行政書士試験の諸法令|行政書士法・住民基本台帳法・戸籍法の過去問と条文

このページは、行政書士試験の基礎知識のうち、行政書士法等の諸法令をまとめたものです。試験案内では「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」と書かれている分野です。

令和6年度〜令和7年度の公式の試験問題では、毎年2問がこの分野から出題されています。出題された法律は、行政書士法(令和6年度・令和7年度)、住民基本台帳法(令和6年度)、戸籍法(令和7年度)です。このページでは、その4問を肢ごとに条文へ当てはめ、条文は令和8年度の試験の基準日にあたる令和8年4月1日現在のもので確かめています。

基準日は令和8年度行政書士試験のご案内(「法令については、令和8年4月1日現在施行されている法令に関して出題します」)によります。問題と正解は一般財団法人 行政書士試験研究センターの「過去の試験問題」「試験問題の正解」、条文はe-Gov法令検索で確かめました(2026年9月時点)。


これまでの出題(過去問)

表Aは、4問19肢を、何が問われたかと根拠の条文に分けたものです。「記述は」の欄には、その肢の記述が妥当か誤りかを、公式の正解から示しています。


表A 諸法令の出題(令和6年度〜令和7年度・4問19肢。「条文(令和8年4月1日現在)」は令和8年度試験の基準日の条番号)
年度・問 肢 記述は 何が問われたか 条文(出題当時) 条文(令和8年4月1日現在)
令和6年度 問52(行政書士法) 1 妥当 報酬額の掲示義務 行政書士法10条の2第1項 同じ
令和6年度 問52(行政書士法) 2 誤り 特定行政書士による審査請求の代理(要件) 行政書士法1条の3第1項2号・2項 行政書士法1条の4第1項2号・2項
令和6年度 問52(行政書士法) 3 誤り 公務員経歴による資格取得(年数要件20年) 行政書士法2条6号 同じ
令和6年度 問52(行政書士法) 4 誤り 欠格事由(破産手続開始・復権による回復) 行政書士法2条の2第2号 同じ
令和6年度 問52(行政書士法) 5 誤り 欠格事由(懲戒免職から3年) 行政書士法2条の2第4号 同じ
令和6年度 問53(住民基本台帳法) 1 誤り 住民票の記載事項か(前年度の税額)→ 7条1項の各号に無い 住民基本台帳法7条1項 同じ
令和6年度 問53(住民基本台帳法) 2 誤り 住民票の記載事項か(緊急時の連絡先)→ 7条1項の各号に無い 住民基本台帳法7条1項 同じ
令和6年度 問53(住民基本台帳法) 3 誤り 住民票の記載事項か(地震保険=民間の保険の被保険者の資格)→ 各号にあるのは国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険・国民年金などの資格(10号〜11号)で、民間保険は無い 住民基本台帳法7条1項10号〜11号 同じ
令和6年度 問53(住民基本台帳法) 4 誤り 住民票の記載事項か(海外渡航歴)→ 7条1項の各号に無い 住民基本台帳法7条1項 同じ
令和6年度 問53(住民基本台帳法) 5 妥当 世帯主についてはその旨、世帯主でない者は世帯主の氏名と続柄 住民基本台帳法7条1項4号 同じ
令和7年度 問53(行政書士法) ア 妥当 懲戒処分の種類(戒告)と処分権者(都道府県知事) 行政書士法14条1号 同じ
令和7年度 問53(行政書士法) イ 妥当 懲戒処分の種類(2年以内の業務停止) 行政書士法14条2号 同じ
令和7年度 問53(行政書士法) ウ 誤り 行政書士法人に対する処分の処分権者(都道府県知事) 行政書士法14条の2第1項3号 同じ
令和7年度 問53(行政書士法) エ 誤り 業務禁止処分を受けた者の登録抹消(日行連の義務) 行政書士法7条1項1号 同じ
令和7年度 問54(戸籍法) ア 誤り 出生の届出の期間(日数のすり替え。条文は14日以内・国外は3か月以内) 戸籍法49条1項 同じ
令和7年度 問54(戸籍法) イ 妥当 出生の届書の記載事項(子の男女の別・嫡出子か否かの別) 戸籍法49条2項1号 同じ
令和7年度 問54(戸籍法) ウ 誤り 出生の届書の記載事項(出生の年月日時分・場所)は必ず書く事項か(任意記載とすり替え) 戸籍法49条2項2号 同じ
令和7年度 問54(戸籍法) エ 妥当 出生証明書を作る者の順序(医師・助産師・その他の者) 戸籍法49条3項 同じ
令和7年度 問54(戸籍法) オ 妥当 子の名に使う文字(常用平易な文字) 戸籍法50条1項 同じ

表Aから読み取れることは、次の3つです。

  • 表Aの4問では、どの肢も条文の文言で正誤が決まります。判例や学説で答えが分かれる肢はありません。
  • 誤りの肢は、年数(20年・3年)、日数(出生の届出の期間)、処分をする者(都道府県知事と総務大臣)、「しなければならない」と「することができる」を入れ替える形が中心です。
  • 行政書士法の条番号のうち、特定行政書士の条(出題当時の1条の3)は、令和8年4月1日現在では1条の4になっています。理由は下の「令和7年の行政書士法改正」の節で説明します。

行政書士法で押さえる条文

表Aで行政書士法から出た条文を、条文の順に並べます。どれも、表Aの誤りの肢が入れ替えていた部分(年数・処分をする者・義務か任意か)に目を向けて読みます。

資格(2条)
行政書士となる資格を持つのは、行政書士試験に合格した者(1号)、弁護士・弁理士・公認会計士・税理士となる資格を持つ者(2号〜5号)、公務員として行政事務を担当した期間などが通算20年以上(高等学校を卒業した者などは17年以上)の者(6号)です。
欠格事由(2条の2)
未成年者(1号)、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者(2号)、公務員で懲戒免職の処分を受け、処分の日から3年を経過しない者(4号)などは、2条にかかわらず資格を持ちません。3号・5号〜8号の期間も、すべて3年です。
登録の抹消(7条)
日本行政書士会連合会は、2条の2の2号〜4号・6号〜8号に当たるに至ったとき、廃業の届出、死亡、登録の取消しの処分を受けたときは、登録を抹消しなければなりません(1項)。引き続き2年以上業務を行わないときと、心身の故障で業務を行えないときは、抹消することができるにとどまります(2項)。業務の禁止の処分(2条の2第6号)を受けた者は1項1号に当たるので、抹消は義務です。
報酬の額の掲示(10条の2第1項)
行政書士は、事務所の見やすい場所に、業務に関し受ける報酬の額を掲示しなければなりません。
行政書士に対する懲戒(14条)
処分をするのは都道府県知事で、処分は戒告(1号)、2年以内の業務の停止(2号)、業務の禁止(3号)の3つです。
行政書士法人に対する懲戒(14条の2第1項)
処分をするのは、主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事です。処分は戒告(1号)、2年以内の業務の全部または一部の停止(2号)、解散(3号)です。総務大臣ではありません。
特定行政書士(1条の4)
行政書士が作成することができる書類に係る許認可等に関する審査請求などの不服申立ての手続について代理する業務(1項2号)は、日本行政書士会連合会の研修の課程を修了した行政書士、つまり特定行政書士に限って行えます(2項)。

令和7年の行政書士法改正

行政書士法は、令和7年法律第65号で改正され、令和8年1月1日から施行されています。令和8年度の試験は令和8年4月1日現在の法令で出題されるので、改正後の条文で学ぶことになります。表Bは、改正のうち試験に関わるところをまとめたものです。


表B 行政書士法の令和7年改正のうち試験に関わるところ(令和8年1月1日施行・令和8年4月1日現在)
改正後の条 改正前の条 何が変わったか
1条 1条 「目的」の条から「行政書士の使命」の条に。「この法律は…目的とする」が「行政書士は…使命とする」になった
1条の2 (新設) 新設。品位の保持・法令と実務への精通・公正かつ誠実な業務(1項)と、デジタル社会の進展を踏まえた情報通信技術の活用などによる利便の向上(2項・努力義務)
1条の3 1条の2 業務の条(書類の作成)。条番号が1つ繰り下がった
1条の4 1条の3 提出の代理などの業務と特定行政書士の条。条番号が1つ繰り下がり、特定行政書士が代理できる不服申立ての対象が「行政書士が作成した」書類から「行政書士が作成することができる」書類に広がった(1項2号)
10条 10条 見出しが「行政書士の責務」から「信用失墜行為の禁止」に。誠実に業務を行う義務は1条の2(職責)へ移った
19条 19条 行政書士でない者の業務の制限に「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」が加わった
21条の2 21条 19条1項(業務の制限)の違反の罰則が21条2号から21条の2に分かれ、両罰規定(23条の3)の対象にもなった

学ぶうえで気をつけたいのは、次の2つです。

  • 条番号が繰り下がった:1条が「行政書士の使命」の条に改められ、1条の2(職責)が新しく置かれたので、業務の条は1条の3に、特定行政書士の条は1条の4になりました。改正前に作られた問題集や解説では、同じ中身が1条の2・1条の3として書かれています。表Aの令和6年度 問52の肢も、出題当時の条番号(1条の3)で当てています。
  • 中身が変わった:特定行政書士が代理できる不服申立ての対象が、行政書士が「作成した」書類に係るものから、「作成することができる」書類に係るものに広がりました。行政書士でない者の業務の制限(19条1項)には、「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」が加わっています。

改正前の条文は、e-Gov法令検索の令和7年12月31日時点の版によります(令和8年4月1日現在の版と並べて確認)。


住民基本台帳法

表Aの住民基本台帳法の問は、住民票の記載事項(7条)を問うものでした。7条は、住民票に記載する事項を号で列記した条文です。妥当とされた肢は、世帯主についてはその旨、世帯主でない者については世帯主の氏名と世帯主との続柄を記載する、という4号でした。

7条で押さえておきたいのは、次の2点です。

  • 保険・年金は、国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険・国民年金の被保険者の資格に関する事項(10号〜11号)が記載事項です。表Aで誤りとされた肢のように、民間の保険は入っていません。
  • 令和8年4月1日現在の7条には、氏名の振り仮名(1号の2)があります。令和5年法律第48号によって令和7年5月26日から加わった号で、住民基本台帳法の問が出た令和6年度の試験の基準日には、まだありませんでした。

戸籍法

表Aの戸籍法の問は、出生の届出(49条)と子の名に使う文字(50条)を問うものでした。

届出の期間(49条1項)
出生の届出は14日以内(国外で出生があったときは3か月以内)にしなければなりません。
届書の記載事項(49条2項)
子の男女の別と嫡出子か嫡出でない子かの別(1号)、出生の年月日時分と場所(2号)、父母の氏名と本籍(3号)などは、届書に記載しなければならない事項です。表Aでは、2号を「記載することができる」事項とした肢が誤りとされています。
出生証明書(49条3項)
医師・助産師・その他の者が出産に立ち会った場合は、医師、助産師、その他の者の順序で、そのうちの1人が作成する出生証明書を届書に添付します。やむを得ない事由があるときは、この限りではありません。
子の名(50条)
子の名には常用平易な文字を用いなければならず(1項)、常用平易な文字の範囲は法務省令で定めます(2項)。

ほかの法律は出るのか

試験案内の分野名は「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」で、「等」にどの法律が入るかは示されていません。令和6年度〜令和7年度に出題された法律は、行政書士法・住民基本台帳法・戸籍法です。

このサイトでは、出ていない法律を「出る」と予想することはしません。出題されたこれらの法律の条文を、表Aの肢の形(年数・日数・処分をする者・義務か任意か)に目を向けて読むことから始めてください。


よくある質問

行政書士試験の諸法令とは何ですか?

基礎知識の分野の1つで、試験案内では「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」と書かれています。令和6年度〜令和7年度の公式の試験問題で出題された法律は、行政書士法・住民基本台帳法・戸籍法です。

諸法令は毎年何問出ますか?

令和6年度〜令和7年度の公式の試験問題では、毎年2問でした(このサイトが設問から数えた数)。一般財団法人 行政書士試験研究センターの説明では、令和6年度の試験から、諸法令などの各分野から毎年1題以上出題することが明記されています。

戸籍法や住民基本台帳法は、令和6年度から試験範囲に加わったのですか?

一般財団法人 行政書士試験研究センターは、令和6年度の試験から適用された改正について、諸法令などの各分野から毎年1題以上出題することを明記したもので、「現行試験の内容及び出題範囲を変更するものではありません」と説明しています。範囲が加わったのではなく、出題することが明記された、という改正です。


まとめ

諸法令は、令和6年度〜令和7年度の公式の試験問題で毎年2問出ており、どの肢も条文の文言で正誤が決まりました。行政書士法は令和8年1月1日の改正で条番号が繰り下がり、特定行政書士の業務の範囲と業務の制限の文言も変わっています。令和8年4月1日現在の条文で、年数・日数・処分をする者・義務か任意かに目を向けて読むことから始めると、基礎知識の基準点に向けた準備に取りかかりやすくなります。