宅建業免許

宅建業の免許換え|知事免許と大臣免許・都道府県をまたぐ移転の手続き

法令基準日
執筆
宅建試験講師(宅建の問題集・学習アプリの作者)

宅建業の免許換えは、事務所を新しく設ける・移す・廃止することで、現在の免許権者(国土交通大臣または都道府県知事)のままでは事務所の配置に合わなくなったときに、新しい免許を受ける手続きです(「免許替え」と書かれることもあります)。新しい免許を受けると、従前の免許は効力を失います(宅地建物取引業法(以下「法」)7条1項)。

法には、免許換えの申請の期限の定めはありません。ただし、免許換えが必要なのに新しい免許を受けていないことが判明すると、免許は取り消されます(法66条1項5号)。他の都道府県で事務所を開設・移転する前や、他の都道府県にある事務所を廃止する前に、新しい免許を受けておく必要があります。申請は、新規と同じ免許申請書で、免許換えの後の事務所の状態に応じた国土交通大臣または都道府県知事に行います(法4条1項)。

このページでは、免許換えが必要になる3つの場合、申請の時期と怠ったときの扱い、申請先と手続き、知事免許から大臣免許への切り替え、免許換えの後の有効期間と免許証番号、宅建士の手続きとの違いを整理します。

このページの目次
  1. 免許換えが必要になる3つの場合
  2. いつまでに申請するか・免許換えを怠ったとき
  3. 申請先と手続き
  4. 知事免許から大臣免許へ(他の都道府県に支店を出すとき)
  5. 免許換えの後の有効期間と免許証
  6. 宅建士の手続き(変更の登録・登録の移転)との違い

免許換えが必要になる3つの場合

免許換えが必要になるのは、次の3つの場合です(法7条1項1号〜3号)。どの免許からどの免許に切り替わるかを、表1にまとめました。

表1 免許換えが必要になる3つの場合
場合(法7条1項) いまの免許 事務所の変化 新しく受ける免許と申請先 条文
1号 大臣免許 1つの都道府県の中だけに事務所を持つことになった その都道府県知事の免許(その知事に申請) 法7条1項1号
法4条1項
2号 知事免許 その都道府県の事務所を廃止して、他の1つの都道府県に事務所を置くことになった 移転先の都道府県知事の免許(移転先の知事に申請) 法7条1項2号
法4条1項
3号 知事免許 2以上の都道府県に事務所を持つことになった 国土交通大臣の免許(本店の所在地を管轄する地方整備局長等に申請) 法7条1項3号
法4条1項
規則32条1項

法に申請の期限の定めはありませんが、免許換えが必要なのに新しい免許を受けていないことが判明すると、免許は取り消されます(法66条1項5号)。大臣免許のまま、2以上の都道府県に事務所がある状態で本店を移すときや、免許をする者が変わらない範囲での事務所の移転・新設は、変更の届出です。

1号は大臣免許からその都道府県知事の免許へ、2号は知事免許から移転先の都道府県知事の免許へ、3号は知事免許から大臣免許への切り替えです。免許を受けた後の手続きの期限は宅建業免許を受けた後の届出と期限の一覧(免許換え)、大臣免許と知事免許の違いは宅建業免許とは(大臣免許と知事免許)で解説しています。

免許をする者(免許権者)が変わらない範囲での事務所の移転・新設・廃止は、免許換えではなく変更の届出です(法9条1項)。たとえば、知事免許の業者が同じ都道府県の中で事務所を移すときが、これに当たります。また、大臣免許のまま、2以上の都道府県に事務所がある状態で本店を移すときも、解釈・運用の考え方では変更の届出として取り扱うこととされています。本店を移すときは、移転の後に事務所がどの都道府県にいくつあるかで、免許換えに当たるかを確かめましょう。分かれ目は、宅建業の変更届(本店の移転と免許換えの分かれ目)で解説しています。

いつまでに申請するか・免許換えを怠ったとき

法には、免許換えの申請の期限の定めはありません。ただし、免許換えが必要なのに新しい免許を受けていないことが判明すると、免許は取り消されます(法66条1項5号)。法66条1項は「取り消さなければならない」と定めていて、免許権者に取り消すかどうかを選ぶ余地はありません。

そのため、免許換えが必要な状態になる前に、新しい免許を受けておく必要があります。具体的には、他の都道府県に事務所を開く・移す前や、他の都道府県の事務所を廃止する前です。期限の定めがないことは、申請を後回しにしてよいという意味ではない点に注意が必要です。

免許換えの申請をした後、従前の免許の有効期間が満了する日までに処分がないときは、満了した後も、処分があるまでは従前の免許が効力を持ちます(法7条2項が準用する3条4項)。これは、有効期間の満了の場面についての定めです。申請をしていれば免許換えが必要な状態で営業を続けてよい、という定めではありません(法66条1項5号の取消しの要件に、申請の有無は含まれていません)。

審査には期間がかかります(下の「知事免許から大臣免許へ」)。事務所の賃貸借契約や人の採用の前に、移転や支店の開設の日から逆算して、申請先の案内で段取りを確かめておきましょう。

申請先と手続き

申請先は、免許換えの後の事務所の状態に応じた免許権者です。大臣免許になるときは本店の所在地を管轄する地方整備局長等に(宅地建物取引業法施行規則(以下「規則」)32条1項)、知事免許になるときはその都道府県知事に申請します(法4条1項)。

古い解説では、大臣免許への免許換えの申請は都道府県知事を経由する、と書かれていることがあります。2024年5月25日からは、大臣免許の申請は都道府県知事を経由せず、地方整備局長等に直接提出します。

免許換えの申請も、新規の申請と同じ免許申請書(規則の別記様式第一号)に、法4条2項と規則1条の2第1項の書類を添えて行います。書類の一覧は、宅建業免許の新規申請(必要書類)で解説しています。たとえば沖縄県の手引き(令和7年4月発行)では、免許換えの申請は基本的に新規の免許申請に準じるとし、他の都道府県へ本店を移して移転先の都道府県知事の免許に切り替えるときは、本店の移転先の都道府県に免許申請書を提出し、現在免許を受けている都道府県には事務所の変更届も提出するとしています。

費用については、免許換えの申請も法3条1項の免許の申請なので、大臣免許への免許換えには登録免許税が、知事免許への免許換えには都道府県の条例で定める申請手数料が、かかると考えられます。額は、宅建業の開業費用(費用の一覧)の表1にまとめています。

知事免許から大臣免許へ(他の都道府県に支店を出すとき)

知事免許の業者が他の都道府県に事務所(支店)を置くと、2以上の都道府県に事務所を持つことになるので、大臣免許への免許換えが必要です(法7条1項3号)。支店を開く前に、新しい免許を受けておく必要があります(上の「いつまでに申請するか」)。

解釈・運用の考え方では、大臣免許の申請の標準処理期間を、地方整備局長等に申請が届いた日の翌日から90日としていて(補正や資料の提出を待つ期間は含みません)、知事免許から大臣免許への免許換えの申請にも当たると考えられます。知事免許への免許換えの審査期間は、都道府県によって異なります。

事務所が増えるので、営業保証金を供託している業者は、増えた事務所の分の営業保証金を追加で供託します。保証協会の社員は、新たに事務所を設置した日から2週間以内に、分担金を追加で納めます(法26条1項・64条の9第2項)。追加の供託をしたときも、届け出た後でなければ、その事務所で事業を始めることはできません(法26条2項が準用する25条5項)。本店を移して最寄りの供託所が変わるときは、保管替えなどの手続きがあります(法29条1項)。詳しくは、営業保証金と保証協会(事務所を増やしたとき・移したとき)をご覧ください。

新しい事務所ごとに、専任の宅建士を置く必要があり、要件を満たさない事務所を開くことはできません(法31条の3第1項・3項)。人数の決まりなどは、専任の宅建士の要件のページで解説しています。

免許換えの後の有効期間と免許証

免許換えは新たに免許を受ける手続きなので、新しい免許の有効期間は、新しい免許を受けた日から5年となると読めます(法3条2項・7条1項)。従前の免許の有効期間を引き継ぐ定めはありません。

解釈・運用の考え方では、大臣免許の新規申請または免許換えの申請について、営業保証金を供託した旨の届出(または保証協会からの弁済業務保証金の供託の報告)があったときに、免許証を交付する扱いです。知事免許の扱いは、都道府県によって異なります。従前の免許証は、遅滞なく、従前の免許をした大臣または知事に返納します(規則4条の4第1項1号)。また、新しい免許をした大臣または知事は、従前の免許をした知事または大臣に、そのことを通知します(規則4条の5)。

次の更新も、新しい免許の有効期間が満了する日を基準に、その90日前から30日前までに申請します(規則3条)。更新の申請期間は、宅建業免許の更新(申請期間)で解説しています。

免許証番号はどうなるか

解釈・運用の考え方では、免許証番号は免許をした順に付け、()の中の数字は免許証の更新の回数に1を加えた数とし、効力を失った免許の番号は欠番として補充しない扱いです。免許換えは新しい免許を受ける手続きなので、免許証番号は新しいものになると読めます。これは大臣免許の取扱いとして書かれたもので、知事免許の番号の付け方は、免許をした都道府県の扱いによります。

たとえば沖縄県の手引き(令和7年4月発行)には、免許換えで、知事免許の(3)の番号が、大臣免許の(1)の番号に変わる例が載っています。()の数字の意味は、宅建業免許の更新(免許証番号)で解説しています。

免許証番号が変わると、そこで働く宅建士の登録事項(勤務先の宅建業者の免許証番号)も変わります。宅建士の手続きは、下の「宅建士の手続きとの違い」で説明します。

宅建士の手続き(変更の登録・登録の移転)との違い

免許換えは、宅建業者(会社・個人)が受ける手続きです。宅建士本人には、これとは別の手続きがあります。

宅建士の登録では、宅建業者の業務に従事する人については、その宅建業者の商号又は名称と免許証番号が登録事項です(規則14条の2の2第1項5号)。転職などで勤務先の宅建業者が変わったときは、宅建士本人が、登録をしている都道府県知事に、遅滞なく変更の登録を申請します(法20条・規則14条の7第1項)。勤務先の業者が免許換えをして免許証番号が変わったときも、登録事項が変わるので、変更の登録の対象になると読めます。本人の手続きは、宅建士の変更の登録のページで解説しています。

また、登録をしている都道府県以外にある宅建業者の事務所に勤務する(勤務しようとする)ときは、登録の移転を申請することもできます(法19条の2第1項)。ただし、事務の禁止の処分を受け、その期間が満了していない人は申請できません(同項ただし書)。登録の移転は任意の手続きで、今も、現に登録をしている都道府県知事を経由して申請します。宅建業免許の申請で都道府県知事を経由しなくなったこととは、別の話です。

よくある質問

宅建業の免許換えとは、どのような手続きですか?

事務所の新設・移転・廃止で、現在の免許権者(国土交通大臣または都道府県知事)のままでは事務所の配置に合わなくなったときに、新しい免許を受けることです。新しい免許を受けると、従前の免許は効力を失います(法7条1項)。

宅建業の免許換えは、いつまでに申請しますか?

法に申請の期限の定めはありません。ただし、免許換えが必要なのに新しい免許を受けていないことが判明すると、免許は取り消されます(法66条1項5号)。他の都道府県で事務所を開設・移転する前や、他の都道府県にある事務所を廃止する前に、新しい免許を受けておく必要があります。

免許換えをすると免許番号は変わりますか?

新しい免許を受けるので、免許証番号は新しいものになると読めます(解釈・運用の考え方の免許証番号の取扱い)。知事免許の番号の付け方は、免許をした都道府県の扱いによります。

免許換えの申請中に元の免許の有効期間が切れたら、どうなりますか?

法7条2項が準用する3条4項の定めでは、免許換えの申請をした後、従前の免許の有効期間が満了する日までに処分がないときは、満了した後も、処分があるまでは従前の免許が効力を持ちます。

宅建士は職場が変わったらどうすればいいですか?

宅建士本人は、勤務先の宅建業者の商号又は名称と免許証番号が登録事項なので、遅滞なく変更の登録を申請します(法20条・規則14条の7第1項)。登録をしている都道府県以外にある宅建業者の事務所に勤務するときは、登録の移転を申請することもできます(任意・法19条の2第1項。事務の禁止の処分の期間中を除きます)。いずれも、宅建業者の免許換えとは別の手続きです。

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