「ガールズバー」「コンセプトカフェ」「スナック」といった業態の名前で調べても、風営法の条文にその名前は出てきません。条文に出てくる店の名前も、「キヤバレー」「カフエー」「喫茶店」「バー」などを例として挙げたものです。業態の名前を手がかりにするときは、条文がどの問いで区分しているかに置き換えて読むことになります。
この記事の要点
- 条文に出てくる店の名前(キヤバレー、カフエー、喫茶店、バー、ナイトクラブ、酒場)は、どれも「その他」で続く例示です(法2条1項1号から3号まで・2条11項・2条13項4号)。
- 業態の名前を3つの問いに置き換えた4つの区分の表は「業態の名前を、3つの問いに置き換える」に、表を読むときの注意点は「表を業態の側から読むときの注意点」にまとめています。
- 業態ごとに問題になりやすい点と、詳しいページへの案内は「業態の名前から調べる」にまとめています。
この記事では、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律を「法」、同法施行令を「令」、同法施行規則を「規則」と略します。
このページの目次
条文が挙げる店の名前は、どれも例示
風営法の条文にも、店の名前は出てきます。ただ、どれも「その他」の前に挙げられた例示で、区分を決めているのは、その後ろに書かれた営業の内容です。
- 「キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他」:設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業(法2条1項1号)
- 「喫茶店、バーその他」:照度を10ルクス以下として営むもの(同項2号)と、他から見通すことが困難で広さが5平方メートル以下の客席を設けて営むもの(同項3号)
- 「ナイトクラブその他」:深夜にも客に遊興をさせ、かつ、酒類を提供して飲食をさせる営業(法2条11項)
- 「バー、酒場その他」:客に酒類を提供して営む飲食店営業(法2条13項4号)
「バー」という言葉が出てくるのは、接待をする1号ではなく、照度や客席の作りで決まる2号・3号と、酒類提供飲食店営業の定義です。店の名前がどの号に出てくるかと、その店がどの区分に当たるかは別の問題であることが、この並びからも分かります。照度については照度の基準で、客席の見通しと広さについては客室の床面積・見通し・区画の基準で解説しています。
業態の名前を、3つの問いに置き換える
業態の名前を、次の3つの問いに置き換えます。順番は風営法の全体像の「3つの問い」と同じです。
- 接待をするか(判断の目安は「接待」の定義と判断基準)
- 接待をせず、深夜(午前0時から午前6時まで)に酒類を提供するか(深夜における酒類提供飲食店営業とは)
- 接待をせず、深夜にも客に遊興をさせ、かつ、酒類を提供するか(遊興の判断の目安は、解釈運用基準の第10中2)
次の表は、3つの問いに沿って4つの区分を並べたものです。表の外にも、冒頭の一覧で挙げた2号・3号のように、照度や客席の作りだけで風俗営業に当たる場合があります。また、深夜に営業する飲食店には、酒類を提供するかどうかにかかわらず、営業所の構造設備や照度の規制があります(法32条1項・2項)。
| 許可・届出の種別 | 接待の可否 | 遊興の可否 | 午前0時以降の営業 | 手続の種別 |
|---|---|---|---|---|
| 風俗営業1号(接待飲食営業) | できる(接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業そのもの)条文で確定根拠:法2条1項1号/法2条3項(「接待」=歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと) | できる(法2条1項1号に掲げる営業は「接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」)条文で確定根拠:法2条1項1号 | 営めない(深夜=午前0時から午前6時)。都道府県の条例で定める例外がある(法13条1項ただし書)条文で確定根拠:法13条1項本文/同項ただし書1号・2号/令9条 | 許可(営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会)条文で確定根拠:法3条1項 |
| 深夜における酒類提供飲食店営業(届出) | できない(接待をすれば風俗営業1号に当たり、許可が必要になる)条文で確定根拠:法2条1項1号/法3条1項 | 深夜に客に遊興をさせると特定遊興飲食店営業に当たり、許可が必要になる条文で確定根拠:法2条11項/法31条の22 | 営める(接待をしない店が、深夜の営業を前提にして出す届出。風俗営業の深夜の営業禁止(法13条1項)が解かれるものではない)地域・運用で異なる根拠:法33条1項 | 届出(営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会に届出書を提出)条文で確定根拠:法33条1項 |
| 特定遊興飲食店営業(許可) | できない(接待をするものは風俗営業に当たり、定義から除かれる)条文で確定根拠:法2条11項かっこ書「(風俗営業に該当するものを除く。)」 | できる(客に遊興をさせ、かつ客に酒類を提供して飲食をさせる営業)条文で確定根拠:法2条11項 | 営める(法13条1項の深夜営業禁止は準用されていない)地域・運用で異なる根拠:法2条11項/法31条の23(法13条(第1項を除く。)を準用) | 許可(営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会)条文で確定根拠:法31条の22 |
| 飲食店営業許可のみ | できない(接待をすれば風俗営業1号の許可が必要)条文で確定根拠:法2条1項1号/法3条1項 | 酒類を提供して深夜(午前0時から午前6時まで)にも客に遊興をさせる営業は、特定遊興飲食店営業に当たり、許可が必要になる地域・運用で異なる根拠:法2条11項/法31条の22/解釈運用基準 第10中1 | 酒類を提供して深夜に営むなら法33条1項の届出が必要。酒類提供飲食店営業に当たらなければ風営法の届出は不要地域・運用で異なる根拠:法2条13項4号かっこ書(酒類提供飲食店営業の定義。営業の常態として通常主食と認められる食事を提供して営むものを除く)/法33条1項 | 許可(都道府県知事。保健所を設置する市・特別区では市長・区長)条文で確定根拠:食品衛生法55条1項・76条 |
法令基準日:2026-09-18/根拠の略号 法=風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、令=同法施行令、規則=同法施行規則、内閣府令=同法に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令
この表の「地域・運用で異なる」の項目は、都道府県の条例や所轄の警察署の運用によって取扱いが異なります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
詳しくは風営法の全体像のページで解説しています。
表を業態の側から読むときの注意点
業態の名前から表を読むときに、注意しておきたい点が4つあります。
- 問いによって、時間の扱いが違います。接待をするかどうかには時間帯の要件がなく、昼だけ営業する店でも、接待をすれば1号の許可が必要です(法2条1項1号・法3条1項)。一方、深夜の届出は酒類提供飲食店営業を深夜において営むこと(法33条1項)、特定遊興飲食店営業は午前6時後翌日の午前0時前の時間においてのみ営むもの以外であること、言い換えると、深夜(午前0時から午前6時まで)にも営むこと(法2条11項)が要件です。
- 深夜の届出の行が「営める」となっていても、場所を問わない意味ではありません。深夜に酒類提供飲食店営業を営むことを条例で禁止した地域では、届出をしても深夜には営めません(法33条4項)。
- 「飲食店営業許可のみ」の行の「届出は不要」は、主食を常時提供する店の除外(法2条13項4号かっこ書)に当たる場合の話です。当たるかは営業の実態で判断されるので、届出をしないと決める前に所轄の警察署に確認してください。
- 「飲食店営業許可のみ」の行の遊興の欄について、警察庁の解釈運用基準(令和8年7月1日の通達)の第10中1は、深夜は客に遊興をさせないものなどは特定遊興飲食店営業に当たらないと整理しています。これは全国共通の最低限の取扱いとして示されたもので、所轄の警察署がより厳しく判断することがあり、催しがいつまで続いているか、店の側がどう関わっているかは、実際の営業の内容で判断されます。
業態の名前が同じでも、この4点のどれに当たるかは、営業の方法と営業所の場所によって変わります。接待をする時間帯があるか、深夜に店の側が関わる催しがあるか、営業所の所在地が条例で深夜の営業を禁止した地域に当たるかを、整理しておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
業態の名前から調べる
下の一覧は、業態ごとに「どこが問題になりやすいか」を並べたものです。業態の名前から必要な許可が決まるわけではなく、同じ業態の名前でも、接客の方法と営業時間によって区分が変わります。当てはまるかどうかは、どの業態でも営業の実態で判断されます。
- ガールズバー:カウンター越しの接客が接待に当たるか、深夜に酒類を提供して営むか
- コンセプトカフェ・メイドカフェ:接待・遊興・深夜の3つが重なりやすく、昼だけの営業でも接待の問題は残る
- スナック・ラウンジ:接待をするかと、午前0時を超えて営業するかの組み合わせ
- バー・居酒屋・ダイニングバー:深夜に酒類を提供して営むか、主食を常時提供する店に当たるか、店内の照度や仕切った席
- ラーメン店・定食屋・締めのごはんを出す居酒屋:深夜に酒類を提供するときに、主食を常時提供する店に当たるか(バー・居酒屋の深夜営業に必要な届出)
- キャバクラ・ホストクラブなど:接客が接待に当たるか(「接待」の定義と判断基準)と、2025年の改正で加わった規制(2025年改正の全体像)
- ダーツバー・カラオケバー・スポーツバー:店の側が、客の遊戯や歌、スポーツの観戦にどう関わっているか(深夜に客に遊興をさせているか)が問われます(スポーツ観戦の扱いはバー・居酒屋の深夜営業に必要な届出)
- クラブ・ライブハウス・DJバー:深夜にも客に遊興をさせ、かつ、酒類を提供して営むか
- 麻雀店・ゲームセンター:客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業(法2条1項4号)や、規則で定める遊技設備で客に遊技をさせる営業(同項5号)に当たるか
- 昼と夜で営業の形を変える店・間借り営業:時間帯ごとに、誰がどの区分の営業をするかの整理(このページの「時間帯で営業の形を変える店」)
- ゲームバー・アミューズメントカジノ:客に遊技をさせる営業(法2条1項4号・5号)に当たるか、深夜に客に遊興をさせているか
どの業態でも、飲食店営業許可は別の手続き
どの業態でも、客に飲食をさせる営業を営むには、食品衛生法の飲食店営業許可が必要です(食品衛生法55条1項)。風営法の許可・届出とは提出先が異なる別の手続きで(このページ前半の比較表の「手続の種別」の列)、どちらか一方を済ませても、もう一方が済んだことにはなりません。深夜の届出との関係は、風営法の全体像の「風営法の許可・届出と、飲食店営業許可の関係」で解説しています。
2025年の改正で、接待をする店に加わった規制
2025年の改正(令和7年法律第45号)で、法2条1項1号の営業を対象にした2つの条が新しく置かれました。
- 法18条の3(客の正常な判断を著しく阻害する行為の規制):主語は「第二条第一項第一号の営業を営む風俗営業者」。料金の説明(1号)、好意の感情に乗じた困惑(2号)、注文等の前の提供による困惑(3号)の3つです
- 法22条の2(接待飲食営業を営む者の禁止行為):主語は「第二条第一項第一号の営業を営む者」で、許可を受けた風俗営業者に限られていません。違反には、6月以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、又はその併科が定められています(法53条2号)
法22条の2の主語の書き方から、許可を受けずに接待をしている店も、この条の対象になります。各号の内容と、法18条の3に違反した場合の扱いは、次のページで扱っています。
- 2025年改正の全体像:法18条の3・法22条の2の各号と、違反した場合の指示・処分
- 2025年11月施行分の解説:許可の欠格事由の拡大
時間帯で営業の形を変える店
昼はカフェ、夜はバーのように、時間帯で営業の形を変える店では、時間帯ごとに区分を考えることになります。午前0時以降も酒類提供飲食店営業として営む時間帯があれば、その営業について深夜の届出の問題が生じます。
1つの店舗を時間で分けて別の人が営業する間借りでは、風営法が許可や届出を求めているのは「営もうとする者」なので(法3条1項・法33条1項)、それぞれの時間帯の営業を営む者ごとに考えることになります。ただし、風俗営業の終業後に引き続き同じ営業所を利用して別の営業を営むことについての解釈運用基準(第17中2)は、「同一の営業所を利用して」と書かれており、営む者が同じ場合に限る書き方にはなっていません。その条件は、風営法の許可(1号営業)の取り方の「深夜の届出と比べると、決まり方が違うところ」で解説しています。
時間帯ごとに、誰がどの区分の営業を営むのか、また、同じ営業所で接待をする営業が先の時間帯にあるかを、整理しておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
業態別のページでよくある勘違い
- 「業種を届け出れば、あとは自由に営業できる」:深夜の届出は営業所ごとに行い、営業所の構造及び設備の概要も届け出ます(法33条1項・同項3号)。届け出た事項を変えるときや営業を廃止したときも、届出が必要です(法33条2項)
- 「許可のほうが届出より上位で、何でもできる」:このページ前半の比較表の「午前0時以降の営業」の列のとおり、1号の許可を受けると、届出で深夜に営業していた店より、営業できる時間が短くなることがあります
- 「風営法と食品衛生法の手続きが済めば開業できる」:建物の用途や消防の扱いは、それぞれ別の窓口の判断です
- 「自分の店は対象外だと思う」:対象外かどうかも営業の実態で判断されます。無許可・無届の営業の罰則(法49条1号など)は、風営法の全体像の「3つの問い」にまとめています
- 「午前0時前に閉めるから、風営法は関係ない」:このページ前半の比較表の「接待の可否」の列のとおり、接待をすれば営業時間にかかわらず1号の許可が必要です
業態の名前や、営業時間の一部だけを手がかりにすると、この5つのような勘違いが起きやすくなります。とくに「対象外だと思う」に当てはまる場合は、3つの問いのどれに、どういう理由で当たらないと考えたかを書き出しておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
よくある質問
風営法の対象業種の一覧はありますか。
業種の一覧で決まる仕組みではありません。区分の決まり方は風営法の全体像、業態ごとに問題になりやすい点は、このページの「業態の名前から調べる」にまとめています。
バーを開くのに、風営法の許可は必要ですか。
接待をする場合や、照度・客席の作りで法2条1項2号・3号に当たる場合は許可(法3条1項)、接待をせずに深夜に酒類提供飲食店営業を営む場合は届出(法33条1項)が必要で、深夜にも客に遊興をさせる場合は特定遊興飲食店営業の許可(法31条の22)が問題になります。バーで問題になりやすい点は、バー・居酒屋の深夜営業に必要な届出にまとめています。接待をする場合は、「接待」の定義と判断基準から確認できます。
許可と届出は、どちらが厳しいのですか。
許可と届出は、対象になる営業も、営業できる時間や場所の決まり方も違うので、一律にどちらが厳しいとはいえません。比べ方は、風営法の許可(1号営業)の取り方の「深夜の届出と比べると、決まり方が違うところ」と、風営法の全体像の「許可と届出の違いは『難しさ』ではない」で解説しています。
風営法の許可も届出も要らないのは、どんな場合ですか。
このページ前半の比較表(4つの区分と、分かれ目になる3つの問い)の「飲食店営業許可のみ」の行に当たる場合です。ただし、その行の中にも、深夜に酒類を提供して営めば届出が必要になる、といった条件が書かれています。また、許可や届出が要らない飲食店にも、18歳未満の者の従業・立入りの制限など(法32条3項)があり、深夜に営めば構造設備や照度の規制(同条1項・2項)もあります。この行に当たるかどうかは営業の実態で判断されるので、接待をする時間帯、深夜の営業の内容、照度と客席の作りを、事前に整理しておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
この記事の根拠
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)── e-Gov法令検索
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令(昭和59年政令第319号)── e-Gov法令検索
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(昭和60年国家公安委員会規則第1号)── e-Gov法令検索
- 食品衛生法(昭和22年法律第233号)── e-Gov法令検索
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律(令和7年法律第45号)
- 警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について(通達)」令和8年7月1日(令和7年10月20日付けの旧通達を廃止したもの)── 警察庁(PDF)