コンセプトカフェやメイドカフェには、昼から夜の早い時間までの営業の店や、お酒を出さない店も多くあります。風営法の手続きのうち、深夜の届出と特定遊興飲食店営業の許可は、深夜の営業を前提にしたものです。ところが、接待をする営業の許可には、時間帯の要件がありません。営業時間を短くしても、接客の仕方によっては許可が必要になることが、この業態で最も読み違えられやすい点です。
この記事の要点
- 客の接待をして客に飲食をさせる営業は、営業時間にかかわらず風俗営業に当たり(法2条1項1号)、営業を始める前に許可が必要です(法3条1項)。
- 深夜の届出(法33条1項)と特定遊興飲食店営業の許可(法2条11項・法31条の22)は、どちらも深夜(午前0時から午前6時まで)に営むことが要件とされています。
- チェキや撮影そのものを定めた条文はありませんが、撮影のときにスタッフが特定の客の席に着く形は、警察庁の解釈運用基準(令和8年7月1日の通達)の目安に照らして、接待に当たるかが問われます。
この記事では、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律を「法」、同法施行令を「令」、同法施行規則を「規則」と略します。
このページの目次
深夜に営業しなくても、接待をすれば許可が必要
法2条1項1号は、「設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」を風俗営業としており、その定義には営業時間の要件がありません。昼の12時から夜の9時までの営業でも、接待をして客に飲食をさせていれば、営業を始める前に許可を受けなければなりません(法3条1項)。
これに対して、時間の要件が入っているのは、次の2つです。
- 深夜の届出:酒類提供飲食店営業を深夜において営もうとする者に求められます(法33条1項)
- 特定遊興飲食店営業:客に遊興をさせ、かつ、酒類を提供して飲食をさせる営業のうち、午前6時後翌日の午前0時前の時間においてのみ営むもの以外のもの、言い換えると、深夜(午前0時から午前6時まで)にも営むものです。風俗営業に当たるものは除かれます(法2条11項)
風営法の「深夜」は、午前0時から午前6時までの時間です(法13条1項かっこ書)。閉店時刻を午前0時より前にしていても、ラストオーダーのあとに客が残って飲食を続けている時間があれば、その時間も含めて判断されます。
反対に、昼に接待をする店として許可を受けると、夜は午前0時を超えて営業することができなくなります(法13条1項本文。条例で定める例外があります)。
時間とは別に、18歳未満の者についての制限もあります。接待をしない飲食店でも、午後10時から翌日の午前6時までの時間は、18歳未満の者を客に接する業務に就かせることなどが制限されます(法32条3項において読み替えて準用する法22条1項4号・5号)。カフェの形態の店がこの制限から除かれる営業(規則102条)に当たるかどうかは、出している飲食物の種類と酒類の有無で分かれます。詳しくは18歳未満の者の立入り・従業の制限で解説しています。
営業時間、各時間帯の接客の内容、18歳未満のスタッフのシフトを、あわせて整理しておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
コンセプトカフェの接客と催しを、3つの問いに当てはめる
業態別に必要な許可・届出の3つの問いのうち、コンセプトカフェの形態の店では、チェキや指名などの店内のサービスが1つ目の接待の問いに、生誕祭やライブなどの催しが3つ目の遊興の問いに関わります。夜まで営業して酒類を出すなら、2つ目の深夜の届出の問いも関わります(深夜営業の届出の全体像)。
席に着いて話す・一緒に写真を撮る(接待に当たるか)
チェキや撮影、物販といったサービスそのものは、風営法の条文にも解釈運用基準にも出てきません。ただ、そのサービスのときにスタッフがどこにいて、どれくらいの時間、誰の相手をしているかは、接待に当たるかの判断材料になりえます。撮影のために特定の客の席に着いて時間をともにする形になっていれば、接待に当たると判断されることがあります。また、客の身体に接触する行為は接待に当たるとされています(解釈運用基準 第2中4(6))。
接待に当たる行為と当たらない行為の目安の全体は、「接待」の定義と判断基準に原文とあわせてまとめています。指名、「推し」、席料といった運用も、1人の客のためにスタッフの時間を使う形になっていないかという、同じ目安で判断されます。撮影や指名の1回ごとに、スタッフが客席に着く時間と、相手が特定の客に限られるかどうかを、整理しておく必要があります。
接待に当たるかどうかは、サービスの実態を総合して判断されます。判断に迷う場合は、具体的な接客方法を示して、事前に確認してください。
ステージ・ゲーム大会・ライブ(遊興に当たるか)
解釈運用基準の中で「メイドカフェ」の語が出てくるのは、遊興についての第10中2(3)③だけで、接待についての第2には出てきません(原文と読み方はガールズバーの開業に必要な許可・届出で解説しています)。その整理は、単に飲食物の提供のみを行う行為は「客に遊興をさせる」ことに当たらないとするものですが、当たるかどうかは営業の実態で判断され、所轄の警察署がより厳しく判断することがあります。
生誕祭のステージ、ライブ、ゲーム大会など、店の側が企画して不特定の客に見せたり参加させたりする催しは、「客に遊興をさせる」ことに当たるとされています(第10中2(2)①②④)。これを深夜にも酒類を出しながら行う場合、接待をしない店では特定遊興飲食店営業の許可が必要になり、接待をする店では、深夜の営業そのものが法13条1項本文で禁じられています。「深夜は酒類を出さない」という運用にする場合は、その運用が実際に守られているかどうかで判断されます。
イベントの開始と終了の時刻、その間の酒類の提供の有無が、確認の中身になります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
世界観の演出で、照明を落とす・個室を作る場合
世界観の演出のために店内を暗くしたり、没入感のために仕切った小さな席を作ったりすると、接待をしていなくても、営業の区分そのものが変わることがあります。
- 照明:営業所内の照度を10ルクス以下として営むと、法2条1項2号の風俗営業に当たります。照度の測り方は照度の基準で解説しています
- 個室風の席:他から見通すことが困難で、広さが5平方メートル以下の客席を設けて営むと、同項3号の風俗営業に当たります。客席の見通しと広さは客室の床面積・見通し・区画の基準で解説しています
どちらにも時間帯の要件はなく、昼だけの営業でも同じです。演出のための照明計画と、仕切った席の大きさを、この2つの基準の数字と照らし合わせておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
接待をする店の料金の説明と、注文前の提供
接待をする形のコンセプトカフェでは、席料・チャージ・指名料・撮影料について事実と違う説明や客を誤認させるような説明をすること、客が注文する前に飲み物や料理を出して客を困惑させることが、2025年の改正で加わった法18条の3(1号・3号)に関わります。条の対象と各号の内容は、2025年改正の全体像で解説しています。
コンセプトカフェでよくある勘違い
- 「お酒を出さないから、風営法は関係ない」:酒類の有無が要件になるのは、深夜の届出と特定遊興飲食店営業です。接待や、照度・客席の作りによる2号・3号には、酒類の有無は入っていません。深夜に飲食店営業を営めば、酒類を出さなくても構造設備や照度の規制(法32条1項・2項)の対象になり、18歳未満の者の制限(同条3項)もあります
- 「チェキや物販は、風営法とは関係ない」:このページの「席に着いて話す・一緒に写真を撮る」のとおり、そのサービスのときのスタッフの位置と時間は、接待の判断材料になりえます
- 「イベントの日だけなら、生演奏をしてもよい」:このページの「ステージ・ゲーム大会・ライブ」のとおり、深夜に酒類を出しながら行えば遊興の問題になります。解釈運用基準(第10中3(4))は、短期間の催しでも2晩以上にわたるものは継続性が認められるとしています。また、1回1晩の催しを繰り返す場合は、引き続き6月以上開かれないときに継続性が認められないとしているので、それより短い間隔で繰り返せば継続性が問われます
イベントの日程と深夜の酒類の提供、撮影のときのスタッフの位置のうち、まだ決まっていないものは、明確にしておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
よくある質問
コンセプトカフェに、風営法の許可は必要ですか。
昼だけの営業でも、接待をするなら許可が必要です(法3条1項)。接待をしない場合にどの区分になるかは、このページの「コンセプトカフェの接客と催しを、3つの問いに当てはめる」と、業態別に必要な許可・届出の表で確認できます。
コンセプトカフェは、何時まで営業できますか。
接待をする店として許可を受けると、午前0時を超えて営業することはできません(法13条1項本文。条例で定める例外があります)。接待をしない店の深夜の営業と、18歳未満のスタッフの時間帯は、このページの「深夜に営業しなくても、接待をすれば許可が必要」にまとめています。
チェキの撮影は、風営法で規制されていますか。
撮影そのものを定めた条文はありません。撮影のときにスタッフが特定の客の席に着く形が、接待に当たるかの判断材料になります(このページの「席に着いて話す・一緒に写真を撮る」)。
風営法違反になると、どうなりますか。
接待をしていたのに許可を受けていなかったと判断されれば、無許可の風俗営業(法3条1項)として、5年以下の拘禁刑若しくは1,000万円以下の罰金、又はその併科の対象になります(法49条1号)。ほかの違反の罰則については、ガールズバーの開業に必要な許可・届出の「『ガールズバー 風営法違反』で調べている人へ」で案内しています。接客・催し・営業時間の計画のうち、どこが許可や届出に関わるかを整理しておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。