に掲げる行為で上記(2)の行為に該当しないものは、「客に遊興をさせる」ことには当たらない。

③ いわゆるガールズバー、メイドカフェ等で、客にショーを見せたりゲーム大会に客を参加させたりせずに、単に飲食物の提供のみを行う行為

(解釈運用基準 第10中2(3)から抜粋)

ここで整理されているのは、特定遊興飲食店営業に当たるかどうか、つまり遊興についての整理で、接待についての整理ではありません。接待は第2で別に整理されており、同じ店で接待に当たる接客をしていれば、遊興に当たらなくても、風俗営業(法2条1項1号)の許可が必要です。

また、この整理は「上記(2)の行為に該当しないもの」に限った書き方です。ショーを見せる、ゲーム大会に客を参加させる、といった(2)の行為をしていれば遊興に当たるかどうかが問われ、深夜に酒類を提供して行えば特定遊興飲食店営業の許可の問題になります(法2条11項・法31条の22)。「単に飲食物の提供のみ」に当たるかどうかも、営業の実態で判断されます。

店の側がゲームやイベントを企画して客を参加させるか、ショータイムを設けるかは、第10中2の(2)と(3)の分かれ目に直接関わるので、その内容と行う時間帯を決めておくことが大切です。

ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。

接待をせずに深夜に営業する場合

接待をせず、午前0時以降も酒類提供飲食店営業として営むなら、営業所ごとに都道府県公安委員会へ届出書を提出します(法33条1項)。期限は深夜の営業を開始しようとする日の10日前までで(規則103条3項)、手続きの全体は深夜営業の届出の全体像にまとめています。カウンターを中心にした席の配置と運営で、とくに問題になりやすいのは次の3点です。

  • 客室の見通し:客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと(規則99条2号)。カウンター席の背後の間仕切りやカーテンの扱いは客室の床面積・見通し・区画の基準で解説しています
  • 照度:照度が一定の数値以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること(規則99条5号)。数値と測り方は照度の基準で解説しています
  • アルバイトの年齢とシフト:18歳未満の者は、午後10時から翌日の午前6時までの時間に、カウンターに立って客に接する業務に就かせることができません(法32条3項において読み替えて準用する法22条1項4号)。詳しくは18歳未満の者の立入り・従業の制限で解説しています

条例で深夜の営業が禁止された地域では、届出をしても深夜に営業することはできません(法33条4項)。条例の地域の調べ方は用途地域と営業できない地域の調べ方で解説しています。

営業できる地域は都道府県の条例で定められており、地域によって異なります。物件の契約前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課に確認してください。

接待をする場合は、深夜の営業ができなくなる

接待をする形で営む場合は、風俗営業(法2条1項1号)の許可が必要で(法3条1項)、許可を受けると、午前0時から午前6時までは営業できません(法13条1項本文)。例外として午前0時以後に営める日・地域・時刻は、都道府県の条例で定められます(同項ただし書)。18歳未満の者の立入りや管理者の選任など、ほかに変わる点は「接待」の定義と判断基準の「接待に当たると何が変わるか」の表、許可の手続きは風営法の許可(1号営業)の取り方で解説しています。

働く人との関係で、届出の店にも適用される規制

接客従業者に対する拘束的行為の規制(法18条の2)は、法33条6項において準用され、午前6時から午後10時までの時間においてのみ営むもの以外の酒類提供飲食店営業、つまり午後10時から翌日の午前6時までの時間にも営業する店にも適用されます。規制の内容は深夜営業の届出の全体像の「届出をすると、何が続くか」で解説しています。また、客に接する業務に就く人の生年月日などの確認(法36条の2第1項)は、18歳未満の者の立入り・従業の制限で解説しています。

「ガールズバー 風営法違反」で調べている人へ

ガールズバーと呼ばれる形態の店で最も重い罰則が定められているのは、接待をしていたのに許可を受けていなかった場合です。無許可の風俗営業(法3条1項)として、5年以下の拘禁刑若しくは1,000万円以下の罰金、又はその併科の対象になり(法49条1号)、法人にも3億円以下の罰金刑の定めがあります(法57条1項1号)。届出をしないで深夜に営業した場合と、禁止地域で深夜に営業した場合の罰則は深夜営業の届出の全体像で、18歳未満の者についての罰則は18歳未満の者の立入り・従業の制限で、それぞれ解説しています。

客引きの規制は、接待をするかどうかで適用される範囲が変わります。接待をする店(風俗営業)では、客引きの禁止(法22条1項1号・2号)が時間帯を問わず適用され、接待をしない飲食店では、深夜における営業に限られます(法32条3項において読み替えて準用する法22条1項1号・2号)。これとは別に、条例に客引きの規制があることがあります。

接待に当たるかどうかは、店の決めた接客の手順だけでなく、実際に従業員がしている接客も含めて判断されることがあります。手順と実際の接客がずれていないかを、開業後も見直していくことが大切です。

ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。

ガールズバーでよくある勘違い

  • 「カウンターの中にいれば、接待にはならない」:このページの「カウンター越しの接客は、接待に当たるか」のとおり、接待に当たらないものとして挙げられているのは、カウンター内で単に注文に応じて提供するだけの行為です
  • 「深夜の届出を出してあるから、接待をしても手続きは済んでいる」:届出は、酒類提供飲食店営業を深夜において営むための手続きで(法33条1項)、接待をする営業の許可(法3条1項)の代わりにはなりません
  • 「18歳以上の従業員なら、客と一緒にお酒を飲んでもらってよい」:営業所で20歳未満の者に酒類を提供することは禁じられており(法32条3項において準用する法22条1項6号)、条文は相手を「20歳未満の者」としていて、客に限っていません

3つのうち1つでも店の運営の前提になっているなら、その前提を外した形で、接客の手順とシフトを見直しておく必要があります。

ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。

よくある質問

ガールズバーに、風営法の許可は必要ですか。

接待をするなら許可(法3条1項)、接待をせずに深夜に酒類提供飲食店営業を営むなら届出(法33条1項)、深夜にも客に遊興をさせ、かつ、酒類を提供して営むなら特定遊興飲食店営業の許可(法31条の22)が必要です。どれに当たるかは営業の実態で判断され、4つの区分の並びは業態別に必要な許可・届出の表で確認できます。

ガールズバーとスナックは、風営法でどう違いますか。

カウンター越しか、ボックス席で隣に座るか、という席の配置の違いで区分が分かれるわけではありません。区分を分けるのは、接待をするかどうかなどの営業の内容で、カウンター越しでも接待に当たる接客をしていれば許可が必要になり、ボックス席のある店でも、接待に当たる接客をしているかが同じように問われます。スナック・ラウンジの形態の店で問題になりやすい点はスナック・ラウンジの開業に必要な許可で解説しています。

午前0時以降も営業できますか。

接待をしない形で深夜に酒類提供飲食店営業を営むには、届出が必要です(法33条1項)。そのうえで深夜に営業できるかどうかは、店舗の所在地が条例の禁止地域に当たらないか(このページの「接待をせずに深夜に営業する場合」)、また、接待や遊興に当たる接客・催しを行っていないかによって異なり、いずれも実際の営業に照らして判断されます。店の所在地と、深夜の時間帯の接客・催しの内容を、あらかじめ整理しておく必要があります。

ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。

この記事の根拠

  • 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)── e-Gov法令検索
  • 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令(昭和59年政令第319号)── e-Gov法令検索
  • 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(昭和60年国家公安委員会規則第1号)── e-Gov法令検索
  • 警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について(通達)」令和8年7月1日(令和7年10月20日付けの旧通達を廃止したもの)── 警察庁(PDF)

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