宅建業をやめるとき、宅建業者が死亡したとき、宅建業者について破産手続開始の決定があったとき、法人が解散したときは、法で決められた人が、その日(死亡の場合は、相続人がその事実を知った日)から30日以内に、免許を受けた国土交通大臣または都道府県知事に廃業等の届出をします(宅地建物取引業法(以下「法」)11条1項)。破産の場合も、届け出るのは破産管財人で、期限は同じ30日以内です。
営業保証金を供託していた場合は、還付を受ける権利を持つ人に向けて、6か月を下らない一定の期間を定めて申し出るよう官報で公告し、その期間内に申出がなかったときに営業保証金を取り戻します(法30条1項・2項、宅地建物取引業者営業保証金規則(以下「営業保証金規則」)7条1項)。公告をせずに取り戻せる場合は、条文では限られています。保証協会の社員だった場合は、業者が営業保証金の取戻しの公告をする手続きはありませんが、協会が6か月を下らない期間を定めて公告し、その期間が過ぎた後に分担金が返還されます(法64条の11第2項〜4項)。
このページでは、届出が必要な5つの場合と届け出る人、免許の失効と届け出ないときの扱い、届出書と免許証の返納、廃業した後の取引、営業保証金を取り戻せる場合と公告の手順、公告が要らない場合、保証協会の社員だった場合を、順に整理します。
このページの目次
廃業等の届出が必要な5つの場合と、届け出る人
廃業等の届出が必要になるのは、法11条1項の5つの場合です。届け出る人は場合ごとに決まっていて、宅建業者本人とは限りません。表1にまとめました。
| 場合(法11条1項) | 届け出る人 | 届出の期限 | 免許の効力 | 条文 |
|---|---|---|---|---|
| 1号 宅建業者の死亡 | その相続人 | 相続人がその事実を知った日から30日以内 | 届出によって効力を失う場合には挙がっていない(注記) | 法11条1項1号 |
| 2号 法人の合併による消滅 | その法人を代表する役員であった者 | その日から30日以内 | 届出によって効力を失う場合には挙がっていない(注記) | 法11条1項2号 |
| 3号 破産手続開始の決定 | その破産管財人 | その日から30日以内 | 届出があったときに効力を失う | 法11条1項3号 法11条2項 |
| 4号 合併・破産手続開始の決定以外の理由による解散 | その清算人 | その日から30日以内 | 届出があったときに効力を失う | 法11条1項4号 法11条2項 |
| 5号 宅建業の廃止 | 宅建業者であった個人、または宅建業者であった法人を代表する役員 | その日から30日以内 | 届出があったときに効力を失う | 法11条1項5号 法11条2項 |
届出がなくて3号〜5号の事実が判明したときは、免許は取り消されます(法66条1項7号)。1号・2号の場合の免許の失効の時点は、本文の「免許の失効と、届け出ないとき」で説明しています。
期限は、どの場合も「その日から30日以内」です。死亡(1号)の場合だけ、起算点が「相続人がその事実を知った日」になります。
届出先は、免許を受けた国土交通大臣または都道府県知事です(法11条1項)。大臣免許の業者の届出は、本店(主たる事務所)の所在地を管轄する地方整備局長等が受け付けます(宅地建物取引業法施行規則(以下「規則」)32条1項8号)。
4号の「解散」と5号の「廃止」は、別の場合です。4号は、法人が合併と破産手続開始の決定以外の理由で解散した場合で、届け出るのは清算人です。5号は、宅建業を廃止した場合で、届け出るのは個人の業者本人か、法人を代表する役員です。法人が解散せずに宅建業だけをやめるときは、5号の廃止に当たると読めます。ほかの届出の期限とあわせて、宅建業免許を受けた後の届出と期限の一覧(廃業等の届出)でもまとめています。
免許の失効と、届け出ないとき
破産手続開始の決定・解散・廃止(3号〜5号)の届出があったときは、免許は効力を失います(法11条2項)。免許権者は、宅建業者名簿からその業者の部分を消除します(規則6条1項2号)。
死亡と合併による消滅(1号・2号)は、法11条2項に挙がっていません。宅建業者名簿は、1号・2号の届出があったとき、または届出がなくてその事実が判明したときに消除されます(規則6条1項3号)。沖縄県の手引き(令和7年4月発行)では、個人の死亡・法人の合併による解散の場合は、届出を待たずに事実の発生日に免許が失効すると案内しています。
届出をしないまま、破産手続開始の決定・解散・廃止に当たる事実が判明したときは、免許は取り消されます(法66条1項7号)。法66条1項は「取り消さなければならない」と定めていて、免許権者に取り消すかどうかを選ぶ余地はありません。宅建業法の罰則の条(79条〜86条)には、廃業等の届出をしなかったことを挙げる号はありませんが、届出をせずに放置してよいという意味ではありません。
これとは別に、処分を逃れるための届出にも定めがあります。不正の手段による免許の取得、業務停止処分の事由に当たり情状が特に重いこと、業務停止処分への違反(法66条1項8号・9号)を理由とする免許の取消処分について、聴聞の期日と場所が公示された後、処分の日(または処分をしないと決める日)までに解散や廃止の届出をした者は、相当の理由がある場合を除き、届出の日から5年間は免許を受けられません(法5条1項3号)。法人の場合は、公示の日前60日以内にその法人の役員であった者も同じです(同4号)。
届出は、一度出すと取り消せないことがあります。沖縄県の手引きでは、廃止・解散・破産の届出は提出によって免許が失効するため、提出した後に撤回することはできないとしています。進行中の取引がある場合の扱い(下の「廃業した後の取引」)を確かめてから、届出の時期を決めておくと安心です。
届出書と免許証の返納
廃業等の届出は、規則の別記様式第三号の五の廃業等届出書で行います(規則5条の4)。届出をする人は、免許を受けた国土交通大臣または都道府県知事に、免許証を返納します(規則4条の4第2項)。
添付書類と提出の方法は、申請先の案内によります。たとえば沖縄県の手引き(令和7年4月発行)では、どの理由でも免許証を添付し、死亡の場合は戸籍謄本、合併による消滅と解散の場合は登記事項証明書、破産の場合は破産管財人の選任を証する書面を添付するとしています(廃止の場合は免許証のほかは不要としています)。また、廃業等の届出には、原則として代表者の来庁が必要であるとしています。書類と提出の方法は、都道府県・地方整備局等によって異なります。
免許は、申請した人ごとに受けるものです(法3条1項)。相続人などの一般承継人が宅建業者とみなされるのは、すでに締結した契約に基づく取引を結了する範囲に限られます(法76条)。そのため、個人の業者が亡くなったときに、相続人が免許をそのまま引き継いで宅建業を続けることはできないと読めます。沖縄県の手引きでも、宅建業を引き継ぐ子は新規に免許を申請すること、法人も免許の譲渡はできないことを案内しています。新しく免許を受ける手続きは、宅建業免許の新規申請(個人から法人に切り替えるとき)で解説しています。
廃業した後の取引(みなし業者)
有効期間の満了、法11条2項による免許の失効、死亡・合併による消滅、免許の取消しの後も、宅建業者であった者やその一般承継人は、その業者が締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内では、なお宅建業者とみなされます(法76条)。
みなされるのは、すでに締結した契約の取引を終えるための範囲です。新しい契約を結んでよい、とは読めません。この範囲を超えて宅建業を営めば無免許営業となり、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金に処され、またはこれらを併科されます(法12条1項・79条2号)。また、免許を受けていない者は、宅建業を営む旨の表示や広告もできません(法12条2項・82条2号)。廃業した後は、事務所の看板やWebサイトの表示も見直しておきましょう。
みなし業者は、営業保証金を取り戻す者から除かれています(法30条1項のかっこ書)。進行中の取引を終えてから、営業保証金の取戻しに進む順になると読めます。
営業保証金を取り戻せる場合
取戻しの手続きは、開業のときに営業保証金を供託したか、保証協会の社員になったかで分かれます。保証協会の社員だった場合は、下の「保証協会の社員だった場合」をご覧ください。
営業保証金を供託していた場合は、次のときに、宅建業者であった者またはその承継人(みなし業者を除きます)が、営業保証金を取り戻すことができます(法30条1項前段)。
- 免許の有効期間が満了したとき(更新を受けなかったとき)
- 破産手続開始の決定・解散・廃止の届出で、免許が効力を失ったとき(法11条2項)
- 宅建業者が死亡したとき、法人が合併で消滅したとき
- 免許を取り消されたとき(法25条7項・66条・67条1項)
宅建業を続けながら取り戻せる場合もあります。一部の事務所を廃止して、営業保証金の額が政令で定める額を超えることになったときの超過額と、主たる事務所の移転で新たに供託したときの、移転前の供託所の営業保証金です(法30条1項後段)。また、保証協会の社員になって営業保証金の供託が要らなくなったときも、供託していた営業保証金を取り戻せます(法64条の14第1項)。取戻しの概要は、営業保証金と保証協会(取戻し)でも解説しています。
取戻しの公告の手順(官報・届出・証明書・供託所)
廃業などで営業保証金を取り戻すときは、次の順に進みます。
- 廃業等の届出をする:その日から30日以内に、免許権者に届け出ます(法11条1項)。破産・解散・廃止の場合は、この届出で免許が効力を失い、取戻しができる事由が生じます(法11条2項・30条1項)。そのため、届出の後に公告をする順になると読めます。
- 官報に公告する:公告には、①商号・名称または氏名(法人は代表者の氏名)と事務所の所在地、②営業保証金の額、③還付を受ける権利を持つ者は、6か月を下らない一定期間内に、債権の額・債権が生じた原因の事実・住所と氏名を書いた申出書2通を免許権者に提出すべきこと、④申出書の提出がなければ営業保証金が取り戻されること、を載せます(営業保証金規則7条1項1号〜4号)。公告をするのは、宅建業者であった者またはその承継人です(同7条1項)。
- 免許権者に届け出る:公告をしたら、遅滞なく、その旨を免許権者に届け出ます(営業保証金規則7条3項)。
- 公告の期間が過ぎたら、証明書の交付を請求する:公告で定めた期間内に申出書の提出がなかったときは、その旨の証明書の交付を免許権者に請求できます。申出書の提出があったときは、申出書と、申出に係る債権の総額に関する証明書の交付を請求できます(営業保証金規則8条1項・2項)。
- 供託所に取戻しを請求する:営業保証金を供託した供託所に、供託物払渡請求書を出します。添付する書類は、申出がなかった場合は4の証明書で足ります(営業保証金規則9条1号)。申出があった場合は、4の書類と、申出に係る権利が存在しないこと・消滅したことを証する書面です(同9条2号)。
公告の期間は、法が「6か月」と決めているのではなく、「6か月を下らない一定期間」を業者が公告の中で定めます(法30条2項)。公告の中身は、還付を受ける権利を持つ者に申出を求めるものです。宅建業をやめたことを知らせるだけの公告では、取戻しの要件を満たしません。
解釈・運用の考え方では、大臣免許の業者が公告の届出をするときは、公告が載った官報の該当頁を添付させ、地方整備局長等の判断により郵送でも受け付ける扱いです。証明書の交付の申請も、返信用封筒を添付させて郵送で受け付けるとしています。大臣免許の場合、営業保証金規則の国土交通大臣の権限(公告の届出の受理・証明書の交付など)は、免許を受けた地方整備局長等に委任されています(営業保証金規則11条)。知事免許の場合の受付の方法は、都道府県によって異なります。
手続きの例として、沖縄県の手引き(令和7年4月発行)では、廃業等届出書の提出、県による名簿の消除、官報への公告、官報の写しを添付した「営業保証金取戻し公告済届出書」の提出、公告から6か月を下らない日数が過ぎた後の証明書の交付請求(証明手数料が必要)、証明書の交付、供託した法務局への請求、という流れを案内しています。届出書の名前や手数料は、都道府県によって異なります。
公告が要らない場合
営業保証金の取戻しには、原則として公告が要ります。条文で公告が要らないとされているのは、次の2つの場合です(法30条2項)。
- 主たる事務所の移転で新たに供託した場合の、移転前の供託所の営業保証金(法30条2項本文のかっこ書)
- 取り戻すことができる事由が生じた時から10年を経過したとき(同項ただし書)
このほか、保証協会の社員になって営業保証金の供託が要らなくなった場合の取戻し(法64条の14第1項)は、同条2項が法30条2項の公告の定めを準用していないため、公告なしで取り戻せると読めます。この場合、供託所への払渡請求書には、保証協会の社員となったことを証する免許権者の書面を添付します(営業保証金規則10条)。また、有価証券の償還などで供託物を差し替えたときの旧供託物の取戻しは、解釈・運用の考え方で公告を要しない扱いとされています。根拠の種類の違いを、表2にまとめました。
| 取り戻す場合 | 公告 | 根拠の種類 | 条文 |
|---|---|---|---|
| 廃業・免許の失効・免許の取消し | 要る(6か月を下らない一定期間を定めて官報に公告する) | 条文 | 法30条1項 法30条2項 宅地建物取引業者営業保証金規則7条1項1号〜4号 |
| 一部の事務所を廃止したときの超過額 | 要る(廃業のときと同じ事項を官報に公告する。営業保証金の額は、取り戻す額を載せる) | 条文 | 法30条1項 法30条2項 宅地建物取引業者営業保証金規則7条2項 |
| 主たる事務所の移転で新たに供託した場合の、移転前の供託所の分 | 要らない(法の本文のかっこ書) | 条文 | 法30条2項 |
| 取り戻す事由が生じてから10年を経過したとき | 要らない(法のただし書) | 条文 | 法30条2項 |
| 保証協会の社員になって供託が要らなくなった分 | 要らないと読める(払渡請求書に、社員となったことを証する免許権者の書面を添付する) | 条文の読み(公告の定めを準用していない) | 法64条の14第1項〜2項 宅地建物取引業者営業保証金規則10条 |
| 有価証券の償還などで供託物を差し替えたときの旧供託物 | 要しない扱い | 解釈・運用の考え方 | 規則15条の4の2 |
| 保証協会の社員だった業者の廃業 | 業者が営業保証金の取戻しの公告をする手続きはない。協会が6か月を下らない一定期間を定めて公告し、その後に分担金を返還する | 協会の公告は条文、業者の公告がないことは条文の読み | 法64条の11第2項 法64条の11第3項 法64条の11第4項〜5項 |
条文で公告が要らないとされているのは、3行目と4行目の2つです(法30条2項)。5行目は法64条の14が法30条2項を準用していないことからの読み、6行目は解釈・運用の考え方の扱いで、根拠の種類が異なります。
廃業・免許の失効・免許の取消しの場合と、一部の事務所を廃止したときの超過額の取戻しには、公告が要ります(法30条2項・営業保証金規則7条1項・2項)。支店を閉じたときも、超過額を取り戻すには公告の手続きがあります。表2の「要らない」「要らないと読める」は根拠の種類が異なるので、手続きに進む前に、免許権者と供託所の案内で確かめておきましょう。
保証協会の社員だった場合(分担金の返還)
保証協会の社員は営業保証金を供託していないので(加入のときに取り戻している場合を含みます)、廃業のときに、業者自身が営業保証金の取戻しの公告(法30条2項)をする場面はないと読めます。
ただし、社員が社員の地位を失ったときは、保証協会が、その社員だった者の取引で生じた債権を持つ者に対し、6か月を下らない一定期間内に認証を受けるため申し出るよう公告します(法64条の11第4項)。期間内に申出のなかった債権は、認証を受けられません(同5項)。
保証協会は、社員だった者が納付した分担金の額に相当する弁済業務保証金を取り戻し、同じ額の分担金を返還します。社員の地位を失ったときの返還は、この公告の期間が過ぎた後で、協会に対する債務や還付充当金の債務があるときは、その弁済が済んだ後です(法64条の11第1項〜3項)。保証協会の社員だった場合も公告の手続きはあり、公告をするのが業者ではなく協会だ、という違いです。退会の手続きや返還の時期の具体的な扱いは、加入している協会の案内で確認できます。
廃業ではなく、保証協会だけを抜けて宅建業を続けるときは、社員の地位を失った日から1週間以内に営業保証金を供託しなければなりません(法64条の15)。分担金の額や協会の仕組みは、営業保証金と保証協会(保証協会に加入する場合)で解説しています。
よくある質問
宅建業の廃業届は、いつまでに出しますか?
廃業・解散・破産などの日から30日以内です。死亡の場合は、相続人が死亡の事実を知った日から30日以内です(法11条1項)。破産の場合は破産管財人が、解散の場合は清算人が届け出ます。
廃業届を出さないとどうなりますか?
届出がなくて、破産手続開始の決定・解散・廃止に当たる事実が判明したときは、免許は取り消されます(法66条1項7号)。宅建業法の罰則の条には、廃業等の届出をしなかったことを挙げる号はありません。
営業保証金を取り戻すには公告が必要ですか?
原則として、官報で6か月を下らない期間を定めて公告し、その期間内に申出がなかった場合に取り戻します(法30条2項)。条文で公告が要らないとされているのは、取り戻す事由が生じてから10年を経過したときと、主たる事務所の移転で新たに供託した場合の移転前の供託所の分です。保証協会の社員になって取り戻す場合は、公告なしで取り戻せると読める扱いで、条文の2つとは根拠の種類が異なります。扱いは、免許権者と供託所の案内で確認できます。
取戻しの公告は誰がしますか?
廃業や免許の失効などの場合は、宅建業者であった者またはその承継人です(取引の結了のためのみなし業者を除きます。営業保証金規則7条1項)。一部の事務所を廃止した超過額を取り戻すときは、宅建業者自身です(同7条2項)。公告をしたら、遅滞なく免許権者に届け出ます(同7条3項)。
保証協会の社員だった場合も公告は必要ですか?
業者が営業保証金の取戻しの公告をする手続きはありません。社員の地位を失ったときは、保証協会が6か月を下らない期間を定めて公告し、その期間が過ぎた後に分担金が返還されます(法64条の11第2項〜4項)。
関連するページ
免許を受けた後の届出と期限は宅建業免許を受けた後の届出と期限の一覧、営業保証金と保証協会の仕組みは営業保証金と保証協会のページで解説しています。更新をしないで有効期間が満了したときの扱いは宅建業免許の更新(更新を忘れたとき)、事務所に備える従業者名簿と帳簿は宅建業の従業者名簿と標識・報酬額の掲示・帳簿のページをご覧ください。