このページは、風営法の許可や届出を考えている方に向けて、「この物件で営業できるか」を決める地域のきまりと、その調べ方をまとめたものです。不動産や建築でいう「用途地域」の調べ方にも触れますが、風営法で営業できる地域は、用途地域とは別に都道府県の条例で定められています。両方を順に確かめることになります。物件選び全体の順番は物件選びと構造設備の基準にあります。
この記事の要点
- 条例が定めるのは「営業できない地域」か「営業所を置いてよい地域」かで、区分によって仕組みが逆になります。風俗営業と深夜の酒類提供は前者、特定遊興飲食店営業は後者です(法4条2項2号/法33条4項/法31条の23において読み替えて準用する法4条2項2号)。
- 実際にどこが制限・禁止・許容されているかは、都道府県の条例で定められ、地域によって異なります。
- 用途地域は、風営法の地域とは別に確かめる必要があります。工業専用地域のように、風営法の手続きより前に、飲食店そのものを建築できない用途地域があります(建築基準法48条13項)。
この記事では、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律を「法」、同法施行令を「令」、同法施行規則を「規則」と略します。
このページの目次
「用途地域」と風営法の地域は、根拠も窓口も別
物件の広告や重要事項の説明に出てくる「用途地域」は、都市計画で定められる地域の区分で、建築基準法はこの区分ごとに建物の用途を制限しています(建築基準法2条21号・48条)。風営法で営業できるかどうかは、これとは別に、風営法と政令が定める枠の中で、都道府県の条例が決めています。確認する対象は、次の3つの層に分かれます。
- 層1 風営法と政令:条例で地域を定めるときに従う基準(枠)
- 層2 都道府県の条例:実際にどこが対象になるか
- 層3 建築基準法:その場所に、その用途の建物を建てられるか
層1 風営法と政令 ─ 条例が地域を定めるときの枠
風営法は、営業所の場所についての制限を都道府県の条例に委ね、条例で地域を定めるときに従う基準を政令に置いています(令6条・令22条・令27条)。政令に書かれているのは、どのような地域を指定できるかという枠で、具体的な町名や範囲は書かれていません。国の法令だけを読んでも、候補地が対象になるかは分かりません。
層2 都道府県の条例 ─ 実際にどこが対象か
風俗営業の営業制限地域、深夜の営業禁止地域、特定遊興飲食店営業の営業所設置許容地域が実際にどこかは、各都道府県が条例で定めています。条例の名称も定め方も都道府県ごとに違うので、候補地の所在地の条例を確認する必要があります。
層3 建築基準法 ─ その建物をその用途に使えるか
建築基準法は、用途地域ごとに、建築できる建物と建築してはならない建物を定めています(建築基準法48条・別表第2)。たとえば工業専用地域では、別表第2(わ)項に掲げる建築物を建築してはならず(建築基準法48条13項)、同項5号には「物品販売業を営む店舗又は飲食店」が挙がっています。工業専用地域では、風営法の手続きより前に、飲食店そのものを建築できません。
建築基準法48条13項ただし書には特定行政庁の許可による例外の規定もありますが、当てはまるかどうかは建築の窓口の判断であり、風営法の手続きの中では判断できません。近隣商業地域や工業地域にも、建築してはならない用途が定められています。お店の用途がどれに該当するか、建物の用途を変えるときにどんな手続きが必要かは、建物の規模と用途によって変わります。
建物の用途に関する手続きが必要かどうかは、物件を決める前に確認しておく必要があります。
建築基準法・消防法の扱いは別の窓口の判断になります。工事や契約の前に、所管の窓口に確認してください。
区分ごとの地域の決まり方 ─ 制限地域・禁止地域・許容地域
風営法の地域のきまりには、2通りの仕組みがあります。営業できない地域を条例で決める仕組み(風俗営業・深夜の酒類提供)と、営業所を置いてよい地域を条例で決める仕組み(特定遊興飲食店営業)です。3つの区分を並べると次のとおりです。表の「保全対象施設」は、いわゆる「保護対象施設」のことです。
| 許可・届出の種別 | 営業できない地域 |
|---|---|
| 風俗営業1号(接待飲食営業) | 条例で定める営業制限地域内にあるときは許可されない(不許可事由)。条例の基準は、住居集合地域、または保全対象施設の周辺の地域条文で確定根拠:法4条2項2号/令6条1号イ・ロどの地域が指定されているかは都道府県の条例で異なります。所在地の条例を確認してください |
| 深夜における酒類提供飲食店営業(届出) | 都道府県は条例で地域を定めて、深夜に酒類提供飲食店営業を営むことを禁止できる。条例の基準は住居集合地域内の地域条文で確定根拠:法33条4項/令27条1号届出は出せても、その場所では営業できないことがあります。政令(令27条)の基準は住居集合地域だけで、保全対象施設からの距離の基準は置かれていませんが、実際にどこが禁止地域かは都道府県の条例で定められ、地域によって異なります。「距離制限がないから大丈夫」とは判断せず、所在地の条例を確認し、条例の当てはめは所轄の警察署に確認してください |
| 特定遊興飲食店営業(許可) | 他の区分とは逆に、条例で定める「営業所の設置が許容される地域」の中になければ許可されない。基準は、風俗営業等密集地域または深夜の人口がおおむね100人/km²以下の地域であり、かつ住居集合地域等でないこと条文で確定根拠:法31条の23において読み替えて準用する法4条2項2号/令22条1号イ・ロ許容される地域は都道府県の条例で指定されており、指定のない地域では営業できません。所在地の条例を確認してください。なお、旅館・ホテル営業の施設内にあって規則76条の基準に適合する営業所(ホテル等内適合営業所)は、法31条の23の読替えにより扱いが異なります。当てはまるかは個別に判断されるため、所轄の警察署に確認してください |
法令基準日:2026-09-18/根拠の略号 法=風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、令=同法施行令、規則=同法施行規則、内閣府令=同法に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令
この表の補足にある、条例や所轄の警察署の運用に関わる点は、都道府県や警察署によって取扱いが異なります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
表の3つの区分は、根拠の条文も、条例に委ねている範囲も違います。区分ごとに、表にない政令の基準を順に確認します。
風俗営業 ─ 条例の「営業制限地域」の中では許可されない
風俗営業の営業所が、政令で定める基準に従って都道府県の条例で定める地域内にあるときは、公安委員会は許可をしてはなりません(法4条2項2号)。この地域は「営業制限地域」と呼ばれ(令6条の見出しの語。同条1号の語は「制限地域」)、政令は、その指定を次の2種類の地域について行うこととしています(令6条1号)。
- 住居集合地域:住居が多数集合しており、住居以外の用途に供される土地が少ない地域(令6条1号イ)
- 保全対象施設の周辺の地域:学校、病院その他の施設で、都道府県の条例で定めるものの周辺の地域(令6条1号ロ)
保全対象施設の周辺を指定するときの距離の限度は令6条2号にあり、その読み方と測り方は保全対象施設と距離制限の調べ方で扱っています。また、指定とその変更は、営業の種類や地域の特性などに応じて、良好な風俗環境を保全するため必要な最小限度のものでなければなりません(令6条3号)。
制限地域の中か外かを判断するときの「営業所」には、客室のほか、専らその営業に使う調理室、クローク、廊下、洗面所、従業者の更衣室なども含まれ、駐車場や庭なども、建物と一体で専らその営業に使うものであれば含まれると解されています(警察庁の解釈運用基準(令和8年7月1日の通達)第12中9(1)・第12中2)。営業所の範囲と、制限地域に近い場所で許可を受けるときに付される条件は、風俗営業許可の要件で扱っています。
深夜における酒類提供飲食店営業 ─ 住居集合地域の中に「禁止地域」が定められることがある
深夜(午前0時から午前6時まで)の酒類提供は、許可ではなく届出の手続きですが、場所のきまりは別に置かれています。
都道府県は、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があるときは、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、地域を定めて、深夜において酒類提供飲食店営業を営むことを禁止することができる。
(法33条4項)
令27条がこの条例の基準として定めているのは、指定を住居集合地域内の地域について行うこと(1号)と、指定を必要な最小限度のものとすること(2号)の2つです。風俗営業の基準(令6条2号)にある保全対象施設からの距離の限度は、令27条には置かれていません。この点の読み方は、上の表の深夜の行の補足と、保全対象施設と距離制限の調べ方で扱っています。
条例で禁止された地域で深夜に営業したときには、届出書を提出しなかったときより重い罰則が定められています(法51条1項10号)。罰則の比べ方は深夜営業の届出にあります。
前の店が禁止地域の中で深夜に営業していても、新しく営業する者がその扱いを引き継ぐわけではありません。法33条5項が条例の規定を適用しないとしているのは、条例の施行や適用のときに届出書を提出して深夜に営業している者の、その営業についてだからです。すでに営業している店についても、この扱いが続くのは、そのときに営んでいた営業の範囲に限られ、工事によって外れることがあります(深夜における酒類提供飲食店営業の解説)。居抜きの物件や、改装を予定している既存の店では、この扱いが使えるかを所轄の警察署の判断で確かめることになります。
特定遊興飲食店営業 ─ 条例の「営業所設置許容地域」の外では許可されない
法31条の23は、特定遊興飲食店営業について法4条2項2号を準用し、「設置を制限する必要がある」を「設置が許容される」に、「あるとき」を「ないとき」に読み替えています。条例で定める営業所設置許容地域の中になければ、許可されないということです。
政令は、許容地域を指定できる地域を、次のように定めています(令22条1号)。
- 風俗営業等密集地域か、深夜に1平方キロメートルにつきおおむね100人以下の割合で人が居住する地域であること(令22条1号イ)
- 住居集合地域、住居が相当数集合している地域、それらに隣接する地域(風俗営業等密集地域では、幹線道路沿いの一定の区域を除く)、条例で定める保全対象施設の周辺の地域のいずれでもないこと(令22条1号ロ)
「風俗営業等密集地域」は、店舗が多数集合し、かつ、風俗営業や深夜の酒類提供飲食店営業などの営業所が1平方キロメートルにつきおおむね300箇所以上の割合で設置されている地域をいいます(令9条1号イ)。
表の補足にあるホテル等内適合営業所に当たるかは、規則76条の基準に照らして、建物の構造と管理の状況から判断されます。ホテルの中での営業を考えるときは、施設がこの基準に合うかを、計画の早い段階で確かめることになります。
「住居集合地域」とは
3つの区分に共通して出てくる語が「住居集合地域」で、政令は「住居が多数集合しており、住居以外の用途に供される土地が少ない地域」と定めています(令6条1号イ)。風俗営業の制限地域(令6条1号イ)のほか、深夜の営業禁止地域(令27条1号)、特定遊興飲食店営業の許容地域から除かれる地域(令22条1号ロ(1))、営業時間の延長が認められる地域から除かれる地域(令9条1号ロ(1))が、同じ語を使っています。「第一種住居地域」などの用途地域の名前と、住居集合地域は同じものではありません。
所在地の条例が、用途地域の名称を用いるなどして、住居集合地域をどの範囲として定めているかを確認しておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
営業時間を延ばせる地域も、条例の「地域」で決まる
風俗営業は、深夜(午前0時から午前6時まで)には営業できません(法13条1項本文)。例外として、都道府県の条例に特別の定めがある場合は、習俗的行事などの特別な事情のある日について条例で定める地域と、それ以外の日について政令で定める基準に従って条例で定める地域に限り、条例で定める時まで営業できます(法13条1項ただし書1号・2号)。
2号の地域(営業延長許容地域)について、政令は、風俗営業等密集地域であって、住居集合地域や住居が相当数集合している地域などでない地域について指定することとしています(令9条1号)。延長が認められる地域と時刻は、条例の定め方によって異なります。反対に、都道府県は、条例で地域を定めて、風俗営業の営業時間を制限することもできます(法13条2項)。
午前0時以降の営業を前提に計画を立てるなら、所在地の条例に延長の定めがあるか、候補地がその地域に入るかを確認しておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
調べ方 ─ 物件を契約する前の5つの手順
地域のきまりは、次の順に確かめると手戻りが少なくなります。建物の用途(層3)でその営業ができない場所なら、その先の手順を進めても、その物件では営業できないからです。
- 所在地を、地番と住居表示の両方で記録する:登記や契約書に書かれる地番と、郵便などに使う住居表示は、同じ場所でも表記が違うことがあります。条例や都市計画の図面がどちらで書かれているかは自治体によって違うので、両方を記録しておきます。
- 用途地域を確かめる:市町村の都市計画の担当窓口や、市町村が公開している都市計画図で、所在地の用途地域を確かめます。用途地域の境目に近い物件は、図の縮尺では判断できないことがあるので、窓口で確認します。
- 条例で、制限・禁止・許容のどれに当たるかを確かめる:都道府県の風営法の施行条例で、営業制限地域・深夜の営業禁止地域・営業所設置許容地域がどう定められているかを確認します。条例が用途地域の名前を使って地域を定めている場合も、条例の書き方どおりに当てはめます。
- 保全対象施設が近くにないかを確かめる:施設の調べ方と距離の測り方は保全対象施設と距離制限の調べ方にあります。
- 所轄の警察署の生活安全課に確認する:1から4までの結果を整理して示します。建築基準法の扱いは、市町村の建築指導課などの別の窓口で確認します。
1から5までのうち、結論が出ていない項目が残っていないかを確認しておく必要があります。
契約前に確認してください。契約後に判明すると、物件を変えるしかなくなることがあります。
よくある勘違い
- 「商業地域だから、風俗営業の許可も取れる」:条例の営業制限地域は、用途地域と同じ線で引かれているとは限りません。保全対象施設の周辺も、制限地域になりえます(令6条1号ロ)。
- 「深夜の酒類提供は届出だから、場所の制限はない」:条例で深夜の営業禁止地域が定められていることがあります(法33条4項・令27条)。
- 「工業地域なら住宅が少ないので、かえって営業しやすい」:工業専用地域では飲食店を建築できず(建築基準法48条13項・別表第2(わ)項5号)、工業地域にも建築してはならない用途が定められています。
- 「特定遊興飲食店営業も、禁止された地域でなければ営業できる」:他の区分と反対に、条例で定める許容地域の中でなければ許可されません(法31条の23・令22条1号)。
- 「条例ができる前からある店舗だから、改装しても扱いは変わらない」:条例を適用しない扱いが続く範囲は限られており、工事の内容によっては、その扱いの対象から外れます(法33条5項・解釈運用基準 第29中3(2))。
所在地の条例が制限・禁止・許容の地域をどの範囲で定めているかと、建物がその用途に使えるかは、物件ごとに確認しておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
よくある質問
風営法の許可が取れない用途地域はありますか。
風営法は、用途地域の名称によって許可の可否を定めてはいません。場所を理由に許可されないのは、営業所が条例で定める営業制限地域の中にある場合で(法4条2項2号)、政令の基準は住居集合地域と保全対象施設の周辺の地域です(令6条1号)。条例が用途地域の名前を使って制限地域を定めていることはありますが、どこが対象かは都道府県の条例によって異なります。これとは別に、工業専用地域では、建築基準法により飲食店を建築できません。
用途地域はどうやって調べますか。
市町村の都市計画の担当窓口か、市町村が公開している都市計画図で調べます。所在地は地番と住居表示の両方で記録しておき、用途地域の境目に近い物件は窓口で確かめます。そのあとに、都道府県の条例で風営法の地域を確認します。順番はこのページの「調べ方」のとおりです。
禁止地域で営業すると、どうなりますか。
風俗営業は、営業所が営業制限地域の中にあれば許可されません(法4条2項2号)。深夜の酒類提供では、条例に違反して禁止地域で深夜に営業した者は、1年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金に処され、又はこれを併科されます(法51条1項10号)。
深夜酒類提供飲食店営業にも、用途地域の制限はありますか。
建築基準法の用途地域による制限は建物の用途についてのもので、深夜に営業するかどうかにかかわらず適用されます。そのうえで風営法では、都道府県が条例で、住居集合地域の中に深夜の営業禁止地域を定めることができます(法33条4項・令27条1号)。届出書を出す前に、所在地の番地がその禁止地域の範囲に入るかを確認しておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。