宅建試験で住宅金融支援機構を学ぶとき、機構の業務は数が多く、「これは機構がする業務だったか、しない業務だったか」と一つずつ思い出そうとすると、項目の多さに圧倒されてしまいがちです。
そこで、このページでは機構の目的から業務を読んでいきます。機構は、一般の金融機関による資金の融通を支援・補完するために置かれた独立行政法人です(独立行政法人住宅金融支援機構法4条1項。以下「機構法」)。この目的から考えると、機構が自ら個人などに貸し付けるのは例外で、原則としては民間の住宅ローンの供給を支援する立場にある、と整理できます。この「原則と例外」の考え方を軸にすると、並んだ業務を同じ見方で読み進められます。
そして、民間の住宅ローンの供給を支える業務の1つが、証券化支援事業です。証券化支援事業には買取型と保証型があり、機構の統合報告書では、それぞれ現在の【フラット35】(買取型)・【フラット35】(保証型)と説明されています。このページでは、表の見出しにあわせて「証券化支援事業(買取型)」「証券化支援事業(保証型)」と書きます。
なお、このページの表は3つです。表1で機構が自ら貸し付ける場面の原則と例外を、表2で証券化支援事業の買取型と保証型のしくみを、表3で機構ができること・できないことを整理しています。まずは表1から見ていきましょう。
本記事は、2026年9月時点の機構法とその政令・省令、独立行政法人住宅金融支援機構業務方法書(令和8年3月23日改正のもの)、機構の公表資料にもとづいています。
住宅金融支援機構の直接融資などの原則と例外
この見出しで押さえておきたい視点は、「機構は自ら貸さないのが原則であり、貸すのは民間では対応しにくい政策上の場面だけ」という1点です。そのうえで、表1は、個人などへの直接の貸付け、返済が困難になったとき、業務の委託の3つの場面について、それぞれ原則と例外を並べています。いずれも色の付いた原則の行があり、その下に例外の行が並びます。
「出題」は、平成19年〜令和7年の本試験の過去問で、年度と問番号を確かめたものだけを載せています。住宅金融公庫の時代(平成18年まで)の過去問は、制度が別なので載せていません。「直近10年」は平成28年〜令和7年の本試験で、その行の論点が選択肢に出た回数です。「問われ方」は、過去問で誤りの選択肢として出た形です。正しい選択肢としてだけ出たものは「(正しい選択肢として出題)」としています。「条文」の列には、法令のほか、機構の業務方法書・公表資料(統合報告書・商品説明)も載せています。
| 場面 | 原則・例外 | 条文 |
|---|---|---|
| 直接融資 | ||
| 個人などへの直接の貸付け | 原則民間金融機関による住宅ローンの供給を支援・補完する(証券化支援事業など)。機構が自ら直接融資をするのは、政策上重要で民間では対応しにくい例外に限られる(主なものは次のとおり) | 独立行政法人住宅金融支援機構法4条1項 |
| 災害で住宅が滅失した場合 | 例外滅失した住宅に代わる住宅(災害復興建築物)の建設・購入の資金を貸し付ける補足:元金の返済の据置期間を設けることができる(表3) | 独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項5号 |
| 耐震改修 | 例外地震に対する安全性の向上を主たる目的とする住宅の改良の資金を貸し付ける | 独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項6号 |
| 省エネ改修 | 例外住宅のエネルギー消費性能の向上を主たる目的とする住宅の改良の資金を貸し付ける | 独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項11号 |
| 高齢者向けの住宅の改良 | 例外高齢者の家庭に適した住宅とするための改良の資金を貸し付ける(高齢者が自ら居住する住宅について行うものに限る)補足:この改良資金は、高齢者が自ら居住する住宅に限る(高齢者の家庭に適した賃貸住宅の改良は、下の「子どもを育成する家庭・高齢者の家庭に適した賃貸住宅」の貸付けの対象) | 独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項10号 |
| マンションの共用部分の改良 | 例外マンションの管理組合や区分所有者に、共用部分の改良の資金を貸し付ける | 独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項7号 |
| 子どもを育成する家庭・高齢者の家庭に適した賃貸住宅 | 例外賃貸住宅の建設・改良の資金を貸し付ける(高齢者の家庭には単身の世帯を含む)補足:証券化支援事業(買取型)では、賃貸住宅は対象外(表3) | 独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項9号 |
| 市街地の土地の合理的利用に寄与する建築物 | 例外合理的土地利用建築物の建設の資金を貸し付ける | 独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項7号 |
| 財形住宅貸付け | 例外事業主などから財形の住宅資金の貸付けを受けられない勤労者に、住宅資金を貸し付ける | 独立行政法人住宅金融支援機構法13条2項9号 勤労者財産形成促進法10条1項 |
| 返済が困難になったとき | ||
| 元利金の支払 | 原則貸付金は、原則として割賦償還の方法によって返済する補足:元利金の支払を免除する定めは無い(景況の悪化や物価上昇などを理由に免除されることはない) | 独立行政法人住宅金融支援機構業務方法書24条3項 |
| 経済事情の著しい変動などで支払が著しく困難になった場合 | 例外償還期間の延長などの貸付条件の変更や、延滞元利金の支払方法の変更をすることができる | 独立行政法人住宅金融支援機構業務方法書26条2項 |
| 業務の委託 | ||
| 金融機関への委託 | 原則買取型で譲り受けた貸付債権の回収業務や、直接融資の申込みの受理・審査などを、金融機関に委託することができる | 独立行政法人住宅金融支援機構法16条1項1号 独立行政法人住宅金融支援機構に関する省令43条1号・3号 独立行政法人住宅金融支援機構法施行令7条1項1号イ 独立行政法人住宅金融支援機構法施行令7条1項1号ハ |
| 貸付けの決定 | 例外直接融資で貸付けをするかどうかの決定は、金融機関に委託できない | 独立行政法人住宅金融支援機構法施行令7条1項1号ハ |
原則の行(色の付いた行)の下に、その例外を並べています。直接融資の原則は、機構の目的(一般の金融機関による資金の融通を支援・補完する)から来ています
直接融資の原則と、直接融資ができる場面
まず原則です。機構法4条1項は、機構の目的を、一般の金融機関による資金の融通を支援・補完することとしています。そして、機構が自ら直接融資をすることができる場面は、機構法13条に個別に定められていて、表1の例外の8行がそれにあたります。目的とあわせて読むと、どれも政策上重要で、民間の金融機関では対応しにくい場面だと考えると整理しやすくなります。
ただし、8行をそのまま覚えようとすると負担が大きいので、行の見出しをもとに5つのまとまりで読むと整理しやすくなります。1つ目は災害と安全で、災害で住宅が滅失した場合の災害復興建築物の建設・購入(機構法13条1項5号)と、地震に対する安全性を高める耐震改修(同項6号)です。2つ目は住宅の性能と高齢者で、省エネ改修(同項11号)と、高齢者の家庭に適した住宅とするための改良(同項10号)です。高齢者向けの改良には対象の限定があり、その内容は表1の補足に書いてあります。
続いて、3つ目はマンションと市街地で、マンションの共用部分の改良と、市街地の土地の合理的利用に寄与する建築物の建設です(いずれも機構法13条1項7号)。4つ目は賃貸住宅で、子どもを育成する家庭や高齢者の家庭に適した賃貸住宅の建設・改良の資金です(同項9号)。5つ目は財形住宅貸付けで、事業主などから財形の住宅資金の貸付けを受けられない勤労者への貸付けです(機構法13条2項9号、勤労者財産形成促進法10条1項)。
なお、表1で直近10年の出題が多いのは、マンションの共用部分の改良と、賃貸住宅の行です。このうち賃貸住宅は、証券化支援事業(買取型)での扱いと取り違えやすい行なので、表1の補足もあわせて確認しておきましょう。買取型の側は、表3で扱います。
返済が困難になったとき
次に、返済の場面です。機構の貸付金は、原則として割賦償還の方法によって返済します(独立行政法人住宅金融支援機構業務方法書24条3項。以下「業務方法書」)。そして、業務方法書には、元利金の支払を免除する定めがありません。したがって、景気の悪化や物価の上昇などを理由に、機構が元利金の支払を免除することはありません。
ただし、支払が著しく困難になった場合に、何もできないわけではありません。機構は、償還期間の延長などの貸付けの条件の変更や、延滞元利金の支払方法の変更をすることができます。業務方法書26条2項は、これらの変更について、機構が別に定めるとしています。つまり、ここでの例外は支払の免除ではなく、条件の変更です。「困っている人を助ける」という方向は同じでも、借りたお金を返さなくてよくなるのか、返し方が変わるのかは別の話なので、選択肢の述語まで読んで判断することが大切です。
業務の委託
3つ目は、業務の委託です。機構は、証券化支援事業(買取型)で譲り受けた貸付債権の回収業務や、直接融資の申込みの受理・審査などを、金融機関に委託することができます(機構法16条1項1号、独立行政法人住宅金融支援機構に関する省令43条1号・3号、独立行政法人住宅金融支援機構法施行令7条1項1号イ・ハ)。
これに対して、直接融資で貸付けをするかどうかの決定は、金融機関に委託できません(独立行政法人住宅金融支援機構法施行令7条1項1号ハ)。条文上の根拠はこの施行令の号です。覚えるときは、直接融資は政策上の例外として機構が自ら行う貸付けなので、貸すかどうかを決める判断は機構自身に留まる、と考えると納得しやすくなります。なお、委託を受けた金融機関の役員・職員の扱いは、表3の最後の行にあります。
証券化支援事業の買取型と保証型
ここからは、証券化支援事業です。証券化支援事業は、機構が自ら貸し付けるのではなく、民間の金融機関の住宅ローンを支える業務です。ここで意識しておきたいポイントは、機構が住宅ローンの債権を買い取るのか(買取型)、債券などの元利払いを保証するのか(保証型)という1点です。
| 項目 | 証券化支援事業(買取型) | 証券化支援事業(保証型) | 条文 |
|---|---|---|---|
| 機構が行うこと | 民間金融機関の住宅ローンの貸付債権を買い取る(譲り受ける) | 住宅融資保険が付いた住宅ローンの貸付債権を担保とする債券などについて、機構が債務の保証をする(民間保証会社の保証を付すことは条件ではない) | 独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項1号 独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項2号 |
| 資金の調達 | 買い取った住宅ローン債権を担保にMBS(資産担保証券)を発行し、債券市場から資金を調達する | 機構は債権を買い取らない。住宅ローン債権を信託するなどして発行される債券などの元利払いを、機構が保証する | 独立行政法人住宅金融支援機構法19条1項 独立行政法人住宅金融支援機構法21条1項 独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項2号 |
| 新築住宅・中古住宅 | 新築住宅の建設・購入のほか、中古住宅の購入の貸付債権も対象 | 買取型と同じ(住宅融資保険が付いた一定の貸付債権に限る) | 独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項1号 独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項2号 |
| 住宅の建設・購入に付随する土地・借地権 | 付随する土地又は借地権の取得資金の貸付債権も対象 | 買取型と同じ(住宅融資保険が付いた一定の貸付債権に限る) | 独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項1号 独立行政法人住宅金融支援機構法施行令5条1項1号・2号 独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項2号 |
| 住宅の購入に付随する改良 | 住宅の購入に付随するその住宅の改良資金の貸付債権も対象 | 買取型と同じ(住宅融資保険が付いた一定の貸付債権に限る) | 独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項1号 独立行政法人住宅金融支援機構法施行令5条1項2号 独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項2号 |
| 貸付債権を買い取る金融機関 | 銀行に限らない(保険会社・農業協同組合・信用金庫・信用組合なども対象) | 買取型と同じ(住宅融資保険が付いた一定の貸付債権に限る) | 独立行政法人住宅金融支援機構に関する省令40条1号・3号 独立行政法人住宅金融支援機構に関する省令20条1号・2号 独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項2号 |
保証型の対象は、買取型の対象となる貸付債権のうち、住宅融資保険が付いた一定のものです(独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項2号)
まず買取型です。機構は、民間の金融機関が貸し付けた住宅ローンの貸付債権を買い取ります(機構法13条1項1号)。そして、買い取った住宅ローン債権を担保にMBS(資産担保証券)を発行し、債券市場から資金を調達します(機構法19条1項・21条1項)。つまり、買取型では、住宅ローンの債権そのものが機構に移ります。
これに対して、保証型では、機構は債権を買い取りません。住宅融資保険が付いた住宅ローンの貸付債権を担保とする債券などについて、機構が債務の保証をします(機構法13条1項2号)。具体的には、住宅ローン債権を信託するなどして発行される債券などの元利払いを、機構が保証するしくみです。なお、保証型の要件は住宅融資保険が付いていることであり、民間の保証会社による保証は必須ではありません。
次に、対象です。表2の対象の行は、新築住宅か中古住宅か、住宅の建設・購入に付随する土地や借地権を含むか、住宅の購入に付随する改良を含むか、どの金融機関から買い取るか、の4点を並べています。買取型では、この4点のいずれについても、対象が狭く限られていません。したがって、対象の範囲で迷ったときは、表2の該当する行で確かめるのが確実です。
ただし、保証型の対象の欄にある「買取型と同じ」は、完全に同一という意味ではありません。保証型の対象は、買取型の対象となる貸付債権のうち、住宅融資保険が付いた一定のものに限られます(機構法13条1項2号。表2の注記)。したがって、買取型と保証型は、しくみが違うだけでなく、対象にも住宅融資保険という限定の有無があると整理しておきましょう。
住宅金融支援機構ができること・できないこと
続いて、表3です。表3は、試験で「機構は〜することができる」「〜していない」と問われる業務を、区分ごとに並べたものです。区分は、買取型、高齢者向け返済特例、災害復興融資、返済、その他の業務、業務の委託の順です。できるか、できないかの結論は表3の「内容」の欄にあります。以下では、区分ごとに、なぜその結論になるのかを見ていきます。なお、表3には表1・表2と同じ業務に別の角度から触れる行もあるので、関係する表の行と行き来しながら読むと、1つの業務を複数の面から確かめられます。
| 項目 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 買取型:親族が居住する住宅の貸付債権 | 対象になる。債務者本人が居住する住宅のほか、親族の居住の用に供する住宅の建設・購入の貸付債権も買い取る | 独立行政法人住宅金融支援機構業務方法書3条1項1号 |
| 買取型:賃貸住宅の建設・購入の貸付債権 | 対象にならない。買取型の対象は、債務者本人又は親族が居住する住宅に限られる(直接融資の子育て世帯・高齢者世帯向け賃貸住宅は表1) | 独立行政法人住宅金融支援機構業務方法書3条1項1号 |
| 買取型:住宅ローンの金利 | 機構が一律に決めるのではない。MBSの利率などを基に、それぞれの取扱金融機関が決める(金融機関によって異なる場合がある) | 【フラット35】ご利用条件(flat35.com) 住宅金融支援機構 統合報告書2026 7ページ |
| 買取型:金利の種類 | 原則として、償還期間の全期間について金利が決まっているもの(全期間固定金利)。償還期間が35年を超えるものは、当初の金利などを適用する期間が機構の定める期間以上であればよい(短期の変動金利ではない) | 独立行政法人住宅金融支援機構業務方法書3条1項5号 |
| 買取型:償還の方法 | 原則として、毎月払い(6か月払いとの併用払いを含む)の元利均等又は元金均等の方法で償還されるものが対象になる | 独立行政法人住宅金融支援機構業務方法書3条1項6号 |
| 買取型:優良な住宅を取得する場合の金利の引下げ | できる。省エネルギー性・耐震性・バリアフリー性・耐久性・可変性に優れた住宅やZEHを取得する場合に、借入金利を一定期間引き下げる制度(【フラット35】S)を設けている | 独立行政法人住宅金融支援機構法14条2項 独立行政法人住宅金融支援機構法施行令6条1項1号・2号・3号・4号 【フラット35】S(flat35.com) |
| 高齢者向け返済特例:高齢者のバリアフリー工事・耐震改修工事の貸付け | できる。高齢者が自ら居住する住宅のバリアフリー工事や、高齢者が住宅について行う耐震改修工事などの貸付金は、高齢者の死亡時に一括して償還する方法によることができる | 独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項10号 独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項6号 独立行政法人住宅金融支援機構業務方法書24条4項2号・3号 |
| 高齢者向け返済特例:担保の価値を超える部分の請求 | しないことができる。死亡時一括償還の貸付金の償還を受けるとき、貸付けのために設定された抵当権の効力の及ぶ範囲を超えて、弁済を請求しないことができる | 独立行政法人住宅金融支援機構業務方法書24条5項 独立行政法人住宅金融支援機構業務方法書9条の2 |
| 災害復興融資:元金の返済の据置期間 | 設けることができる。災害で滅失した住宅に代わる住宅(災害復興建築物)の建設・購入の貸付金について、元金の返済の据置期間を設けることができる | 独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項5号 独立行政法人住宅金融支援機構業務方法書24条2項1号 |
| 返済:繰上げ返済 | できる。貸付けを受けた者は、弁済期日が到来する前でも、貸付金の全部又は一部を繰り上げて返済することができる | 【フラット35】繰上返済(flat35.com) 住宅金融支援機構 マンションすまい・る融資(管理組合申込みの場合)融資の条件 |
| 団体信用生命保険業務 | 債務者が死亡した場合のほか、重度障害の状態となった場合も、保険金などを債務の弁済に充当する | 独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項12号 |
| 住宅融資保険 | 引き受ける。民間金融機関の住宅ローンについて、債務不履行による損害をてん補する住宅融資保険を行う | 独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項3号 |
| 情報の提供・相談 | 行う。住宅の建設などをしようとする者などに対し、必要な資金の調達などに関する情報の提供、相談その他の援助を行う | 独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項4号 |
| 業務の委託:委託を受けた金融機関の職員 | 委託を受けた者(地方公共団体を除く)の役員・職員で、受託した業務に従事する者は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなされる | 独立行政法人住宅金融支援機構法16条4項 |
買取型の対象と条件
まず、買取型で押さえておきたいのは、対象が、債務者本人又は親族が居住する住宅に限られるという点です(業務方法書3条1項1号)。したがって、親族の居住の用に供する住宅の建設・購入の貸付債権は対象になりますが、賃貸住宅の建設・購入の貸付債権は対象になりません。なお、直接融資の賃貸住宅(表1)とは、根拠の条文も結論も別です。
次に、金利を決める主体です。機構の公表資料では、買取型の借入金利はMBSの利率などを基に、それぞれの取扱金融機関が決めるとされていて、機構が一律に決めるのではありません。この行は、法令や業務方法書ではなく、機構の公表資料で確かめた内容です。
これに対して、金利の種類は別の行です。業務方法書では、買取型の対象となる貸付債権を、原則として償還期間の全期間について金利が決まっているもの、つまり全期間固定金利のものとしています(業務方法書3条1項5号)。償還期間が長いものについての扱いは、表3の同じ行にあります。
また、償還の方法も業務方法書に定めがあります。買取型の対象となる貸付債権は、原則として、毎月払い(6か月払いとの併用払いを含む)の元利均等又は元金均等の方法で償還されるものです(業務方法書3条1項6号)。
さらに、機構法14条2項は、機構が住宅の質の向上に必要な事項に配慮して、貸付債権の譲受けの条件を適切に設定するなどの措置を講ずるとしています(配慮する事項は独立行政法人住宅金融支援機構法施行令6条1項1号・2号・3号・4号)。この措置にあたるのが、優良な住宅を取得する場合の金利の引下げです。具体的な中身は機構の公表資料(【フラット35】Sの商品説明)にあり、省エネルギー性・耐震性・バリアフリー性・耐久性・可変性に優れた住宅やZEHを取得する場合に、借入金利を一定期間引き下げる制度とされています。
高齢者向け返済特例
続いて、高齢者向け返済特例は、貸付金を高齢者の死亡時に一括して償還するという返済方法の特例です。具体的には、高齢者が自ら居住する住宅のバリアフリー工事や、高齢者が住宅について行う耐震改修工事などの貸付金について、高齢者の死亡時に一括して償還する方法によることができます(機構法13条1項10号・6号、業務方法書24条4項2号・3号)。表1で直接融資の例外として見た、高齢者向けの改良と耐震改修と同じ機構法の号が根拠になっている点も、あわせて確認しておきましょう。
そして、死亡時一括償還の貸付金の償還を受けるとき、機構は、貸付けのために設定された抵当権の効力の及ぶ範囲を超えて、弁済を請求しないことができます。つまり、担保の価値を超える部分までは求めないことができる、という扱いです。この扱いは、業務方法書24条5項と9条の2に定めがあります(表3の条文の欄)。
災害復興融資と繰上げ返済
また、災害復興融資は、表1の直接融資の例外の1つ目、災害で住宅が滅失した場合の貸付けです。この災害復興建築物の建設・購入の貸付金については、元金の返済の据置期間を設けることができます(機構法13条1項5号、業務方法書24条2項1号)。表1の補足にも同じ点を書いてあるので、表1と表3を行き来して確かめると定着しやすくなります。
次に、繰上げ返済です。貸付けを受けた者は、弁済期日が到来する前でも、貸付金の全部又は一部を繰り上げて返済することができます。ただし、この行は、法令や業務方法書に直接の規定が確認できないため、機構の商品説明で確かめた内容です。そのため、表3の条文の欄にも法令ではなく商品説明の名前を載せています。結論は「できる」ですが、法令ではなく公表資料が根拠である点に注意が必要です。
その他の業務と業務の委託
さらに、表3の「その他の業務」は3行です。1つ目の団体信用生命保険業務では、債務者が死亡した場合だけでなく、重度障害の状態となった場合も、保険金などを債務の弁済に充当します(機構法13条1項12号)。
2つ目の住宅融資保険は、民間の金融機関の住宅ローンについて、債務不履行による損害をてん補する保険で、機構が引き受けます(機構法13条1項3号)。この住宅融資保険は、表2の保証型の対象を限定するところにも出てきました。3つ目の情報の提供・相談は、住宅の建設などをしようとする者などに対し、必要な資金の調達などに関する情報の提供、相談その他の援助を行う業務です(機構法13条1項4号)。
また、最後の「業務の委託」の行は、表1の業務の委託の続きです。機構から業務の委託を受けた者(地方公共団体を除く)の役員・職員で、受託した業務に従事する者は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなされます(機構法16条4項)。覚えるときは、機構の業務の一部を担う以上、罰則の適用では公務に準じた扱いを受ける、と考えると納得しやすくなります。
このように、機構の業務は、支援・補完という目的から出発して、原則として自ら貸さず、証券化支援事業などで民間の住宅ローンの供給を支え、政策上重要で民間では対応しにくい場面に限って直接融資をする、という形に整理できます。選択肢で迷ったときは、その業務が表1〜表3のどの行にあたるかに戻ってみましょう。
よくある質問
住宅金融支援機構は、自ら直接融資をしますか?
原則としてしません。独立行政法人住宅金融支援機構の目的は、一般の金融機関による資金の融通を支援・補完することです(独立行政法人住宅金融支援機構法4条1項)。機構が自ら直接融資をすることができるのは、災害で滅失した住宅に代わる住宅の建設・購入や、耐震改修、マンションの共用部分の改良など、同法13条に個別に定められた場面です。どの場面が当たるかは、このページの表1の例外の行で確かめられます。
証券化支援事業の買取型と保証型は、どのようなしくみですか?
買取型では、機構が民間の金融機関の住宅ローンの貸付債権を買い取り(独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項1号)、買い取った住宅ローン債権を担保にMBS(資産担保証券)を発行して、債券市場から資金を調達します(同法19条1項・21条1項)。保証型では、機構は債権を買い取らず、住宅融資保険が付いた住宅ローンの貸付債権を担保とする債券などについて、債務の保証をします(同法13条1項2号)。保証型の対象は、買取型の対象となる貸付債権のうち、住宅融資保険が付いた一定のものに限られます。
住宅金融支援機構は、賃貸住宅の資金を扱いますか?
場面によって結論が違います。直接融資では、子どもを育成する家庭や高齢者の家庭に適した賃貸住宅の建設・改良の資金を貸し付けることができます(独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項9号)。これに対して、証券化支援事業(買取型)の対象は、債務者本人又は親族が居住する住宅に限られるので、賃貸住宅の建設・購入の貸付債権は対象になりません(独立行政法人住宅金融支援機構業務方法書3条1項1号)。
住宅金融支援機構の団体信用生命保険は、債務者が死亡した場合だけが対象ですか?
いいえ。機構の団体信用生命保険業務では、債務者が死亡した場合のほか、重度障害の状態となった場合も、保険金などを債務の弁済に充当します(独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項12号)。
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