このページは、宅建業(不動産業)を始めるときに事業者としてかかる費用(免許の申請手数料・営業保証金または保証協会の分担金と入会金・事務所の費用)をまとめています。宅建士の資格を取るための費用(登録・宅建士証の交付・講習)は、「宅建合格後の流れ」のページの「合格後の手続きの費用」で解説しています。
開業にかかる費用のうち、額が法令で決まっているのは、大臣免許の登録免許税と、営業保証金(または保証協会の分担金)です。営業保証金は、供託所に供託するか、保証協会に加入して弁済業務保証金分担金を納めるかのどちらかを選びます(宅地建物取引業法(以下「法」)25条1項・64条の13)。主たる事務所の分は、供託する場合は1,000万円、保証協会に加入する場合の分担金は60万円です(宅地建物取引業法施行令(以下「令」)2条の4・7条)。
一方で、知事免許の申請手数料は都道府県の条例で定められ、保証協会の入会金・会費は協会・地方本部ごとに異なります。事務所の賃料や設備の費用も物件ごとに違うため、これらを足した合計の額は、一律には示せません。このページでは、法令で額が決まるものと、都道府県や協会で異なるものを分けて整理します。
このページの目次
開業のときの費用の一覧
開業のときにかかる費用を、表1にまとめました。
| 費目 | 額 | 額を決める所 | 条文 |
|---|---|---|---|
| 大臣免許の登録免許税(新規の申請) | 9万円 | 法律(全国で同じ) | 登録免許税法別表第一 |
| 知事免許の申請手数料 | 都道府県の条例で定める額(標準は33,000円、電子申請は26,500円) | 都道府県の条例 | 地方公共団体の手数料の標準に関する政令(本則の表) |
| 営業保証金(供託する場合) | 主たる事務所1,000万円+その他の事務所ごとに500万円 | 政令(全国で同じ) | 令2条の4 |
| 弁済業務保証金分担金(保証協会に加入する場合) | 主たる事務所60万円+その他の事務所ごとに30万円 | 政令(全国で同じ) | 令7条 |
| 保証協会の入会金・会費など(保証協会に加入する場合) | 協会・地方本部ごとに異なる | 保証協会 | — |
営業保証金の供託と保証協会への加入は、どちらか一方を選びます(法64条の13)。知事免許の申請手数料は、地方公共団体の手数料の標準に関する政令が定める標準額で、実際の額と納め方は、都道府県の条例と手引きで確認できます。大臣免許の新規の申請には、手数料ではなく登録免許税がかかります。事務所の賃料などは物件ごとに異なるため、この表には入れていません。
「額を決める所」が法律・政令の費目は、全国で同じ額です。都道府県の条例や保証協会が額を決める費目は、申請先の都道府県や加入する協会の案内で確かめておきましょう。
免許の申請手数料(知事免許)
知事免許の申請手数料は、都道府県の条例で定められます。表1の額は、地方公共団体の手数料の標準に関する政令が定める標準額で、実際の額は申請先の都道府県の案内で確認できます。電子申請を受け付けているかどうかと、電子で申請したときの手数料も、申請先によって異なります。申請先や必要書類などの手続きは、宅建業免許の新規申請のページで解説しています。
納め方も都道府県ごとに異なり、たとえば沖縄県の手引き(令和7年4月発行)では、手数料を県の証紙で納めるとしています。
大臣免許の登録免許税
大臣免許の新規の申請には、手数料ではなく登録免許税がかかります(法3条6項・登録免許税法別表第一)。額は表1のとおりです。大臣免許の更新には、登録免許税ではなく、令2条1項で定める手数料がかかります。更新の手数料は、宅建業免許の更新(手数料)のページで解説しています。
大臣免許か知事免許かは、事務所の所在で決まります(法3条1項)。免許の区分は、宅建業免許とは(大臣免許と知事免許)で解説しています。
営業保証金を供託する場合
保証協会に加入しない場合は、営業保証金を供託します(法25条1項・64条の13)。額は、主たる事務所とその他の事務所ごとに政令で定められていて(令2条の4)、表1のとおりです。
営業保証金は、金銭のほか、国債などの有価証券でも供託できます(法25条3項)。有価証券を充てる場合は、国債は額面、地方債・政府保証債は額面の90%、その他の債券は額面の80%で評価されます(宅地建物取引業法施行規則15条1項1号〜3号)。
供託して届け出た後でなければ、事業を始めることはできません(法25条5項)。供託所や届出の手順は、営業保証金と保証協会のページで解説しています。
保証協会に加入する場合(分担金・入会金・会費)
保証協会に加入する場合は、営業保証金の代わりに弁済業務保証金分担金を、加入しようとする日までに保証協会に納めます(法64条の9第1項)。分担金の額は、主たる事務所とその他の事務所ごとに政令で定められていて(令7条)、表1のとおりです。
保証協会に加入する場合の費用は分担金だけではなく、協会の入会金・会費などもかかり、額は協会・地方本部ごとに異なります。額は、加入する協会・地方本部の案内で確かめておきましょう。
加入できる保証協会は1つだけです(法64条の4第1項)。たとえば沖縄県の手引き(令和7年4月発行)では、国土交通大臣の指定を受けた保証協会は2団体で、加入できるのはどちらか一方だけと案内しています。同じ手引きでは、社員になるには協会の入会審査があり、分担金のほかに入会金などの諸経費が必要としています。2つの保証協会は、営業保証金と保証協会(2つの保証協会)で解説しています。
事務所にかかる費用
事務所の賃料・内装・設備には、法令で決まった額はありません。ただし、事務所として認められる形(継続性・独立性)は都道府県の審査基準で判断され、要件を満たさない物件を借りると、借り直しの費用がかかります。事務所の要件は、宅建業の事務所の要件のページで解説しています。
物件を契約する前に、図面を持って申請先の都道府県に確認しましょう。
開業した後にかかる費用(更新・事務所の増設)
宅建業免許の有効期間は5年で(法3条2項)、更新のたびに手数料がかかります。大臣免許は令2条1項の手数料、知事免許は都道府県の条例で定める手数料で、更新には登録免許税はかかりません。額は、宅建業免許の更新(手数料)の表で確認できます。
事務所を増やしたときは、営業保証金を供託している業者はその事務所の分を追加で供託し、届け出た後でなければ、新しい事務所で事業を始められません(法26条)。保証協会の社員は、新しい事務所を設置した日から2週間以内に、分担金を追加で納めます(法64条の9第2項)。詳しくは、営業保証金と保証協会(事務所を増やしたとき)で解説しています。
保証協会の会費など、加入した後にかかる費用の額も、協会・地方本部ごとに異なります。
専門家に依頼する場合の報酬
申請そのものにかかる法定の費用は、知事免許の申請手数料(大臣免許の新規の申請では登録免許税)です。申請を専門家に依頼する場合は、その報酬が別にかかります。報酬の額は、行政書士が事務所ごとに定め、事務所の見やすい場所に掲示することになっています(行政書士法10条の2第1項)。額は、依頼先ごとに確かめる必要があります。また、行政書士または行政書士法人でない者が、他人の依頼を受け、名目を問わず報酬を得て、申請書類の作成を業として行うことは、法律に別段の定めがある場合などを除き、禁止されています(行政書士法19条1項)。申請書類の作成をうたう業者に頼むときは、この点も確かめておくと安心です。
よくある質問
宅建業を始めるのに、いくらかかりますか?
令2条の4・7条の定めでは、主たる事務所の分は、営業保証金を供託する場合は1,000万円、保証協会に加入する場合の分担金は60万円で、どちらか一方が必要です。この額と、大臣免許の場合の登録免許税が、法令で額が決まっている費用です。知事免許の申請手数料は都道府県の条例、保証協会の入会金・会費は協会ごとに異なり、事務所の費用も物件ごとに違うため、合計の額は一律ではありません。
保証協会に加入しないで、開業できますか?
開業できます。その場合は、営業保証金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託し、免許権者に届け出た後でなければ、事業を始められません(法25条1項・5項)。
宅建業免許の申請手数料は、いくらですか?
知事免許の申請手数料は、都道府県の条例で定められます(政令の標準額は表1)。大臣免許の新規の申請では、手数料ではなく登録免許税がかかります(登録免許税法別表第一)。
免許の更新にも、費用はかかりますか?
かかります。大臣免許は令2条1項の手数料、知事免許は都道府県の条例で定める手数料です。更新には、登録免許税はかかりません。
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宅建業免許の全体像は宅建業免許とは、営業保証金と保証協会の手続きは営業保証金と保証協会、事務所の要件は宅建業の事務所の要件、免許の更新は宅建業免許の更新のページで解説しています。