風営法の物件選び|契約前に確かめる場所と構造設備の基準

風営法の許可や届出を考えて物件を探すときは、「その場所で営業できるか」と「建物の構造設備が基準を満たすか」の両方を、契約の前に確かめる必要があります。このページは、物件選びと構造設備についての各ページの入口として、何をどの順番で確かめるかと、それぞれを詳しく解説しているページをまとめたものです。

この記事の要点

  1. 物件について確かめることは、場所(条例で定める地域・保全対象施設からの距離)と、営業所の構造設備の2つです。人についての要件(欠格事由など)は、これとは別に定められています。
  2. 場所についての定めも構造設備の基準も、営業の区分(風俗営業の許可・深夜の酒類提供の届出・特定遊興飲食店営業の許可)によって違います。
  3. 具体的な地域と距離は、都道府県の条例で定められ、地域によって異なります。

この記事では、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律を「法」、同法施行規則を「規則」と略します。

このページの目次
  1. 契約前に確かめる順番
  2. 場所の要件 ─ 条例で定める地域と、保全対象施設からの距離
  3. 構造設備の基準 ─ 区分ごとに規則で定められている
  4. 風営法以外の法令 ─ 建築基準法・消防法・食品衛生法
  5. 居抜き物件と、前の店の許可
  6. よくある勘違い
  7. よくある質問
  8. この記事の根拠

契約前に確かめる順番

営業の区分が決まらないと、どの場所についての定めと、どの構造設備の基準を確かめればよいかが定まりません。そのため、最初に区分を決め、建物と場所の条件を確かめてから、内装と図面に進みます。

  1. 営業の区分を決める:接待をするか、午前0時以降も酒類を提供するか、深夜に客に遊興をさせるかで、必要な許可・届出が決まります(風営法の全体像・業態別に必要な許可・届出)。
  2. 建物がその用途に使えるかを確かめる:建築基準法の用途地域によっては、その営業の用途に建物を使えない場所があります(営業できない地域の調べ方)。
  3. 条例で定める地域を確かめる:同じく営業できない地域の調べ方で扱っています。
  4. 保全対象施設(いわゆる「保護対象施設」)からの距離を確かめる:保全対象施設と距離制限の調べ方で扱っています。
  5. 構造設備の基準を確かめる:このページの「構造設備の基準」の見出しに、項目と解説ページをまとめています。
  6. 図面を用意して、所轄の警察署の生活安全課で確かめる:図面の作り方は、風営法の申請図面の作り方で解説しています。

区分と場所の結論が出ないまま、内装や図面の検討に進んでいないかを確認しておく必要があります。

契約前に確認してください。契約後に判明すると、物件を変えるしかなくなることがあります。

場所の要件 ─ 条例で定める地域と、保全対象施設からの距離

営業所の場所は、風俗営業・深夜の酒類提供・特定遊興飲食店営業のそれぞれについて、都道府県の条例で定める地域によって制限されます(法4条2項2号・法33条4項・法31条の23)。条例で地域を定めるときの基準は政令にあります。区分によって仕組みが違い、特定遊興飲食店営業では、営業所が条例で定める地域内になければ許可されません。区分ごとの違いと調べ方は、次のページで扱っています。

保全対象施設に当たる施設の種類と距離も、都道府県の条例で定められています。

候補地が、営もうとする区分について条例で定める地域の内か外か、また保全対象施設から条例の定める距離の範囲内に入っていないかを確認しておく必要があります。

営業できる地域は都道府県の条例で定められており、地域によって異なります。物件の契約前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課に確認してください。

構造設備の基準 ─ 区分ごとに規則で定められている

営業所の構造設備の技術上の基準は、区分ごとに規則で定められています。

  • 風俗営業:規則7条の表
  • 特定遊興飲食店営業:規則75条
  • 深夜の飲食店営業:規則99条(法32条1項)

基準の項目と、詳しい解説があるページは次のとおりです。

  • 客室の床面積(1室の広さの下限)→ 客室の床面積・見通し・区画の基準
  • 見通しを妨げる設備(仕切り・ついたて・背の高い椅子など)→ 同上
  • 写真・広告物・装飾 → 同上
  • 客室の出入口の施錠 → 同上
  • 照度 → 照度の基準
  • 騒音・振動(数値は、政令の範囲内で条例が定めます)

仕切りや個室を置けるかどうかも、客室の床面積・見通し・区画の基準で扱っています。区分ごとの要件の全体は、風俗営業許可の要件と届出の要件で確認できます。

区分ごとの基準の各項目が、内装の図面に反映されているかを確認しておく必要があります。

ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。

風営法以外の法令 ─ 建築基準法・消防法・食品衛生法

建物の用途や規模によっては、建築基準法の手続きや、消防法の届出が必要になることがあります。風営法とは根拠になる法律も窓口も違うので、風営法の手続きと並行して進めることになります。また、客に飲食をさせる営業には、風営法の許可・届出とは別に、食品衛生法の飲食店営業の許可が必要です(食品衛生法55条1項)。

物件の用途や規模によって、建築・消防の手続きが必要になるかを確認しておく必要があります。

建築基準法・消防法の扱いは別の窓口の判断になります。工事や契約の前に、所管の窓口に確認してください。

居抜き物件と、前の店の許可

風俗営業の許可は、営もうとする者が営業所ごとに受けるもので(法3条1項)、深夜の酒類提供の届出も、深夜において営もうとする者が営業所ごとに提出します(法33条1項)。前の店の許可や届出を、新しく営業する者がそのまま使う仕組みはありません。相続・合併・分割で風俗営業者の地位を承継する場合も、公安委員会の承認が必要です(法7条・法7条の2・法7条の3)。

居抜きの物件では、前の店の内装が、営もうとする区分の基準に合うかを確認しておく必要があります。

ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。

よくある勘違い

  • 「先に内装を決めて、あとで警察に図面を出す」:場所の条件を確かめる前に内装を決めると、その内装が使えなくなることがあります。
  • 「不動産会社が『飲食店可』と言ったから、風営法の営業もできる」:「飲食店可」は建物や契約の話で、風営法の地域・距離・構造設備は別に確かめます。
  • 「建築の窓口で確認が済んだから、風営法の手続きも進められる」:建築基準法と風営法は、別の法律です。
  • 「前の店が営業していたから、同じ営業ができる」:許可・届出は、新しく営業する者が改めて許可を受けるか、届出をする必要があります。
  • 「届出の店は審査がないので、構造設備の基準もない」:届出に審査はありませんが、深夜に飲食店営業を営む者は、規則99条の基準に適合するように維持しなければなりません(法32条1項)。

不動産会社や建築の窓口から聞いた説明が、どの法律についてのものかを確認しておく必要があります。

ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。

よくある質問

風営法の許可が取れる物件は、どう探せばよいですか。

このページの「契約前に確かめる順番」のとおり、営業の区分を決めてから、建物の用途、条例で定める地域、保全対象施設からの距離、構造設備の基準の順に確かめます。

個室やパーテーションを置いてもよいですか。

客室の内部の見通しについての基準があり、仕切った席の形や広さによっては、許可が必要な営業に当たることもあります。判断のしかたは、客室の床面積・見通し・区画の基準で解説しています。

居抜きで、前の店の許可を使えますか。

前の店の許可や届出を、新しく営業する者が使う仕組みはありません。このページの「居抜き物件と、前の店の許可」のとおりです。

この記事の根拠

  • 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)── e-Gov法令検索
  • 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(昭和60年国家公安委員会規則第1号)── e-Gov法令検索
  • 食品衛生法(昭和22年法律第233号)── e-Gov法令検索

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