接待をする店を開くには、営業所ごとに風営法の許可が必要です(法3条1項)。許可を受けると営業できるようになる一方で、風俗営業者として、午前0時以降の営業の禁止や管理者の選任など、許可を受けていない飲食店にはない制限を受け、義務を負うことになります。許可と届出のどちらが要るかと、開業までの手続きの全体は、許可・届出の手続きの全体像で整理しています。
この記事の要点
- 接待をする店(法2条1項1号に掲げる営業)は、開業の前に許可を受けなければならず、許可を受けるまで営業できません(法3条1項)。
- 許可を受けた風俗営業者は、深夜(午前0時から午前6時まで)にはその営業を営めません(法13条1項本文)。例外として営める日・地域・時刻は、都道府県の条例によって異なります。
- 要件・申請の流れ・必要書類は、このページ後半の「1号の許可を詳しく解説しているページ」に、それぞれの解説ページをまとめています。
この記事では、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律を「法」、同法施行令を「令」、同法施行規則を「規則」、同法に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令を「内閣府令」と略します。「1号営業」は法令用語ではなく、条文では「法2条1項1号に掲げる営業」と書かれています。
このページの目次
許可を受けると始まる制限と義務
許可を受けて風俗営業者になると、次の制限と義務を受けます。このうち法22条1項の禁止は、許可の有無にかかわらず、風俗営業を営む者に適用されます。
- 営業時間:深夜はその営業を営めません(法13条1項本文)。例外として営める日・地域・時刻と、別に地域を定めた営業時間の制限は、いずれも条例で定められます。内容は、このページ後半の比較表の「午前0時以降の営業」「営業時間の制限」の行で確認できます
- 18歳未満の者の接待・従業・立入りの制限と、入口の表示(法22条1項3号から5号まで・法18条):内容は18歳未満の者の立入り・従業の制限で解説しています
- 20歳未満の者への酒類・たばこの提供、客引きの禁止(法22条1項6号・1号・2号)
- 管理者の選任と、管理者の講習(法24条1項・7項)
- 許可証の掲示(法6条)
- 構造設備を基準に適合するように維持すること(法12条)と、変更の承認(法9条1項)
- 照度(法14条。数値は照度の基準で解説しています)と、条例で定める騒音・振動の数値(法15条)
- 接客従業者に対する拘束的行為の禁止(法18条の2第1項)、客の正常な判断を著しく阻害する行為の禁止(法18条の3)
法13条に違反して深夜に営業すると、公安委員会は指示や営業の停止等を命じることができ(法25条・法26条1項)、その営業の停止等の処分に違反すれば、法49条4号の罰則の対象になります。許可を受けないで風俗営業を営むこと自体の罰則(法49条1号)と、深夜の届出をしなかった場合の罰則の比較は、深夜営業の届出の全体像にまとめています。
所在地で午前0時以後の営業が認められる日・地域・時刻と、騒音・振動の条例の数値が、確認のポイントになります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
そもそも許可が要るか ─ 接待をするかどうか
法2条1項は風俗営業を定義しており、その1号は次のとおりです(条文の表記は「キヤバレー」「カフエー」。許可が必要なことを定めているのは法3条1項です)。
一 キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業
「接待」は、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいいます(法2条3項)。お酌、カラオケのデュエット、隣に座っての談笑などが接待に当たるかの判断基準は、警察庁の解釈運用基準(令和8年7月1日の通達)に整理されており、「接待」の定義と判断基準で解説しています。
接待をしない店でも、深夜(午前0時から午前6時まで)に酒類を提供して営業するなら深夜の届出、深夜にも客に遊興をさせ、かつ、酒類を提供して飲食をさせるなら特定遊興飲食店営業の許可(定義は法2条11項、許可は法31条の22)の対象になります。4つの区分の全体は、風営法の全体像で解説しています。
予定している接客の方法が接待に当たるかどうかを整理しておく必要があります。
接待に当たるかどうかは、サービスの実態を総合して判断されます。判断に迷う場合は、具体的な接客方法を示して、事前に確認してください。
3つの手続きを並べると
1号の許可・深夜の届出・特定遊興飲食店営業の許可の3つを、手続きの種別・期限・手数料・標準処理期間・必要な図面の項目で並べました。
| 許可・届出の種別 | 手続の種別 | 期限 | 手数料 | 標準処理期間 | 必要な図面 |
|---|---|---|---|---|---|
| 風俗営業1号(接待飲食営業) | 許可(営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会)条文で確定根拠:法3条1項 | 営業を開始する前に許可を受ける。許可そのものに有効期間の定めはない(更新制ではない)条文で確定根拠:法3条1項 | 国の「地方公共団体の手数料の標準に関する政令」に風俗営業の許可申請の項はなく、都道府県の手数料条例による地域・運用で異なる根拠:地方公共団体の手数料の標準に関する政令(平成12年政令第16号)本則の表(法3条1項の許可申請の項はない)/都道府県の手数料条例 | 法令に定めはない。各都道府県公安委員会が行政手続法6条により定めて公にしている地域・運用で異なる根拠:行政手続法6条/都道府県公安委員会の定め | 営業所の平面図及び営業所の周囲の略図。あわせて営業の方法を記載した書類、営業所の使用について権原を有することを疎明する書類条文で確定根拠:内閣府令1条1号・2号・3号(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令) |
| 深夜における酒類提供飲食店営業(届出) | 届出(営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会に届出書を提出)条文で確定根拠:法33条1項 | 深夜に営業を開始しようとする日の10日前までに届出書を提出する条文で確定根拠:規則103条3項 | 届出のため、国の法令に手数料の定めはない地域・運用で異なる根拠:法33条1項(手数料の定めなし) | 届出であり申請に対する処分ではないため、標準処理期間の対象にならない地域・運用で異なる根拠:行政手続法6条(申請に対する処分が対象) | 営業所の平面図。あわせて営業の方法を記載した書類、個人は住民票の写し、法人は定款・登記事項証明書・役員に係る住民票の写し条文で確定根拠:内閣府令24条1号イ・ロ・ハ・ニ(法33条3項の添付書類)/規則103条1項・2項(様式) |
| 特定遊興飲食店営業(許可) | 許可(営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会)条文で確定根拠:法31条の22 | 営業を開始する前に許可を受ける条文で確定根拠:法31条の22 | 許可申請の審査 24,000円。3月以内の期間を限って営む場合の申請の審査は14,000円(同時に他の許可申請を行う場合は8,700円を減じた額。法4条3項が適用される営業所は30,800円/20,800円)条文で確定根拠:地方公共団体の手数料の標準に関する政令 本則の表 第14の3項 | 法令に定めはない。各都道府県公安委員会が行政手続法6条により定めて公にしている地域・運用で異なる根拠:行政手続法6条/都道府県公安委員会の定め | 営業所の平面図及び営業所の周囲の略図(風俗営業の許可申請の添付書類の規定を準用)条文で確定根拠:内閣府令17条において準用する同令1条3号 |
法令基準日:2026-09-18/根拠の略号 法=風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、令=同法施行令、規則=同法施行規則、内閣府令=同法に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令
この表の「地域・運用で異なる」の項目は、都道府県の条例や所轄の警察署の運用によって取扱いが異なります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
詳しくは風営法の全体像のページで解説しています。
深夜の届出に期間や手数料の定めがないのは、届出という手続きの性質によるものです。届出書を提出すればどこでも深夜に営業できるわけではなく、条例で深夜の営業を禁止された地域では営めません(法33条4項)。
深夜の届出と比べると、決まり方が違うところ
1号の許可と深夜の届出の違いは、手続きの難しさではなく、項目ごとに、どこで定められているかにあります。
| 項目 | 風俗営業1号(接待飲食営業) | 深夜における酒類提供飲食店営業(届出) |
|---|---|---|
| 営業できない地域 | 条例で定める営業制限地域内にあるときは許可されない(不許可事由)。条例の基準は、住居集合地域、または保全対象施設の周辺の地域条文で確定根拠:法4条2項2号/令6条1号イ・ロどの地域が指定されているかは都道府県の条例で異なります。所在地の条例を確認してください | 都道府県は条例で地域を定めて、深夜に酒類提供飲食店営業を営むことを禁止できる。条例の基準は住居集合地域内の地域条文で確定根拠:法33条4項/令27条1号届出は出せても、その場所では営業できないことがあります。政令(令27条)の基準は住居集合地域だけで、保全対象施設からの距離の基準は置かれていませんが、実際にどこが禁止地域かは都道府県の条例で定められ、地域によって異なります。「距離制限がないから大丈夫」とは判断せず、所在地の条例を確認し、条例の当てはめは所轄の警察署に確認してください |
| 保全対象施設との距離 | 保全対象施設の敷地の周囲おおむね100メートルの区域を限度として、条例で制限地域を指定できる条文で確定根拠:令6条1号ロ・2号法令上の用語は「保全対象施設」です(いわゆる「保護対象施設」)。どの施設が対象になるかも、何メートルの範囲が対象になるかも、都道府県の条例によって異なります(具体の数値は地域ページ) | 保全対象施設からの距離の規定はない(禁止地域の基準は住居集合地域のみ)地域・運用で異なる根拠:令27条1号風俗営業の距離による制限とは仕組みが違います。ただし、実際にどこが禁止地域かは都道府県の条例で定められ、地域によって異なります。「距離制限がないから大丈夫」とは判断せず、所在地の条例を確認し、条例の当てはめは所轄の警察署に確認してください |
| 午前0時以降の営業 | 営めない(深夜=午前0時から午前6時)。都道府県の条例で定める例外がある(法13条1項ただし書)条文で確定根拠:法13条1項本文/同項ただし書1号・2号/令9条例外として、都道府県の条例に特別の定めがある場合に限り、条例で定める日の区分に応じ、条例で定める地域内で、条例で定める時まで営めます(法13条1項ただし書1号・2号)。延長の有無と時刻は都道府県の条例によって異なります | 営める(接待をしない店が、深夜の営業を前提にして出す届出。風俗営業の深夜の営業禁止(法13条1項)が解かれるものではない)地域・運用で異なる根拠:法33条1項条例で深夜の営業を禁止された地域では営めません(法33条4項・令27条)。どこが禁止地域かは都道府県の条例で異なります |
| 営業時間の制限 | 条例で午前0時以後の営業が認められる地域で、午前0時から条例で定める時までの時間に営むときは、周辺に迷惑を及ぼさないための措置と、苦情の処理に関する帳簿の備付けが必要。都道府県は、別に条例で地域を定めて営業時間を制限できる条文で確定根拠:法13条2項/法13条3項/法13条4項午前0時以後の営業が認められる地域の基準は令9条(風俗営業等密集地域であること・住居集合地域でないこと等)。具体の地域と時刻、営業時間の制限は都道府県の条例で異なります | 法令上の営業時間の制限はない地域・運用で異なる根拠:法33条(時間の制限規定なし)条例で深夜の営業を禁止された地域では深夜に営めません(法33条4項・令27条)。どこが禁止地域かは都道府県の条例で異なります |
| 管理者の選任 | 営業所ごとに管理者1人を選任しなければならない(欠けたときは14日間の猶予)。未成年者等は管理者になれない条文で確定根拠:法24条1項/法24条2項各号/規則37条(専任)管理者の氏名・住所は許可申請書の記載事項(法5条1項5号) | 法令上の選任義務はない(法24条は法32条で準用されていない)地域・運用で異なる根拠:法32条(法24条の準用なし)風俗営業・特定遊興飲食店営業との大きな違いです。ただし所轄の警察署が実務上の連絡責任者を求めることがあります。届出の前に所轄に確認しておくと安心です |
法令基準日:2026-09-18/根拠の略号 法=風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、令=同法施行令、規則=同法施行規則、内閣府令=同法に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令
この表の「地域・運用で異なる」の項目は、都道府県の条例や所轄の警察署の運用によって取扱いが異なります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
詳しくは風営法の全体像のページで解説しています。
特定遊興飲食店営業を加えた3つの区分の地域の決まり方は、営業できない地域の調べ方で比べています。
解釈運用基準(第17中2)は、風俗営業の終業後に同じ営業所で飲食店営業を続けることについて、時間外営業等の脱法行為を誘発するおそれがあるとしています。そのため、接待飲食等営業については、全ての客を帰らせ、接客従業者も帰らせて(客としても残らせない)、別会計にして営業するなど、営業の継続性が完全に断たれる場合に限り認めるとされています。1つの営業所で、午前0時までは接待をする営業、その後は接待をしない営業、と切り替える計画は、この条件に照らして個別に判断されます。
午前0時の前後で営業の方法を切り替える場合は、客と接客従業者を帰らせる方法と会計の分け方が、この条件に合うかを確認しておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
1号の許可を詳しく解説しているページ
- 風俗営業許可の要件:法4条の不許可事由の全体、構造設備の基準7つ(規則7条の表)、営業所の範囲と同一性、許可に付く条件
- 申請の流れと標準処理期間:申請までの順番と提出の方法、標準処理期間と手数料の決まり方、許可証の交付
- 許可申請の必要書類一覧:内閣府令1条の号ごとの添付書類、施行規則と解釈運用基準の様式、深夜の届出の書類との比較
- 物件選びと構造設備の基準:場所と構造設備を、許可・届出の区分をまたいで確かめる順番
- 風営法の申請図面の作り方:申請書に添える図面の種類と作図の流れ
許可を受けたあと、変更があるときの手続き
1号の許可には有効期間の定めがなく、更新の手続きはありません。同じ店で受ける飲食店営業許可には、有効期間などの条件が付けられることがあり(食品衛生法55条3項)、風営法の許可とは扱いが異なります。風営法の許可を受けたあとは、次のような場合に手続きが必要になります。
- 営業所の構造又は設備を変更するとき:承認又は届出(法9条1項・3項2号)
- 氏名・住所、営業所の名称、管理者、法人の役員などが変わったとき:届出(法9条3項1号)
- 営業を廃止したとき:許可証の返納(法10条1項1号)
このほか、従業者名簿を備えて必要な事項を記載する義務もあります(法36条)。工事の内容によっては新規の許可が必要になることがあり、どの工事が新規の許可になるかは、風俗営業許可の要件の「営業所の同一性」で解説しています。
開業後に内装・管理者・役員を変更する予定がある場合は、それぞれがどの手続きになるかを整理しておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
よくある質問
風営法の許可を取れば、深夜も営業できますか。
できません(法13条1項本文)。例外が認められる日・地域・時刻は条例で定められており、このページ後半の比較表の「午前0時以降の営業」の行のとおりです。
許可の期間と費用は、どこで確認できますか。
標準処理期間と手数料は、国の法令に定めがなく、都道府県の公安委員会や都道府県の条例によって定められています。期間と手数料の決まり方は、申請の流れと標準処理期間の「標準処理期間」と「手数料」の見出しで解説しています。深夜の届出・特定遊興飲食店営業との比較は、このページの「3つの手続きを並べると」の表にあります。
接待をする営業のあと、同じ店で深夜にお酒を出す営業はできますか。
このページの「深夜の届出と比べると、決まり方が違うところ」の解釈運用基準(第17中2)のとおり、営業の継続性が完全に断たれる場合に限り認めるとされています。客と接客従業者を帰らせる方法や会計の分け方が条件に合うかは、営業の方法に照らして判断されます。
個人で許可を受けたあと、その許可で法人として営業できますか。
許可は、風俗営業を営もうとする者が営業所ごとに受けるもので(法3条1項)、法人が営むときは、法人として許可を受けることになります。個人が受けた許可を法人に引き継ぐ定めはないため、法人で営業を始める時期と手続きの順番を整理しておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
この記事の根拠
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)── e-Gov法令検索
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令(昭和59年政令第319号)── e-Gov法令検索
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(昭和60年国家公安委員会規則第1号)── e-Gov法令検索
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令(昭和60年総理府令第1号)── e-Gov法令検索
- 食品衛生法(昭和22年法律第233号)── e-Gov法令検索
- 警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について(通達)」令和8年7月1日(令和7年10月20日付けの旧通達を廃止したもの)── 警察庁(PDF)