不動産特定共同事業

小規模不動産特定共同事業の登録|出資の上限・要件・許可との違いを条文で整理

法令基準日
執筆
宅建試験講師(宅建の問題集・学習アプリの作者)

このページは、小規模不動産特定共同事業の登録を受けて事業を営もうとする事業者(宅建業の免許を受けた法人)に向けて、登録の要件と手続きをまとめています。小規模な不動産クラウドファンディングなどへの出資を検討している方に向けた内容ではありません。個別の商品や事業者の比較は扱っていません。

不動産特定共同事業法(以下「不特法」)では、事業参加者の出資の価額と出資の合計額が政令で定める上限(原則として1人100万円・合計1億円)を超えない事業を、小規模不動産特定共同事業としています。小規模不動産特定共同事業は、3条1項の許可ではなく、主務大臣又は都道府県知事の登録を受けて営む仕組みです(不特法2条6項・41条1項)。登録の有効期間は5年です(不特法41条2項)。

登録を受けられるのは宅建業の免許を受けた法人に限られます。そのうえで、資本金又は出資の額が1千万円以上であること、純資産が資本金又は出資の額の100分の90以上であること、財産的基礎と人的構成の基準を満たすこと、事務所ごとに業務管理者を置くことなどの要件があります(不特法44条1号〜3号・6号・8号・不特法施行令11条・不特法施行規則64条)。不動産特定共同事業の許可の制度の全体は、不動産特定共同事業の許可のページで解説しています。

このページでは、2つの型、出資の上限、登録と更新、登録の要件、業務管理者、登録の申請、許可との違い、登録の後の手続き、業務のルールと罰則を条文で整理します。

このページの目次
  1. 小規模不動産特定共同事業とは(2つの型)
  2. 出資の上限(1人100万円・合計1億円が原則)
  3. 登録と更新(有効期間5年)
  4. 登録の要件:法人・宅建業の免許・資本金・財産的基礎
  5. 業務管理者と業務管理者講習
  6. 登録の申請:申請先・書類・登録免許税・期間
  7. 許可(不動産特定共同事業)との違い
  8. 登録後の手続き:変更登録・届出・廃業
  9. 業務のルール
  10. 違反したとき:無登録・取消し

小規模不動産特定共同事業とは(2つの型)

小規模不動産特定共同事業は、次のどちらかの行為を業として行うものです(不特法2条6項1号・2号)。

  • 2条6項1号の事業:自ら不動産特定共同事業契約を締結し、その契約に基づき営まれる不動産取引から生ずる収益又は利益の分配を行う行為(不特法2条4項1号)で、事業参加者の出資の価額と合計額が政令の金額を超えないもの
  • 小規模第二号事業:特例事業者の委託を受けて、その特例事業者が当事者である契約に基づき営まれる不動産取引に係る業務を行う行為(不特法2条4項3号)で、事業参加者の出資の価額と合計額が政令の金額を超えないもの(呼び名は不特法2条8項2号)

どちらの型も、契約は任意組合型・匿名組合型(不特法2条3項1号・2号)に限られます(2条6項1号のかっこ書が「次号において同じ」としているため、小規模第二号事業にもこの限定がかかります)。登録を受けて小規模不動産特定共同事業を営む者が、小規模不動産特定共同事業者です(不特法2条7項)。

法に呼び名があるのは「小規模第二号事業」だけなので、このページでは1つ目の型を「2条6項1号の事業」と書きます。契約の型の説明は、不動産特定共同事業の契約の型をご覧ください。

出資の上限(1人100万円・合計1億円が原則)

政令で定める出資の上限は、型ごとに表1のとおりです(不特法施行令2条1項・2項)。

表1 小規模不動産特定共同事業の出資の上限
型(不特法2条6項) 1人の出資の価額 出資の合計額 条文
2条6項1号の事業 100万円(特例投資家は1億円) 1億円 不特法施行令2条1項1号〜2号
小規模第二号事業(2条6項2号) 100万円(特例投資家は1億円) 1億円(業務を委託する特例事業者が2以上あり、特例事業者ごとの合計額が1億円を超えない場合は10億円) 不特法施行令2条2項1号〜2号

事業参加者1人の出資の価額の上限は100万円で、事業参加者が特例投資家(銀行・信託会社など主務省令で定める者と、資本金の額が5億円以上の株式会社)であれば1億円です(不特法施行令2条1項1号・2項1号・不特法2条13項・不特法施行規則4条)。

出資の合計額の上限は、原則として1億円です。小規模第二号事業では、業務を委託する特例事業者が2以上あり、特例事業者ごとの出資の合計額が1億円を超えない場合に限って、合計額の上限が10億円になります(不特法施行令2条2項2号)。この条件に当たらなければ、上限は1億円のままです。

国土交通省の「不動産特定共同事業の監督に当たっての留意事項について」は、この上限を、同一の事業者に1人の事業参加者が出資できる額の上限と、その事業者が営むすべての小規模不動産特定共同事業の出資の合計額の上限としています。そのうえで、事実上一つの事業を合理的な理由なく分けて、上限を実質的に超える事業を行うことは、法の趣旨に照らして不適切であると考えられるとし、そのような場合には指示(不特法51条1項)などが必要となる場合があることに留意するとしています。なお、出資の価額と合計額は、基本的に出資がなされたときの価額で判断し、元本の実質的な返還があったときは、基本的に返還された額を控除して扱うこととされています。

登録と更新(有効期間5年)

登録権者は主務大臣です。1つの都道府県の区域内のみに事務所を設置し、小規模第二号事業を行わないときは、その事務所の所在地を管轄する都道府県知事の登録になります(不特法41条1項)。小規模第二号事業を行うときは、事務所が1つの都道府県だけにあっても主務大臣の登録です。どの大臣が主務大臣になるかは、許可と同じく事業の内容で分かれます(不特法73条1項1号・2号)。

登録の有効期間は、登録の日から起算して5年です(不特法41条2項)。有効期間の満了後も引き続き営むには、登録の更新を申請します(不特法41条3項)。更新の申請期間は、有効期間の満了する日の前日の3月前の日から2月前の日までです(不特法施行令9条)。

更新の申請をした場合に、有効期間の満了の日までに処分がされないときは、処分がされるまで従前の登録が効力を持ちます。更新されたときの有効期間は、従前の有効期間の満了の日の翌日から起算して5年です(不特法41条4項・5項)。これは処分が遅れた場合の定めで、申請期間を過ぎてから申請してよいという意味ではありません。

登録の要件:法人・宅建業の免許・資本金・財産的基礎

主務大臣又は都道府県知事は、登録の申請をした者が次のどれかに当たるときは、登録を拒否しなければなりません(不特法44条1号〜10号)。

  • 不特法6条各号(13号を除きます)の欠格に当たる者(1号)。法人でない者、宅建業法3条1項の免許を受けていない法人もここに入ります
  • 資本金又は出資の額が1千万円に満たない者(2号・不特法施行令11条)
  • 純資産(資産の合計額から負債の合計額を控除した額)が、資本金又は出資の額の100分の90に相当する額に満たない者(3号)
  • 申請前5年以内に不動産特定共同事業に関し不正又は著しく不当な行為をした者、役員・政令で定める使用人にそうした者がいる者(4号・5号)
  • 事務所が業務管理者の要件を満たさない者(6号)
  • 不動産特定共同事業契約約款の内容が政令の基準に適合しない者(7号)
  • 財産的基礎と人的構成が主務省令の基準に適合すると認められない者(8号)
  • 電子取引業務を行うのに、そのための体制が整備されていると認められない者(9号)
  • 第一号事業・第三号事業を行う不動産特定共同事業者(10号)

8号の財産的基礎は、次のすべてに当たることが基準です(不特法施行規則64条1号)。

  • 借入金に、次のいずれかに当たるものがない:元本・利息の弁済の見込みがないもの/約定の支払日の翌日から3月以上遅延しているもの/経営再建や支援のために金利の減免・返済猶予・債権放棄などの取決めをしたもの
  • 特別清算・破産・民事再生・会社更生の申立てや手続中、清算中でない
  • 直前2年の各事業年度に当期純損失が生じていない

人的構成は、法令などの遵守を管理・指導する管理部門の責任者が定められ、遵守の体制が整っていること、管理部門の責任者と小規模不動産特定共同事業の業務の部門の担当者・責任者が兼任していないことの、両方が基準です(不特法施行規則64条2号)。

資本金と純資産の基準を満たしていても、それだけで登録を受けられるわけではありません。宅建業の免許を受けた法人であること、財産的基礎と人的構成、業務管理者、欠格事由が別に審査されます(不特法44条各号)。宅建業の免許の制度は宅建業免許とはのページで解説しています。

業務管理者と業務管理者講習

小規模不動産特定共同事業者も、事務所ごとに業務管理者を置きます。業務管理者は従業者で、宅建士であり、かつ、3年以上の実務の経験・主務大臣が指定する講習の修了・登録証明事業の証明のいずれかに当たる者です(不特法50条2項で17条1項を準用・不特法施行規則71条で21条を準用)。

国の案内(令和5年12月末時点)では、小規模不動産特定共同事業には、指定講習として小規模不動産特定共同事業「業務管理者講習」があるとされています。講習を修了しても、宅建士であることが別に必要です(不特法50条2項で準用する17条1項)。

国土交通省の「不動産特定共同事業の監督に当たっての留意事項について」は、小規模の登録の審査でも、許可と同じ業務管理者の要件(原則として事務所に常勤、専任を要する業務に従事する者は特別な事情がない限り業務管理者と認められない、など)に留意するとしています。宅建業の専任の宅建士との関係を含めて、不動産特定共同事業の業務管理者で解説しています。

登録の申請:申請先・書類・登録免許税・期間

登録を受けようとする者は、主務大臣又は都道府県知事に登録申請書を提出します。記載事項は、商号、役員の氏名、事務所と事務所ごとの業務管理者の氏名、資本金又は出資の額、宅建業の免許に関する事項、種別、特定勧誘業務・電子取引業務に関する事項、他の事業の種類などです。定款、登記事項証明書、事務所が業務管理者の要件を備えていることを証する書面、約款などを添付します(不特法42条1項・2項)。

主務大臣がする登録には、登録免許税が1件につき15万円(更新の登録を除きます)、種別の増加に係る変更の登録には1件につき3万円かかります(登録免許税法別表第一 百五十(三)(四))。都道府県知事の登録には登録免許税法の定めがありません。ただし、知事の登録の窓口・手数料・書類の扱いは都道府県によって異なります。

主務大臣は、登録の申請が到達してから処分するまでの期間を60日以内とするよう努めるとされています。補正や申請の内容の変更、資料の追加に要する期間は含まれません(不特法施行規則89条1項・2項)。都道府県知事の登録にかかる期間は、都道府県によって異なります。

許可(不動産特定共同事業)との違い

小規模不動産特定共同事業の登録は、3条1項の許可の規定にかかわらず、出資の上限の範囲で営める仕組みです(不特法41条1項)。許可との主な違いを表2にまとめました。

表2 不動産特定共同事業の許可と小規模不動産特定共同事業の登録の違い
項目 不動産特定共同事業の許可 小規模不動産特定共同事業の登録 条文
手続き 主務大臣又は都道府県知事の許可 主務大臣又は都道府県知事の登録 不特法3条1項
不特法41条1項
資本金又は出資の額 種別ごとに1千万円〜1億円 1千万円 不特法施行令5条1号〜4号
不特法施行令11条
出資の上限 小規模の上限の適用なし 事業参加者ごとに100万円・合計1億円が原則 不特法施行令2条1項1号〜2号
不特法施行令2条2項1号〜2号
有効期間 有効期間の規定なし(注記) 5年(更新の申請が要る) 不特法41条2項〜5項
登録免許税(主務大臣がする場合) 15万円 15万円(更新を除く) 登録免許税法別表第一
処分までの期間(主務大臣が努めるとされる期間) 90日 60日 不特法施行規則89条1項〜2項

どちらも、宅建業の免許を受けた法人であること・純資産が資本金又は出資の額の100分の90以上であること・事務所ごとに業務管理者を置くことが必要です(不特法6条1号・2号・7条2号・4号・44条1号・3号・6号)。許可に有効期間の規定はありませんが、資本金・純資産の基準に適合しなくなると許可の取消しの対象になり(不特法36条2号)、事業報告書は事業年度ごとに提出します(不特法33条)。登録免許税は主務大臣がする許可・登録にかかるもので、都道府県知事の許可・登録には登録免許税法の定めがありません。

第一号事業・第三号事業を行う不動産特定共同事業者は、登録を受けられません(不特法44条10号)。登録を受けた後に、第一号事業又は第三号事業の許可(又はそれらを行う旨の変更の認可)を受けると、登録は効力を失います(不特法55条)。許可の制度の全体は不動産特定共同事業の許可のページをご覧ください。

登録後の手続き:変更登録・届出・廃業

次のときは、登録をした主務大臣又は都道府県知事の変更登録を受けます(不特法46条1項・2項)。

  • 種別を変更しようとするとき
  • 不動産特定共同事業契約約款を追加又は変更しようとするとき(省令で定める軽微なものを除きます)
  • 新たに電子取引業務を行おうとするとき
  • 事務所を追加して設置しようとするとき

種別の変更、約款の追加・変更、新たな電子取引業務を、変更登録を受けずに行うと、1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方の対象です(不特法80条5号)。

種別や事務所の所在地の変更で新たに登録を受けたときは、従前の登録は効力を失います(不特法45条)。登録申請書の記載事項(不特法42条1項各号。5号〜7号を除きます)に変更があったときなどは、30日以内に届け出ます(不特法47条1項)。届出をしない・虚偽の届出をすると、30万円以下の罰金の対象です(不特法84条1号)。

合併による消滅、破産手続開始の決定による解散、それ以外の理由による解散、事業の廃止のときは、30日以内に届け出ます。これらに当たると、登録は効力を失います(不特法48条1項・2項)。届出をしない・虚偽の届出をすると、100万円以下の過料の対象です(不特法86条)。

事業報告書は、許可の場合と同じく事業年度ごとに作成し、毎事業年度経過後3月以内に提出します(不特法57条で33条を準用)。

業務のルール

小規模不動産特定共同事業者は、契約の締結の勧誘をするときに、相手方に、その契約に基づき事業を営む者が小規模不動産特定共同事業者であることなどを告げなければなりません(不特法50条1項)。

名義貸しの禁止、標識の掲示、業務管理者、広告の規制、不当な勧誘の禁止、約款に基づく契約、契約成立前・成立時の書面、書面による解除(成立時の書面を受領した日から起算して8日を経過するまで)、財産の分別管理、財産管理報告書など、不特法第3章の業務の規定は、一部を除いて小規模不動産特定共同事業にも準用されます(不特法50条2項)。それぞれの中身は、不動産特定共同事業の許可のページの「業務のルール」で解説しています。

違反したとき:無登録・取消し

小規模不動産特定共同事業は、登録を受けた者が3条1項の許可の規定にかかわらず営める、という仕組みです(不特法41条1項)。そのため、登録も許可も受けずに営むと、3条1項に違反して許可を受けないで営んだことになると考えられます。無許可営業は、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方の対象です(不特法77条1号)。不正の手段で登録を受けた者も、同じ罰則の対象です(不特法77条5号)。

主務大臣又は都道府県知事は、登録を受けた事業者に必要な指示をすることができ(不特法51条1項)、1年以内の期間を定めて業務の全部又は一部の停止を命ずることができます(不特法52条1項)。次のときは、登録を取り消すことができます(不特法53条1号〜4号)。

  • 欠格事由に当たるに至ったとき
  • 資本金又は純資産の基準に満たなくなったとき
  • 不正の手段で登録を受けたとき
  • 業務停止の事由に当たり情状が特に重いとき、又は業務停止の命令に違反したとき

主な罰則は、不動産特定共同事業の許可のページの表2にまとめています。

よくある質問

小規模不動産特定共同事業の出資の上限はいくらですか?

原則として、事業参加者1人の出資の価額が100万円(特例投資家は1億円)、出資の合計額が1億円です。小規模第二号事業で、業務を委託する特例事業者が2以上あり、特例事業者ごとの合計額が1億円を超えない場合は、合計額の上限が10億円です(不特法施行令2条)。

小規模不動産特定共同事業の登録に必要な資本金はいくらですか?

資本金又は出資の額は1千万円以上です(不特法施行令11条)。あわせて、純資産が資本金又は出資の額の100分の90以上であること(不特法44条3号)、宅建業の免許を受けた法人であること、財産的基礎と人的構成の基準を満たすこと、業務管理者を置くことなども要件です(不特法44条各号)。

登録の有効期間はありますか?

登録の日から起算して5年です。更新の申請は、有効期間の満了する日の前日の3月前の日から2月前の日までに行います(不特法41条2項・不特法施行令9条)。

不動産特定共同事業の許可とどう違いますか?

出資の額に上限(不特法施行令2条)がある事業を、許可ではなく登録(有効期間5年・更新あり)で営む仕組みです(不特法41条1項・2項)。法人であること、宅建業の免許、純資産、財産的基礎と人的構成、業務管理者などの要件は登録にもあります(不特法44条各号)。第一号事業・第三号事業の許可を受けると、登録は効力を失います(不特法55条)。

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