行政書士の文章理解|解き方の手順と自作の例題

このページは、行政書士試験の基礎知識のうち、文章理解の解き方をまとめたものです。文章理解は、知識ではなく読解で答える分野で、基礎知識の中ではほかの分野と性格が違います。

ここでは、公式サイトで過去問が見つからない理由、令和6年度・令和7年度の出題形式、形式に共通する解き方の手順を示し、その手順を本試験の形式に似せた自作の例題で1問ずつ通します。

出題形式は令和6年度・令和7年度の6問のものです。それより前の年度の形式は調べていません。例題の本文と選択肢は本試験の問題ではなく、このページのために作成したものです。


基礎知識の中の文章理解

基礎知識は14問56点で、1問4点です。基準点の24点に届くには、14問のうち6問が要ります(令和7年度行政書士試験合否判定基準)。

文章理解は、令和2年度〜令和7年度のどの年度も3問(問題58〜60)です。文章理解は、知識の量ではなく読み方の手順で安定させられる分野です。基礎知識の全体の中での位置づけは、基礎知識の全体像のページにまとめています。


過去問はどこにあるか

一般財団法人 行政書士試験研究センターの過去の試験問題と正解のページには、令和2年度〜令和7年度の試験問題が載っています。ただし、どの年度にも「(問題1・58〜60については著作権の関係から掲載しておりません。)」という趣旨の注記があり(年度によってはほかの問も非掲載)、問題58〜60の文章理解は、公式サイトではどの年度も読めません。正解の番号だけは、同じページの「試験問題の正解」で確かめられます。

文章理解の過去問を解くには、手元の本試験の問題冊子か、文章理解を収めた市販の過去問集を使うことになります。公式サイトの過去問をダウンロードして解くときは、文章理解の問が入っていないことを前提に、別に用意する必要があります。


出題の形式(令和6年度・令和7年度)

表Aは、令和6年度・令和7年度の6問の形式です。題材の文章は載せず、形式だけを一覧にしています。


表A 文章理解の出題形式(令和6年度・令和7年度・6問)
年度・問 形式 空欄の数 空欄に入るもの 選ぶもの
令和6年度 問58 空欄補充 5 か所 語句 語句の組合せ
令和6年度 問59 並べ替え 1 か所 文章 ア〜エの順序
令和6年度 問60 空欄補充 1 か所 文章 文章
令和7年度 問58 空欄補充 5 か所 語句 語句の組合せ
令和7年度 問59 空欄補充 5 か所 文章 ア〜オの文の組合せ
令和7年度 問60 空欄補充 1 か所 文章 文章

表Aの6問は、空欄補充が5問、並べ替えが1問でした。空欄補充は、空欄に入るのが語句か文章か、空欄が複数か1か所かで分かれます。並べ替えは、本文中の空欄に入る文章を、ア〜エの文を並べ替えて作る形でした。

本文の内容と合う選択肢を選ぶ形(いわゆる内容合致)は、この6問にはありませんでした。ただし、形式を調べたのは令和6年度・令和7年度だけなので、それより前の年度や今後の年度に出ないとは言えません。


解き方の手順

表Aの形式は、どれも「本文のある場所に、何を入れれば前後がつながるか」を問うものです。そこで、形式に共通する手順を1つ決めておきます。

  1. 設問と選択肢を先に読む。何を選ぶのか(語句の組合せか、文章か、順序か)を確かめ、選択肢どうしがどこで違うかを見ておきます。
  2. 空欄の前後の1文ずつを読む。「しかし」「だから」「つまり」などの接続語と、「それ」「この」などの指示語に印を付けます。
  3. 本文全体の流れをつかむ。筆者が言いたいこと(主張)と、そのための例や理由を分けて読みます。
  4. 候補を空欄に入れて、前後とつながるかを確かめる。接続語・指示語・主張の向きが、前後の文と食い違わないかを見ます。
  5. 残りの選択肢を消した理由を言えるか確かめる。理由を言えない選択肢が残っていたら、2に戻ります。

形式ごとには、次の手がかりが効きます。

語句の空欄補充(空欄が複数)
選択肢は語句の組合せなので、すべての空欄を埋めなくても答えが決まることがあります。確実に決まる空欄から先に決め、組合せを絞ります。
文章の空欄補充(空欄が1か所)
空欄の文と、前後の文との関係(理由・言い換え・対比・具体例)を先に決めます。内容が正しそうでも、前後との関係に合わない選択肢は入りません。
並べ替え
接続語と指示語で、先頭に来られない文と、末尾に来る文を先に決めます。「それは」で始まる文は、指している内容より後ろに置きます。

自作の例題で手順を通す

ここからは、上の手順を例題で1回ずつ通します。例題は、表Aの形式に似せてこのサイトが作ったもので、本試験の問題ではありません。例題の本文は200字前後に短くし、例題1は空欄を2か所にしています。

例題1 語句の空欄補充

本文(自作)

地図を読むのが苦手だという人は多い。しかし、その多くは地図そのものが読めないのではなく、地図と目の前の景色を〔Ⅰ〕ことに慣れていないだけである。地図は上から見た世界を描いているが、歩いている私たちは横から世界を見ている。この見え方の違いを埋めるには、まず自分が立っている場所と向いている方角を、地図の上で決めなければならない。そこが決まれば、あとは交差点や大きな建物といった〔Ⅱ〕を一つずつ確かめながら進めばよい。迷う人の多くは、この最初の一手を省いて歩き出してしまう。

〔Ⅰ〕・〔Ⅱ〕に当てはまる語句の組合せを、次の1〜5から選びなさい。

  1. Ⅰ 切り離す Ⅱ 目印
  2. Ⅰ 照らし合わせる Ⅱ 目印
  3. Ⅰ 照らし合わせる Ⅱ 近道
  4. Ⅰ 見比べない Ⅱ 近道
  5. Ⅰ 切り離す Ⅱ 景色

手順1:選ぶのは語句の組合せです。Ⅰは「切り離す/照らし合わせる/見比べない」、Ⅱは「目印/近道/景色」で違います。

手順2:Ⅱの前後は「交差点や大きな建物といった〔Ⅱ〕を一つずつ確かめながら進めばよい」です。交差点や建物は、確かめながら進むための目印で、近道でも景色でもありません。Ⅱが「目印」の選択肢は1と2に絞れます。

手順3・4:本文は「地図が読めないのではなく、地図と景色の見え方の違いを埋められていない」という流れです。Ⅰに「切り離す」を入れると、見え方の違いを埋めるという後ろの文と向きが逆になります。「照らし合わせる」なら、後ろの文とつながります。

正解は2です。手順5:1は「切り離す」が後ろの文と逆向き、3と4は「近道」が交差点や建物に合わず、5は「切り離す」と「景色」がどちらも合わない、と消した理由を言えます。

例題2 並べ替え

本文(自作)

料理の本に書かれた分量を、きっちり守れないと気にする人がいる。〔  〕。料理の本の分量は、書いた人の台所で一度うまくいったときの記録にすぎない。自分の台所では、味を見ながら少しずつ直していけばよいのである。

空欄には、次のア〜エの4つの文を並べた文章が入ります。正しい順序を1〜5から選びなさい。

  • ア それは、材料の大きさや火の強さが、台所ごとに違うからである。
  • イ だから、書かれた数字をそのまま守っても、自分の台所で同じ味になるとは限らない。
  • ウ けれども、分量を守らないことが、いつも間違いだとは言えない。
  • エ たとえば、同じ「中火」でも、コンロによって鍋に伝わる熱は変わる。
  1. ア → エ → ウ → イ
  2. ウ → ア → エ → イ
  3. ウ → イ → ア → エ
  4. エ → ア → イ → ウ
  5. イ → ウ → ア → エ

手順1・2:選ぶのは順序です。接続語と指示語に印を付けると、ウは「けれども」、イは「だから」、アは「それは」、エは「たとえば」で始まります。

手順3:空欄の前は「分量を守れないと気にする人がいる」、後ろは「分量は一度うまくいったときの記録にすぎない」です。空欄は、気にする人に対して「気にしなくてよい」と返す流れになります。

手順4:先頭に来られるのは、前の文を受けて向きを変えるウ(けれども)です。ウの理由を述べるのがア(それは〜からである)、アの「火の強さが違う」を具体的に言うのがエ、全体を受けて結論を出すのがイ(だから)です。

正解は2(ウ → ア → エ → イ)です。手順5:1と3は、ウの直後にイの「だから」が来ます。「間違いだとは言えない」から「同じ味になるとは限らない」を導く形になり、理由と結論が逆です。4は、先頭のエの「たとえば」が、何の例なのかを示す文より前に来ます。5は、先頭のイの「だから」の前に、理由になる文がありません。こう消した理由を言えます。

例題3 文章の空欄補充

本文(自作)

会議で意見が出ないとき、司会者はつい「何でもいいので意見をください」と言ってしまう。しかし、この言葉で意見が出ることは少ない。〔  〕。そこで、たとえば「この案のいちばんの弱点はどこだと思いますか」のように、答える範囲をしぼって尋ねると、参加者は考える手がかりを得て、話し始めやすくなる。

空欄に当てはまる文章を、次の1〜5から選びなさい。

  1. 意見が出ないのは、参加者が会議の目的を知らないからである。
  2. 何でもよいと言われると、かえって何から考えればよいかがわからなくなるからである。
  3. 司会者は、参加者の意見を否定しないように気をつけるべきである。
  4. 会議は、できるだけ短い時間で終えることが望ましい。
  5. 意見を出す人が決まっていれば、会議はうまく進む。

手順1・2:選ぶのは1つの文章です。空欄の前は「この言葉で意見が出ることは少ない」、後ろは「そこで、答える範囲をしぼって尋ねると」です。

手順3・4:空欄は、前の文の理由を述べ、後ろの「そこで」の解決策につながる文です。後ろの解決策は「範囲をしぼる」なので、理由は「範囲が広すぎること」でなければつながりません。

正解は2です。手順5:1も理由の形ですが、理由が「目的を知らないこと」なら、解決策は「目的を伝える」になるはずで、後ろの文とつながりません。3〜5は理由の形になっておらず、前の文を受けられません。

3つの例題とも、答えを決めたのは本文の内容の正しさではなく、空欄の前後の文との関係でした。本試験の問題でも、同じ手順で「どこで決めたか」を言えるように練習します。


「できない」ときの見直し方

文章理解で間違えた問は、答えを覚え直すのではなく、手順のどの段でずれたかで分けて見直します。

手順1でずれた
何を選ぶ問かを取り違えた、選択肢の違いを見ていなかった。→ 本文より先に設問と選択肢を読む習慣を付けます。
手順2でずれた
接続語や指示語を読み飛ばした。→ 空欄の前後の1文に、接続語と指示語の印を付けてから考えます。
手順3でずれた
筆者の主張と例を取り違えた。→ 段落ごとに「言いたいこと」を短く書き出してみます。
手順4・5でずれた
内容が正しそうな選択肢を選んだ。→ 例題3の1のように、正しそうでも前後とつながらない選択肢があることを確かめます。

同じ段で何度もずれるなら、そこが自分の弱いところです。問題を解く量を増やすより、その段だけを意識して解き直すほうが、手順が早く身に付きます。


問題集の選び方の目安

このサイトでは、特定の問題集をすすめることはしません。選ぶときは、次の3つを目安にしてください。

  • 行政書士試験の文章理解が何年分入っているか。公式サイトに載っていないので、本試験の形式を知るには過去問集の収録年数が大事です。
  • 解説が「なぜその答えになるか」を、本文の場所で示しているか。正解の番号と要約だけの解説では、手順のどこでずれたかを見直せません。
  • 形式が本試験と合っているか。令和6年度・令和7年度の形式は表Aのとおりです。

よくある質問

行政書士試験の文章理解の例題は?

公式サイトの過去問には文章理解(問題58〜60)が掲載されていないので、このページでは、令和6年度・令和7年度の形式(語句の空欄補充・並べ替え・文章の空欄補充)に似せた自作の例題を3つ載せています。本試験の問題を解くには、問題冊子か市販の過去問集を使います。

文章理解ができないのですが、どうしたらよいですか?

間違えた問を、「設問と選択肢を先に読む」「空欄の前後を読む」「全体の流れをつかむ」「前後とつながるか確かめる」「消した理由を言う」の5つの手順のどこでずれたかで分けて見直します。同じ段で何度もずれるなら、その段だけを意識して解き直します。

文章理解のおすすめの問題集は?

このサイトでは特定の問題集はすすめていません。行政書士試験の文章理解が何年分入っているか、解説が本文の場所で理由を示しているか、形式が本試験と同じか、の3つを目安に選んでください。


まとめ

文章理解は、公式サイトの過去問には載っていません。出題はどの年度も3問で、令和6年度・令和7年度の6問は、空欄補充が5問、並べ替えが1問でした。どの形式も、空欄の前後の文との関係で答えが決まります。設問と選択肢を先に読み、接続語と指示語を手がかりに前後とのつながりを確かめる。この手順を1つ決めて練習すると、基礎知識の基準点に向けて、読解の問の点が安定しやすくなります。