風俗営業の許可(法3条1項)は、書類がそろえば受けられるものではありません。公安委員会が「許可をしてはならない」場合は法4条に定められており、その内容は、申請する人・営業所の構造設備・営業所の場所・管理者の4つに分かれています。このページでは、設備を設けて客の接待をして、遊興又は飲食をさせる営業(法2条1項1号に掲げる営業。一般に「1号営業」と呼ばれるもの)の許可について、この4つを条文の号まで順に見ていきます。
この記事の要点
- 申請者が法4条1項1号から13号までのいずれかに当たるとき、営業所が構造設備の基準に適合しないとき(2項1号)、条例で定める地域内にあるとき(2項2号)、管理者を選任すると認められないことについて相当な理由があるとき(2項3号)は、許可されません。
- 構造設備の基準は、規則7条の表(法2条1項1号に掲げる営業の項)に1号から7号までの7つあります。床面積・見通し・照度のほか、外からの見え方、写真・広告物・装飾、出入口の施錠、騒音・振動の基準が含まれます。
- 場所の要件は、令6条の基準に従って都道府県の条例で定める地域(営業制限地域)の外にあることです。どこがその地域に当たるかは、条例によって異なります。
この記事では、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律を「法」、同法施行令を「令」、同法施行規則を「規則」、同法に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令を「内閣府令」と略します。
このページの目次
許可されない場合は、法4条の中で4つに分かれている
要件のうち、構造設備・場所・管理者を表にまとめました。
| 項目 | 風俗営業1号(接待飲食営業) |
|---|---|
| 客室の床面積 | 和風の客室は1室9.5㎡以上、その他の客室は1室16.5㎡以上。ただし客室の数が1室のみの場合を除く条文で確定根拠:規則7条の表(法2条1項1号に掲げる営業の項)1号 |
| 見通しを妨げる設備 | 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと地域・運用で異なる根拠:規則7条の表(法2条1項1号に掲げる営業の項)3号警察庁の解釈運用基準(第12中8(1))では、「見通しを妨げる設備」とは、仕切り、ついたて、カーテン、背の高い椅子(高さがおおむね1メートル以上のもの)等をいうとされ、見通しを確保する必要があるのは客室の内部であるとされています(この「1メートル」は椅子の高さについての例示)。解釈運用基準は全国共通の最低限の取扱いを示したもので、所轄の警察署がより厳しい運用をしていることがあり、高さ・配置が基準を満たすかは現物で判断されます |
| 写真・広告物・装飾 | 善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと地域・運用で異なる根拠:法4条2項1号/規則7条の表(法2条1項1号に掲げる営業の項)4号何が「善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある」ものに当たるかは、現物で判断されます。所轄の警察署によって取扱いが異なることがあります |
| 照度 | 規則30条の方法で測定した営業所内の照度を5ルクス以下として営業してはならない。構造設備としても5ルクス以下とならないように維持できる構造・設備が必要条文で確定根拠:法14条/規則31条1号(5ルクス)/規則30条(測定方法)/規則7条の表(法2条1項1号に掲げる営業の項)6号条文は「5ルクス以下としてその営業を営んではならない」という定め方です。実際の測定は所轄の警察署が現物で行います |
| 区画(区画席) | 構造設備の基準(規則7条の表)に「区画」の号はない。見通しを妨げる設備の規定(規則7条の表(法2条1項1号に掲げる営業の項)3号)で扱われる地域・運用で異なる根拠:規則7条の表(法2条1項1号に掲げる営業の項)3号(同項1号〜7号に区画そのものの基準はない)いわゆる区画席・仕切りを置けるかは、解釈運用基準を踏まえて所轄の警察署が現物で判断します |
| 営業できない地域 | 条例で定める営業制限地域内にあるときは許可されない(不許可事由)。条例の基準は、住居集合地域、または保全対象施設の周辺の地域条文で確定根拠:法4条2項2号/令6条1号イ・ロどの地域が指定されているかは都道府県の条例で異なります。所在地の条例を確認してください |
| 保全対象施設との距離 | 保全対象施設の敷地の周囲おおむね100メートルの区域を限度として、条例で制限地域を指定できる条文で確定根拠:令6条1号ロ・2号法令上の用語は「保全対象施設」です(いわゆる「保護対象施設」)。どの施設が対象になるかも、何メートルの範囲が対象になるかも、都道府県の条例によって異なります(具体の数値は地域ページ) |
| 管理者の選任 | 営業所ごとに管理者1人を選任しなければならない(欠けたときは14日間の猶予)。未成年者等は管理者になれない条文で確定根拠:法24条1項/法24条2項各号/規則37条(専任)管理者の氏名・住所は許可申請書の記載事項(法5条1項5号) |
法令基準日:2026-09-18/根拠の略号 法=風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、令=同法施行令、規則=同法施行規則、内閣府令=同法に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令
この表の「地域・運用で異なる」の項目は、都道府県の条例や所轄の警察署の運用によって取扱いが異なります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
詳しくは風営法の全体像のページで解説しています。
表にない「人」の要件も含めて、許可をしてはならない場合を条文ごとに並べると次のとおりです。
- 人(欠格事由)── 法4条1項1号から13号まで
- 構造・設備 ── 法4条2項1号(基準は規則7条の表(法2条1項1号に掲げる営業の項)1号から7号まで)
- 場所 ── 法4条2項2号(条例の基準は令6条)
- 管理者 ── 法4条2項3号(選任の義務は法24条1項)
いずれか1つにでも該当すれば、ほかの要件を満たしていても許可は受けられません。4つ目の管理者は見落とされやすい要件ですが、人・構造設備・場所とは別に定められた不許可事由です。なお、法4条4項はぱちんこ屋などに設置される遊技機についての定めで、法2条1項1号に掲げる営業には関係しません。
人の要件 ─ 法4条1項の欠格事由
申請者が次のいずれかに当たるときは、許可されません(法4条1項)。法人が申請する場合は、役員のうちに1号から6号まで又は8号から10号までのいずれかに当たる者がいると、法人そのものが許可を受けられません(12号)。
- 1号:破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 2号:1年以上の拘禁刑に処せられ、又は同号イからカまでに掲げる罪(風営法の一部の罪のほか、刑法、売春防止法、労働基準法、職業安定法、出入国管理及び難民認定法などの一部の罪)を犯して1年未満の拘禁刑若しくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
- 3号:集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で規則6条に定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
- 4号:アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
- 5号:心身の故障により風俗営業の業務を適正に実施することができない者として規則6条の2に定めるもの
- 6号:法26条1項により風俗営業の許可を取り消され、取消しの日から起算して5年を経過しない者(取り消された者が法人のときは、聴聞の期日及び場所が公示された日前60日以内にその役員であった者を含む)
- 7号:申請者(法人)と密接な関係を有する法人が、風俗営業の許可を取り消されて5年を経過しない者であるもの
- 8号:取消処分の聴聞の公示や、立入りのあとの一定の期間内(イ・ロ)に許可証の返納をした者(風俗営業の廃止について相当な理由がある者を除く)で、返納の日から起算して5年を経過しないもの
- 9号・10号:8号の期間内に合併により消滅した法人・許可証の返納をした法人の役員であった者、分割により風俗営業を承継させ又は承継した法人とその役員であった者(相当な理由がある場合を除き、5年を経過しないもの)
- 11号:営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者(ただし書あり)
- 12号:法人で、その役員のうちに1号から6号まで又は8号から10号までのいずれかに該当する者があるもの
- 13号:3号に該当する者が、出資、融資、取引その他の関係を通じてその事業活動に支配的な影響力を有する者
11号のただし書は、風俗営業者の相続人である未成年者で、その法定代理人が1号から10号まで(7号を除く)・12号・13号のいずれにも当たらない場合を除くものです。相続による承継の承認(法7条1項。同条3項で法4条1項を準用)の場面で問題になる定めで、該当するかどうかは個別に判断されます。
2号の「刑に処せられ」と5年の数え方
警察庁の解釈運用基準(令和8年7月1日の通達)では、2号の「刑に処せられ」とは刑の言渡しに係る裁判が確定することをいうとされています(第12中7(1))。2号に当たる者として、裁判が確定したが刑の執行がされていない者(執行猶予中の者を含む)、刑の執行中の者、刑の執行を終わってから5年を経過しない者、刑の執行を受けることがなくなってから5年を経過しない者が挙げられ、両罰規定(法57条1項)の適用を受けて刑に処せられた法人・人も当たるとされています(同(2))。
これに対して、2号の罪で執行を猶予され、猶予の期間を経過した者(刑法27条により刑の言渡しが効力を失う)と、大赦又は特赦で刑の言渡しの効力が失われた者は、2号に当たらないとされています(同(3)(4))。該当するかどうかは、どの罪で、いつ裁判が確定し、いつ猶予期間が満了したかといった事実に照らして、個別に当てはめられます。
13号 ─ 事業活動に「支配的な影響力」を有する者
解釈運用基準(第12中7(8))では、13号に該当するかどうかは、申請者の事業活動と3号に当たる者(暴力的不法行為者)との関わり方を個別具体的に検証して判断するとされています。13号の「支配的な影響力」を有する者の範囲は、6号の「支配力」を有する者よりも一般に広いと解され、法人の役職に就いていない者でも当たり得るとされています。典型例は、暴力的不法行為者が自己又は他人の名義で多額の出資・融資をし、又は多額の取引関係を持っている相手方が、これを背景として、その暴力的不法行為者から事業活動に支配的な影響力を受けている場合で、「その他の関係」には親族関係、人的資本関係、株式所有関係なども含まれるとされています。法人だけでなく、個人事業者にも適用される欠格事由です。
2025年の改正で加わった号と、2027年4月に施行される改正
7号(密接な関係を有する法人)・8号ロ(立入りから聴聞決定予定日までの返納)・13号は、2025年11月28日に施行された改正(令和7年法律第45号)で加わった規定です。7号・8号ロの中身と、この改正であわせて変わった添付書類は、2025年11月施行分の改正で解説しています。
このほか、法4条1項2号カが引用している法律の題名を「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」に改める改正(令和6年法律第60号)が、2027年4月1日に施行されます。法4条の条文で変わるのは、この引用している法律の題名だけです(同じ平成28年法律第89号の108条の罪を引用しています)。
役員を含めて、刑の確定と執行の時期、過去の許可の取消しや許可証の返納の有無、出資・融資・取引の相手方との関係について、欠格事由に当たらないかを整理しておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
場所の要件 ─ 条例で定める営業制限地域の外にあること
建物や内装が基準を満たしていても、営業所が条例で定める地域内にあれば許可されません。法4条2項2号は、次のように定めています。
二 営業所が、良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限する必要があるものとして政令で定める基準に従い都道府県の条例で定める地域内にあるとき。
条例の基準(令6条)の要旨は、このページ前半の比較表の「営業できない地域」「保全対象施設との距離」の行のとおりです。実際にどこを営業制限地域とするかは各都道府県の条例で定められるため、許可の要件としての「場所」は、条例の定めに当てはめて判断されます。
- 用途地域との関係を含む、地域の決まり方と条例の調べ方:営業できない地域の調べ方
- 施設からの距離と、その測り方:保全対象施設と距離制限の調べ方
- 「営業所」の範囲:このページ後半の「どこまでが営業所か」
営業所の所在地が条例の営業制限地域に当たらないかが、確認のポイントになります。
営業できる地域は都道府県の条例で定められており、地域によって異なります。物件の契約前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課に確認してください。
火災などで営業所を失った場合の特例(法4条3項)
法4条3項は、火災、震災その他その者の責めに帰することができない事由で政令で定めるもの(令7条)により営業所が滅失したために風俗営業を廃止した者が、同じ種別の風俗営業の許可を受けようとするとき、申請が次の4つのいずれにも該当すれば、営業所が営業制限地域内にあっても許可をすることができると定めています。
- 廃止した日から起算して5年以内の申請であること(1号)
- 滅失した営業所の所在地が、滅失前から営業制限地域に含まれていたか、滅失以降に含まれることとなったこと(2号)
- 滅失した営業所とおおむね同一の場所にある営業所についての申請であること(3号)
- 滅失した営業所とおおむね等しい面積の営業所についての申請であること(4号)
解釈運用基準(第12中10)では、営業者に故意又は重大な過失があり、その者の責めに帰すべき事由によって生じた火災は「火災」に含まれず、「おおむね同一の場所」は滅失した営業所の敷地と申請に係る営業所の敷地とが一致していること、「おおむね等しい面積」は社会通念上営業の継続性が認められる程度に等しいことをいうとされています。条文は「許可をすることができる」という定め方で、4つに該当しても、許可することが義務づけられるわけではありません。また、この特例で外れるのは場所の要件(法4条2項2号)だけで、人・構造設備・管理者の要件は同じように適用されます。滅失の原因と、建て直す営業所の位置・面積がこれらに当たるかは、個別に確認しておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
構造・設備の要件 ─ 規則7条の表の7つの号
法4条2項1号は、営業所の構造又は設備が、風俗営業の種別に応じて規則で定める技術上の基準に適合しないときは許可をしてはならないとしています。法2条1項1号に掲げる営業の基準は、規則7条の表(法2条1項1号に掲げる営業の項)の次の7つです。
- 客室の床面積は、和風の客室は1室9.5平方メートル以上、その他の客室は1室16.5平方メートル以上とすること(客室の数が1室のみの場合を除く)
- 客室の内部が当該営業所の外部から容易に見通すことができないものであること
- 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと
- 善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと
- 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと(営業所外に直接通ずる客室の出入口を除く)
- 規則30条の方法で測定した営業所内の照度が5ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること
- 規則32条の方法で測定した騒音又は振動の数値が、法15条の規定に基づく条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること
面積・見通し・照度の3つだけが挙げられることがありますが、条文の基準は7つです。許可を受けたあとも、営業所の構造及び設備をこの基準に適合するように維持しなければなりません(法12条)。1号・3号・4号・6号と区画については、このページ前半の比較表の行と補足にまとめているため、以下では表にない点だけを号ごとに補足します。区分ごとの違いは客室の床面積・見通し・区画の基準にまとめています。
客室の床面積(1号)
1号のただし書の対象は床面積の基準に限られます。また、「和風の客室」の定義は条文にありません。ただし書と和風の扱いは客室の基準のページ、許可申請書に書く各客室の床面積の測り方(内法)は、求積図と面積の計算で解説しています。
外から見えないことと、中を見通せること(2号・3号)
比較表にない2号は、営業所の外から客室の内部が容易に見通すことができないことを求める基準です。窓や入口の扉の位置、扉を開けたときに外から客室の中がどう見えるかは、現物で判断されます。3号(見通しを妨げる設備)の例は、比較表の補足のとおりです。
店内の写真・装飾・看板(4号)
4号の設備について、解釈運用基準は次のように例を挙げています(第12中8(2))。
施行規則第7条の表中「善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備」とは、例えば、法に違反する行為を行っていることをうかがわせる広告、著しく客の遊興若しくは飲食をする意欲をそそり、又は接客従業者間に過度な競争意識を生じさせ、営業に関する違法行為を助長するような歓楽的・享楽的雰囲気を過度に醸し出す広告、著しく射幸心をそそるおそれのある広告、男女の性交場面を写した写真、売春を行っている場所についての広告、性器を模した装飾、回転ベッド、振動ベッド等の設備をいう。
同じ箇所のなお書きでは、令3条3項1号イ・ロ・ハに掲げる設備、令4条各号に掲げる物品とその広告物・装飾その他の設備、広告制限区域等で表示された性風俗関連特殊営業の広告物・ビラ等も、この設備に含まれるとされています。挙げられているのは「例えば」としての例なので、ここにない看板・写真・装飾でも当たることがあります。
客室の出入口の施錠(5号)
5号のただし書で除かれるのは、営業所の外に直接通じる客室の出入口だけです。客室から営業所の中の廊下などに通じる出入口は、ただし書の対象外です。どの出入口が「営業所外に直接通ずる」ものに当たるかは、図面と現物で判断されます。
照度(6号)
5ルクスの数値と条文の定め方は、比較表の「照度」の行のとおりです。測る場所、調光器の扱い、照明以外の光の数え方は、照度の基準で解説しています。
騒音・振動(7号)
7号の数値は、法15条の規定に基づく都道府県の条例で定められ、地域によって異なります。解釈運用基準(第12中8(4))では、7号は営業活動に伴う騒音が条例で定める数値に達する場合に防音設備を設けなければならないとするもので、音響設備を設けないため特に騒音が発生しない場合や、建物の壁が厚い、営業所の境界地まで相当な距離があるなどの理由で外部に音が漏れない場合にまで、防音設備の設置を義務付けるものではないとされています。もっとも、これは解釈運用基準が示す全国共通の最低限の取扱いであり、外部に音が漏れるかどうかは現物で判断され、所轄の警察署がより厳しい運用をしていることがあります。
「区画」の基準はあるか
比較表の「区画(区画席)」の行のとおりです。仕切った席の囲い方と広さによって営業の種別が変わる境目(法2条1項3号)は、客室の基準のページで解説しています。
床面積の数え方、外からの見え方、仕切りや什器の高さ、照明、音響設備が基準に合うかは、現物で確認しておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
管理者を選任できること ─ 法4条2項3号・法24条
法4条2項3号は、営業所に法24条1項の管理者を選任すると認められないことについて相当な理由があるときは、許可をしてはならないとしています。営業所ごとに法24条の管理者を置けると見込めない事情があるときは、そのこと自体が不許可事由になるという定めです。
法24条1項により、風俗営業者は、営業所ごとに、その営業所における業務の実施を統括管理する者のうちから、管理者1人を選任しなければなりません。管理者は営業所ごとに専任の管理者として置かなければなりません(規則37条)。同じ風俗営業者の2つ以上の営業所が相互に接し、その間を客が自由に往来できるもので、1人の管理者を置くことにつきそれぞれの営業所の管理者の業務の適正な実施に支障がないとして公安委員会の承認を受けたときに限り、専任の管理者を置かなくてよいとされています(同条ただし書)。承認されるかは、その管理者が2つ以上の営業所を同時に統括管理でき、業務を適正に行い得るかで判断するとされています(解釈運用基準 第17中13(2)ウ)。
次の者は管理者になれません(法24条2項)。
- 1号:未成年者
- 2号:法4条1項1号から4号まで、6号又は8号から10号までのいずれかに該当する者
- 3号:心身の故障により管理者の業務を適正に実施することができない者として国家公安委員会規則で定めるもの
解釈運用基準(第17中13(2)ア)では、「統括管理する者」とは全体をまとめて管理する者という意味で、店長、支配人等が当たるとされ、営業者自らが営業所の業務の実施を直接統括管理する場合は、営業者が自らを管理者として選任すればよいとされています。また、規則37条の「営業所ごとに専任」とは、その営業所に常勤して管理者の業務に従事し得る状態にあることをいうとされています(同イ)。申請者本人が管理者になる場合も、ほかの仕事や別の店と掛け持ちをしていれば、この状態に当たるかが問われます。
管理者が欠けたときは、その日から14日間は管理者を選任しておかなくてもよいとされています(法24条1項ただし書)。猶予が認められるのは、この14日間に限られます。また、管理者を変えたときは、変更があった日から10日以内に変更の届出書を提出しなければなりません(法9条3項1号・規則20条2項)。管理者についての添付書類は、許可申請の必要書類一覧にまとめています。
誰を管理者にするかと、その人が営業所に常勤して業務に従事できるかは、整理しておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
どこまでが「営業所」か ─ 範囲と同一性
許可は営業所ごとに受けるもので(法3条1項)、要件もその「営業所」について判断されます。解釈運用基準は、営業所の範囲を次のように整理しています(第12中2)。
「営業所」(法第3条第1項)とは、客室のほか、専ら当該営業の用に供する調理室、クローク、廊下、洗面所、従業者の更衣室等を構成する建物その他の施設のことをいい、駐車場、庭等であっても、社会通念上当該建物と一体とみられ、専ら当該営業の用に供される施設であれば、「営業所」に含まれるものと解する。
この範囲は、営業制限地域の中か外かの判断(第12中9(1)が第12中2を参照)と、営業所の床面積の計算の両方に関わります。ほかのテナントや別の営業と共用する通路・トイレなどが「専ら当該営業の用に供する」ものに当たるかは、図面と現物で判断されます。
営業所の同一性 ─ 新しい許可が要る工事
解釈運用基準(第12中3)では、次の行為が行われたときに営業所の同一性が失われ、新規の許可を要するとされています。
- 営業所の建物(その営業の用に供される部分に限る)の新築又は移築
- 営業所の建物の床面積が従前の2倍を超えることとなる増築
- 営業所の建物内の客の用に供する部分の改築
ここでいう「改築」は、建築物の一部(その部分の主要構造部の全て)を除却し、又は災害等によって消滅したあとに、用途・規模・構造の著しく異ならないものを造ることで、「主要構造部」は壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、間仕切り、最下階の床、屋外階段等は含まないとされています(同(注)。建築基準法2条5号参照)。
間仕切りの工事で同一性が失われないとしても、すでに許可を受けているからといって、自由に工事ができるわけではありません。営業所の構造又は設備を変更するときは、内閣府令で定める軽微な変更を除き、あらかじめ公安委員会の承認を受けなければならず(法9条1項)、壁、ふすまその他営業所の内部を仕切るための設備の変更は、軽微な変更から除かれています(内閣府令2条3号)。軽微な変更に当たる場合も、変更があった日から1月(照明設備・音響設備・防音設備は10日)以内に届出書を提出しなければなりません(法9条3項2号・規則20条2項)。許可を受けたあとの改装や増築では、工事の内容が新規の許可に当たるのか、変更の承認や届出の対象になるのかを確認しておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
許可に条件が付くことがある ─ 法3条2項
「許可条件」という言葉は許可の要件の意味で使われることもありますが、法律の「条件」は要件とは別のものです。法3条2項は、公安委員会が、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があると認めるときは、その必要の限度において、許可に条件を付し、及びこれを変更することができるとしています。
解釈運用基準(第12中5)では、条件を付し、又は変更することができるのは、法令や条例を守っていても具体的な事情によってこれらの行為が行われるおそれがある場合に限られ、条件もこれらの行為を防止するため必要最小限度のものでなければならないとされています。許可のときに付ける条件は許可証の裏面に記載するとされ、許可のあとで条件が付け加えられることもあります。
営業所が営業制限地域に近接している場合は、その地域を特定したうえで、その地域内に営業所の拡張を行ってはならない旨の条件を付すこととされています(同(3))。許可のあとで営業所が営業制限地域内に存在することとなった場合は、都道府県の判断により、営業所の拡張について必要な条件を付するほか、地域の実情や個別具体的な状況に応じた条件を付するものとされています(同(4))。例として、ゲームセンター等(法2条1項5号の営業)の許可のあとで至近距離に学校ができた場合に、窓ガラスをすりガラスにするなどして、学校から営業所の内部を見通せないようにする設備を設ける条件が挙げられています。どのような条件が付くかは、営業所の位置や周囲の状況によって個別に判断されます。営業所と営業制限地域との位置関係は、把握しておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
同じ営業所で、別の許可を重ねて受けられるか
解釈運用基準(第12中1(2))では、風俗営業の許可は種別ごとに受けるもので、同じ者が同一の営業所で異なる種別の許可を重ねて受けることは原則としてできないとされています。また、風俗営業の許可を受けた営業所で、性風俗関連特殊営業を営むことはできないとされています(同(3))。
一方で、風俗営業と特定遊興飲食店営業は、深夜以外の時間帯に風俗営業を営み、その後営業の継続性を完全に絶ったうえで深夜に特定遊興飲食店営業を営むことは否定されないとして、同一の営業所について2つの許可を重ねて受けることは可能とされています(同(4))。もっとも、「営業の継続性を完全に絶った上で」とされていることが前提で、そのような営業の方法が実際に可能かどうかは、営業所ごとに判断されます。2つの営業を同じ営業所で行う場合は、時間帯ごとの営業の方法の切り替え方を確認しておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
よくある質問
前科があると、風営法の許可は受けられませんか。
1年以上の拘禁刑に処せられた場合と、風営法や売春防止法などの一定の罪で1年未満の拘禁刑・罰金の刑に処せられた場合は、刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過するまで許可を受けられません(法4条1項2号)。執行猶予の扱いを含む数え方は、このページの「2号の『刑に処せられ』と5年の数え方」のとおりです。
管理者は、経営者本人でもよいですか。
本人が営業所の業務を直接統括管理する場合は、自らを管理者に選任すればよいとされています(解釈運用基準 第17中13(2)ア)。その営業所に常勤して業務に従事し得る状態かどうかは、実態で判断されます。
改装すると、許可を取り直すことになりますか。
工事の内容によって、新規の許可を要するもの(解釈運用基準 第12中3)と、変更の承認や届出の対象になるもの(法9条1項・3項2号)に分かれます。どの工事がどちらに当たるかは、このページの「営業所の同一性」の見出しのとおりで、実際の工事の内容で判断されます。
風営法の許可は、難しいのですか。
難しさは店舗や物件ごとに異なり、一概には言えません。許可されない場合は、このページの最初の見出しのとおり法4条に4つ定められています。このうち場所は条例の定めに、構造設備は現物に当てはめて判断されるため、物件ごとに順に確認しておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
この記事の根拠
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)── e-Gov法令検索
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令(昭和59年政令第319号)── e-Gov法令検索
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(昭和60年国家公安委員会規則第1号)── e-Gov法令検索
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令(昭和60年総理府令第1号)── e-Gov法令検索
- 警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について(通達)」令和8年7月1日(令和7年10月20日付けの旧通達を廃止したもの)── 警察庁(PDF)