このページは、不動産特定共同事業の許可を受けて事業を営もうとする事業者(宅建業の免許を受けた法人)に向けて、許可の区分と要件、申請の手続きをまとめています。不動産クラウドファンディングなどへの出資を検討している方に向けた内容ではありません。個別の商品や事業者の比較、利回りや元本割れのリスクの説明は扱っていません。
不動産特定共同事業法(以下「不特法」)は、出資を募って不動産取引を営み、その収益や利益を分配する事業などに許可等の制度を設けて、事業参加者の利益の保護を図る法律です(不特法1条)。不動産特定共同事業を営もうとする者は、主務大臣または都道府県知事の許可を受けなければなりません(不特法3条1項)。
許可を受けられるのは、宅建業の免許を受けた法人に限られます(不特法6条1号・2号)。そのうえで、資本金、純資産、事務所ごとの業務管理者、財産的基礎と人的構成などの基準を満たす必要があります(不特法7条)。
出資の額が小さい事業は小規模不動産特定共同事業の登録で営む仕組みがあり(不特法41条1項)、特例事業や、適格特例投資家だけを相手方とする事業は、主務大臣への届出によって営みます(不特法58条1項・2項・59条1項・2項)。このページでは、契約の型と事業の種別、申請先、許可の要件、業務管理者、宅建業の免許との関係、特例事業と電子取引業務、許可の後の手続き、業務のルールと罰則を、条文と国の案内に分けて整理します。
このページの目次
不動産特定共同事業とは:契約の型と事業参加者
不特法の「不動産特定共同事業契約」は、次の契約です(不特法2条3項1号〜5号。政令で定めるものは除かれます)。
- 各当事者が出資して共同の事業を営むことを約し、一部の者に業務の執行を委任して、不動産取引を営み、その収益を分配する契約(1号)
- 当事者の一方が相手方の出資を受けて不動産取引を営み、その利益を分配する契約(2号)
- 共有する不動産の賃貸又は賃貸の委任をして、相手方が不動産取引を営み、その収益を分配する契約(3号)
- 外国の法令に基づく、これらに相当する契約(4号)
- そのほか政令で定める契約(5号)
国の案内は、代表的なものとして任意組合契約(不特法2条3項1号)・匿名組合契約(同項2号)・賃貸委任契約(同項3号)を挙げ、それぞれ「任意組合契約型」「匿名組合契約型」「賃貸委任契約型」として概要を示しています。このページでも、1号・2号の契約を任意組合型・匿名組合型と呼びます。
「事業参加者」は、不動産特定共同事業契約の当事者のうち、その契約に基づいて不動産特定共同事業を営む者以外の者です(不特法2条12項)。
1号〜4号事業の区分と資本金
不動産特定共同事業は、不特法2条4項1号〜4号の行為を業として行うものです。どの行為を行うか(種別)によって、資本金の基準と許可権者が変わります。種別と資本金を表1にまとめました。
| 種別(不特法2条4項) | 行う行為 | 資本金又は出資の額 | 都道府県知事の許可になる場合 | 条文 |
|---|---|---|---|---|
| 1号 第一号事業 | 不動産特定共同事業契約を締結して、その契約に基づき営まれる不動産取引から生ずる収益又は利益の分配を行う | 1億円(主務省令で定める法人は2千万円) | 事務所が一の都道府県の区域内にのみあり、第三号事業・第四号事業を行わないとき | 不特法2条4項1号 不特法施行令5条1号 不特法3条1項 |
| 2号の事業(法の呼び名なし) | 不動産特定共同事業契約の締結の代理又は媒介(第四号事業に当たるものなどを除く) | 1千万円 | 事務所が一の都道府県の区域内にのみあり、第三号事業・第四号事業を行わないとき | 不特法2条4項2号 不特法施行令5条2号 不特法3条1項 |
| 3号 第三号事業 | 特例事業者の委託を受けて、その特例事業者が当事者である契約に基づき営まれる不動産取引に係る業務を行う | 5千万円 | なし(主務大臣の許可) | 不特法2条4項3号 不特法施行令5条3号 不特法3条1項 |
| 4号 第四号事業 | 特例事業者が当事者である不動産特定共同事業契約の締結の代理又は媒介 | 1千万円(特定勧誘業務のみを行う場合を除き、金融商品取引法の登録も必要) | なし(主務大臣の許可) | 不特法2条4項4号 不特法施行令5条4号 不特法6条13号 不特法3条1項 |
2つ以上の種別を行うときの資本金又は出資の額は、それぞれの額のうち最も高い額です(不特法施行令5条)。第一号事業の2千万円の法人は、資本金又は出資の額が1億円以上の不動産特定共同事業者(第一号事業を行う者)が発行済株式の総数(出資の総額)を保有し、不動産特定共同事業以外の事業を営まず、その事業に関してその事業者が連帯して債務を負担する法人です(不特法施行規則10条)。
「第一号事業」「第三号事業」「第四号事業」は、不特法が定める呼び名です(不特法5条1項9号・2条8項2号・3号)。このページでは、2号の行為(契約の締結の代理又は媒介)に係る事業を「2号の事業」と書きます。
第一号事業の資本金の基準が2千万円になるのは、表1の注記の条件をすべて満たす法人だけです(不特法施行令5条1号・不特法施行規則10条)。第一号事業の基準は、原則として1億円です。
許可の申請先:主務大臣か都道府県知事か
許可権者は、原則として主務大臣です。1つの都道府県の区域内にのみ事務所を設置し、第三号事業・第四号事業を行わないときは、その事務所の所在地を管轄する都道府県知事の許可になります(不特法3条1項)。2つ以上の都道府県に事務所を置くときや、第三号事業・第四号事業を行うときは、主務大臣の許可です。
ここでいう事務所とは、本店・支店(商人以外は主たる事務所・従たる事務所)と、継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、不動産特定共同事業に係る契約を締結する権限を持つ使用人を置くものをいいます(不特法施行令3条1号・2号)。
主務大臣は、事業の内容によって分かれます。金銭を出資の目的とし、契約の終了時の残余財産の分割や出資の返還を金銭で行う任意組合型・匿名組合型などの事業は内閣総理大臣及び国土交通大臣、それ以外は国土交通大臣です(不特法73条1項1号・2号)。内閣総理大臣の権限は、政令で定めるものを除いて金融庁長官に委任されています(不特法73条3項)。国の案内でも、大臣許可の許可行政庁は国土交通大臣及び金融庁長官とされ、任意組合契約・匿名組合契約の金銭出資型を取り扱わない(現物出資型のみを取り扱う)場合は、国土交通大臣のみが許可を行うとされています。
主務大臣の許可を受けるときは、登録免許税を納めます。額は許可1件につき15万円、種別の増加に係る変更の認可は1件につき3万円です(不特法3条2項・登録免許税法別表第一 百五十(一)(二))。3条2項と登録免許税法の定めは主務大臣がする許可についてのもので、都道府県知事の許可には登録免許税の定めがありません。ただし、知事の許可の窓口・手数料・書類の扱いは都道府県によって異なり、国の案内でも、知事許可は各都道府県の担当部署に問い合わせるよう示されています。
大臣許可の申請の流れは、国の案内では次のとおりです。
- 国土交通省の不動産市場整備課不動産投資推進室に、事前に電話で問い合わせる
- 事前面談(対面又はビデオ通話)
- 事前相談(申請書類のドラフトなどを提出し、質問票をやりとりする)
- 書面による許可申請
- 許可の審査
- 許可書の発行・交付
国の案内では、許可申請書の提出先は管轄の地方整備局とされていますが、許可をするのは主務大臣です。
主務大臣は、許可・認可の申請が到達してから処分するまでの期間を90日以内とするよう努めるとされています(不特法施行規則89条1項)。申請の補正や内容の変更、資料の追加に要する期間は含まれません(不特法施行規則89条2項)。都道府県知事の許可にかかる期間は、都道府県によって異なります。
許可の要件:法人・宅建業の免許・資本金・財産的基礎
次のどれかに当たる者は、許可を受けられません(不特法6条)。
- 法人でない者(国内に事務所のない外国法人を含みます)。個人は許可を受けられません(1号)
- 宅建業法3条1項の免許を受けていない法人(2号)
- 許可・登録の取消しや、適格特例投資家限定事業の廃止の命令から5年を経過しない法人、取消しなどの手続きの途中で廃止の届出をして5年を経過しない法人(3号〜8号)
- 不特法・宅建業法・出資法などの規定で罰金の刑に処せられ、刑の執行を終わるなどしてから5年を経過しない法人(9号)
- 役員や政令で定める使用人に、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者、拘禁刑以上の刑の執行を終わるなどしてから5年を経過しない者、暴力団員等などがいる法人(10号)
- 暴力団員等が事業活動を支配する法人(11号)
- 特定勧誘業務(電子的に移転できる財産的価値に表示される権利に係る契約の勧誘)を行うのに、別表の登録・届出がない法人(12号)
- 第四号事業(特定勧誘業務のみを行うものを除きます)を行うのに、金融商品取引法29条の登録(第二種金融商品取引業)を受けていない法人(13号)
欠格に当たらないことに加えて、次の基準に適合していなければ許可されません(不特法7条1号〜7号)。
- 資本金又は出資の額が、種別ごとの額を満たす(1号=表1)
- 資産の合計額から負債の合計額を控除した額(純資産)が、資本金又は出資の額の100分の90に相当する額を満たす(2号)
- 申請者や役員・政令で定める使用人が、申請前5年以内に不動産特定共同事業に関し不正又は著しく不当な行為をしていない(3号)
- 事務所が業務管理者の要件を満たす(4号)
- 不動産特定共同事業契約約款の内容が政令の基準に適合する(5号。第一号事業・第三号事業を行う者が対象で、特例投資家のみを相手方とする場合などは除かれます)
- 事業を適確に遂行するに足りる財産的基礎と人的構成がある(6号)
- 電子取引業務を行うときは、そのための体制が整備されている(7号)
財産的基礎と人的構成は、前事業年度の財産と損益の状況が良好で、申請の事業年度以降も良好に推移する見込みがあること、公正かつ適確に遂行できる組織構成があり、役員が他の法人の常務に従事するなどしていても支障を及ぼすおそれがないこと、の基準で審査されます(不特法施行規則12条1号・2号)。
国の案内では、純資産は原則として申請の日を含む事業年度の前事業年度末の貸借対照表で判断し、財産的基礎は直近3事業年度分の貸借対照表・損益計算書と収支見込みで確認するとされています。財務の状況が良好であることの指標の一つとして、前事業年度末に当期利益があり、金融支援を受けていないことが挙げられています。
許可を受けた後も、資本金又は純資産の基準に適合しなくなると、許可の取消しの対象になります(不特法36条2号)。資本金を変更したときは、30日以内に変更の届出が必要です(不特法10条)。
業務管理者:宅建士であることと3つの要件
不動産特定共同事業者は、事務所ごとに業務管理者を置かなければなりません。業務管理者は、その事業者の従業者で、宅地建物取引士であり、かつ、次のいずれかに当たる者です(不特法17条1項・不特法施行規則21条1項)。
- 不動産特定共同事業の業務に関し3年以上の実務の経験がある(1号)
- 主務大臣が指定する実務の講習を修了した(2号)
- 登録証明事業によって、1号の者と同等以上の能力があるとの証明を受けている(3号)
宅建士であることだけでは足りず、この3つのいずれかも必要です。業務管理者は、勧誘、契約の内容の説明、財産の管理の状況の説明の業務について、助言・指導その他の監督管理を行います(不特法17条1項1号〜3号)。契約成立前の書面、成立時の書面、財産管理報告書には、業務管理者が記名します(不特法24条2項・25条2項・28条3項)。
国の案内(令和5年12月末時点)では、2号の講習として指定された講習(許可の業務管理者)はなく、小規模不動産特定共同事業には指定講習として小規模不動産特定共同事業「業務管理者講習」があるとされています。3号の登録証明事業としては、ビル経営管理士登録証明事業、不動産コンサルティング技能試験・登録事業、不動産証券化協会認定マスターが挙げられています。
宅建業の専任の宅建士との関係に注意が必要です。国土交通省の「不動産特定共同事業の監督に当たっての留意事項について」は、業務管理者は原則として事務所に常勤(ITの活用などで体制を確保した事務所外での勤務を含みます)とし、他の事務所の業務管理者を兼ねることはできないとしています。さらに、宅建業法などで専任を要する業務に従事しようとする場合は、支障がないと認められる特別な事情があるものを除き、業務管理者とは認められないとの考え方も示しています。事務所ごとに置く専任の宅建士の要件を満たす人とは別の人を業務管理者に充てる前提で、人員を考えておくと安心です。
この業務管理者は、賃貸住宅管理業の業務管理者(賃貸住宅管理業法12条)とは別の制度です。賃貸住宅管理業の業務管理者については、宅建業法の解釈・運用の考え方が、専任の宅建士が兼務して業務に従事することは差し支えないと整理しています(確認先を含めてリンク先で解説しています)。不動産特定共同事業の業務管理者とは扱いが逆になる点に注意が必要です。
業務管理者の要件に抵触する事務所は開設できず、既存の事務所が抵触するに至ったときは、2週間以内に必要な措置を執らなければなりません(不特法17条3項。違反は50万円以下の罰金=不特法83条2号)。業務管理者に変更があったときは、30日以内に変更の届出をします(不特法10条)。事務所ごとに業務管理者名簿を備えて事業参加者(契約の締結をしようとする者を含みます)の請求があれば閲覧させ、業務管理者でなくなった日から10年間保存します(不特法17条2項・不特法施行規則21条2項・5項)。
宅建業の免許との関係
許可を受けられるのは宅建業法3条1項の免許を受けた法人に限られ(不特法6条2号)、許可申請書にも宅建業の免許に関する事項を書きます(不特法5条1項5号)。宅建業の免許を先に受けておく必要があります。小規模不動産特定共同事業の登録も同じです(不特法44条1号)。宅建業の免許の制度は宅建業免許とはのページで解説しています。
宅建業の免許を受けていても、それだけで許可を受けられるわけではありません。法人であること、資本金・純資産・財産的基礎と人的構成の基準、事務所ごとの業務管理者などが別に審査されます(不特法6条・7条)。
宅建業法との関係では、次の定めもあります。
- 宅建業法の規定は、任意組合型の契約(不特法2条3項1号)に基づいて不動産取引を行う事業参加者などには適用されません(不特法70条)
- 金銭等の貸付け等の禁止(不特法22条)は宅建業者を相手方とする場合に、書面による解除(不特法26条)は事業参加者が宅建業者である場合に、適用されません(不特法69条1項・2項)
特例事業と適格特例投資家限定事業(届出で営む仕組み)
特例事業は、1号の行為(契約を締結して収益等を分配する行為)を業として行うもので、次の要件のすべてに当たるものです(不特法2条8項1号〜5号)。
- その行為を専ら行うことを目的とする法人(不動産特定共同事業者・小規模不動産特定共同事業者・適格特例投資家限定事業者や、国内に事務所のない外国法人を除きます)が行う
- 不動産取引に係る業務を、第三号事業を行う不動産特定共同事業者(又は小規模第二号事業を行う小規模不動産特定共同事業者)の一者に委託する
- 契約の締結の勧誘の業務を、第四号事業を行う不動産特定共同事業者に委託する
- 主務省令で定める一定の工事を伴う場合は、特例投資家のみを相手方又は事業参加者とする
- そのほか主務省令で定める要件に適合する
特例事業には、3条1項の許可の規定が適用されません。特例事業を営もうとする法人は、あらかじめ主務大臣に届け出る必要があります(不特法58条1項・2項)。届出をしないで特例事業を営むと、1年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方の対象です(不特法79条3号)。届け出た事項に変更があったときは30日以内に届け出ます(不特法58条4項)。特例事業として始めた事業が特例事業に当たらなくなったときは、主務大臣は3月以内の期間を定めて必要な措置を命ずることができ、特例事業者は30日以内に届け出なければなりません(不特法58条7項・8項)。
適格特例投資家限定事業(適格特例投資家のみを相手方又は事業参加者とする1号の行為)も、3条1項の許可の規定が適用されず、あらかじめ主務大臣に届け出て営みます(不特法2条10項・59条1項・2項)。届出をしないで営むと、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方の対象です(不特法77条6号)。また、不特法6条各号(13号を除きます)の欠格に当たる者(不動産特定共同事業者・小規模不動産特定共同事業者を除きます)は、適格特例投資家限定事業を行ってはなりません。不動産取引に係る業務のすべてを宅建業者に委託する場合に限って、6条2号(宅建業の免許)は除かれます(不特法59条4項)。
電子取引業務(インターネットでの契約の申込み)
電子取引業務は、電子情報処理組織を使用する方法など主務省令で定める情報通信の技術を利用する方法で、勧誘の相手方に不動産特定共同事業契約の締結の申込みをさせる業務です(不特法5条1項11号)。国の案内は、電子取引業務を「いわゆるクラウドファンディング事業」と説明しています。
電子取引業務を行うときは、許可の基準としてそのための体制の整備が求められ(不特法7条7号)、許可の後に新たに行うときは変更の認可を受けます(不特法9条1項3号)。行う事業者は、商号などを電子的に公表し、業務管理体制を整備し、業務管理者名簿などの重要な事項を電子的に閲覧できる状態に置きます(不特法31条の2第1項〜3項)。
国の案内では、体制の審査で、31条の2第1項の事項をホームページの見やすい箇所に表示しているか、不特法施行規則54条の業務管理体制が整備されているか、「不動産特定共同事業法の電子取引業務ガイドライン」を遵守できる体制が整っているかを見るとされています。
電子的に移転できる財産的価値に表示される権利に係る契約の勧誘(特定勧誘業務)を行うときは、別表の登録・届出も必要です(不特法6条12号)。
小規模不動産特定共同事業(登録で営む仕組み)
出資の額が小さい事業は、許可ではなく登録で営む仕組みがあります。事業参加者1人の出資の価額が原則100万円、出資の合計額が原則1億円を超えない事業などが対象で(不特法2条6項・不特法施行令2条)、主務大臣又は都道府県知事の登録を受けて営みます(不特法41条1項)。
登録の有効期間は5年で(不特法41条2項)、資本金又は出資の額の基準は1千万円です(不特法施行令11条)。宅建業の免許を受けた法人に限られる点は、許可と同じです(不特法44条1号)。出資の上限の例外や登録の要件、許可との違いは小規模不動産特定共同事業の登録のページで解説しています。
許可後の手続き:変更の認可・届出・事業報告書
許可を受けた後、次の場合は、許可をした主務大臣又は都道府県知事の認可を受けます(不特法9条1項1号〜3号・2項)。
- 種別を変更しようとするとき
- 不動産特定共同事業契約約款を新たに作成し、又は追加・変更しようとするとき(省令で定める軽微なものを除きます)
- 新たに電子取引業務を行おうとするとき
- 事務所を追加して設置しようとするとき
種別の変更、約款の作成・追加・変更、新たな電子取引業務を、認可を受けずに行うと、1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方の対象です(不特法80条2号)。
事務所の都道府県が変わるなどして許可権者が変わるときは、新たな許可権者に許可申請書を提出します(不特法8条1項1号〜3号)。新たな許可を受けると、従前の許可は効力を失います(不特法8条の2)。
許可申請書の記載事項(不特法5条1項各号。5号〜10号を除きます)に変更があったときなどは、30日以内に届け出ます(不特法10条)。届出をしない・虚偽の届出をすると、30万円以下の罰金の対象です(不特法84条1号)。
合併による消滅、破産手続開始の決定による解散、それ以外の理由による解散、事業の廃止のときは、30日以内に届け出ます。これらに当たると、許可は効力を失います(不特法11条1項・2項)。届出をしない・虚偽の届出をすると、100万円以下の過料の対象です(不特法86条)。
事業年度ごとに事業報告書を作成し、毎事業年度経過後3月以内に、許可をした主務大臣又は都道府県知事に提出します(不特法33条)。作成・提出をしないと、50万円以下の罰金の対象です(不特法83条8号)。
許可には、有効期間の規定がありません(不特法3条に有効期間の定めがなく、小規模の登録の5年=41条2項と違います)。ただし、資本金・純資産の基準に適合しなくなれば許可の取消しの対象になり(不特法36条2号)、事業報告書は毎事業年度提出します。
業務のルール
許可を受けた後の主な業務のルールは、次のとおりです。
- 信義を旨とし誠実に業務を行い、不動産の適正かつ合理的な利用の確保と投機的取引の抑制に配慮する(不特法14条1項・2項)
- 自己の名義で他人に不動産特定共同事業を営ませない=名義貸しの禁止(不特法15条)
- 事務所ごとに、公衆の見やすい場所に標識を掲示する(不特法16条1項)
- 広告で、不動産取引による利益の見込みなどについて、著しく事実に相違する表示や著しく人を誤認させる表示をしない(不特法18条3項)
- 勧誘に際し、相手方の判断に影響を及ぼす重要な事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げない。契約の解除を妨げるための不実の告知もしない(不特法20条1項・2項)
- 勧誘に際し、相手方に金銭や有価証券を貸し付けたり、第三者による貸付けを媒介したりしない(不特法22条)
- 契約は、許可又は認可を受けた不動産特定共同事業契約約款に基づいて締結する(不特法23条1項)
- 契約が成立するまでに契約の内容などを書面を交付して説明し、成立したときは遅滞なく成立時の書面を交付する(不特法24条1項・25条1項)
- 事業参加者は、成立時の書面を受領した日から起算して8日を経過するまでの間、書面で契約を解除できる(不特法26条1項)
- 契約に係る財産を、自己の固有財産や他の契約に係る財産と分別して管理し(不特法27条)、事業参加者に定期に財産管理報告書を交付する(不特法28条2項)
- 第一号事業・第三号事業を行う者は、業務と財産の状況を記載した書類を事務所ごとに備えて閲覧させ(不特法29条)、事業参加者名簿を作成・保存する(不特法30条1項)
- 業務上知り得た秘密を漏らさない(不特法31条1項)。業務に関する帳簿書類を作成・保存する(不特法32条)
名称中に「不動産特定共同事業協会」の文字を用いる一般社団法人は、不動産特定共同事業者又は小規模不動産特定共同事業者を社員とする旨の定款の定めがあるものに限られ、会員への指導・勧告や、事業参加者などからの苦情の解決などの業務を行います(不特法62条1項・2項)。
違反したとき:監督処分と罰則
主務大臣又は都道府県知事は、許可を受けた事業者が業務に関し事業参加者に損害を与えたときや、不特法に違反したときなどに、必要な指示をすることができます(不特法34条1項)。業務停止の事由に当たるときは、1年以内の期間を定めて業務の全部又は一部の停止を命ずることができます(不特法35条1項)。
次のときは、許可を取り消すことができます(不特法36条1号〜5号)。
- 宅建業の免許を受けていない法人になったときなど、欠格事由(6条2号・5号・6号・9号〜13号など)に当たるに至ったとき
- 資本金又は純資産の基準に適合しなくなったとき
- 不正の手段で許可を受けたとき
- 許可に付された条件に違反したとき
- 業務停止の事由に当たり情状が特に重いとき、又は業務停止の命令に違反したとき
主な罰則は表2のとおりです。無許可営業、不正の手段による許可、名義貸しは、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方の対象で(不特法77条1号〜3号)、法人には1億円以下の罰金刑が科されます(不特法85条1項2号)。
| 主な違反 | 罰則 | 条文 |
|---|---|---|
| 無許可営業・不正の手段による許可や登録・名義貸し・業務停止の命令への違反・届出をしない適格特例投資家限定事業 ほか | 3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方 | 不特法77条1号〜3号 不特法77条4号 不特法77条5号 不特法77条6号 |
| 勧誘の際の重要な事項の故意の不告知・不実告知、解除を妨げるための不実告知、届出をしない特例事業、特例事業の措置命令への違反・届出の違反 | 1年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方 | 不特法79条1号〜2号 不特法79条3号 不特法79条4号 不特法79条5号 |
| 許可の条件への違反、認可を受けずに種別の変更・約款の作成や追加・変更・新たな電子取引業務を行う(小規模は変更登録を受けずに行う)ほか | 1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方 | 不特法80条1号〜2号 不特法80条5号 |
| 許可申請書・添付書類の虚偽記載、著しく事実に相違する広告、契約成立前・成立時の書面や財産管理報告書の不交付・虚偽記載 ほか | 6月以下の拘禁刑もしくは50万円以下の罰金、またはその両方 | 不特法82条1号〜3号 |
| 業務管理者の要件に抵触する事務所の開設・必要な措置を執らない、事業報告書を作成・提出しない ほか | 50万円以下の罰金 | 不特法83条2号 不特法83条8号 |
| 変更の届出をしない・虚偽の届出、標識の掲示・電子取引業務の公表の違反 ほか | 30万円以下の罰金 | 不特法84条1号〜2号 |
| 廃業等の届出をしない・虚偽の届出 | 100万円以下の過料 | 不特法86条 |
罰金の行の違反では、行為者を罰するほか、法人にも罰金刑が科されます。不特法77条・79条1号・2号・80条3号の違反は法人に1億円以下の罰金刑、ほかの罰金の行は各本条の罰金刑です(不特法85条1項2号・3号)。過料(不特法86条)は対象ではありません。
よくある質問
不特法とは何ですか?
不動産特定共同事業法の略称です。出資を募って不動産取引を営み、その収益や利益を分配する事業や、その契約の締結の代理・媒介などを業として行う者に許可等の制度を設け、事業参加者の利益の保護を図る法律です(不特法1条・2条4項)。
「不特法の免許」とは何ですか?
不特法の手続きは「免許」ではなく「許可」です(不特法3条1項)。ただし、許可を受けられるのは宅建業の免許を受けた法人に限られます(不特法6条2号)。
不動産特定共同事業に必要な資格は何ですか?
法人であること、宅建業の免許を受けていること、事務所ごとに業務管理者(宅建士で、3年以上の実務の経験・指定講習の修了・登録証明事業の証明のいずれかに当たる者)を置くことが必要です。第四号事業を行うときは、特定勧誘業務のみを行う場合を除いて、金融商品取引法29条の登録も必要です(不特法6条1号・2号・13号・17条1項・不特法施行規則21条1項)。このほか、資本金・純資産・財産的基礎と人的構成などの基準も満たす必要があります(不特法7条)。
1号事業から4号事業はどう違いますか?
不特法2条4項1号〜4号のどの行為を行うかの違いです。1号は契約を締結して収益等を分配する行為、2号は契約の締結の代理・媒介、3号は特例事業者の委託を受けて不動産取引に係る業務を行う行為、4号は特例事業者が当事者である契約の締結の代理・媒介です。資本金又は出資の額の基準は、1号が1億円(主務省令で定める法人は2千万円)、2号が1千万円、3号が5千万円、4号が1千万円です(不特法施行令5条)。
不特法の特例事業とは何ですか?
1号の行為を専ら行うことを目的とする法人が、不動産取引に係る業務を第三号事業者(又は小規模第二号事業者)に、勧誘の業務を第四号事業者に委託して行う事業などです。許可の規定は適用されず、あらかじめ主務大臣に届け出て営みます(不特法2条8項・58条1項・2項)。
業務管理者とは何ですか?
事務所ごとに置く従業者で、宅建士であり、かつ、3年以上の実務の経験・指定講習の修了・登録証明事業の証明のいずれかに当たる者です。勧誘や契約の内容の説明などの業務について監督管理を行います(不特法17条1項・不特法施行規則21条1項)。
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