申請図面の作り方

風営法の求積図の書き方|客室と営業所の面積の計算方法(壁芯と内法)

風営法の許可申請や深夜営業の届出で「求積図」と呼ばれるのは、客室と営業所の面積をどう計算したかを示す図です。土地の地積測量図や、建築確認申請で使う求積図とは目的が違うため、ここではそれらの書き方には触れず、風営法の申請・届出で使う面積の測り方と、求積計算の示し方を整理します。

この記事では、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律を「法」、同法施行規則を「規則」、同法に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令を「内閣府令」と略します。

この記事の要点

  1. 許可申請書・届出書には、「客室数」「営業所の床面積」「客室の総床面積」「各客室の床面積」を書く欄があります(施行規則の別記様式第1号・第40号・第47号)。
  2. 風俗営業の許可申請では、各客室の床面積は、壁や柱の中心線からではなく、うちのり(内法)で測った面積を書くとされています(解釈運用基準 第12中12)。営業所の床面積は建築基準法上の床面積(壁芯)で足りるとされていますが、所轄の警察署がより細かい確認を求めることがあります。
  3. 深夜の届出には第12中12のような整理がありません。客室の面積は、深夜の届出でもあらかじめ内法で算出しておけば、測り方の違いによる計算のやり直しを防げます。端数の扱いと、面積の計算で客室をどこまでとするかは、所轄の警察署の運用によって異なります。
このページの目次
  1. 求積図とは ─ 申請書・届出書の面積の欄を裏づける図
  2. 営業所と客室で、測り方が違う
  3. 壁芯と内法で、どれだけ違うか ─ 計算の例
  4. どこまでが営業所で、どこまでが客室か
  5. 端数処理と、計算の書き方
  6. 面積の数字は、その後の手続きにも使われる
  7. よくある勘違い
  8. よくある質問
  9. この記事の根拠

求積図とは ─ 申請書・届出書の面積の欄を裏づける図

面積の4つの欄は、風俗営業(法2条1項1号から3号までの営業)の許可申請書、特定遊興飲食店営業の許可申請書、深夜における酒類提供飲食店営業の届出書の様式に共通して置かれています(施行規則の別記様式第1号の「その2(A)」・第40号・第47号)。法2条1項3号の営業では、面積を客室単位ではなく客席単位で計算して書くことになります(施行規則の別記様式第1号の備考11)。

一方で、添付書類として国の法令が定めている図面は「営業所の平面図」と「営業所の周囲の略図」(周囲の略図は許可申請だけ)で(内閣府令1条3号・17条・24条1号ロ)、「求積図」という名称は使われていません。ただし、欄に記載した面積がどのような寸法と計算式に基づいているかを示す資料として、所轄の警察署から提出を求められることがあります。

  • 平面図との違い:平面図は出入口や客室、椅子・テーブルの配置を示し、求積図は面積の計算の過程を示します。平面図の上に計算を書き込む形もあります。
  • 求積表:区画ごとの寸法・計算式・面積を一覧にした表です。

図面の種類の全体と、様式の欄と図面の対応は風営法の申請図面の作り方にあります。

面積の計算を平面図に書き込むか、別の図や表にするかを確認しておく必要があります。

ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。

営業所と客室で、測り方が違う

警察庁の解釈運用基準(令和8年7月1日の通達)は、風俗営業の許可申請書の面積の欄について、次のように整理しています。

許可申請書中の「営業所の床面積」欄は、建築基準法上の床面積を記載することで足りるが、「各客室の床面積」欄は、壁、柱等の区画の中心線から計るものではなく、うちのりの面積を記載するものとする。

(解釈運用基準 第12中12)

建築基準法上の床面積は、「建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積」によります(建築基準法施行令2条1項3号)。言い換えると、次のとおりです。

  • 営業所の床面積:壁の厚みの真ん中の線(壁芯)で囲んだ面積
  • 各客室の床面積:壁の内側の面から内側の面まで(内法)で測った面積

このうち、営業所の床面積に建築基準法上の床面積をそのまま使えるとする部分は、解釈運用基準が全国共通の最低限の取扱いとして示しているものです。営業所の範囲をどこまでとするかも含めて、所轄の警察署がより厳しい運用をしていることがあります。

区分ごとの違い

  • 風俗営業:上の第12中12は、風俗営業の許可申請書の記載要領です。
  • 特定遊興飲食店営業:解釈運用基準(第24中1)が、特定遊興飲食店営業の許可に係る一般的留意事項等について、第12中12を参照することとしています。
  • 深夜における酒類提供飲食店営業の届出:届出書にも同じ面積の欄がありますが、解釈運用基準に第12中12のような整理は置かれていません。客室の面積を内法で出しておけば、所轄の警察署がどちらの測り方を求めても、欄の数字を直さずに済みます。

営もうとする区分で、営業所と客室の面積をどちらの測り方で書くかを確認しておく必要があります。

ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。

壁芯と内法で、どれだけ違うか ─ 計算の例

以下は、壁の厚さを15センチと仮定し、4方向を壁で囲まれた長方形の客室で計算した例です。実際の物件への当てはめではありません。壁芯の寸法から、両側の壁の厚さの半分ずつ(合わせて15センチ)を引いたものが内法の寸法になります。

  • 例1:壁芯で3.30メートル×3.00メートル=9.90平方メートル。内法では3.15メートル×2.85メートル=8.9775平方メートル。
  • 例2:壁芯で4.80メートル×3.50メートル=16.80平方メートル。内法では4.65メートル×3.35メートル=15.5775平方メートル。

例1の場合、壁芯で計算すると9.5平方メートルを超えていますが、内法で計算するとこの基準を下回ります。例2も、壁芯で計算すると16.5平方メートルを超えていますが、内法で計算すると下回ります。区分ごとの客室の床面積の基準については、客室の床面積・見通し・区画の基準で解説しています。

実際の内法は、壁の仕上げ(下地や仕上げ材の厚さ)によっても変わります。どの面を内法の基準にするかは、所轄の警察署の運用によって異なることがあります。

客室の内法を壁のどの仕上げ面から測るかと、その寸法で基準に対してどれだけ余裕があるか(不足していないか)を確認しておく必要があります。

ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。

どこまでが営業所で、どこまでが客室か

面積を出すには、まず営業所と客室の範囲を図面の上で決めることになります。解釈運用基準(第12中2)では、法3条1項の「営業所」には、客室のほか、その営業だけに使う調理室・廊下・洗面所・更衣室なども含まれ、駐車場や庭なども、建物と一体で専らその営業に使われるものは含まれるとされています。営業所の範囲の考え方は風俗営業許可の要件で扱っています。

客室の範囲については、解釈運用基準(第3中1)が、照度の測定に関する箇所で、調理場、バーカウンターの内側の客が位置しない部分、洗面所、ステージで客が位置しないもの等は客室に含まれない、と整理しています。ただし、これは規則2条(照度の測定)の「客室」についての整理であり、客室の床面積の計算にもそのまま当てはまるとは明記されていません。

面積の線引きで判断が分かれやすいのは、次のような箇所です。面積の計算でこれらをどう扱うかは、所轄の警察署の運用によって異なります。

  • カウンターの内側(客が位置しない部分)
  • 柱の出っ張り(第12中12は、柱等の区画の中心線から計るものではないとしていますが、出っ張りの部分を差し引く方法までは定めていません)
  • 造り付けの棚、ステージ、DJブース
  • トイレ、更衣室、倉庫(営業所には含まれ、客室には含まれないことが多い部分)
  • 間仕切りで分けた席(何室と数えるか。1室のみのただし書との関係は客室の床面積・見通し・区画の基準で解説しています)

上に挙げた箇所を客室の面積に含めるかどうかと、外す部分を図面の上でどう示すかを確認しておく必要があります。

ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。

端数処理と、計算の書き方

面積を小数点以下第何位まで書くか、切り捨てるか四捨五入するかは、法令にも解釈運用基準にも定めがなく、所轄の警察署の運用によって異なります。たとえば、内法の寸法が3.35メートル×2.835メートルだとすると、面積は9.49725平方メートルで、小数点以下第2位までに四捨五入すると9.50平方メートル、切り捨てると9.49平方メートルになり、9.5平方メートルの基準をまたぎます。基準に近い面積は、切り捨てた値でも基準を満たす計画にしておくと、端数の処理の方法がどちらになっても基準を下回りません。

計算の書き方は、次のような方法が一般的です(法令で決まった方法ではありません)。

  • 長方形に分けて足す:L字形の客室などは長方形に分け、区画ごとに記号(A・B・C…)を付けて、求積表に「寸法×寸法=面積」を並べます。
  • 三角形に分ける:斜めの壁がある形は三角形に分けて計算します(いわゆる三斜法)。
  • 座標で計算する:CADで作図する場合に、頂点の座標から面積を出す方法です。

「客室の総床面積」は、各客室の床面積の合計です。営業所の床面積(壁芯)と客室の総床面積(内法)は測り方が違うので、営業所の床面積から客室の総床面積を引いても、客室以外の部分の面積にはなりません。

端数を小数点以下第何位まで出し、切り捨てと四捨五入のどちらで処理して欄に書くかを確認しておく必要があります。

ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。

面積の数字は、その後の手続きにも使われる

最初の申請・届出で書いた面積は、その後、営業所を変更するときに、変更後の面積と比べるための記録になります。

  • 風俗営業では、営業所の建物の床面積が従前の2倍を超えることとなる増築をすると、営業所の同一性が失われ、新規の許可を要するとされています(解釈運用基準 第12中3(2))。詳しくは風俗営業許可の要件で解説しています。
  • 法33条5項により、深夜の営業禁止地域を定める条例の規定が適用されない既存の店は、営業所の建物内の客の用に供する部分の床面積を増やすと、同項の適用がなくなるとされています(解釈運用基準 第29中3(2)④)。詳しくは深夜における酒類提供飲食店営業の解説のページで確認できます。

面積や構造設備を変えるときの変更の承認・届出でも、最初に出した図面と見比べることになります。図面と計算の過程は、手元に保存しておくと、そのときの記録として使えます。

予定している増築や改装で、営業所の建物の床面積や客の用に供する部分の床面積が、最初に書いた面積からどれだけ増えるかを確認しておく必要があります。

ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。

よくある勘違い

  • 「賃貸借契約書や建築確認の図面の面積を、そのまま書けばよい」:建築基準法上の床面積は壁芯によります(建築基準法施行令2条1項3号)。契約書の面積の測り方は契約によって異なり、客室の範囲も契約の区画と一致するとは限りません。どちらも、内法で書くとされている各客室の欄(第12中12)には、そのまま使えないことがあります。
  • 「深夜の届出は面積の決まりがないから、おおよそでよい」:届出書にも各客室の床面積の欄があり、客室の床面積の基準は規則99条1号に定められています(数値は客室の床面積・見通し・区画の基準)。
  • 「求積図は法令で決まった書類ではないから、出さなくてよい」:法令に名前がないことは、提出を求められないことを意味しません。
  • 「小数点以下は四捨五入すればよい」:このページの「端数処理と、計算の書き方」のとおり、端数の扱いに法令の定めはありません。
  • 「カウンターの中も客室に入れて広く書く」:このページの「どこまでが営業所で、どこまでが客室か」のとおり、照度の測定に関する整理(第3中1)を、面積の計算にそのまま使えるとは書かれていません。

欄に書く面積の数字を何から取ったか(契約書・建築確認の図面・実測)と、その測り方を確認しておく必要があります。

ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。

よくある質問

求積図とは何ですか。

営業所と客室を長方形などの区画に分け、区画ごとの寸法、計算式、面積を示した図です。風営法の申請・届出では、面積の欄に書いた数字の計算の過程を示すために使います。法令上の位置づけは、このページの「求積図とは」の見出しにあります。

求積表と求積図は、どう違いますか。

求積表は、区画ごとの寸法・計算式・面積を数字で並べた表で、求積図は、その区画が営業所のどこにあるかを図に示したものです。1枚の図の中に表を置く形もあります。

客室は何平方メートル必要ですか。

区分によって違い、客室の床面積・見通し・区画の基準にまとめています。このページでは、その面積の測り方を扱っています。

壁芯と内法の、どちらで計算しますか。

区分ごとの扱いは、このページの「営業所と客室で、測り方が違う」の「区分ごとの違い」にまとめています。深夜の届出には同じ整理が置かれていないため、測り方は所轄の警察署に確認することになります。

求積図は手書きでもよいですか。

手書きで作成する場合でも、区画ごとの寸法と計算式が第三者から明確に読み取れるように仕上げる必要があります。作図の細部については、風営法の申請図面の作り方の「作図の流れ」で解説しています。求積図に寸法と計算式をどこまで書き込むかを確認しておく必要があります。

ここで挙げた点は、店舗の実態と所轄の警察署の運用によって判断が分かれます。図面や設備が固まる前に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課か、風営法を扱う行政書士に確認することをおすすめします。

この記事の根拠

  • 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)── e-Gov法令検索
  • 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(昭和60年国家公安委員会規則第1号)── e-Gov法令検索
  • 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令(昭和60年総理府令第1号)── e-Gov法令検索
  • 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)── e-Gov法令検索
  • 警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について(通達)」令和8年7月1日(令和7年10月20日付けの旧通達を廃止したもの)── 警察庁(PDF)

申請図面の作り方のページ

  • 求積図の書き方風営法の許可申請・深夜営業の届出で使う求積図の書き方。営業所は建築基準法上の床面積(壁芯)、各客室は内法(うちのり)とする解釈運用基準の整理をはじめ、計算の例、端数の扱い、客室の範囲の線引きを解説します。