物件選び

風営法の距離制限|保全対象施設(いわゆる保護対象施設)と距離の調べ方

学校や病院の近くで風営法の営業ができるか、何メートル離れていればよいかは、物件を決める前に確かめておきたい点です。このページでは、距離の制限の根拠になる「保全対象施設」の意味、政令が定める距離の限度、距離の測り方、周辺の施設の調べ方を、許可・届出の区分ごとに条文で整理します。地域の決まり方の全体は営業できない地域の調べ方にあります。

この記事の要点

  1. 風俗営業では、保全対象施設の周辺が条例で営業制限地域にされることがあり、政令が定めているのは、施設の敷地の周囲おおむね100メートルの区域という限度です(令6条1号ロ・2号)。実際に何メートルの範囲が対象になるかは、この限度の中で都道府県の条例が定めます。
  2. どの施設が保全対象施設か、施設から何メートルの範囲が対象かは、都道府県の条例で定められ、地域によって異なります。
  3. 風俗営業の「おおむね100メートル」は、道のりではなく水平面で測る距離とされています。営業所がビルの2階以上や地下にある場合でも、その位置から垂直に地面に下ろした位置で測るとされています(警察庁の解釈運用基準(令和8年7月1日の通達)第12中9(2))。

この記事では、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律を「法」、同法施行令を「令」、同法に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令を「内閣府令」と略します。

このページの目次
  1. 「保全対象施設」とは ─ いわゆる「保護対象施設」の法令上の名前
  2. 区分ごとの距離の決まり方
  3. 距離はどう測るか ─ 水平面で測る距離
  4. 周辺の保全対象施設を確かめる手順
  5. 許可のあとに近くに施設ができたとき
  6. よくある勘違い
  7. よくある質問
  8. この記事の根拠

「保全対象施設」とは ─ いわゆる「保護対象施設」の法令上の名前

よく使われるのは「保護対象施設」という呼び方ですが、政令が用いている法令用語は保全対象施設(いわゆる「保護対象施設」)です。令6条1号ロは、「学校、病院その他の施設でその利用者の構成その他のその特性に鑑み特にその周辺における良好な風俗環境を保全する必要がある施設として都道府県の条例で定めるもの」を保全対象施設としています。

学校と病院が挙げられている理由について、政令が示しているのは「その利用者の構成その他のその特性に鑑み」という文言までです。学校・病院のほかにどの施設が入るかは、政令ではなく都道府県の条例が定めています。

特定遊興飲食店営業の基準では、保全対象施設が「特にその周辺の深夜における良好な風俗環境を保全する必要がある施設として都道府県の条例で定めるものに限る」とされています(令22条1号ロ(4))。同じ「保全対象施設」という語でも、区分によって対象になる施設が違うことがあります。

候補地の周辺にある施設が、営もうとする区分の保全対象施設に当たるかを確認しておく必要があります。

ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。

区分ごとの距離の決まり方

保全対象施設との距離の扱いを、許可・届出の区分ごとに並べると次のとおりです。

保全対象施設との距離(3種別の比較)
許可・届出の種別 保全対象施設との距離
風俗営業1号(接待飲食営業) 保全対象施設の敷地の周囲おおむね100メートルの区域を限度として、条例で制限地域を指定できる条文で確定根拠:令6条1号ロ・2号法令上の用語は「保全対象施設」です(いわゆる「保護対象施設」)。どの施設が対象になるかも、何メートルの範囲が対象になるかも、都道府県の条例によって異なります(具体の数値は地域ページ)
深夜における酒類提供飲食店営業(届出) 保全対象施設からの距離の規定はない(禁止地域の基準は住居集合地域のみ)地域・運用で異なる根拠:令27条1号風俗営業の距離による制限とは仕組みが違います。ただし、実際にどこが禁止地域かは都道府県の条例で定められ、地域によって異なります。「距離制限がないから大丈夫」とは判断せず、所在地の条例を確認し、条例の当てはめは所轄の警察署に確認してください
特定遊興飲食店営業(許可) 保全対象施設の敷地の周囲おおむね100メートルを限度とする区域内の地域は、条例で営業所設置許容地域に指定できない条文で確定根拠:令22条1号ロ(4)具体の施設と距離は条例で異なります

法令基準日:2026-09-18/根拠の略号 法=風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、令=同法施行令、規則=同法施行規則、内閣府令=同法に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令

この表の「地域・運用で異なる」の項目は、都道府県の条例や所轄の警察署の運用によって取扱いが異なります。

ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。

風俗営業 ─ 100メートルは「限度」

令6条2号は、保全対象施設の周辺の地域を制限地域に指定するときは、「当該保全対象施設の敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)の周囲おおむね百メートルの区域を限度とし、その区域内の地域につき指定を行うこと」としています。政令が決めているのは、条例が指定できる区域の上限で、指定は保全対象施設の特性などに応じて行われます(令6条3号)。このため、実際の距離は、条例の中で施設の種類や地域ごとに違う数値になっていることがあります。

「100メートル離れていれば許可される」とも、「条例の距離が短ければ施設の近くでもよい」とも言えません。施設から離れた場所でも、住居集合地域として制限地域に入っていれば、許可は受けられません(法4条2項2号・令6条1号イ)。

かっこ書の「これらの用に供するものと決定した土地を含む」により、まだ建物のない学校や病院の用地でも、その用途に使うことが決まっていれば、保全対象施設の敷地に含まれます。予定地かどうかは、現地を見ても分からないことがあります。

深夜における酒類提供飲食店営業 ─ 政令の基準の組み立てが違う

風俗営業の基準(令6条)は、住居集合地域(1号イ)と、保全対象施設の周辺(1号ロ・2号)の2本立てです。これに対して、深夜の営業禁止地域の基準(令27条)は、住居集合地域内の地域(1号)の1本だけで、保全対象施設の周辺であることは基準に入っていません。ただ、住居集合地域の中のどこを禁止地域にするかの線引きは条例に委ねられているので、学校や病院が近いかどうかに関係なく、候補地が条例の禁止地域に入るかは条例の定めで決まります。

また、深夜に酒類を提供する店でも、客の接待をすれば風俗営業(法2条1項1号に掲げる営業)に当たり、許可が必要になります(法3条1項)。その場合は、風俗営業の制限地域と距離の制限の対象になります。接待に当たるかどうかは「接待」の定義と判断基準で扱っています。

特定遊興飲食店営業 ─ 距離の区域の外であることは条件の1つ

距離の扱いは、上の表の特定遊興飲食店営業の行のとおりです(令22条1号ロ(4))。この区域の外にあることは、許可を受けるための条件の1つにすぎません。候補地が条例で定める許容地域に入るかが先に問われるので、地域の決まり方は営業できない地域の調べ方で確かめることになります。

候補地から施設までの距離が、条例で定める範囲の外になるかを確認しておく必要があります。

ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。

距離はどう測るか ─ 水平面で測る距離

風俗営業の「おおむね100メートル」の測り方について、解釈運用基準は次のように整理しています。

令第6条第2号中「おおむね100メートル」とは、水平面で測る距離についていうものであり、例えば、営業所がビルの二階以上又は地下にある場合でも、営業所の存在する位置から垂直に地面に下ろした位置について測るものとする。

(解釈運用基準 第12中9(2))

道のりではなく、地図の上での直線の距離とされています。ビルの5階にある店でも地下の店でも、店の真下の地面の位置から測るということです。道なりに歩くと遠回りになる場所でも、直線で測れば範囲に入ることがあります。

距離を測るもう一方の点は、令6条2号の文言どおり、施設の建物ではなく「敷地」の周囲です。一方で、営業所のどの点から測るか(施設にいちばん近い点か、など)や、敷地の境界をどこと見るかについては、解釈運用基準に定めが置かれておらず、所轄の警察署の運用によって取扱いが異なることがあります。

特定遊興飲食店営業については、解釈運用基準(第24中1)が、許可に係る一般的留意事項等について第12中9などを参照することとしています。ただ、令22条1号ロ(4)の区域への当てはめは、条例と所轄の警察署の運用によります。深夜の酒類提供については、政令に距離の基準がないので、条例が距離を使って禁止地域を定めているときは、その測り方も条例の定めと所轄の運用によります。

境界に近い物件では、どの点からどの点までを測ったかを示せるようにしておく必要があります。

ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。

周辺の保全対象施設を確かめる手順

  1. 所在地の条例で、保全対象施設に当たる施設の種類と距離を確かめる:地域の条例を調べる手順は営業できない地域の調べ方にあります。距離は条例の中で区分ごと・施設の種類ごとに定められていることがあるので、営もうとする区分の定めを確認します。
  2. 物件の周囲を、その距離の範囲で実際に歩いて確かめる:地図に載っていない施設や、看板が目立たない施設があります。建設中の建物や、用地として決まっている土地にも注意が必要です。
  3. 営業所と施設の敷地の位置関係を図面に記載する:解釈運用基準は、風俗営業の許可申請に添える「営業所の周囲の略図」(内閣府令1条3号)を、「条例で定める保全対象施設との関係が明らかとなるような略図」としています(第12中13(4))。深夜の酒類提供の届出での扱いは必要書類と様式の書き方にあります。
  4. 測った距離と施設の一覧を持って、所轄の警察署の生活安全課で確かめる:範囲の中に施設がないか、予定地を含めて見落としがないかを示せるようにします。

候補地から条例で定める距離の範囲の中に、保全対象施設やその予定地がないかを確認しておく必要があります。

契約前に確認してください。契約後に判明すると、物件を変えるしかなくなることがあります。

許可のあとに近くに施設ができたとき

許可を受けたあとで、近くに学校などができて、営業所が制限地域に入ることがあります。この場合に営業所の拡張などに条件が付されることがある点(解釈運用基準 第12中5(4))やその具体例については、風俗営業許可の要件の「許可に条件が付くことがある」で解説しています。

営業所を広げる工事をするときは、付された条件と、そのときの制限地域が問題になります。営業所を別の場所に移すときは、風俗営業の許可が営業所ごとのものなので(法3条1項)、移転先で改めて許可の基準が問われます。

許可の条件の内容と、拡張や移転の計画が制限地域にかからないかを確認しておく必要があります。

ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。

よくある勘違い

  • 「100メートル離れていれば、どこでも許可される」:100メートルは条例が指定できる区域の限度(おおむね)で、実際の距離は条例で異なります(令6条2号)。
  • 「店は3階だから、地上で測るより遠くなる」:上の階の店でも、真下の地面の位置から水平に測るとされています(解釈運用基準 第12中9(2))。
  • 「道なりに歩くと150メートルあるから、範囲の外」:道のりではなく、水平面で測る距離とされています(同上)。
  • 「まだ建っていない学校は関係ない」:まだ建物がなくても、その用途に使うことが決まっている土地は、施設の敷地に含まれます(令6条2号)。
  • 「深夜の酒類提供の届出だけなら、距離は気にしなくてよい」:禁止地域の範囲は条例で決まり(令27条1号)、接待をすれば風俗営業の距離の制限の対象になります(法2条1項1号)。
  • 「保護対象施設は学校と病院だけ」:政令が挙げているのは「学校、病院その他の施設」で、何が入るかは条例で定めます(令6条1号ロ)。

このうち、施設の種類と距離の数値は、所在地の条例で確認しておく必要があります。

ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。

よくある質問

学校から何メートル離れていれば、営業できますか。

国の政令が定めているのは、距離の限度(施設の敷地の周囲おおむね100メートルの区域)までです(風俗営業の制限地域は令6条2号、特定遊興飲食店営業の営業所設置許容地域から除く地域は令22条1号ロ(4))。実際の距離は都道府県の条例で定められ、施設の種類によって違うこともあります。距離のほかに、住居集合地域かどうかも問われます。

保育園や幼稚園の近くでも営業できますか。

保育所や幼稚園が保全対象施設に当たるかは、都道府県の条例で決まります。政令が名前を挙げているのは学校と病院だけで、それ以外の施設は条例の定め方によります。

病院の近くで営業できないのは、なぜですか。

政令は、施設の利用者の構成などの特性から、周辺の良好な風俗環境を特に保全する必要がある施設を保全対象施設としています(令6条1号ロ)。どの施設を対象にするかは、条例が定めています。

距離はどうやって測りますか。

このページの「距離はどう測るか」のとおり、水平面で測る距離で、上の階や地下の店でも真下の地面の位置から測るとされています(解釈運用基準 第12中9(2))。どの点から測るかなどの細部は、所轄の警察署の運用によって異なることがあります。

深夜に酒類を出す店の届出にも、距離制限はありますか。

深夜の営業禁止地域の基準(令27条1号)は住居集合地域の1本で、令6条2号のような保全対象施設からの距離の限度はありません。どこが禁止地域になっているかは、都道府県の条例で決まります。候補地の近くに学校や病院があるなら、その一帯が条例の禁止地域に含まれていないかを確認しておく必要があります。

ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。

この記事の根拠

  • 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)── e-Gov法令検索
  • 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令(昭和59年政令第319号)── e-Gov法令検索
  • 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令(昭和60年総理府令第1号)── e-Gov法令検索
  • 警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について(通達)」令和8年7月1日(令和7年10月20日付けの旧通達を廃止したもの)── 警察庁(PDF)

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