風営法の許可を受けるまでの手順は、全国でほぼ同じ順番になります。一方で、審査にかかる期間の目安(標準処理期間)と、申請のときに納める手数料は、国の法令に定めがなく、都道府県の公安委員会や都道府県の条例によって定められています。目安の期間が決まっていても、その日数で許可が出ると決まっているわけではありません。このページでは、1号営業(法2条1項1号に掲げる営業)の許可について、申請までの順番、提出の方法、期間と手数料の決まり方、許可証の交付までを、根拠の条文とあわせて順に整理します。
この記事の要点
- 許可申請書(施行規則の別記様式第1号)は、営業所の所在地の所轄警察署長を経由して1通を提出します(規則1条1項・9条1項)。深夜の届出のような「◯日前まで」の期限はなく、許可を受けるまで営業できません(法3条1項)。
- 審査の期間は国の法令に定めがありません。行政手続法6条は、標準処理期間を定めるよう努め、定めたときは公にすることを求めており、日数は公安委員会ごとに異なります。標準処理期間は、許可が出る期限ではありません。
- 許可申請の手数料は、国の「地方公共団体の手数料の標準に関する政令」に標準額がなく、都道府県の手数料条例で定められています。
この記事では、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律を「法」、同法施行規則を「規則」、同法に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令を「内閣府令」と略します。
このページの目次
許可を受けるまでの順番
許可申請書には、営業所の構造及び設備の概要と、管理者の氏名及び住所を記載する欄があります(法5条1項4号・5号)。つまり、申請の時点で内装の計画と管理者が決まっている必要があり、その前提になる場所の確認はさらに前に済ませておくことになります。順番は次のとおりです(括弧の中は、その段階の中身がどこで決まるか)。
- 物件の場所を確かめる(都道府県の条例):営業所の予定地が、条例で定める営業制限地域(法4条2項2号・令6条)に入っていないかを確かめます。用途地域による建物の制限を含めた確認の方法は、営業できない地域の調べ方で解説しています。
- 内装と図面を固める(規則):客室の床面積・見通し・照度など、規則7条の表(法2条1項1号に掲げる営業の項)1号から7号までの基準に合わせて設計します(風俗営業許可の要件)。
- 管理者を決める(法):営業所ごとに管理者1人を選任します(法24条1項)。
- 飲食店営業許可の手続きを進める(食品衛生法):飲食店営業(食品衛生法施行令35条1号)を営もうとする者は、風営法の許可とは別に、都道府県知事の許可を受けなければなりません(食品衛生法55条1項)。施設の基準は条例で定められ、窓口も審査の日程も風営法とは別です。
- 所轄の警察署に相談する(所轄の運用):申請の前に図面を持って相談するよう案内しているか、どの段階の図面で相談を受けるかは、警察署によって異なります。
- 許可申請書を提出する(規則・内閣府令):許可申請書に、営業の方法を記載した書類と内閣府令1条の添付書類を添えて提出します(許可申請の必要書類一覧)。
- 審査を受ける(所轄の運用):営業所の現地での確認の有無や時期は、所轄の運用によります。
- 許可・許可証の交付を受ける(法・規則):許可証が交付され(法5条2項・規則10条2項)、管理者が法24条2項各号に当たらないと認められるときは風俗営業管理者証も交付されます(規則10条3項)。
- 許可証を掲示して営業を始める(法):許可証は営業所の見やすい場所に掲示しなければなりません(法6条)。
場所が営業制限地域に当たらないか、また内装の計画が規則7条の表の基準に合うかは、確認しておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
提出の方法 ─ 所轄警察署長を経由して1通
許可は、営業所ごとに、その所在地を管轄する公安委員会から受けるものです(法3条1項)。許可申請書は、営業所の所在地の所轄警察署長を経由して、1通を提出しなければなりません(規則1条1項)。
同じ公安委員会に対して、同時に2つ以上の営業所の許可申請書を出すときは、そのうちいずれか1つの営業所の所在地の所轄警察署長を経由して提出すれば足りるとされています(規則1条2項1号)。この場合、添付書類のうち同一の内容となるものは、1部をいずれか1通の申請書に添付します(同条3項)。
同時に申請するときに、どの添付書類を1部にまとめられるかが、確認のポイントになります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
「◯日前までに申請」という決まりはない
深夜における酒類提供飲食店営業の届出には、深夜に営業を始めようとする日の10日前までという期限があります(規則103条3項。深夜営業の届出の流れと期限)。1号の許可には、このような申請の期限の定めがありません。
その代わり、風俗営業は許可を受けなければ営むことができず(法3条1項)、許可を受けないで風俗営業を営んだ者は、5年以下の拘禁刑若しくは1,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するとされています(法49条1号)。申請書を出しただけでは営業できないので、開店の日は許可が出る日から決まることになります。期限がない分、標準処理期間と補正にかかる日数を見込んで、物件の賃料が発生する時期、内装工事の日程、開店日を決めることになります。
開店日を決めるための日数の目安は、把握しておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
標準処理期間 ─ 目安の期間は公安委員会ごとに異なる
風営法・施行令・施行規則・内閣府令には、許可申請の審査に要する期間の定めがありません。許可の申請は行政手続法でいう「申請」なので、行政手続法6条が適用されます。
行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間(法令により当該行政庁と異なる機関が当該申請の提出先とされている場合は、併せて、当該申請が当該提出先とされている機関の事務所に到達してから当該行政庁の事務所に到達するまでに通常要すべき標準的な期間)を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、これらの当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。
6条が求めているのは、標準処理期間を定めるよう努めることと、定めたときに公にすることです。日数と公表の方法は公安委員会ごとに異なります。条文の言葉どおり「通常要すべき標準的な期間」なので、この期間が過ぎれば許可される、という意味の期限ではありません。
期間が延びやすいのは、たとえば次のような場合です。
- 申請のあとで図面の補正を求められた
- 営業所の使用権原を疎明する書類(内閣府令1条2号)がそろわない
- 管理者が決まらない、又は変わった
- 営業所の確認の日程が合わない
所在地の公安委員会の標準処理期間が何日か、また補正にかかった日数をその期間に含めるかどうかは、確認しておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
手数料 ─ 許可の申請には国の標準額がない
都道府県が徴収する手数料のうち、全国で標準の額をそろえる必要があるものは、「地方公共団体の手数料の標準に関する政令」の表に金額が載っています。この表には、風営法の手続きの項がいくつもありますが、法3条1項の許可の申請に対する審査の項はありません。そのため、1号の許可申請の手数料は、都道府県の手数料条例で定められています。
一方、許可を受けたあとの次の手続きには、政令の表に標準額があります。
- 許可証の再交付(法5条4項):1,200円/許可証の書換え(法9条4項):1,500円(表の九の項)
- 相続に係る承認の申請に対する審査(法7条1項):9,000円(十の項)
- 法人の合併・分割に係る承認の申請に対する審査(法7条の2第1項・法7条の3第1項):各12,000円(十一の項・十一の二の項)
- 営業所の構造又は設備の変更の承認の申請に対する審査(法9条1項):9,900円(十二の項)
- 管理者に対する講習(法24条6項):講習1時間につき650円(十四の項)
これらは政令が定める「標準」の額で、同時に複数の申請をするときの減額が付いている項もあります。実際に納める額は、各都道府県の手数料条例で定められています。
申請の手数料のほかに、市町村の長の証明書や住民票の写しの交付手数料が、申請者(法人なら役員全員)と管理者の人数分かかります。書類ごとの内訳は許可申請の必要書類一覧で解説しています。なお、飲食店営業許可は、これとは別の手続きです。
許可申請の手数料の額、納付の方法、許可されなかったときの手数料の扱いは、確かめておくと安心です。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
許可証と風俗営業管理者証
公安委員会は、許可をしたときは、速やかに申請者にその旨を通知するとともに、許可証を交付するものとされています(規則10条2項)。許可証の様式は施行規則の別記様式第3号です(規則10条1項)。このとき、許可申請書に記載された管理者が法24条2項各号のいずれにも該当しないと認めるときは、その管理者に係る風俗営業管理者証(施行規則の別記様式第4号)が交付されます(規則10条3項)。
許可証の「営業許可証」の前の空欄には営業の種類が記載され、法2条1項1号の営業のうち、待合、料理店、料亭等の和風の営業は「料理店」、キャバレー、カフェー、クラブ等の和風以外の営業は「社交飲食店」とされています(警察庁の解釈運用基準(令和8年7月1日の通達)第12中14)。「社交飲食店」は法律の用語ではなく、この許可証に記載する営業の種類の名称です。許可に条件が付くときは、許可証の裏面に記載するとされています(同第12中5)。
許可証を亡失した(なくした)とき、又は許可証が滅失した(焼失などでなくなった)ときは、速やかにその旨を届け出て、再交付を受けなければなりません(法5条4項)。また、法9条3項1号の変更の届出をする場合で、その事項が許可証の記載事項に当たるときは、書換えを受けなければなりません(法9条4項)。
許可されなかったとき
公安委員会は、許可をしないときは、申請者にその旨を通知しなければならず(法5条3項)、この通知は理由を付した書面により行うものとされています(規則11条)。許可をしてはならない場合(法4条)は、風俗営業許可の要件で整理しています。
書面に示された理由が、物件や図面を直せば解消するものかどうかは、書面の内容に照らして確認しておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
自分で申請するか、専門家に頼むか
許可の申請では、深夜の届出(内閣府令24条)よりも必要な添付書類の種類が多くなりますが(内閣府令1条)、申請者本人が作成して提出することもできます。特に手間がかかりやすいのは、次の3点です。
- 営業所の平面図(内閣府令1条3号)と、所轄の警察署が求めることがある求積図:求積図と面積の計算
- 営業所の周囲の略図(内閣府令1条3号):保全対象施設と距離制限の調べ方
- 営業所の使用権原を疎明する書類(内閣府令1条2号):許可申請の必要書類一覧
専門家に頼む場合の相談先は、風営法を扱う行政書士です。どちらにするかは、申請者自身が判断することになります。
よくある質問
風営法の許可は、申請してからどのくらいで出ますか。
国の法令に日数の定めはありません。公安委員会が標準処理期間を定めて公にしている場合は、それが目安になりますが(行政手続法6条)、その日数で許可が出ると決まっているわけではなく、補正などがあれば延びることがあります。
許可申請の手数料は、いくらですか。
国の「地方公共団体の手数料の標準に関する政令」に法3条1項の許可申請の項がないため、都道府県の手数料条例で定められた額になります。変更の承認や許可証の再交付などには、政令に標準額があります。
「社交飲食店」とは何ですか。
許可証に記載する営業の種類の1つで、本文の「許可証と風俗営業管理者証」のとおりです。法律上は、法2条1項1号に掲げる営業です。
許可証は、いつ交付されますか。
許可をしたときに、速やかに通知するとともに交付するものとされています(規則10条2項)。受け取りの方法は、申請先の警察署の案内によります。
申請の前に、警察署へ相談に行く必要はありますか。
手順5のとおり、相談を受ける段階や進め方は警察署によって異なります。許可の申請では、構造設備の基準に合うかが審査されるので、相談の段階で指摘された点を図面に反映してから申請すると、申請のあとの補正を減らせます。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
この記事の根拠
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)── e-Gov法令検索
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令(昭和59年政令第319号)── e-Gov法令検索
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(昭和60年国家公安委員会規則第1号)── e-Gov法令検索
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令(昭和60年総理府令第1号)── e-Gov法令検索
- 行政手続法(平成5年法律第88号)── e-Gov法令検索
- 地方公共団体の手数料の標準に関する政令(平成12年政令第16号)── e-Gov法令検索
- 食品衛生法(昭和22年法律第233号)── e-Gov法令検索
- 食品衛生法施行令(昭和28年政令第229号)── e-Gov法令検索
- 警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について(通達)」令和8年7月1日(令和7年10月20日付けの旧通達を廃止したもの)── 警察庁(PDF)