深夜営業の届出で、届出書に添える書類として国の法令が挙げているのは、営業の方法を記載した書類、営業所の平面図のほか、個人か法人かに応じた住民票の写しや登記事項証明書などです。届出書と営業の方法の書類には、施行規則で様式が決められています。ここでは、国の法令が定める書類と、所轄の警察署が求めることがある書類を分けて、様式の番号と書き方をまとめます。
この記事では、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律を「法」、同法施行規則を「規則」、同法に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令を「内閣府令」と略します。
この記事の要点
- 営業を始めるときの届出書に法33条3項が添付を求める書類は、内閣府令24条1号イからニまでの書類です。
- 届出書の様式は施行規則の別記様式第47号で、表題は「深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書」です(「酒類提供飲食店営業」の後に「営業開始届出書」が付くため、「営業」の語が重なります)。営業の方法を記載した書類は施行規則の別記様式第48号です(規則103条1項・2項)。
- 周囲の略図や使用承諾書は、所轄の警察署から求められることはありますが、国の法令(内閣府令24条)が定める添付書類ではありません。
このページの目次
国の法令が定めている書類
法33条3項は、届出書に「営業の方法を記載した書類その他の内閣府令で定める書類」を添付しなければならないと定めています。営業を始めるときの届出書について、内閣府令24条1号が挙げているのは次の書類です。
- イ 営業の方法を記載した書類:自分で作ります(様式は施行規則の別記様式第48号)。
- ロ 営業所の平面図:自分で作るか、内装業者などに作ってもらいます。
- ハ 営業を営もうとする者が個人であるときは、住民票の写し:市区町村で取ります。
- ニ 営業を営もうとする者が法人であるときは、定款、登記事項証明書及び役員に係る住民票の写し:定款は法人の手元のもの、登記事項証明書は法務局、役員の住民票の写しは市区町村です。
これに施行規則の別記様式第47号の届出書を加えたものが、国の法令が求める書類です。所轄の警察署がこのほかに求めることがある書類は、このページの「国の法令には入っていない書類」で扱います。
住民票の写しは、本籍の記載があるものを取る
内閣府令1条4号イは、「住民票の写し」を、本籍・筆頭者(住民基本台帳法7条5号の「戸籍の表示」)が記載されたものに限っています。外国人の場合は、国籍等(同法30条の45)が記載されたものです。この定義には「以下同じ」と付いているので、深夜営業の届出の添付書類を定める24条の住民票の写しにも及びます。市区町村で請求するときは、本籍・筆頭者(外国人は国籍等)を省略しない写しを請求する必要があります。
法人の場合に誰が「役員」に当たるか、住民票の写しに発行からの期間の指定があるかは、条文に細かい定めがなく、提出先によって扱いが違うことがあります。
同じ都道府県で2店舗目を出すとき
内閣府令24条1号のかっこ書は、法33条1項の届出書を出して現に営業している者が、その届出書を出した公安委員会の管轄区域内で、別の酒類提供飲食店営業を深夜に営もうとする場合の届出書について、ハとニの書類(住民票の写し、定款、登記事項証明書、役員の住民票の写し)を除いています。この場合に条文上そろえるのは、営業の方法の書類と平面図です。
もっとも、これは添付を要しないという定めで、所轄の警察署が本人や法人の確認のために書類の提示を求めることはあります。実際にどの書類の添付を省けるかは、届出の前に確認しておく必要があります。
変更の届出に添える書類
届け出た事項に変更があったときの届出書には、1号の書類のうち、変更年月日・変更事項・変更の事由に係るものを添付します(内閣府令24条2号。内閣府令23条において準用する内閣府令8条2号)。変更の届出が要る工事の範囲は深夜営業の届出の全体像の「開業後に起きる手続き」、期限は届出の流れと期限で解説しています。どの書類を添付するかは変更の内容によって変わるため、何を変えるのかを先に整理しておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
様式の番号と入手先
深夜における酒類提供飲食店営業で使う施行規則の様式は、次の4つです。
- 営業を始めるときの届出書:施行規則の別記様式第47号(規則103条1項)
- 営業の方法を記載した書類:施行規則の別記様式第48号(規則103条2項)
- 変更届出書:施行規則の別記様式第19号(規則104条において読み替えて準用する規則42条1項)
- 廃止届出書:施行規則の別記様式第18号(規則104条において読み替えて準用する規則42条1項)
施行規則の別記様式第18号と第19号は店舗型性風俗特殊営業などと共通の様式で、根拠の条として「第27条第2項(同法第31条の12第2項において準用する場合を含む。)」と「第33条第2項」の2つが併記されています。様式の備考に「不要の文字は、横線で消すこと」とあるので、深夜における酒類提供飲食店営業では第33条第2項を残して使います。
様式は、提出先の都道府県警察のウェブサイトなどで配られています。都道府県警察によっては、独自の番号や記入例を付けていることがあるので、使う様式と記入例は、提出先の案内で確認しておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
届出書(施行規則の別記様式第47号)の書き方
表題は「深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書」で、「営業」が2回続くのは誤記ではなく、様式の表題どおりです。一般に「深夜酒類提供飲食店営業開始届」と呼ばれているのは、この様式です。法33条1項が届出書に書くよう求めている事項は、次の3つです。
- 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名(1号)
- 営業所の名称及び所在地(2号)
- 営業所の構造及び設備の概要(3号)
様式では、3号が「営業所の構造及び設備の概要」の欄になり、建物の構造、建物内の営業所の位置、客室数、営業所の床面積、客室の総床面積、各客室の床面積、照明設備、音響設備、防音設備、その他、の欄に分かれています。欄ごとの書き方と、平面図との合わせ方は風営法の申請図面の作り方、面積の測り方は求積図と面積の計算で解説しています。
照明設備・音響設備・防音設備の欄に書いた内容は、開業後にこれらを変更したとき、変更の届出(法33条2項)が要るかを判断するときに、変更前の内容を示す記録になります。また、「※」の付いた受理年月日・受理番号の欄は、届出をする人は書きません(様式の備考1)。
営業の方法(施行規則の別記様式第48号)の書き方
記載する欄は次のとおりです。
- 営業時間
- 18歳未満の者を従業者として使用すること(する・しない。する場合は従事する業務の内容)
- 18歳未満の者を客として立ち入らせること(する・しない。する場合は、保護者が同伴しない18歳未満の者を客として立ち入らせることを防止する方法)
- 飲食物(酒類を除く。)の提供(する・しない。する場合は種類と提供の方法)
- 酒類の提供(提供する酒類の種類と提供の方法、20歳未満の者への酒類の提供を防止する方法)
- 客に遊興をさせる場合は、その内容及び時間帯
- その営業所で他の営業を兼業すること(する・しない。する場合はその内容)
遊興の欄について、様式の備考は、遊興の種類としてダンス、ショー、生演奏、ゲーム等を、行う方法として不特定の客に見せる・聞かせる等を挙げ、カラオケや楽器を使うならその利用方法を書くよう求めています。深夜(午前0時から午前6時まで)にも客に遊興をさせ、かつ、酒類を提供して飲食をさせる営業は、特定遊興飲食店営業(法2条11項)として許可が必要になり(法31条の22)、届出では足りません。接待をする場合も同じく届出では足りず、区分の考え方は深夜営業の届出の全体像の「届出で営業できるのは、接待も遊興もしない店」にあります。
18歳未満の者の2つの欄は、午後10時以降の従業と立入りの制限に関係します(18歳未満の者の立入り・従業の制限)。
書類に記載した営業の方法と実際の営業の内容が異なっていると、あとで指摘を受ける原因になります。遊興に当たるかどうかは、催しやカラオケの扱いの実態で判断されます。書く前に整理しておく項目は、①営業時間を何時までとするか、②店内の催しやカラオケをどう扱うか、③18歳未満の者を受け入れるかどうか、の3点です。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
営業所の平面図
内閣府令24条1号ロが求めているのは「営業所の平面図」で、国の法令は作り方を定めていません。縮尺、求積の示し方、什器や照明をどこまで書き込むかは、提出先によって求められる内容に差が出やすい点です。
平面図は、営業所の構造及び設備の基準(規則99条。基準の一覧は届出の要件)を満たしているかを確認するための書類でもあります。図面で示すことになる主な点は次のとおりです。
- 客室の範囲と、1室ごとの床面積(規則99条1号)→ 客室の床面積・見通し・区画の基準・求積図と面積の計算
- 客室の内部の見通しを妨げる設備(仕切り・棚など)の有無と配置(規則99条2号)→ 客室の床面積・見通し・区画の基準
- 客室の出入口と施錠の設備(規則99条4号)→ 同上
- 照明設備の位置(規則99条5号)→ 照度の基準
図面の種類の全体は風営法の申請図面の作り方で解説しています。作図の前に整理しておく項目は、縮尺、求積の示し方、什器や照明を図面にどこまで書き込むか、手書きでよいか、の4点です。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
国の法令には入っていない書類
次の書類は、内閣府令24条の添付書類には入っていませんが、所轄の警察署が確認のための資料として提出を求めることがあります。
- 営業所の周囲の略図:風俗営業の許可申請では、内閣府令1条3号が「営業所の平面図及び営業所の周囲の略図」を求めています。
- 使用承諾書・賃貸借契約書の写し:風俗営業の許可申請では、内閣府令1条2号が「営業所の使用について権原を有することを疎明する書類」を求めています。
- 飲食店営業許可証の写し:許可を受けているかの確認に使われることがあります。開業までの順番は届出の流れと期限にあります。
- メニュー・料金表:酒類と食事の提供の実態を確かめる材料として求められることがあります。
周囲の略図や使用承諾書が「必要書類」として挙げられやすいのは、風俗営業の許可申請では法令上の添付書類であるためです。風俗営業の許可の書類は許可申請の必要書類一覧にあります。これらの書類をあとから求められると、届出や営業開始のスケジュールが遅れる原因になるため、どれを用意するかは、書類を集める最初の段階で決めておく必要があります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。
書類をそろえる順番
期限(規則103条3項)と開業までの順番は届出の流れと期限にまとめています。書類の作成では、平面図と営業の方法を記載した書類は、店舗の内装のレイアウトと具体的な営業の内容が決まってから作ります。住民票の写しや登記事項証明書のように市区町村や法務局から交付を受ける証明書類は、作成する書類の完成に合わせて、届出書を提出する日から逆算して取りそろえます。
よくある質問
必要書類には、何がありますか。
国の法令が定めているのは、届出書(施行規則の別記様式第47号)、営業の方法を記載した書類、営業所の平面図と、個人なら住民票の写し、法人なら定款・登記事項証明書・役員の住民票の写しです(内閣府令24条1号)。これで提出先の求めがすべてそろうとは限らず、周囲の略図などを求められることがあります。
変更届の様式はどれですか。
上の「様式の番号と入手先」のとおり、施行規則の別記様式第19号です。
図面は手書きでもよいですか。
国の法令は作り方を定めていないので、手書きの図面でよいとするか、清書や補正を求めるかは、提出先の扱いによります。上の「営業所の平面図」の4点とあわせて確かめます。
使用承諾書は必要ですか。
国の法令の添付書類ではありませんが、所轄の警察署が求めることがあります。理由は上の「国の法令には入っていない書類」のとおりです。
同じ警察署の管内に、2つの店の届出を同時に出すときは、同じ書類を2部そろえますか。
同じ内容の添付書類は、1部を添付すればよいとする定めがあります。規則1条3項は、1つの警察署の管轄区域内にある2つ以上の営業所について同時に法33条1項の届出書を出す場合、添付書類のうち同じ内容になるものは、1部をいずれか1通の届出書に添付するものとしています。ただし、どの書類が「同じ内容」に当たるかは、提出先の扱いによって異なります。
ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。